この身はただ一人の穢れた血の為に   作:大きな庭

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アズカバンの囚人の章。
読み切り型の一・二巻と異なり物語の核心に入り出す(言わばここから一続き)巻でも有り、構成としても凝っている巻です。
ただし個人的な好みと反するように、全体としてはやる事が少ないので投稿者泣かせの章でもあります。

最初の方は何時も通り本筋に左程関わらないので読み飛ばす感じで結構です。


アズカバンの囚人
テオブロミン


「ホグワーツの設立は革命的であったと思う」

 

 まるで曇りガラスの向こう側にいるように輪郭がぼやけたスーツ姿の壮年の男――()()()()()()・レッドフィールドは言った。

 

「知識というのは、常に歴史の中で秘されるものだった。その独占は、富、名声、権威その他君臨する為の手段として大いに貢献してきたものだ。そして当然の事ながら、それらは内輪で継承されるに至った。当然の事ながら、主に血族相手に」

 

 非魔法族的に言えば、世襲に近いだろうか。

 

「しかし、ホグワーツの四創始者は、当時の社会背景に基づく結束の必要性からそれを放棄した。アイルランドへの望郷の念と魔法族が圧倒的に少数であるという新大陸の特殊性により成立した、イルヴァーモニーとは明らかに事情が異なるのは興味深い」

 

 その意図が本当の意味で何処に在ったのかまでは、現代には詳細に伝わっていない。

 けれども、彼等は一人でやろうとしなかった。プラトンのアカデメイアのように、或いはアリストテレスのリュケイオンのように、絶対なる一が中心となって教える事を是とせず、他の同輩の必要性を認めた。

 その上で、血族関係を殆ど無視して――サラザール・スリザリンですら純血主義であり、血族至上主義ではない――広く生徒を募り、最終的にグレートブリテンからアイルランド全域を保護地域とするまでに至った。

 

「考えてみれば、イルヴァーモニーは本当に特殊なのだな。最初は家族内での小さな授業から始まり、組織化にはホグワーツという理想が念頭に有り、また闇の魔法使いゴームレイス・ゴーントの襲撃が忘れられなかった事が根幹にあるのだから」

 

 話を戻すが、と男は言った。

 

「別にホグワーツが特別であると言いたい訳では無い。国際魔法使い連盟に登録されている伝統のある十一校――つまり、イルヴァーモニーも当然含む――が、いずれも知識の拡大に同意してきた事は変わらない。そして、何よりも忘れてはならないのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 異端。正統では無い事。

 

「魔法魔術学校は十一では無い。現在においてもそれ以上存在するのであり、歴史的にも数多の存在が生まれて来た。しかし、それは消えて来た。世界各国の魔法使いの多くは、依然として家庭教育を選択している。言ってみれば、殆どにとってそれらは必要とされなかった」

 

 公的教育を必要としなかった。

 知識を拡散し、結集し、そして総動員する試みには賛同しなかった。

 

非魔法(No-maj)界において、中世における大学の起こりは、権力からの干渉を防ぎ、自らの利益を確保する為の組合に原点が有った。しかし、魔法界においては? 少なくとも、魔法界に王子は――王は居ない。神の恩寵を受けし統治者など存在しない。そもそも我等はそのような存在を必要としなかった。非魔法族と違い、魔法族は遥かに生存が容易かったのだから」

 

 科学の焔によって、非魔法族の人口が爆発的に増える以前。

 その時点では、魔法族は単純に、圧倒的に種族として強かった。それも各々が。

 

 権力と階級の出現は、社会の進化、言ってみれば頭数の確保の必要性とその現実化にこそ有った。農業を少しでも効率良くする為に、水汲みの負担を分担する為に、衣服や住居の確保を分業する為に、非魔法族はそれらを作り上げた。

 

 一方、魔法族はそれらを殆ど必要としなかった。

 全くでは無いが、その要請が希薄だった。

 

 当然ながら魔法は万能などでは無い。ガンプの元素変容の法則を初めとして、魔法使いにおいても種々の制限は存在する。だがしかし、過酷な大自然の中で生存し、血を繋ぐという種族の使命の達成には、それらは余りに些細な制限でしかない。

