その後由比ヶ浜の作った歌詞は雪ノ下に渡された。
しかしすぐにテスト期間に入ってしまうため、新曲の仕上げと練習は夏休みからという話になった。
テストの結果?ああ、とりあえず国語は学年3位だったよ。前回と変わらない結果に大変満足している。きっと平塚先生から呼ばれたのはそれ関係に違いない。ウンキットソウニチガイナイ・・・。
「さて、比企谷。今回の件だが、言わなくても分かるよな?」
「さぁ?身に覚えがないと言いますか・・・。」
「数学。」
「反省してます。」
そう。今日呼ばれたのは数学9点の件だ。前回より1点下がってついに1ケタ。既に数学担当の教師から補講の日程は聞いている。ギリギリ夏休みには入らないとの事で、少し安心していたのだが。
「部活やら生徒指導の関係で私が色々言われてしまうのだよ。特に比企谷の場合は数学だけが壊滅的だから余計にな。」
「人には得手不得手がありますから・・・。」
「それにしてもという話だよ。ここまで1教科だけ極端に悪いと作為的なものを感じざるを得ないってことさ。」
「はぁ・・・。」
「そこで生徒指導として君にはこれに参加してもらう。」
「はぁ・・・。ボランティアですか・・・。」
平塚先生が出してきたプリントには、近くの小学校の夏休み自然教室のボランティア募集のタイトルが大きく書かれていた。
日程は8月頭の1泊2日。場所は少し山の方の体験施設。この辺の出身者なら1度はお世話になる施設だ。
「一応聞いておくが、この日何か予定はあるか?」
「いやぁ・・・、この日はちょっと家族で里帰りに・・・。」
「妹さんに確認したが予定はないと言っていたが。」
おのれ小町。というか先生まで連絡先知ってんのかよ。恐るべき小町ネットワーク。
「まぁ小町が言うんなら予定はないっすね。」
「なら参加だな。ちなみに参加者は雪ノ下と由比ヶ浜、それから君の妹の小町君に他数名だ。」
「あいつらも参加なんですね。そういえば材木座はどうしたんですか?」
「ああ。君がベースを壊して早上がりした日に話はしたからな。君が知らないのも無理はない。そして材木座は合宿先の鷹木さんの寺で修行だそうだ。」
「・・・・・・なんだそれは。」
「とにかく話は以上だ。来週からの補習頑張りたまえ。」
*
「ヒッキー聞いたよ!また数学補習なんでしょ!」
職員室を後にしそのまま部室に行くと由比ヶ浜から早速補習について言われてしまう。
「まぁ来週だし、部活のない日だからな。中間みたいな迷惑はかけねぇよ。」
「全く、そういう問題ではないわ。」
「まぁほんとすまんかった。後これ頼まれてた新曲のベースの譜面。気に入らなかったらまた言ってくれ。」
「頼まれてた仕事はしっかりこなせるならテストくらい普通に突破出来ないものかしら。」
憎まれ口を叩きながら、譜面を確認する雪ノ下。材木座は既に作業を終えてるらしいから、これさえ通れば、初のオリジナル曲の練習に取り掛かる。まぁ材木座はかなりリテイクをくらったと言っていたからあまり期待はしてないが。
「1度確認してから修正はお願いするわ。材木座君が来たら練習を始めましょうか。」
そう言ってチューニングを始める雪ノ下、俺と由比ヶ浜も同じように準備を始める。
「そういや自然教室参加するんだな。」
「あら今頃聞かされたのね。」
「ああ、さっきな。俺が楽器屋に言った日に話したとか。」
「ええ。平塚先生が比企谷君には伝えておくからと言っていたはずだけれど。」
まさか忘れてたとかじゃないよな先生。
「それでヒッキーも行くんだよね?」
「ああ。生徒指導とやらで強制参加だが・・・。」
「ゲフンゲフン。はぁはぁ。すまない日直の為遅れてしまった。」
相当急いで来たのだろう、息を切らした材木座が入ってきた。
「構わないわ。準備が出来次第始めましょう。」
最近は夏祭りに向けた曲を主に練習している。色々予定のある高校初めての夏が始まろうとしていた。