やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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うわさのケムリの女の子#3

とりあえず頼まれたアンプ等を運び終えてまたスタッフルームに戻ってきた。

 

「ありがと八幡。作業はこれで終わりだよ、とりあえず何飲む?店にある物にしてくれよ〜。」

 

「じゃあMAXコー・・・。いや無いか。」

 

「あるよMAXコーヒー。頼む人見た事ないけどね。」

 

「マジですか・・・、じゃあお願いします。」

 

流石千葉のBAR、頼む人がいなくても置いてあるあたりが千葉クオリティ。有難くいただくことにした。

しばらくしてMAXコーヒーとジュースを持った空次さんが戻ってきた。

 

「お待たせ〜。はいMAXコーヒー!」

 

「ありがとうございます。いただきます。」

 

手渡された黄色のニクイやつ。1口飲み込むとその圧倒的な甘さが疲れた体に染み渡る。キンキンに冷えているため後味も良い、最高だ。

 

「さて、今キミは対価を貰って働いているわけだからウチの従業員なわけだよ八幡。だから今からする話は従業員同士の話として聞いてくれよ。もちろん他言無用で頼むよ。」

 

「はぁ・・・。わかりました。」

 

「えっと八幡の言った通り沙希はウチで働いているよ。と言ってもライブの裏方で人手が足りない時に手伝って貰う日雇いでなんだけどね。」

 

「はぁ・・・、じゃあ家にかかってきた電話って言うのは。」

 

「いや〜、沙希の携帯番号聞くの忘れててさ。とりあえず履歴書の家電にかけたんだよね。」

 

なるほど、なら大志が言ってたのはこの電話で間違いないだろう。

 

「でも変だなぁ。沙希の仕事は21時には終わってたはずだから朝帰りになんてならないはずだけど・・・。」

 

首を傾げながら話す空次さん。

その話通りなら朝まで働いているのはもう片方か?

 

「まぁお金がいるとは言ってたからウチ以外で働いている可能性はあるね・・・。まさかいかがわしいお店で!」

 

「いや・・・、流石にそれはないと思いますけど・・・。」

 

「そっか・・・。ならよかったのかな?」

 

俯きながらそう答える空次さん。

この雰囲気が辛いのか、コップの縁を撫でたり、意味無く回したりする時間が続いている。

 

「実はさ、色々心配してたんだ沙希の事。」

 

その時間を破り、空次さんが話し始める。

 

「実はさ、5月の初めくらいかな。沙希は入ってたバンドの事で随分揉めてたみたいなんだ。後から聞いたらその後すぐ辞めたみたいなんだけどね。」

 

「・・・そうなんすか。」

 

「もし沙希が困ってるなら力になってあげて八幡。」

 

返す言葉に詰まってしまいそれを誤魔化すために缶に口を付ける。

しかしとうに中身は空になっていて、すぐ離した。

 

「また何かあったら連絡してよ。あっ!良ければ八幡もバイトするかい?ライブの裏方。」

 

「考えときます・・・・・・。ありがとうございました。」

 

裏方の件本気だからねと念を押され店を後にする。

色々聞くことが出来たが、正直どうしていいか分からなかった。

とりあえず、わかってる事の中で、色々と伏せておくべき所を伏せて平塚先生に報告しておこう。

これ以上は高校生にどうにか出来る案件じゃない。

 

大志?適当に説明しておくさ。

 

 

 

次の日も普通に部活。1年前高校生で毎日部活なんてありえないと思っていた中3の俺に伝えたい。お前ありえないよってな。

 

「なかなか形になってきたんじゃないかな?」

 

「そうね。リズム隊も仕上がっているのではないかしら。遅れは取り戻せたようで良かったわ。」

 

「ふむ。我と八幡の実力ならばこんなものよ。」

 

オリジナル1曲目の完成度はなかなか悪くない・・・と思う。

いかんせん初めての事だしな。漫画やアニメみたく初めてからキラーチューンという訳にはいかない。

 

「とりあえず時間も時間だし今日はこれで終わりましょうか。」

 

「あっ、今日鍵俺が返しに行くわ。平塚先生に用があるんだが。」

 

「あら?また何かやったのかしら。」

 

いやいや雪ノ下の中で俺はどんだけ問題児なんだ。

いや定期テスト後はよく補講してるけど・・・。

 

「いやちょっと個人的にな。」

 

「そう。なら任せるわ。」

 

雪ノ下から鍵を受け取り戸締りをする。

鍵は橘先生に返す事を忘れないように俺は職員室へ向かった。

 

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