 

 水増加(アグアメンティ)炎生成(インセンディオ)治癒(エピスキー)浄化(スコージファイ)掘削(デイフォディオ)四方位(ポイント・ミー)光出現(ルーモス)修復(レパロ)等々。

 魔法の存在は多くの事を実現し、仮に一人で出来ない事が有っても、家族間ないしは親族単位の相互補助さえあれば、大抵が事足りた。

 

 自身の上に戴くべき存在を求めず、当然ながら己の研究に歯止めを掛ける者が存在しない以上、思想や信条、良心や言論、そして学問の自由の確保を主眼とする教育・研究機関など有り得なかった。

 

「そもそもの話、非魔法族がそのような組織を、つまり専門家集団の形成を欲したのは、知識を交換し、切磋琢磨し、そして社会に広く還元する為だった。しかし、魔法族にとってそれが必要かね?」

 

 本質的に、魔法族にとって〝社会〟は必要では無い。

 今現在ですら、魔法族は分断されたままに住んでいる。そして、その事に大きな不満を感じては居ない。国際機密保持法の施行以降、魔法族は非魔法族の共同体の中に更に小さな共同体を構築し、隠れ住み、ひっそりと生を送る事に慣れてしまっている。

 

 だからこそ、より大きな社会の発展の基礎となる教育機関は必要では無く。

 

 いや、寧ろ――

 

「そうだ。邪魔だ。そもそも、我等には魔法が有る。服従の呪文、磔の呪文、真実薬、万能魅惑薬、ポリジュース薬、そして開心術等々。非魔法族と違って、わざわざ書籍に頼らずとも相手から()()教えて貰う事は決して不可能ではない。古きアレクサンドリア、或いはこの国の博物館よりも更にスマートに、世界の事物を収集出来る」

 

 〝マグル〟の大迫害の印象により、魔法族は忘れがちだが。

 魔法族の最大の敵は、魔法族である。過去も、今も、そしてこれからも。

 

「無論、行き着いた魔法使いからそれらを奪う事は殆ど不可能だがね。ただまあ、細やかな情報の集積こそ価値有るものだ。天才の技術は再現性という面で難が有る場合も多いからね。……嗚呼、負け惜しみだよ。自分で至れるのならば、こんな真似はしないのだから」

 

 しかし、それはこの男の趣味が多分に含まれるものなのだろう。

 百科全書派と気が合いそうだった。深い一よりも、手軽な百こそが使い勝手が良い場合というのを、男は良く知っていた筈だった。

 

「そもそも今は何処の国も広く見張られている。ほんの三百年程前には悪党達の天国、豊穣に満ちた狩場の時代があったのだが――それはやはり過去なのだ。このような時代に存在する事は恨めしくある」

 

 まあ今は今で良い所が有るのだが、と気障に肩を竦める。

 

「何だったかな。そう、ホグワーツの――魔法魔術学校の設立は革命的だったという話だ。つまり、大した事の無い技術を広める事によって、技術の奪い合い、殺し合いを減退させた。何処の学校もそういう意図で設立したかどうかは知らないがね。しかし、結果的にそうなったのは否定出来ないのではないかと私は思う。衣食住が足りれば争いも減る訳だ」

 

 それでも、非魔法族と同様、過去の魔法族の血の気が多かったのは明らかだ。十三世紀後半に始まった三大魔法学校対抗試合が、1792年まで続いた事はその一つである。

 但し魔法学校を中心として繰り広げられた家族、民族、国境を超えた数々の接触は、かつての血で血を洗う報復戦を終わらせ、穏健に殺し合う程度で済ませる事に貢献した。

 

「ただまあ」

 

 スティーブン・レッドフィールドは笑う。

 

「やはり伝統的で古臭い魔法使いとしては、気に入らないのは変わらないがね」

 

 深い嘲りと共に。

 

