デュエリスト・マンション   作:紺屋 黒猫

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前回のあらすじ

白石、夜間外出の注意をされる
      ↓
デュエリスト育成学校がしばらく休校になる
      ↓
カミュはめちゃくちゃデュエルした!



第15話 香りの癒やし

 デュエリスト育成学校が休校になりしばらく経った頃、学生達はそれぞれの学年毎に出された宿題を片付けていた。

 

「ここ分からないよ、お兄さん教えて」

 

「フィーネはー、ここ分かんないー」

 

「わたしはここが分からないです」

 

「わかった、順番に教えていくから少し待ってね」

 

 白石はなんでこうなったのかを勉強を教えながら思い返していた。

 

 

 

 時間は少し巻き戻りおやつ時、自室でくつろいでいた白石はインターホンの音がしたので見に行くと、いつぞやの小学生3人組が居た。

 

「あなたにデュエルを申し込むわ!」

 

 なんでも学校が休校になったらしいが、その代わりに長期休暇並みの宿題が出され困っていたらしい。 しかし、宿題の中に授業でまだ教えていない問題が幾つも紛れ込んでいたので誰かに教わりに来たとの事。 だが、宿題の中に誰かとデュエルする事もあった為に、こうして対戦を申し込んで来たと言う事だった。 要は宿題手伝ってと言う事である。

 

「いいよ、やろうか」

 

 対戦したのはいいが、3人とも相変わらず強く戦績はボロボロだった。 そして現在に時間は戻る。

 

 

 

「ここはね、こうするんだよ」

 

「ありがとう、お兄さん!」

 

「こっちは、ここの数式は合ってるから、ここをこうするだけで大丈夫だよ」

 

「お兄ちゃんー、ありがとうー」

 

「これは、グラフは合ってるけど図形がちょっとズレてるから、ここを直せばいいよ」

 

「ありがとうございます」

 

 10分後、一段落したようなので台所からおやつを持ってくると皆で分けて食べた。

 

「あなた、なかなかやるじゃない!」

 

「どういたしまして」

 

「アリス達またお勉強を教わりに来てもいい?」

 

「いいよ、その時はまた教えるよ」

 

「フィーネもー、お勉強がんばるー」

 

「頑張ったらまたおやつでも出すよ」

 

 それから少しして、3人は帰って行った。

 

『蒼殿、お疲れ様です』

 

「退屈だったろう、お疲れ様」

 

 今回、夢魔の亡霊は姿を潜めていた。 あれくらいの年頃の子供だと精霊を見れずとも知覚する事があるらしく、驚かせないようにバインダーの中で大人しくしていたそうだ。 念話をすればいいとも思ったが、それも場合によっては子供に察知される可能性があるとの事で結局何もしないのが一番だったようだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 夜、とある公園でデュエルが行われていた。

 

「諦めて、サレンダーするかね?」

 

 顔に傷のある大男は対戦相手に言う。 状況は悪い、大男のフィールドには4体のモンスターがおり対するこちらは手札とフィールドにカードは無い。 加えて、墓地から除外して身を守るカードも使い切ってしまっている。

 

「諦めたりするものか、お前を倒してアイツが奪われたカードを取り返すまでは!」

 

 デッキに手を掛け、深呼吸する。 状況を打開できるカードがデッキに眠っている、その1枚を引き当てる為に全神経を集中する。

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 引いたカードを見て表情を曇らせる、彼は引き当てる事ができなかったのだ。

 

「モンスターをセットしてターンエンドだ……」

 

「その様子では駄目だったみたいだな、ドロー。 バトルフェイズ、全てのモンスターで攻撃を仕掛ける!」

 

「う、うあああぁぁっ!」

 

 モンスターからの総攻撃を受けて、男は吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

 

男 LP 6500→3700→200→0

 

 

「さて、アンティールールだ。 敗者から頂いて行くとしようか」

 

 気を失った男のデッキから1枚のカードを引き抜くと、大男はその場から去って行った。

 

 

 

「これは中級のカードか? まあいい」

 

 大男は拠点としている廃屋の中で戦利品を見ていた。 一息つくとバインダーにカードを直した。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「ここも手掛かり無しか……、なかなか尻尾を見せないヤツだな」

 

 とある公園で真っ黒な格好をした男がため息をつくと立ち上がる。

 

「相棒、次は病院行くぞ。 他に手掛かりが無いか被害者に聞きに行こう」

 

「ねぇ、お母さん。 あの人なにやってるの~」

 

「見たらいけません、変なのがうつるから駄目です」

 

