やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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ICHIDAIJI#3

ライブ当日、遅刻・・・するわけはなく、しっかりと集合した訳だが、何故だろう全員に意外そうな顔をされた。

橘先生と平塚先生は後から来るそうで、俺達はそのまま会場入りした。

 

「では15分から逆リハ始めまーす。準備をお願いしまーす!」

 

逆リハ?逆リハってなんだっけ?

 

「すまん雪ノ下。逆リハってなんだ?」

 

「全く昨日の空次さんの話を聞いていなかったのかしら。」

 

雪ノ下改め雪ペディアさん曰く逆リハとは、演奏順の逆からリハーサルを行うリハの方法である。

そのままじゃん・・・。

 

「私たちは3番目だけどチューニングや準備をしておきましょう。時間は15分しかないのだから。」

 

雪ノ下の一声でいそいそと準備を始める俺達。材木座は緊張からかスティックを空中でパタパタしている。

 

 

 

 

「では次、Chocolate Frogsさん15分お願いしまーす。」

 

「はい。1曲目頭からイントロ行きます!」

 

「うぬ。1.2.1234!」

 

こうして俺達のリハが始まった。なんていうかリハでも他のバンドの人が少数いるってだけでなんか緊張度が違うな。

ここに来て唯ちゃんの気持ちが痛いほどわかるわ。

 

その後特にアクシデントも無いままリハーサルは終了。

その後待機時間になったので俺達はコンビニに買い物に出た。

その帰り道に出会ったのは・・・。

 

「あっお兄ちゃーん!」

 

「小町?まだ入場には早いだろ。」

 

「ちょっと早くついちゃって・・・。あっ!兄がお世話になってます、妹の小町です。」

 

兄の立場で言うのはあれだが、妹の小町はいわゆるぼっちではない。コミュ力に優れ、特に初対面での受けが抜群である。しかし比企谷の血を引いているのかぼっちであっても特に問題はないという、いわゆるニュータイプなわけだ。

こんな事をしている間に雪ノ下達と連絡先を交換している。早い!早すぎる。名妹!比企谷小町!

 

「お前らこんな所で何してんだ?」

 

「あっ!橘先生!平塚先生も!」

 

「リハが終わって待機時間なんです。」

 

「そうか。まぁこの時間の使い方は色々だからなぁ。」

 

「比企谷、ベースの調子はその後どうだ?」

 

「えぇ・・・。まぁ・・・、悔しいっすけどイカより音がいいんすよねぇ・・・。」

 

「そうかそうか!ん?そちらの子は・・・。」

 

「あっいつも兄がお世話になってます。妹の小町です。」

 

「なんというか・・・・・・。」

 

「出来た妹だな比企谷。」

 

「まぁ、自慢の妹っす。」

 

「そろそろ時間ね。では先生、小町さん、失礼します。」

 

「おう。」

 

こうして俺達は先生達と別れ、ライブの準備に入る。

由比ヶ浜や雪ノ下は化粧直しや発声練習。材木座は恐らく今日のセトリの曲を聞きながらスティックを振っている。時々スティック投げてるけどそれほんとに今日のセトリだよね材木座さん?

とりあえず俺も曲のセトリを聴きながら、ベースに潤滑剤吹きかけたり指のストレッチをしながら時間を潰す事にした。

 

 

 

そしてついにライブが始まった。さっき袖を見に行った由比ヶ浜曰く、

 

「凄い!人いっぱい!」

 

だそうだ。

 

「そろそろ1組目も終わるみたいだし、移動しましょうか。」

 

「よし!行こう!」

 

由比ヶ浜、雪ノ下の2人に続いて、俺と材木座が袖に向かう。

ちょうど舞台では2組目のバンドがMCをしている最中だった。

 

「ねぇねぇ!円陣組もうよ!」

 

そう言って由比ヶ浜は拳を突き出した。

 

「そうね。他のバンドは関係ないわ。いつも通り行きましょう。」

 

そう言って雪ノ下も拳を突き出す。

 

「けぷこんけぷこん。しかし!今日出るバンドの中で埋もれるつもりは毛頭ないぞ。」

 

謎のキメ顔と共に材木座もそれに続く。

 

「はぁ、力入って走りすぎんなよ。」

 

そう言って俺も拳を突き出した。

 

「じゃあみんな・・・、しまっていこう!」

 

2組目の演奏が終わり、万雷の拍手の中円陣を解いた俺達。

Chocolate Frogsの初陣が始まる。


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