やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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夏祭り#5

10分程休憩してのんびりと舞台袖を後にする。

夕方に差し掛かり、かなりの人が増えてきた。

 

「さて、やることないし帰るか・・・。」

 

「八幡!」

 

祭り会場を後にしようとした俺を呼び止めたのは10分ぶり3度目の鶴見留美だった。

 

「どうした?そろそろ小学生は帰る時間じゃねぇの?」

 

「それはまだ大丈夫。えっと・・・、見てた八幡の演奏。」

 

「あぁ、ステージからも見えたよ。」

 

「ほんと・・・?えっと・・・すごかった。」

 

「そうか・・・。ありがとな。」

 

「うん。じゃあ・・・、それだけ言いたかっただけだから!」

 

そう言って去っていく留美。

 

「あっ・・・!ちょい待った・・・。」

 

「なに?」

 

「まだ祭りにいるならこれ持ってけ。」

 

留美に渡したのは、射的とお面、綿あめの食券だった。

ボランティアに参加すると何枚か貰えるものだ。

 

「いいの?」

 

「俺はそろそろ帰るからいらないんだが、使わないともったいないしな。」

 

「ありがと・・・。」

 

「どういたしまして。」

 

「じゃあ・・・。バイバイ八幡。」

 

こうして鶴見留美は祭りの喧騒の中へ消えていく。

この少女が数年後、俺と同じようにメタりかでバンドを組む事になるのだが・・・。

それはまた別のお話。

 

 

 

 

鶴見留美と別れた俺は小町からのお使いを頼まれ、焼きそばとたこ焼きを手に帰宅した。

途中何処かに消えたはずの材木座が、鷹木さんと和太鼓を叩いていたのには流石に驚いたが、その他にこれといったイベントは起こらなかった。ホント何やってたんだアイツ・・・。

 

「たでぇま・・・。」

 

「あれ?お兄ちゃん早かったね。」

 

「まぁな・・・。はいコレ。」

 

「ありがと。いやー買ってくるの忘れちゃってさぁ・・・、焼きそばとたこ焼き。アレ?花火見なかったの?」

 

「混むし・・・。それに家からも見れるし。」

 

「風情がないなぁ・・・。」

 

「同じ見る前に帰ってたやつに言われたくないんだよなぁ・・・。それに花火ならいつも見てるだろ、マリンの花火。」

 

夏の風物詩と言われる花火だが、この辺りはシーズン中割と見れるため特別感ないんだよな。

まぁ最近低迷してたから昔よりは見れなくなったけど。

今シーズンは期待してます。

 

「これだからごみぃちゃんは・・・。そんなんだから作詞が進まないんだよ。風流ってのが分かってない。祭りで見てこその花火でしょうがぁ・・・。」

 

コマ八先生のありがたいお言葉に反論するようだが、夏に家から花火見ながらスイカだのアイスだの食うのだって風流だと思うのだ。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?私は家から。By八幡。

 

「関係ないんだよなぁ。それに作詞はいけそうだし・・・。」

 

「そうなんだ!もしかして今日のライブでなんか浮かんだとか?盛り上がってたもんね〜。」

 

「いや、まぁなんて言うか・・・、色々な。」

 

言えない・・・。平塚先生の冗談から思いついたとか言えない。

それから鶴見留美の事も・・・。

 

いや別にそのまま使うわけじゃないからいいんだけど。

 

「ふぅん・・・。そういえば結衣さんからメールお兄ちゃんが疲れてたって送られてきたけど大丈夫なの?」

 

「あぁ。少し休んだら回復したわ。朝からの疲れがライブ終わって気持ちが切れた時に出たんだろ。」

 

「まぁ無理はしないでね。兄の体調を気遣う妹・・・、これはポイント高いんじゃない?」

 

「最後のがなきゃな。」

 

残念だなぁと言って小町は部屋に戻って行った。

さっきまで祭り会場にいたからか、部屋の静寂をやけに強く感じる。

とりあえず忘れないうちに歌詞書いとかなきゃな。

細かいことは後々詰めていけばいいか。

 

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