「世知辛いね」

 

 時刻は昼を過ぎたくらい、辺りには子供とその親達が居る時間である。 通報されないだけまだマシだろうか。 男は足早に公園から立ち去り病院へ向かうのであった。

 

 

 

 所変わって病院。 男は受付で多少怪しまれたが目当ての病室へ向かう事ができた。

 

「こんにちは」

 

「あなたは?」

 

 既にナースコールを片手にされている辺り、男は服のコーディネートを変えた方がいいのだろう。

 

「申し遅れました、私はこういう者です。 先日、あなたを襲った大男についてお話を伺いに来ました」

 

 男は懐から名刺を取り出しながら言う。

 

「……何でも屋? まあ、警察じゃないならまだマシか。 いいよ、教えようじゃないか」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 日曜日、いつもの如くひよこのカードショップへ行くと楽しみにしていた公式戦がしばらくの間中止されると言う事を店員の木戸さんから聞いた。 なんでも近頃流行っているウイルスが原因で、健康被害を考慮した大会運営本部がしばらくの間、各地で行っていたショップ大会を中止する旨を発表したとの事。 白石はその話を聞き目眩を覚え膝を屈した。

 

「蒼やん、そんなところでどうしたの?」

 

「白石さん、何かあったんですか?」

 

 声のした方を振り向けば、見知った顔があった。 相沢 雛と姫川 百合、2人ともデュエリスト育成学校の高等部の生徒だ。 事情を話すと2人ともガックリと肩を落とした。 彼女等も今日のショップ大会を楽しみにしていたらしい。

 

「……ぐぬぬ、流石にこのまま退散だと腹の虫が収まらないから、蒼やんしばらくウチらと対戦してくれる?」

 

「いいよ、やろうか」

 

「ありがとうございます、白石さん」

 

 3人はプレイゾーンに向かった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「雛ちゃん、今回はわたしからでいいかな?」

 

「ええよ、前回はウチが対戦したからな」

 

「そっか、よろしくね」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

白石 LP 8000

 

 

百合 LP 8000

 

 

 デュエルディスクのランプが白石の方に灯る。

 

「先攻をもらうね。 魔法カード〈光の援軍〉、デッキを上から3枚墓地へ送り発動。 デッキから〈ライトロード・アサシン ライデン〉を手札に加えて、そのまま通常召喚。 効果を発動、デッキを上から2枚墓地へ送る。 送られたカードが〈ライトロード・サモナー ルミナス〉と〈トワイライトロード・シャーマン ルミナス〉だった為、相手ターン終了時まで攻撃力を200ポイントアップ。 カードを1枚伏せてエンドフェイズ、ライデンの効果でデッキを上から2枚墓地へ送りターンエンド」

 

 ライデンが現れ、デッキの上からカードを墓地へ送った。 送ったカードが目当てのカードだったらしく上機嫌である。

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1700→1900

 

「わたしのターン、ドロー。 フィールド魔法〈アロマガーデン〉を発動します。 〈アロマージ-ジャスミン〉を通常召喚」

 

 周囲の風景がのどかな感じに変化し、杖を持った白髪(?)の子供が現れる。 白石はすかさずフィールド魔法共々テキストをチェックした。

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 攻撃表示

 

星2/光属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/100 DEF/1900

 

 

「白石さんはテキストをチェックしてる辺り、『アロマ』デッキとは対戦した事無かったんですね」

 

「まあね」

 

「ふふっ、それならたっぷり癒されて下さいね。 〈アロマガーデン〉の効果を発動、ライフポイントを500回復します。 この効果発動後、次の白石さんのターン終了時までわたしのフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500アップします」

 

「癒されたいところではあるけど、ここでリバースカード〈砂塵の大嵐〉を『チェーン』して発動。 フィールド魔法を破壊させてもらうよ」

 

「まあ、癒されてくれないのですね。 『チェーン』するカードはありません」

 

「それなら処理に入って、フィールド魔法を破壊する。 これで回復効果は不発に終わるよ」

 

 突如として発生した大嵐によってのどかな風景は一変して崩れ去った。

 

「魔法カード〈テラ・フォーミング〉を発動して、デッキから〈アロマガーデン〉(2枚目)を手札に加えて発動します」

 

 再び景色が元に戻る。

 

「〈アロマガーデン〉の効果発動。 ライフポイントを500回復して、わたしのフィールドのモンスターの攻撃力・守備力を500アップします」

 

 

百合 LP 8000→8500

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/100→600 DEF/1900→2400

 

 