「魔法使いは個の内に籠るべきだ。種として先に行こうとするべきだ。闇にしろ、光にしろ。この国に神秘部とやらが在るのは唯一魔法省の活動の中で評価出来る。倫理も道徳も、世間も他人も関係無い。現状維持のみの組織への就職活動の為に魔法を用いるなど馬鹿げている」

 

 真理を探究すべきなのだ。真実を追求すべきなのだ。

 男は狂信と共に、断言する。

 

「ゲラート・グリンデルバルドには人を魅惑して止まない昏き華が有った。『名前を言ってはならない例のあの人』には人を焦がす堕落的な熱が有った。彼等は紛れも無く偉大だった。闇の中の闇、そう讃えられるに相応しき程の行いを為した」

 

 両者は全くもって方向性を異にする。

 けれども、何かを変えようとしたという点において――魔法を〝魔〟として扱い、単なる目的達成の手段に貶めようとしたという点において軸を一にする。それは現状維持を愛し、社会という物に興味を持たない従来の魔法使いとは絶対的に異質な在り方だ。

 

 しかし、彼等は違った。硬直した現状や伝統と訣別し、打破し、そしてこの現実世界を理想郷へと変革せんと立ち上がったのは確かであるのだ。魔法学校を創設し知識の火を広げた者達のように、その烽火を上げようとした彼等は間違いなく革命的な存在であった。

 

 そして、その点において、この男は彼等に対して敬意を抱いている。そのような存在に成れないのが解っているからこそ、その資質が自らに無い事を自覚するからこそ、その光に恋い焦がれている。

 

「――しかしまあ、何処の世界でも一番厄介なのは、チョロチョロ動き回る小悪党では無いかね?」

 

 

 

 

 

 シリウス・ブラック未だ捕まらず。

 塵紙の中の塵紙、『日刊予言者新聞』は最近、その報道に熱心だった。

 大量殺人犯である以上当然と言えば当然であるが、嬉々として報道している事が伝わる文面は如何な物か。そして、どうせならば昨年度のホグワーツ大量殺人未遂の際にその積極性を発揮して欲しかったが――今回は反権力である事を躊躇わないらしい。

 

 実際問題、隠し切れるものでも無かったのだろう。

 

 アズカバン脱獄という前代未聞の大事件である事もそうだが、シリウス・ブラックの犯罪内容がマグル大量殺人――つまり、国際機密保持法に抵触しかねない事項であるというのが問題だった。

 事は魔法界内部で収めきられる物では無く、非魔法界にも必然的に伝えなければならない類の物である。去年から伺える隠蔽具合から見るに、どちらか一方だったら隠蔽に走ったかもしれないが、両方セットだとバレた時に不味いと判断したのかもしれない。

 

 ただ、今の僕にとって最も問題であるのは、大量殺人犯が外を我が物顔で闊歩している事などではなく、勝手にリビングのソファーに座っている老人だった。

 

 その手には二階に置いていた筈の書籍――闇の一端を記した本をパラパラと捲っていた。隣には既に十冊が積み上げられているが、この老人はほんの十分程度でそれらに目を通し終えていた。どんな分野においても、この老人は規格外のようだった。

  

 しかし、老人が何処の場所でも自分の家のように振る舞いたがるのは何とかならないものか。ボケも大概にして欲しい。

 

「ふむ。良い機会じゃと思って確認してみたのじゃが、些か期待外れの面が有った事は否定出来んの」

 

 手元の本から視線を外して、老人は僕に向かって言う。

 僕はコーヒーを注いだカップをソファー前のテーブルに置き、老人と対面するように腰掛けた。勿論、そのカップは僕の側にだけしか置かなかった。非難と抗議の視線は当然のように切って捨てた。

 

「……ミネルバが魔法省でも見た事が無い代物と言っておったから相当の呪物が闇の工芸品かと危惧しておったが、実際の所、読んでみると余り大した事が無い物も多い」

「まあ、そうでしょうね。如何に混乱期とは言え、喋ったり動いたりするような()()()()()本を持ち込ませる程この国もザルでは無いでしょう」

 

