「えっとはじめまして。川崎大志っす。」
他にも何やら言っていたが割愛。この川崎とやらは小町の行っている夏期講習で知り合った男であり、今回の相談主と言うわけだ。
しかし比企谷家の男は小町に近づいてくる男に威嚇をしていくという暗黙の了解があるのでそれに習ってやつの自己紹介中も、バッチリ威嚇していく。がるるるる・・・。
「ちょっとお兄ちゃん!ちゃんと話聞いてる?」
「ひゃっ!・・・・・・ひゃい。」
小町の一言で子犬のようにビクビクする。我ながらか弱い限りだ。
「えーっと、とりあえず相談ってなんだ?すまんが進路とかあんま参考にならないと思うんだが・・・。」
「えっと実は、相談したいのは姉ちゃんのことなんすけど・・・。」
川崎大志の話を要約すると、高校生になった姉が中学時代とは打って変わって不良になってしまったとの事だ。具体的には帰る時間も遅くなったり、遅刻したり、素行が悪くなったり色々。たまに話しても理由は教えてくれないのだという。
「でもまぁ高校生だろ?多少帰りが遅くなることだってあるんじゃねぇか?家族にも言えない事もあるだろうし。」
「でも5時ですよ。流石に何かあると思うんですけど・・・。」
「遅いっていうか朝じゃねぇか・・・。」
「姉ちゃん、明狼入るくらいだったんで中学とか凄い真面目で・・・、朝帰りとかするような人じゃなかったんで・・・。」
そういや平塚先生もそんな奴の情報を探ってくれみたいなこと言っていたが最近明狼生の朝帰りが流行っているのだろうか?
「そういや明狼なんだな、お前の姉ちゃん。」
「はい。川崎沙希、明狼の1年です。」
その名前を聞いて思い出したわ。確か平塚先生が言ってた例の女子生徒だ。
もし、この川崎大志の姉が例の川崎沙希であるならば、朝帰りの理由はバイトということになる。
ならきっと何か手がかりがあるはずだ。
とりあえず川崎大志に質問を続ける。
「なぁ何か不良になった事以外に変わった事とかなかったか?急に羽振りが良くなったとか。」
「いや・・・、あっ!変な電話ならかかって来たことがありました!」
「変な電話?」
「2回あって、1回目がライブバー?とか何とか言ってたんです。」
ライブバー?ジャズバーとか色々なBARが古今東西ある訳だが、何をライブするのだろうか?生配信しながら酒でも飲むのか?
「多分どっかのライブハウスだと思うんす。姉ちゃんギターやっててバンドも入ってたから。でも俺あんまり詳しくなくて・・・。」
「なるほどな。んでもう1件は?」
「それもなんとかバーって名乗ってて確かエンジェルとも言ってたんです。」
「エンジェル?あんまり変じゃなくないかな?BARなら普通にありそうな名前だけど。」
わかってないな小町。男子中学生ならばBAR、そしてエンジェルという単語から連想されるのはもういかがわしいお店しかない。
もはやエンジェルって名前も中学生男子フィルターを通すとエロエロだしな。
「まぁわかるぜ気持ちは。」
「分かってくれますかお兄さん!」
「HAHAHA・・・。お兄さんって呼ぶな?ぶっ飛ばすぞ?」
とにかくBARから2件も電話がかかって来る事は女子高生としては異常だろう。俺の仮説通り働いているのなら間違いなくアウトだ。
「俺、なんだかんだ心配なんすよ。打ち込んでたギターいきなり辞めて朝帰りまで・・・。」
一般的にだが、仲が悪くても家族や兄弟姉妹の事はなんだかんだ気にかかる物なのだ。話を聞く限りでは川崎姉弟の仲は悪くない感じなのでなおのことだろう。
「まぁライブバー?の方は多少力になれるとは思うが、もう1個の方はちょっとわからんな。一応色々調べてみるが・・・。」
「ありがとうございますお兄さん!」
やっぱり調べるの辞めようかな・・・。