「ジャスミンの効果を発動。 1ターンに1度、わたしのライフが回復した場合デッキから1枚ドローします」

 

 ジャスミンが杖の先から1枚のカードを召喚すると百合に渡した。

 

「永続魔法〈アロマガーデニング〉を発動します。 〈アロマージ-ローリエ〉はわたしのライフポイントが相手より多い場合、手札から特殊召喚できます。 守備表示で特殊召喚します」

 

 今度は緑の服を着た子供が現れた。

 

 

〈アロマージ-ローリエ〉 守備表示

 

星1/風属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/800 DEF/0

 

 

「開いて、緑と安らぎのサーキット! 召喚条件は『植物族モンスター2体』、ジャスミンとローリエの2体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク2、〈アロマセラフィージャスミン〉をわたしから見て左側のEXモンスターゾーンに特殊召喚」

 

 2体のモンスターが竜巻となりサーキットに飛び込む、中から羽の生えたジャスミンが現れた。

 

 

〈アロマセラフィージャスミン〉 攻撃表示

 

リンク2/光属性/植物族/リンク/効果モンスター/マーカー(左下、右下)

 

ATK/1800

 

 

「ジャスミンがリンク召喚に成功した場合、〈アロマガーデニング〉の効果を発動。 1000のライフポイントを回復する効果に『チェーン』して墓地へ送られたローリエの効果を発動します。 こっちは500のライフを回復します。 処理に入っても大丈夫ですか?」

 

「いいよ、どんどん進めても大丈夫」

 

「わかりました。 ライフポイントをそれぞれの効果で回復します。 さらに、ジャスミンの効果。 1ターンに1度、わたしのライフポイントが回復した場合、デッキから植物族モンスターを1体手札に加えられます。 デッキから〈ローンファイア・ブロッサム〉を手札に加えます」

 

 せわしなくお茶会の準備が始まる中、ジャスミンはパチパチと火花を出し続ける奇妙な植物を持ってきた。

 

 

百合 LP 8500→9000→10000

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

「この瞬間、ライデンの攻撃力が元に戻る」

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1900→1700

 

「僕のターン、ドロー。 魔法カード〈隣の芝刈り〉を発動。 自分のデッキを相手のデッキと同じ枚数になるように上から墓地へ送る」

 

「そのカードに『チェーン』します。 カウンター罠〈神の宣告〉をわたしのライフポイントを半分支払って発動します。 魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にして破壊します。 これで〈隣の芝刈り〉を無効化します」

 

 

百合 LP 10000→5000

 

 

「ライデンの効果発動、デッキを上から2枚墓地へ送る。 送られた中に、〈ライトロード・モンク エイリン〉があったので相手ターン終了時まで攻撃力を200ポイントアップ」

 

 デッキからカードが墓地へ送られると、ライデンの攻撃力が上昇した。

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1700→1900

 

「バトルフェイズ、ライデンでジャスミンを攻撃」

 

「〈アロマガーデニング〉の2つ目の効果、あなたの攻撃宣言時にわたしのライフがあなたより少ない場合に発動できます。 デッキから『アロマ』モンスターを特殊召喚します。 〈アロマージ-ジャスミン〉(2枚目)を守備表示で特殊召喚」

 

 ライデンが動きを見せると、お茶会の準備をしていた羽の生えてないジャスミンがパタパタやってきた。

 

「攻撃を続行して破壊する」

 

 

百合 LP 5000→4900

 

 

「わたしの『アロマ』モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたので、〈アロマガーデン〉の2つ目の効果を発動します。 ライフポイントを1000回復します」

 

 

百合 LP 4900→5900

 

 

「さらに、ジャスミンの効果で1枚ドローします」

 

「バトルフェイズを終了して、エンドフェイズ。 ライデンの効果でデッキを上から2枚墓地へ送る。 これでターンエンド」

 

「わたしのターン、ドロー。 〈ローンファイア・ブロッサム〉を通常召喚」

 

 ジャスミンが鉢植えに植えられた先ほどの奇妙な植物を持ってきた。

 

 

〈ローンファイア・ブロッサム〉 攻撃表示

 

星3/炎属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/500 DEF/1400

 

 

「ローンファイアの効果、わたしのフィールドの植物族モンスター1体をリリースして発動、デッキから植物族モンスターを1体特殊召喚します。 ローンファイアをリリースしてデッキから〈アロマージ-ベルガモット〉を攻撃表示で特殊召喚します」

 

 ローンファイアが弾けると花火が撃ち上がった、それを目印にベルガモットがやってきた。

 