 真の意味で危ない本も魔道具も、この家に無い。

 そもそも、この家には魔法的な防備が事実上零なのだ。特に母が死に、魔法族の未成年だけになった事が解り切っている以上、魔法的痕跡が漏れた時点で即警告(イエローカード)である。それにも拘わらず、そのような状況で未だに無罪放免であるという現実が、その事実を明確に語っている。マルフォイ家と違って、〝秘密の部屋〟は無いのだから。

 何より当時、僕は更に幼かった。如何に母が愛のスパルタ教育をしていたとしても、子供を危険物に近付けるのにも限度が有る。母は狂っていたが、生存本能を忘れる程には壊れてもいなかった。

 

 第一、この書籍の収集者達は、己が呪文を使う事自体には余り興味が無かった。

 魔法の〝あらゆる領域にわたって参照〟されうるような〝啓蒙と手引き〟の書の類の方が興味が有ったのは明らかである。

 

「……ただ、危険物も零でも無いようじゃがの」

 

 それはそうだろう。母は魔法的教育を受けておらず、必然識別する事も出来なかった。

 というか、動いたり、叫んだり、明らかに触れられなかったりする以外を殆ど丸ごとかっぱらって来たのだろうから、ごちゃごちゃなのも当然だった。

 

 ……嗚呼、そのような危ない本は、この家に一つだけ有った。

 

「三年生の教科書に、怪物的な怪物の本を指定した愚か者は誰なのです?」

「最近耳が遠くなってしまってのう」

「ベタな誤魔化しが過ぎますね」

 

 まあ、今年の教師が誰なのかは、その反応以前に想像が付いていた。

 交友関係からして彼女は間違いなくこの科目を選択するだろうと予測していたのだが、まさかその御本人が出て来るとは思っても居なかった。そして、そのような選択が大失敗であったという事も。下心で自分の道を選択してはならないという良い教訓である。

 

「貴方は魔法省を鬱陶しいと思っているようですが、統一した指導要綱を打ち立てるというのは、最低限度の教育水準を確保するという意味では価値がある。当たり外れが有るのはやむを得ないとしても、その差異が大きすぎては余りに不公平でしょう」

「その先生独自の知識や経験を教えるというのもまた教育では無いかね?」

「それはプラスアルファの話ですよ。ギルデロイ・ロックハートは何も教えなかったし、クィレナス・クィレル教授だって実技的な面では不足だった」

 

 そしてこの老人は、目的の為には生徒の教育を蔑ろにしがちだった。

 

「……というか、僕の個人的な遺産も新任教師についてもどうでも良いですが。さっさと用件を終えて帰ってくれませんか?」

 

 これ見よがしに溜息を吐いて見せるが、老人には全くもって堪えた様子は無い。

 忙しい筈の校長閣下は、僕へと嫌がらせをする為に時間を割く価値は見出しているようだった。

 

「つれないのう。老人に対して歓迎の一杯も出さぬとは」

「呼んでもない上に、事前に連絡も無いのにも拘わらず、中に入れている時点で十分歓迎しているものだと理解して欲しいものですけどね」

 

 ただ、文句を言いながらも、老人は杖を振ろうとしなかった。

 

 この家で魔法を使える人間は未成年の僕だけしか残っていないからでは無いだろう。

 別に魔法省に魔法の行使が知られると言っても、それがそのまま違反行為として認定される訳では無い。予め話を通しておけば、少しばかりの話合いをする程度の時間ならば見逃してくれる――そうで無ければ、入学に際して教授が魔法を見せる事が出来ない――に違いない。

 

 まして、この老人はアルバス・ダンブルドアなのだ。

 個人的な事情であれ、口利きをして貰おうと思えば簡単に為せた筈である。それを可能にする程度には、この老人は地位と名声を保持しており、権力を有していた。

 

 けれども、それを今回は老人は自制したのだろう。

 そしてまた、僕もその事については賛同出来る。無用なリスクを犯さないで済むのであれば、それに越した事は無いに違いないのだから。

 

「……しかし、君はこの家に魔法的な護りをする気はやはり無いのじゃの」

「それは終わった話の筈ですがね」

 

