やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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フルドライブ#1

この世で無くしたいものランキングがあったとして上位確実なもの、そう月曜日だ。さらに今日の登校からベースを背負っているため、まだまだ4月ではあるが汗だくになり、いっそう学校までの足取りが重い。

某国民的アニメの主人公は遅刻の理由に学校が遠すぎるからと言ったそうだが、俺の場合は精神的に辛いからと言いたい、なんならどこでもドアがあれば少しはマシになるのか?いやあっても無理だわ。

 

そんなこんなでいつもより精神的に疲れた月曜日の放課後、気が乗らない足でえっちらおっちら部室にくると、既に鍵が空いていた。

あの2人だろうか?やけに早いな・・・。

 

「うぃーっす。」

 

部室にはいると雪ノ下や由比ヶ浜、ましてや橘先生ではない人物がドラムを叩いていた。

 

「何やってんだ・・・。材木座」

 

すると奴はこっちに気づいたのかイヤホンを外して振り向いた。

 

「むっこの気配・・・。やはり我が魂の盟友、比企谷八幡ではないか!」

 

なんだその山月記の名シーンみたいなセリフは?

コイツは材木座義輝。俺と同じ1年C組の男だ。見ての通りの中二病で、多分コイツの言ってる魂の盟友ってのは体育でのペアだろう。こういうとき、ぼっち同士組まされるのは定石だからほぼ毎時間ペアを組んでいる。

 

「お前ここの部員だったっけ?」

 

「いや、師匠のつてでたまに叩かせてもらっているだけよ。そしてもうすぐ爆裂真紅の型が完成するのだ。」

 

「どこの鬼だお前は・・・。」

 

懐かしいよな響鬼。人気ないけど改めてみると渋くていいんだよなぁ。

そんな話をしていると橘先生が入ってきた。

 

「おつかれ材木座、おお比企谷も来てたか。コイツは・・・。」

 

「知ってます。一応同じクラスなんで。」

 

「そうか、もう少しで雪ノ下達来るから、ほどほどにしとけよ。」

 

「御意、して八幡よ。何故ここにおるのだ?確か貴様は帰宅部だったはず。」

 

「ああ、色々あって最近入部させられたんだよ。」

 

「ほう・・・。なるほどな。ではそろそろ我は消えようではないかさらばだ八幡!ムハハハハ!」

 

橘先生からの言葉を聞くと直ぐにこの言葉を残して材木座は帰って行った。

 

「アイツも大人しく入部してくれればさっさとお前らがバンド活動出来るんだけどなぁ。」

 

「いやないでしょ・・・。さっき師匠のつてとか言ってましたけどアイツなんで部員じゃないのにドラムなんて叩いてるんすか?」

 

「ああ、ハルさんだよ。材木座が中学の頃ゲーセンで土下座したらしいぞ弟子にしてくれって。そっからたまにウチの部で練習してるんだわ。アイツここの中等部出身だったからさ」

 

なんだその絵面は・・・。空次さんに土下座する材木座とか事案でしかないんだが・・・。

 

「なぁ比企谷、お前なんとか材木座をバンドにひっぱれねぇか?」

 

「いや上手くやったとしてあの2人が拒否るでしょ?材木座とコミュニケーションが成立するとは思えないし。」

 

「だよなぁ。材木座自身それを気にして入部しなかったからな、今なら・・・」

 

「やっはろーヒッキー!タンポポ先生!」

 

「遅くなりました。」

 

そんな話をしていると雪ノ下、由比ヶ浜が到着し、練習開始となった。橘先生が最後に何を言おうとしてたのかは分からないままだった。

 

************

 

「時間もちょうど良いし、今日はこれくらいにしておきましょうか。」

 

「うんそうだね!」

 

ちなみに今日の練習は打ち込みドラムでメタルリカちゃんのテーマの合わせ。途中で職員会議があるからと橘先生は出ていった。

 

「なぁお前らはドラムのあてとかないのか?いつまでも打ち込みってわけにもいかないだろ?」

 

「私はないわ。比企谷君は・・・。ごめんなさい、いなかったわね。」

 

「おいそこで謝るなよ、まぁいないけど。」

 

「うーん私もいないからなぁ、そうだ!前タンポポ先生が言ってた材・・・材・・・材なんとか君は?」

 

「材木座な。まぁあいつはなぁ・・・。」

 

「前少し叩いてるのを見たけどリズム感もあるし技術的な問題はないのではないかしら。技術的な問題は。」

 

なんで最後2回繰り返しちゃったんだよ。それ以外に問題があるみたいじゃねーか。まぁあるんだけど。

 

「でも現実彼を入れるのが活動してく上ではベターなのではないかしら。他にあては無いのだから・・・。」

 

「まぁ悪い人ではないんじゃない?ヒッキーの友達だしさ。」

 

「いや友達じゃねぇから。」

 

「というわけで材・・・。彼に声かけておいてくれるかしら。」

 

「え?俺が・・・?」

 

この日ほど自分がぼっちであることを悔やんだ事は無い。

 

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