 

〈アロマージ-ベルガモット〉 攻撃表示

 

星6/炎属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/2400 DEF/1800

 

 

「〈アロマガーデニング〉の効果発動、ベルガモットが特殊召喚に成功したのでライフポイントを1000回復します」

 

 

百合 LP 5900→6900

 

 

「ライフポイントが回復したので、ジャスミンとベルガモットの効果発動。 『チェーン1』ジャスミン、『チェーン2』ベルガモットで処理します。 『チェーン2』でベルガモットの攻撃力・守備力を相手のターン終了時まで1000ポイントアップ。 『チェーン1』でデッキから1枚ドローします」

 

 ベルガモットの周りに赤いオーラが漂い、ジャスミンが1枚のカードを持ってくる。

 

〈アロマージ-ベルガモット〉 ATK/2400→3400 DEF/1800→2800

 

「〈アロマガーデン〉の効果発動。 ライフポイントを500回復して、次の相手のターン終了時までわたしのフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップします」

 

 

百合 LP 6900→7400

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/100→600 DEF/1900→2400

 

〈アロマージ-ベルガモット〉 ATK/3400→3900 DEF/2800→3300

 

「永続魔法〈ご隠居の大釜〉を発動。 発動時の効果処理としてカウンターを1つ置きます」

 

 老人が大釜をかき回す。 中から緑と紫の煙が出てきている。

 

〈ご隠居の大釜〉 カウンター 0→1

 

「〈ご隠居の大釜〉の効果。 1ターンに1度、2つある効果の中から1つ選択して発動します。 わたしはカウンターの数×500のライフポイントを回復する。 または、カウンターの数×300ポイントのダメージを白石さんに与えます。 わたしは回復を選びます」

 

 

百合 LP 7400→7900

 

 

「バトルフェイズ、ベルガモットでライデンを攻撃します」

 

「墓地から〈ネクロ・ガードナー〉を除外してその攻撃を無効にする」

 

 ベルガモットが杖先から赤い魔法弾を放つが、黒い影が出てきて攻撃を無力化するとどこかへ消えた。

 

「バトルフェイズを終了してターンエンドです」

 

「再びライデンの攻撃力は元に戻る」

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1900→1700

 

「僕のターン、ドロー。 魔法カード〈おろかな埋葬〉、デッキからモンスター1体を墓地へ送る。 〈超電磁タートル〉を墓地へ送る。 〈ライトロード・サモナー ルミナス〉(2枚目)を通常召喚」

 

 両手から光を発しながらルミナスが現れる。

 

「手札を1枚捨て、墓地の〈ライトロード・サモナー ルミナス〉を対象にルミナスの効果発動。 特殊召喚する」

 

 ルミナスが2人並ぶ。

 

「ライデンの効果発動、デッキを上から2枚墓地へ送る。 墓地へ送られた中に〈ライトロード・メイデン ミネルバ〉があったので相手ターン終了時まで攻撃力を200ポイントアップ。 さらに、デッキから墓地へ送られたミネルバの効果発動、デッキを上から1枚墓地へ送る」

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1700→1900

 

「手札を1枚捨て、2体目のルミナスの効果。 墓地からミネルバを特殊召喚。 2体のレベル3のルミナスにレベル3のミネルバをチューニング! シンクロ召喚! レベル9、〈氷結界の龍 トリシューラ〉を攻撃表示で特殊召喚」

 

 吹雪を纏い三首の龍が降臨する。

 

「シンクロ召喚に成功したトリシューラの効果発動。 相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外する。 手札からは中央のカード、フィールドからはベルガモット、墓地からはローンファイアをそれぞれ除外する!」

 

 吹雪が百合のカードを凍結させる。 凍結したカードは表側で除外された。

 

「バトルフェイズ、トリシューラでジャスミンを攻撃」

 

「この瞬間、〈アロマガーデニング〉の効果発動。 デッキから〈アロマージ-ジャスミン〉(3枚目)を守備表示で特殊召喚します」

 

 ジャスミンがフィールドにトテトテとやってきたが、トリシューラを見るなり防御体制を取った。

 

「ジャスミンが特殊召喚された事により、〈アロマガーデニング〉の効果で1000のライフポイントを回復します」

 

 

百合 LP 7900→8900

 

 

「回復した事で、2体のジャスミンの効果発動。 それぞれの効果でデッキから合計2枚ドローします」

 

「攻撃の巻き戻しが入るけど、トリシューラでパワーアップしている方のジャスミンへ攻撃続行」

 