 少し――つまり、それが外見に現れるという事はかなり、だ――不愉快そうな表情を浮かべながら、老人は皮肉を言う。けれども、それは既に話が終わった事だった。

 

 何も無い方が解りやすくて良いのだ。

 泥棒を防ぐ為に鍵は閉めるが、それ以上をする気など更々無い。

 

 そもそもの話、闇の帝王が本気で僕を狙ってくれば、僕はどうしようも無い。僕がアルバス・ダンブルドアに永久に勝てないであろう事と同様、それと同等の存在相手にはやはり永遠に何も出来はしないのだ。多少魔法的防備をするだけで闇の帝王を防げるのであれば、前回の魔法戦争であれ程人は死んで居ない。

 

 この老人から学んでいるのは、その危険を事前に避ける為の手札の一つに過ぎず、闇の帝王を殺す為の方法論では無い。そして、無駄な事を行う気もまた無い。狙われたらそれで()()()()。その覚悟ぐらいはしている。

 

 脚本を乱すような部外者は、速やかに排除されるべきなのだから。

 

「というか、僕の防備に文句を付ける位であれば、最も気を使わなければならない人物が居るでしょう。そちらの家庭訪問に行ってはどうですか?」

 

 僕がそう言えば、老人は痛い所を突かれたというように黙り込む。

 

「スリザリンの僕は今年何ら危険が無いと言って良い。いえ、四寮全部で、たった一人だけしか危険が無いと言っても過言では無い筈だ。よりにもよってシリウス・ブラック。裏切者にしてハリー・ポッターの両親の仇。そして、彼からしても、自ら闇の帝王の失墜を招いたという意味でやはり仇だ」

 

 魔法省から圧力でも掛かっているのか新聞は明示的に報道していないが、どんな馬鹿でもシリウス・ブラックが誰を狙っているかは容易に想像が付くだろう。

 ましてピーター・ペティグリューの英雄的な最後は、シリウス・ブラックが卓越した闇の魔法使いとしての資質を余計に輝かせている。

 

「死の呪文の難点は、原則として一発で一人しか殺せないという点です。それを非魔法族十二人と魔法族一人? 正直無茶が過ぎている。地下鉄の人混みの中なら兎も角、二人がさながら決闘のように向き合っていたとなれば猶更と言えるでしょうに」

 

 爆発呪文(コンフリンゴ)にしろ破砕呪文(ボンバーダ)にしろ、通常ではそのような殺傷力を持つものでは無い。大人の魔法使いで有っても同様である。

 非魔法族にはガス爆発という事で誤魔化したらしいが、僕としては()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とすら考えてしまう。

 

()()に聞きたいのですが、二人の魔法族が同時に魔法を撃ち合い、それが相乗効果を発揮して威力が増大するという事は?」

「……相変わらず悪どい考え方しかせぬの、君は。その答えはイエスじゃよ。生徒が協力して呪文を掛けた結果、教師をノックアウトしかけた事件は幾度か有った」

「別にピーター・ペティグリューが殺したとは言いませんよ。自分自身の生命の防衛の為に力を行使した結果、他人に被害を及ぼしたとしても、それは事故以外に言いようがない」

 

 そもそも彼は死んで居る。

 英雄的に死んだ者の過失を暴き立てた所で何も変わらない。

 

「それで、ハリー・ポッターの所に行く気は?」

「彼は魔法省によって、多くの闇祓いによって手厚く護られている。ホグワーツに来るまで、そしてホグワーツに来てからも、彼の護りは盤石じゃよ」

「僕が聞いているのは、アルバス・ダンブルドアが彼の所に行くかという話ですが」

 

 惚けた振りをする老人の言葉を正しく修正する。

 

 あの〝英雄〟が、真実を知った時に突っ込んで行かないとは限らない。

 無論の事、闇の帝王を打ち破った人間が高々シリウス・ブラック程度に敗北するとは思わないが、避けられるべきリスクというのは可能な限り避けるべきだ。そして、アルバス・ダンブルドアの言葉であれば、彼の歯止めとなるには十分だろう。あの〝英雄〟にとって、この老人は未だに頼りになる大人のままであるようだから。

