やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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青と夏#3

「・・・キガヤクン。ヒキガヤクン!比企谷君!」

 

戸塚?なんでここに?ああそうだ確か昨日の夜・・・

 

 

 

 

「あれ?戸塚なんでここにいるんだ?一応ここ男子部屋だぞ。」

 

「えっ比企谷君。一応僕男なんだけど・・・。」

 

男なんだけど・・・。オトコナンダケド・・・。オトコナンダケド・・・。オトコ・・・。

 

 

 

 

そうだ戸塚が男だと発覚し、その後平謝りしたんだったな。よく間違われるからと許しては貰えたが・・・。

しかしアレだ。コレが噂に聞く朝チュンってやつなのか?

 

「あっ起きた。早くしないと朝食の時間終わっちゃうよ?」

 

「ああ。わりぃすぐ支度する。」

 

「比企谷君夏休みだからって不規則な生活してるでしょ?」

 

「ああ。」

 

「たまには動いた方がいいよ?」

 

「ああ。」

 

「なんなら今度一緒にテニスでもする?」

 

「ああ。とりあえず適当に連絡くれ。」

 

「うん!じゃあ連絡先交換しようよ!」

 

「なん・・・だと?」

 

「よかった!僕テニス部以外に同学年の友達がいなくて・・・。ってどうしたの比企谷君!なんで泣いてるの?」

 

違っ・・・!泣いてねぇよほらこれはアレだ。目から汗かいてるだけだ。決して部員と家族以外の連絡先を交換出来る感動と緊張で汗かいてるだけだ!

あっ連絡先はバッチリ交換しました。

 

 

 

 

朝食を終え、現在は自由時間である。と言っても俺たちは自由時間を満喫する小学生の見守り時間な訳だが。

ちなみに小町達は河原で遊んでるそうだ。だが小中とぼっちで自然教室を乗り切った俺に河原という選択肢はない。

一見涼しく楽しいイメージがあるが意外と虫が多かったり石の地面は長いこと座ってられなかったりと案外居心地が悪い。

そしてこの体験施設の中でこの暑さを乗り切り、かつ居心地がいい空間、それがこの・・・。

 

「1番でかい建物の中だと思ってたんだがなぁ・・・。」

 

この建物は朝食会場や舞台などがある棟だ。当然の如く冷暖房完備だが当然の如く使わなければ施錠されている。

しゃあねぇ大人しく川に行くか・・・。

 

「あっ八幡。」

 

「いや呼び捨てかよ。」

 

引き返そうとしていた俺に声をかけてきたのは、鶴見留美だった。

 

 

 

 

立ち話もアレなので近くにあった木陰のベンチに移動する。

少なくとも日向より涼しく、風が吹いた時はむしろ心地良いこの空間を堪能していると鶴見留美が口を開いた。

 

「なんで1人なの。」

 

「クーラーの恩恵を受けようとして失敗しただけだ。お前は?」

 

「朝食食べ終わってテントに戻ったらみんないなかった。」

 

「そうか。」

 

「八幡はさ・・・。友達とかいないの?昨日の雪ノ下さん?とか。」

 

「あれは友達じゃねぇよ。部活が同じってだけだ。」

 

生まれてから現在まで、振り返ると友達と呼べる人間はいないと思う。戸塚は知り合ったばかりだし、材木座?アレはただの体育のペアだ。

そんな事を付け加えて答える。それを聞いた鶴見は少し考えこんでこう続けた。

 

「寂しいとか思わないの?八幡は。」

 

「まぁそんな時もあったが・・・。たまたま夢中になれるものを見つけてな。打ち込んでたらあんまり気にならなくなった。」

 

「そっか。私も見つかるかな、そういうもの。」

 

「さぁな。案外きっかけなんて些細な事だったりするし。」

 

「八幡のきっかけは?」

 

「推してる人が弾いてたってだけだ。」

 

「何それ意味わかんない。」

 

「まぁなんにせよそれで今もなんだかんだ続いてるってだけだよ。」

 

「世界変わる?そういうもの見つけたら。」

 

「別に変わらねぇよ。ただ見えてるものが世界じゃなくなるってだけだ。」

 

自分が変われば世界が変わる訳では無い。ただ少なくとも今は小学校、中学校で世界だと思っていたものは全体のほんの僅かな部分でしかない事がわかった。

案外今まで所属していたコミュニティの影響がない所に居場所みたいなものがあったりするのだ。

さしずめ、新世界と言ったところだろうか。

しかし今の鶴見にそれを理解する事は出来ないだろう。小学生にとって狭い学校とその関係物だけが世界の全てなのだから。

 

「もっと意味わかんない。じゃあね八幡。」

 

聞きたい事は聞けたらしく、そう言い残して鶴見留美はどこかへと去っていった。

 

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