 吹雪のブレスがジャスミンを襲う。 逃げる間もなく氷付けにされると、氷像は砕け散った。

 

「ジャスミンが戦闘で破壊されたので、〈アロマガーデン〉の効果で1000のライフポイントを回復します」

 

 

百合 LP 8900→9900

 

 

「バトルフェイズを終了してエンドフェイズ、ライデンの効果でデッキを上から2枚墓地へ送る。 送られた中に〈ライトロード・アーチャー フェリス〉があったので守備表示で特殊召喚。 これでターンエンド」

 

「わたしのターン、ドロー。 スタンバイフェイズ、〈ご隠居の大釜〉に1カウンター置きます」

 

〈ご隠居の大釜〉 カウンター 1→2

 

「メインフェイズ、〈アロマージ-ローズマリー〉を通常召喚」

 

 青い髪の女性が現れた。

 

「わたしのライフポイントが相手より多いので、手札から〈アロマージ-ローリエ〉(2枚目)を守備表示で特殊召喚。 続いて、ジャスミンの効果。 わたしのライフポイントが相手より多い場合、通常召喚に加えて1度だけメインフェイズに〈アロマージ-ジャスミン〉以外の植物族モンスターを召喚できます。 〈アロマセラフィ-アンゼリカ〉を召喚」

 

 ローリエと羽の生えた小さな妖精が現れた。

 

 

〈アロマセラフィ-アンゼリカ〉 攻撃表示

 

星1/光属性/植物族/チューナー/効果モンスター

 

ATK/0 DEF/0

 

 

「アンゼリカが召喚に成功したので〈アロマガーデニング〉の効果発動。 1000のライフポイントを回復します」

 

 

百合 LP 9900→10900

 

 

「ライフポイントが回復したので、ジャスミン、ローリエ、ローズマリーのモンスター効果発動。 『チェーン1』ジャスミン、『チェーン2』ローリエ、『チェーン3』ローズマリーで処理します。 『チェーン3』の効果でトリシューラを対象に守備表示へ変更します。 『チェーン2』の効果でローリエ自身を対象に、このターンの間チューナーにします。 『チェーン1』でデッキから1枚ドローします」

 

 3体のモンスター効果が発揮される。 ローリエはほんのり光っているようにも見えた。

 

「レベル4のローズマリーにレベル1のローリエをチューニング! シンクロ召喚! レベル5、〈アロマセラフィ-ローズマリー〉を攻撃表示で特殊召喚」

 

 ローリエが光の輪となりローズマリーがその中を潜ると、羽の生えたローズマリーがそこに居た。

 

 

〈アロマセラフィ-ローズマリー〉 攻撃表示

 

星5/光属性/植物族/シンクロ/効果モンスター

 

ATK/2000 DEF/900

 

 

「続けて、レベル5のローズマリーにレベル1のアンゼリカをチューニング! シンクロ召喚! レベル6、〈アロマセラフィ-スイート・マジョラム〉を攻撃表示で特殊召喚」

 

アンゼリカが光を発しながらローズマリーの周囲で円を描くと眩しい光が辺りを包む。 光が止むとローズマリーの代わりに、羽の生えた女性が佇んでいる。

 

 

〈アロマセラフィ-スイート・マジョラム〉 攻撃表示

 

星6/光属性/植物族/シンクロ/効果モンスター

 

ATK/2200 DEF/2000

 

 

「スイート・マジョラムがシンクロ召喚に成功した場合、デッキから〈潤いの風〉、〈渇きの風〉、〈恵みの風〉のいずれか1枚を手札に加えられます。 デッキから〈恵みの風〉を手札に加えます」

 

 スイート・マジョラムが杖を振ると、1枚のカードが現れ百合の手札に加わった。

 

「〈ご隠居の大釜〉の効果発動。 ライフをカウンターの数×500ポイント回復します。 カウンターは2つ、よって1000ポイント回復します」

 

 

百合 LP 10900→11900

 

 

「わたしのライフが回復した事でスイート・マジョラムの効果。 〈ライトロード・アーチャー フェリス〉を対象に取り、破壊します」

 

 フェリスは何かの匂いに釣られてどこかへ姿を消した。 その方向で爆発音が聞こえたが気にしない事にしよう。

 

「バトルフェイズ、スイート・マジョラムでトリシューラを攻撃」

 

「墓地の〈ネクロ・ガードナー〉(2枚目)を除外して攻撃を無効にする」

 

 スイート・マジョラムが杖を振るい風の刃を放つが、黒い影がそれを遮り無効化した。

 