 

 しかし――この老人はやはり行く気が無いようだった。

 

 僕の母と違って言葉を持っているのに、その機会が十二分に与えられているのに、彼は愛を与えようとしない。最期の最期に全てを与えれば良いという物でも無いのだ。その事に僕は大きな不満を抱いている訳では無いが、何も返せなかったという点で後悔は有った。

 

 そして、このような場合に老人が話を逸らすのは何時もの事であり、それは僕も良くやる事であるから、要するに御互い様であると言えた。

 

 ただ、老人の口から出て来た言葉は、些か驚くべき内容で有ったのは確かだった。

 

「今学年、吸魂鬼がホグワーツの警備を行う事になっておる」

「……それはまた。貴方が良く同意しましたね」

「せざるを得んじゃろう。政治的にも、実利的にも」

 

 この老人が、闇の生き物を嫌っているのは知っていた。

 

 それらを嫌う位ならば、完全に森番の遊び場となっている禁じられた森に棲む、ロクでもない生物達を駆除してから言ってくれと個人的には思うが、何にせよこの老人は本気で嫌悪していた。しかし、それで居て尚、受け容れざるを得なかったのが真実らしい。

 

 そして、解った事も有る。

 

「……あれ程夏休み末、僕の訓練を急いだのもそういう事ですか」

 

 来学期から本格的に訓練を始めるとか言いながら、この老人、ほぼ突貫で教育を行うような真似を行ってくれたのだ。特に夏休み末は酷いものだった。まさか休暇であるのに家に帰れないような事が有るとは思ってもみなかった。

 

 シリウス・ブラックの件で忙しい筈にも拘わらず、僕に関わって良いのかと危惧していたが、そういう事情で有れば仕方がなかったのだろう。吸魂鬼から生徒を護る事を考えれば、可能な限り身体を空けて置く必要があると感じたに違いない。

 

「それは儂も申し訳無かったと思うておるよ。大概荒っぽい訓練になってしまったのはの。ただ、君が良過ぎる生徒で有ったというのも悪いのじゃ」

「あれだけ心を粉々にされた甲斐が有ったようで何よりですよ」

 

 母達の事。父の事。ホグワーツでの事。

 僕の記憶を分類するとすれば殆どがそれだけでしかないが、それでも意外と内容が豊富で有る事に気付かされたものだ。心を暴かれるのは不愉快な事しか無いと思っていたが、自分でも覚えていないような些細な事を掘り返してくれるのは便利な物だった。

 

 特に、母の事については感謝すら抱ける程だ。母は僕の成長と反するように狂気と衰弱に堕ちて行ったのであり、逆に言えば、僕が殆ど覚えていない頃であれば、真面である時間もそれだけ多かったのだから。

 

「もっとも」

 

 老人の蒼い瞳が、僕と視線を合わせる。

 思わず身構えたが、老人は開心術を使わなかった。そして、身構えてしまった事こそが失敗だという事は、指摘されずとも解っていた。開心術が全てでは無いという事を知る程度には、この老人は長く人生を送っていた。

 

「君は未だ基礎を身に着けたに過ぎない。期間はそれなりに空くが、儂が今年の何回か――半年ぐらいの間は君を見続けよう。後は独学じゃな。努力を怠らなければ……これから四年もすれば、一端の閉心術士を名乗る事が出来るじゃろう」

「……先は長いですね」

 

 解っていたが、そう簡単な道程では無いらしい。

 しかし、力が抜ける僕に返って来たのは呆れの色を含んだ苦笑だった。

 

「儂の〝一端〟の基準を君は軽く考えておるようじゃな。そこまで行き着けば、服従や磔の呪文を併用してすらも、容易に心の奥底に秘めた内容を暴けはせぬよ。儂が知る限り、ホグワーツ卒業前にそこまで達した生徒は居らぬ。君の偉大なスリザリンの先輩でさえもじゃ」

 

