これからものんびり書いていきたいと思います。
そろそろ5時半・・・。大志まで呼び出してなんだが、そもそも川崎は来るのだろうか。
正直来なければ本末転倒な訳だが。
「お兄ちゃんコーヒー買ってきたよ!」
「サンキュ」
小町が買ってきたコーヒーにガムシロとフレッシュをダバダバと入れる。本当は練乳もあればいいのだがまぁこれで十分だろ。
何故かドン引きしている大志といつもの事だからとなだめる小町。
美味いんだけどなぁこれ。
「あっ・・・!来ました。」
入口でキョロキョロとこちらを探す青髪ポニーテール。
川崎沙希はこちらを見つけると昨日と変わらぬ怪訝な表情で近づいてきた。
「てっきりあんただけかと思ったけど大志も呼んでたなんてね。」
「まぁな。とりあえず座れよ。」
「んで大志についての話ってなに?」
席に着くなり本題を切り出そうとする川崎。
しかし俺がその言葉に答える前に、大志が川崎に詰め寄る。
「なぁ姉ちゃん。こんな時間まで何やってんだよ。」
「別にアンタには関係ない。」
「関係なくない!家族だろ・・・。」
「それでもアンタは知らなくていい事だってあるの。」
食い下がる大志に毅然とした態度で応戦する川崎。
「お兄さんから聞いた。なんでそこまでバイトしなくちゃいけないんだよ!」
「関係ないって言ってるでしょ!」
店内に俺達しかいないとはいえそろそろ店に迷惑かかるレベルにヒートアップしてきた。そろそろレフェリーとしてはストップかけなきゃならないか。
「なぁ川崎、お前がなんでそこまでするのか、当ててやろうか?」
川崎の鋭い眼光がこちらに向かう。ふぇぇぇ怖いぃぃぃぃ・・・。
「なぁ大志、受験は正味来年が本番な訳だが、来年も夏期講習受けるのか?」
「・・・?いえ、来年は1年塾に通う事になってます。親ともそういう話になってて・・・。まさか姉ちゃん!」
「いや、今の時点で話がついてるならお前の塾の費用は問題ないんだろう。だが・・・。」
「問題は沙希さんの方って事だね。お兄ちゃん!」
小町の答えに頷く。
まぁそういう事なんだろう。
橘先生も言っていたが早いやつは高2から受験に向けて動き出す。
来年、再来年の為の貯金と考えれば川崎が今バイトをする理由にも納得がいく。
夏期講習のチラシはおおよその金額を調べる為のものだろう。
「姉ちゃん・・・。やっぱ俺のせいで・・・。」
「だから知らなくていいって言ったのに・・・。」
俺達のいるテーブルに重い沈黙が流れる。
とりあえずここから先は川崎家の問題だ。
俺達の出る幕は終わったってことで解散をしようとすると、
「それでも私はバイトを辞める訳にはいかない。大学は行きたいし、それで大志や家族で迷惑かける訳にはいかない。」
川崎は鋭い声色で沈黙を破る。
「あのー、ちょっといいですかね?」
その言葉を聞いて、小町が割って入ってくる。
「・・・なに?」
「いやーうちも両親が共働きで基本小町が帰る時間にいないんですよ。ただいまって言っても返事とかなくて。」
「いや何言ってんだお前。返事かえってきたら怖いだろ。」
「うん。お兄ちゃんはちょっと黙っててね。」
的確なツッコミも瞬時にシャットアウトをくらう。
そのままの勢いで小町が続ける。
「それで、そんな家が嫌で家出したんです。そしたら両親じゃなくて兄が迎えに来て、それから小町より早く帰って家ににいるようになったんですよね。」
「いや、それただ早く帰りたかった・・・。」
「お・兄・ちゃ・んは、黙っててね?」
ハイとしか言えなかった。
「まぁなんていうか、こんなダメな兄なんですけど、小町の事色々考えてくれてるんですよ。それと同じように小町も兄の事色々考えてたりするんですよね。多分大志君も一緒だと思います。」
「おっ・・・俺もそんな感じ。姉ちゃんいきなりギターも辞めちゃってバイトまでしてさ。色々心配してたっていうか・・・。」
川崎が沈黙すると共に俺も沈黙する。
理由は多分2人共同じで、こんな風に弟や妹の考えを知る事はないわけで色々受け止めているんだと思う。
だが現状問題は何一つ解決していない。
夏期講習や塾代だけでなく、大学の学費も視野に入れてとなるとかなりの金額を稼がねばならない訳で。
俺がここで何百万もポンと出すみたいなロックな事が出来たらいいのだが、あいにく俺もベースの修理費を分割払いしている身なのでそんな事は出来ない。
だが川崎が困っていたら助けてやってくれと空次さんに言われたしな。
出来る範囲で助ける事にしよう。
「なぁ川崎。スカラシップって知ってる?」