「バトルフェイズを終了して、メインフェイズ2。 〈アロマガーデン〉の効果発動。 ライフを500ポイント回復して、わたしのモンスターの攻撃力・守備力を白石さんのターン終了時まで500ポイントアップします。 カードを2枚伏せてターンエンド」

 

 

百合 LP 11900→12400

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/100→600 DEF/1900→2400

 

〈アロマセラフィ-スイート・マジョラム〉 ATK/2200→2700 DEF/2000→2500

 

「エンドフェイズ、ライデンの攻撃力も元に戻る」

 

〈ライトロード・アサシン ライデン〉 ATK/1900→1700

 

「僕のターン、ドロー。 魔法カード〈隣の芝刈り〉(2枚目)を発動。 デッキを上から相手のデッキ枚数と同じになるように墓地へ送るけど、今そっちのデッキって何枚? こっちは34枚」

 

「わたしのは20枚です」

 

 お互いにデッキを裏側で数えて伝える。 デュエルディスクにこの機能あればいいのに……。

 

「それならデッキを上から14枚墓地へ送る! 墓地へ送られた中に3枚の〈ライトロード・ビースト ウォルフ〉と〈シャドール・ビースト〉があったのでそれぞれの効果を『チェーン』するよ。 『チェーン1~3』でウォルフの効果、『チェーン4』で〈シャドール・ビースト〉の効果。 そっちは何かある?」

 

「わたしは特に無いです」

 

「それなら効果を処理するよ、『チェーン4』の効果でデッキから1枚ドロー。 『チェーン3~1』で3体のウォルフを全て攻撃表示で特殊召喚」

 

 3体のウォルフが同時に現れる。

 

「ライデンの効果発動。 デッキを上から2枚墓地へ送る。 レベル4のウォルフにレベル4のライデンをチューニング! シンクロ召喚! レベル8、〈ゼラの天使〉を攻撃表示で特殊召喚」

 

 翼の生えた戦士が空を舞う。

 

 

〈ゼラの天使〉 攻撃表示

 

星8/光属性/天使族/シンクロ/効果モンスター

 

ATK/2800 DEF/2300

 

 

「トリシューラを攻撃表示に変更して、バトルフェイズへ突入!」

 

「待って下さい。 メインフェイズ終了時、リバースカードオープン。 永続罠〈渇きの風〉を発動します」

 

「効果は?」

 

「今は効果を使えませんので、ただ発動しただけになります」

 

「それなら改めてバトルフェイズ! ゼラでスイート・マジョラムを攻撃。 ゼラは除外されている相手のカード数×100ポイント攻撃力がアップする」

 

 ゼラが剣を構え、突撃する。

 

〈ゼラの天使〉 ATK/2800→3100

 

「ここでリバースカード、永続罠〈恵みの風〉を発動し効果も使います。 自分の墓地の植物族モンスター、〈アロマージ-ジャスミン〉をデッキに戻してライフを500ポイント回復します」

 

「ここで回復……? まさか!」

 

「はい、ジャスミンとスイート・マジョラムに〈渇きの風〉の効果が発動します。 『チェーン1』スイート・マジョラム、『チェーン2』〈渇きの風〉、『チェーン3』ジャスミンで処理します。 『チェーン3』で1枚ドロー、『チェーン2』で〈ゼラの天使〉を対象に取り、破壊します。 『チェーン1』でトリシューラを対象に取り、こちらも破壊します」

 

 ジャスミンが1枚のカードを百合に手渡す。 ゼラの身体が渇き、ひび割れ、突然発火し消滅する。 トリシューラは風の刃を不意打ちで受けて破壊された。

 

「バトルフェイズを終了して、メインフェイズ2。 2体のウォルフでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! ランク4、〈武神帝-カグツチ〉を攻撃表示で特殊召喚。 さらにモンスター効果で、デッキを上から5枚墓地へ送る。 これでターンエンド」

 

 2体のウォルフが暗い穴に飛び込み、青白い炎と鎧に包まれた戦士を呼び出した。

 

「わたしのターン、ドロー。 スタンバイフェイズに〈ご隠居の大釜〉に1カウンターを置きます」

 

〈ご隠居の大釜〉 カウンター2→3

 

「メインフェイズ、魔法カード〈エンシェント・リーフ〉、わたしのライフが9000ポイント以上の場合、2000ポイントのライフを支払い発動します。 デッキから2枚ドロー」

 

 

百合 LP 12400→10400

 

 

「〈アロマージ-カナンガ〉を通常召喚」

 