 それは寮監、では無いのだろう。

 去年は聞きもしなかったが、それが誰なのかは解っている。この老人が度々話題に出し、一種の警戒を抱き続けていたそのスリザリン生は、在学中の闇の帝王以外に有り得なかった。

 

「丁度良いから今後の事を話すが、儂の都合により夏休み中に無理をしたせいで、そして君が優秀な生徒で有った御蔭で、少しばかり時間が空いたと言って良い。君が希望するならば、他に多少の手解きをするのも吝かでは無いが?」

「……結構ですよ。吸魂鬼に時間を割く為に時間を空けた以上、その余裕はやはり本来の目的の為に用いるべきでしょう」

 

 要らない親切心を発揮する老人に、当然僕は断りの言葉を述べる。

 

「貴方に教わるべきでは無いのだとつくづく実感しましたよ。正確には貴方の指導、いえ力を独占すべきでは無いというべきですか。貴方は少しばかり魔法が上手過ぎる」

 

 相性云々以前に、この老人は余りに何でも出来過ぎた。

 

 今でも同意しかねるが、今回教わる内に、この老人が権力を望まないという気持ちが解らないでもなかった。

 

 強過ぎ、そして賢過ぎる彼は、己の望みを――少なくとも大局的観点では――殆ど全てを叶える事が出来てしまう。だからこそ、誰よりも深刻に己の力を縛る事の意味を、必要性を痛感してしまうのだろう。そして何よりも最悪なのは、彼が校長にまで昇ってしまった事から解る通り、彼がその態度を一貫出来る程には強くないという事であった。

 

 どっちつかずの状況に置いておくには諸刃となる駒であり。

 どっちつかずで無くなればこれ程までに頼もしい駒もまた無かった。

 

 そして、今学期は後者の状況であるのは間違いなかった。

 己の生徒が吸魂鬼によって生きているとも死んでいるともつかない状況になる事を、この老人は絶対に許容しない。去年のバジリスクと違い、今年のそれは回復不可能な傷害なのだから。

 

「君は守護霊の呪文を儂から教わろうとは思わないのかね? 君が覚えて居れば、儂も多少安心が出来るし、役立つような場面も想定出来るのじゃが」

「……そのような状況に陥らないようにするのが、貴方がたの仕事でしょうに」

 

 苦々しい思いを抱えながら、僕は答える。

 

 流石のハーマイオニー・グレンジャーも、数百体の吸魂鬼に立ち向かっていくような状況には陥らないだろう。というか、普通はその時点で死ぬ。それをひっくり返せるのは、闇の帝王を二度も打ち破った〝英雄〟殿くらいだろう。

 

 そもそもの話、僕は守護霊の呪文について余り価値を見出していない。

 

「吸魂鬼やレシフォールドにしか通用しない汎用性の低い呪文は、僕にとって余り心惹かれる物では有りませんよ。今学期に必要になるかもしれないのを置いておけば、それを使う状況は酷く限られる。そのような非効率的な行為をする位で有れば、他の有用そうな呪文を覚えますよ」

 

 気軽に覚えられるのであれば学びもしようとは思うが、O.W.Lを遥かに超える難易度ともあればおいそれとは手を出す気にはならない。人の可処分時間は有限なのだ。

 

 それでも自分にとって価値が有ると思えばそうするが、一年以内に守護霊の呪文を使えるようになるというのは希望的観測が過ぎる。あの呪文の最も難しい所は、魔法それ自体ではなく、吸魂鬼の前という平静で居られない状況において創り上げる事なのだから。自分が覚えきる頃には全てが終わっているであろう事を考えれば、やはり価値を見出せない。

 

「ほう。しかし、あれは単に吸魂鬼達を追い払う為だけに使えるものでは無い。特に言葉を伝えるのには便利なのじゃよ」

「貴方の呪文の改造能力には驚嘆しますが。ただ、僕が誰に対して伝言を頼む用事が有るというんです?」

 

 冷ややかな僕の言葉に、老人も黙り込んだ。

 全くもって良い気味であるが、ただ、僕にも他の理由が無い訳では無かった。

 

