やはり俺の青春バンドはまちがっている   作:小野こまっち

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うわさのケムリの女の子#4

「失礼しま〜す。」

職員室に入る。夏休みだからか職員の人数は少ないため、橘先生はすぐに見つかった。平塚先生は・・・いないな。

 

「おう比企谷。部室の鍵か?」

 

「ええ。あと平塚先生います?ちょっと用があって。」

 

「さっきまでいたからそのうち戻ってくると思うぞ。」

 

橘先生は鍵を受け取りながらそう答える。

3年生を担当する先生は夏休みも色々と忙しいらしく、机には色々と資料が置かれていた。

 

「忙しそっすね。」

 

「お前も他人事じゃないぞ。早いやつは2年から色々対策始めるからな。塾の夏期講習もあるし・・・。」

 

確かに塾なども高二向けの講習を行っているところもある。

もちろん狙う大学のレベルにもよるんだろうが・・・。

 

「そういやどうだオリジナルは?」

 

「とりあえず出来たって感じっすかね。正直出来がいいかは分からないっす。」

 

「まぁとりあえず作ったって事が大事になってくるからな。完成しないよりはいいだろうさ。」

 

そんな話をしていると平塚先生が戻ってきた。

それを見た橘先生は、じゃあ鍵確かに受け取ったからと言って話を終わらせる。

そして俺は平塚先生の机に向かった。

 

「どうした比企谷?鍵を返すのはすんだのだろう。」

 

「いやちょっと、例の川崎の件なんですけど・・・。」

 

「わかった、少し場所を変えよう。」

 

平塚先生に連れられ、近くの資料室へ向かった。

あまり縁はないが大学の資料や問題集が揃った部屋である。

 

「あまり職員室で話せる話題ではないからな。」

 

そう言って平塚先生は、部屋の電気をつけ、椅子に座る。

 

「確かにそうっすね。」

 

先生の向かいの椅子に座り、川崎の弟である大志の事、その2件の電話のうちの1つであるムスタングでの話。

ある程度の情報は伏せて平塚先生に報告する。

 

「なるほどな。比企谷はもう1件の電話の店についてはどの程度まで分かっているんだ?」

 

「ネットに乗っている店だとその特徴に当てはまるのは1件見つけました。」

 

その店のHPをスマホに表示し平塚先生に渡す。

 

「なるほど。確かにこの店に君は入れないなぁ・・・。」

 

スマホをスクロールしながら先生はそう呟く。

 

「助かったよ比企谷。正直私ではここまでは掴めなかった。」

 

「いえ・・・。」

 

拒否権がなかったとはいえ色々な要素が重なった結果である。

正直俺1人で何とかした感じがしないんだよなぁ・・・。

 

「ところで比企谷。明日の夜は暇かね?」

 

「日雇いのバイトがあるんで18時以降なら・・・。」

 

「そうか。なら大人っぽい格好をして駅前に集合。」

 

「へ?なんでまた・・・。まさか・・・。」

 

「そのまさかだよ。」

 

平塚先生のニヒルな笑みに嫌な予感しか感じなかった。

 

 

 

 

言われた通りに駅前に集合する。

時刻は21時過ぎ。平日とはいえなかなかの人通りである。

 

「待たせたな比企谷。」

 

その人通りの中から平塚先生が出てくる。

学校から直接来たのか白衣を着ていないだけの見慣れた格好である。

 

「夕食は済ませたか?」

 

「いえ・・・まだっす。」

 

「そうか・・・、なら少し付き合いたまえ、ラーメンでも行こう。」

 

こうして駅前のラーメン屋へ。

横浜家系夏だからこそ食べたくなる濃いスープ。いいチョイスだと思う。

 

「さて比企谷。昨日話した通りこれから例の店に行こうと思う。」

 

席につき注文を終えた後平塚先生はそう話し始める。

 

「いや〜。俺未成年なんで。普通にマズいと思いますけど。」

 

「私1人ではまた上手くかわされると思ってな。事情が分かる者が必要だったのだよ。だから今日の君は昔の恩師に会いに来た大学生という設定だ。これなら上手く潜り込めるだろう。」

 

「全てに無理があるんだよなぁ・・・。」

 

いくら格好で誤魔化してもさすがに大学生は無理がある。

そもそもそんな大学生を酒の場にサシで連れ込む教師もどうかと思うわけで・・・。

 

「なぁに無理を通せば道理が引っ込むというやつさ。」

 

しばらくしてラーメンが運ばれてくる。

まぁここまで来たら俺に拒否権はないのだろう。

覚悟を決めつつ啜ったラーメンの味はよく分からなかった。

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