 茶色の服を着た青年が現れた。

 

 

〈アロマージ-カナンガ〉 攻撃表示

 

星3/地属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/1400 DEF/1000

 

 

「ジャスミンの効果により、カナンガをリリースして〈アロマージ-マジョラム〉をアドバンス召喚」

 

 茶色の服を着た青年が立ち去り、羽の生えてないマジョラムが現れた。

 

 

〈アロマージ-マジョラム〉 攻撃表示

 

星5/闇属性/植物族/効果モンスター

 

ATK/2000 DEF/1600

 

 

「マジョラムが召喚に成功したので〈アロマガーデニング〉の効果発動。 1000ポイントのライフを回復します。」

 

 

百合 LP 10400→11400

 

 

「ライフが回復したので、ジャスミンとマジョラム、スイート・マジョラム、〈渇きの風〉の効果が発動。 『チェーン1』ジャスミン、『チェーン2』スイート・マジョラム、『チェーン3』〈渇きの風〉、『チェーン4』マジョラムで処理します。 『チェーン4』のマジョラムの効果でライフが回復した場合、わたしのフィールドの『アロマ』モンスターの数まで相手の墓地のカードを対象に取って除外します。 『アロマ』モンスターは3体、墓地から〈ネクロ・ガードナー〉(3枚目)、〈超電磁タートル〉、〈混源龍レヴィオニア〉の3枚を除外します。 『チェーン3』でカグツチを対象に取って破壊します」

 

「カグツチが破壊される場合、ORUを1つ取り除く事ができる」

 

「『チェーン2』でカグツチを対象に取って破壊します」

 

「それもORUを1つ取り除き破壊から守る」

 

「『チェーン1』でデッキから1枚ドローします。 〈ご隠居の大釜〉の効果発動。 カウンターの数×500ポイント回復します。 カウンターは3つ、1500ポイントのライフを回復します」

 

 

百合 LP 11400→12900

 

 

「〈アロマガーデン〉の効果発動。 ライフを500ポイント回復して、わたしのフィールドのモンスターの攻撃力・守備力を500ポイントアップします」

 

 

百合 LP 12900→13400

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/100→600 DEF/1900→2400

 

〈アロマージ-マジョラム〉 ATK/2000→2500 DEF/1600→2100

 

〈アロマージ-スイート・マジョラム〉 ATK/2200→2700 DEF/2000→2500

 

「バトルフェイズ、スイート・マジョラムでカグツチを攻撃」

 

「その攻撃宣言時に、墓地の〈妖精伝姫-シラユキ〉の効果。 墓地から〈ゼラの天使〉、2枚の〈ソーラー・エクスチェンジ〉、〈シャドール・ビースト〉、3枚の〈ライトロード・ビースト ウォルフ〉の7枚のカードを除外して守備表示で特殊召喚」

 

 尻尾に本が付いているリスっぽいモンスターが現れた。

 

「特殊召喚したシラユキの効果発動。 スイート・マジョラムを対象に攻撃表示から裏側守備表示に変更する」

 

「スイート・マジョラムの効果。 わたしのライフが相手より多く、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、わたしのフィールドの植物族モンスターは効果の対象になりません」

 

 カグツチは風の刃によって破壊された。

 

 

白石 LP 8000→7800

 

 

「バトルフェイズを終了して、ターンエンドです」

 

「僕のターン、ドロー。 スタンバイフェイズ、〈ゼラの天使〉が除外ゾーンからモンスターゾーンへ攻撃表示で特殊召喚されます」

 

 白石のフィールドに天使が舞い降りた。

 

〈ゼラの天使〉 ATK/2800→3100

 

「バトルフェイズ、〈ゼラの天使〉でジャスミンを攻撃」

 

「攻撃宣言時、〈恵みの風〉の効果。 墓地の〈アロマージ-ローリエ〉を対象にデッキに戻して500ポイントのライフを回復します」

 

 

百合 LP 13400→13900

 

 

「回復したので、ジャスミンとマジョラム、スイート・マジョラム、〈渇きの風〉の効果発動。『チェーン1』ジャスミン、『チェーン2』マジョラム、『チェーン3』〈渇きの風〉『チェーン4』スイート・マジョラムで処理します。 『チェーン4』でシラユキを対象に破壊します。 『チェーン3』で〈ゼラの天使〉を対象に取り、破壊します。 『チェーン2』で墓地から2枚の〈戒めの龍〉、〈氷結界の龍 トリシューラ〉を除外します。 『チェーン1』でデッキから1枚ドローします」

 

