やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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NAME #3

バンド名決定会議もそこそこに長引き、皆それぞれ行き詰まったのか沈黙する時間が長くなる。

それが辛くなったのか由比ヶ浜が口を開いた。

 

「そう言えば高校入ってから1日が短くなった気がしない?入学してちょっとしたら合宿して、気づいたら6月だよ。」

 

「そうね。体感的には早くなったと思うわ。」

 

「テストとかもそうだけど、この前カエルが鳴いてるの聞いてああこんな季節なんだなぁって思ったり。」

 

「カエルなぁ・・・。昔アダ名を付けられた位しか思い出ねぇなぁ。」

 

「もっと他に思い浮かべるものはないのかしら。ヒキガエル君。」

 

「いや、なんで俺のアダ名知ってるんだよ?」

 

アレなの?この子ストーカーなの?だとしたらだいぶ物好きなストーカーである。

 

「あらごめんなさい。適当に言ったのに当たってしまったわ。」

 

いや首ひねりながら言われても困るから。可愛いだけで流されない問題もあるから。

 

「いや他にも浮かぶものくらいあるだろ。例えば・・・雨、梅雨、毒、ヌルヌル・・・。」

 

「ろくなモノないよヒッキー・・・。」

 

「バーロー。ちょっと考えればなんか・・・・・・。ああ!アレだチョコとか?」

 

「比企谷君、いくら追い詰められたからと言って適当な事を言ってはダメよ。いくら由比ヶ浜さんでも騙されないわ。」

 

「ちょっとゆきのん!!さすがにあたしにも関係ないってわかるよ!」

 

「いやほらアレだよ、あの映画に出てきただろカエルチョコ。」

 

「あっ!今週の金ローだっけ?」

 

たまたま昨日小町が録画してたから思い出した。ちなみにあの映画ではルーナ派である。まぁ今週やるやつには出てこねぇんだけどなルーナ。

 

「アレってどんな味がするんだろうね。」

 

「さぁ?少なくともチョコレートの味はすると思うのだけれど。」

 

「苦いんじゃね、カエルだし。知らんけど・・・。」

 

「なぁなぁ八幡。もうバンド名カエルチョコで良いのではないか?今まで出てきたのよりはいい気がするし、案も浮かばないし・・・。」

 

「いやカエルチョコはシュールすぎるだろ、せめて英語にするとか・・・。あと最後のが本音だろ。」

 

「英語にするとChocolate Frogsね・・・。」

 

「いいじゃんそれ!可愛いし!」

 

「そうね・・・。少なくとも今までの物よりしっくりくるし。時間もないしこれでいいのではないかしら。」

 

「えぇ・・・。まぁお前らがいいならいいんじゃねーの?」

 

という事でバンド名が決まった。もっと時間があればもっと良い案が出たのかもしれない。でも現状時間は無いし、全員疲れてたしな。これ以上の案が出るわけもなかった。

 

「遅くなってしまったけれど、名前も決まったし今日は解散しましょう。橘先生には私から伝えておくわ。」

 

「了解。」

 

「ゆきのん!一緒に帰ろー!」

 

「けぷこんけぷこん!八幡よ!我らも共に参るか。」

 

「いや、俺自転車だから。」

 

「ちょっ八幡?!八幡ーー!」

 

 

 

 

その後材木座とは普通にファミレスで別れて帰宅した。

さすがに反対方向に帰るやつと一緒なわけがないんだよなぁ

 

「あっお兄ちゃん遅かったね。ご飯いる?」

 

「あぁ貰うわ。」

 

今日は煮魚か。なんだかんだご飯が進むおかずだよな煮魚。小町が作ったなら尚更だけど。

 

「今日ってバンド名決めてきたんだよね?決まった?」

 

「あぁ。」

 

「なんていうの?」

 

「Chocolate Frogs」

 

「カエルチョコ?なんか可愛い名前だね。」

 

「そうか?なんていうかあんまりいい案が出なくてノリで決まった感じなんだが・・・。あとライブ出ることになった。テスト明けの7月。」

 

「へぇー!チケットとかないの?小町絶対行くから!」

 

「さぁ?その辺はまた聞いとくわ。」

 

「テスト明けの楽しみが増えたよ!勉強頑張らなきゃ。」

 

そうだな。今はとりあえずテストをなんとかパスしなければならない。文系教科は問題ないだろうが数学がなぁ・・・。ぼっちの俺には澪ちゃん的な一夜漬けを教えてくれる友達がいないし、何とかしなくては。


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