「バトルフェイズを終了して、ターンエンド」

 

「エンドフェイズ、モンスターのステータスが元に戻ります」

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/600→100 DEF/2400→1900

 

〈アロマージ-マジョラム〉 ATK/2500→2000 DEF/2100→1600

 

〈アロマセラフィ-スイート・マジョラム〉 ATK/2700→2200 DEF/2500→2000

 

「わたしのターン、ドロー。 スタンバイフェイズ、〈ご隠居の大釜〉にカウンターを1つ置きます」

 

〈ご隠居の大釜〉 カウンター 3→4

 

「メインフェイズ、〈アロマージ-カナンガ〉(2枚目)を通常召喚」

 

 再びカナンガがフィールドにやってきた。

 

「カナンガが召喚に成功したので、〈アロマガーデニング〉の効果で1000ポイントのライフを回復します」

 

 

百合 LP 13900→14900

 

 

「回復したので、カナンガ、マジョラム、ジャスミン、スイート・マジョラム、〈渇きの風〉の強制効果が発動します。 『チェーン1』ジャスミン、『チェーン2』マジョラム、『チェーン3』カナンガ、『チェーン4』スイート・マジョラム、『チェーン5』〈渇きの風〉で処理します。 『チェーン5~3』は対象不在の為、宣言だけになります。 『チェーン2』の効果で白石さんの墓地から4枚除外します。 対象は〈裁きの龍〉と〈ライトロード・アーチャー フェリス〉を2枚ずつの合計4枚。 『チェーン1』の効果でデッキから1枚ドローします」

 

「強制効果?」

 

「はい、タイミングが合えば必ず処理しないといけない効果ですね。 白石さんは確かデュエリストになってまだ1月ほどでしたっけ……」

 

「ええ、そうです」

 

「それなら、こういう効果もあると覚えて下さいね」

 

「はい、わかりました」

 

「ターンを続行します。 〈アロマージ-ローズマリー〉を通常召喚。 〈アロマガーデン〉の効果発動。 ライフを500ポイント回復して、次のあなたのターン終了時までわたしのモンスターの攻撃力・守備力が500ポイントアップします。 さらに、ローズマリーの効果も強制効果なので発動の宣言だけしておきます」

 

 

百合 LP 14900→15400

 

 

〈アロマージ-ジャスミン〉 ATK/100→600 DEF/1900→2400

 

〈アロマージ-カナンガ〉 ATK/1400→1900 DEF/1000→1500

 

〈アロマージ-ローズマリー〉 ATK/1800→2300 DEF/700→1200

 

〈アロマージ-マジョラム〉 ATK/2000→2500 DEF/1600→2100

 

〈アロマセラフィ-スイート・マジョラム〉 ATK/2200→2700 DEF/2000→2500

 

「バトルフェイズ、カナンガでダイレクトアタック。 この時、ローズマリーの効果。 わたしのライフが相手より多く、ローズマリーがフィールドに存在する限り、わたしの植物族モンスターが攻撃する場合、ダメージステップ終了時まであなたはモンスター効果を発動できません」

 

「つまり、シラユキは呼べないってことか……!」

 

「はい、そうなります」

 

 

白石 LP 7800→5900

 

 

「ローズマリーでダイレクトアタック」

 

 

白石 LP 5900→3600

 

 

「マジョラムでダイレクトアタック」

 

 

白石 LP 3600→1100

 

 

「スイート・マジョラムでダイレクトアタック、これでトドメです」

 

 

白石 LP 1100→0

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「対戦ありがとうございました」

 

「対戦ありがとうございました。 ところで、高等部は皆このぐらいの強さなの……?」

 

「どうでしょうね? 人による、としか言えませんね」

 

「蒼やん、次はウチの番や。 早くやろっ♪」

 

 この後、白石はヘロヘロになるまで2人のデュエルの相手をしたようだ。

 




読んで頂きありがとうございます!

まず、3日に1度の投稿予定がズレてすみません。
楽しみにしていた方、申し訳無いです。
一部、効果処理をミスした為、終盤の見せ場を大幅に修正しておりました。(←やり直し)

作品中で出しましたが、ショップ大会中止の話が公式より出されました。
とてもショックでした。 (即、ネタにしました)

アロマージ、普通に使っている分には何も思わないのに
こうして文章にしてみるとなかなか回復の回数が多く面倒とは……
でも、使ってて楽しいのでオススメはできたりしますね。

作品中でローリエの効果を1回使い忘れてますが、ただのプレイミスのため
気にしないで下さい。 (※任意効果です)

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