「そもそも必殺技(吸魂鬼のキス)は別として、吸魂鬼の恐怖は耐えられない物では無いのでは? 嘘か真か知りませんが、闇の魔法使いが守護霊の呪文を唱えれば代わりに蛆虫が沸くのだという話も聞きますし、何より心が綺麗で無い魔法使いは守護霊が使えないという話の割には、この世界では闇の魔法使いが滅んでいる訳ではない」

 

 殺戮兵器は殺戮兵器として扱えば良い。

 要するに、守護霊を牧羊犬として吸魂鬼を追い立て、闇の魔法使い狩りに使えば良い。

 吸魂鬼達にとっても狭いアズカバンではなく、外で存分に運動が出来るのは喜ばしい事だろう。そのまま速やかに死刑執行に移れるという効率性も申し分ない。

 

 だというのに、魔法族はどうも要らない倫理観を発揮したがる――と非難したい所だが、結局それが実行に移されていないのは、闇の魔法使いにとって吸魂鬼が余り有効では無い、彼等には耐性が有るという一点に尽きるのだろう。

 

「そして吸魂鬼の被害にチョコレートが利くというのは有名ですが、カカオが西洋に持ち込まれたのは何時だと思っているんですか?」

 

 牢獄前のアズカバンが建設されたとされるのは、十五世紀頃。

 しかし、それもエクリジスという詳細不明の闇の大魔法使いが死に、その要塞の存在が魔法省に露見してからの事でしかない。つまり、吸魂鬼は、それより前にこの国に居た。

 

「カカオ豆をクリストファー・コロンブスが持ち帰り、エルナン・コルテスがチョコレート飲料に遭遇し、それから何年も経って宮廷に持ち込まれて初めて一般化した。そもそも、最も初めの用法は薬であり、甘くなかった訳ですし。

 ――そして何より一番の問題は、カカオにとって、この国は余りにも生きにくい」

 

 高温多雨を初めとして、生育条件は非常に限定されている。要するに、外から輸入しなければ、チョコレートなどは生産出来ないと考えるのは真っ当な論理というべきだろう。

 

 ただ老人は、僕の論調を多少面白がりながらも、出来の悪い生徒へ諭すかのように言った。

 

「ステファン。確かにそれは概ね正しいが、薬効が発見される事とそれが不可欠であるという事は等しくはない。また、魔法族はマグル社会と違い、新世界の発見よりも以前に向こう側の社会と繋がりが有った。そして何より、儂等は魔法使いなのじゃよ」

「……そう言えば、そうでしたね」

 

 カカオの生育に身命を賭す魔法使いなど余り想像できないが、居ても何ら変では無いのが魔法界であると言える。

 そもそも、蛙チョコレートの成分はカカオ(cocoa)ではなくクロアコア(Croakoa)という謎物質だった。この世界では非魔法界の常識を魔法界に適応できる部分とそう出来ない部分が有るが、これは後者の場合に他ならなかった。

 

「けれども、その様子では君は――」

「――アズカバンの運用に、賛同している。ええ、その通りですよ」

 

 使える物は使う。それに越した事は無いだろう。

 現状では、生きのいい餌をくれてやって大人しくして貰うというのは自身の安全の面からも最適であり、牢獄としての機能性から言っても文句は無い。

 

「しかし、あの生き物は、魔法省に対して忠実では無い。全くもって不愉快な生物じゃ」

「不愉快なのは否定しませんが、家畜に忠誠を求める程愚かな事は無いですよ。そして十八世紀前半のダモクレス・ロウル魔法大臣によってアズカバンが刑務所として生まれ変わった後、今まで脱獄は出来なかった。要はそれだけコストが安く済んできた」

「現状では、じゃよ。そしてガリオン金貨だけが物事のコストの尺度となる物ではない。あのような破壊的で冒涜的な行いは、一刻も早く止めるべきじゃ」

「ならば、やはり貴方が魔法大臣となって止めれば良い。他人に動きを期待するよりも先に、まずは自分が主導的に動く方が建設的だ」

「儂はその地位に就くつもりは無い。既に君にそう告げた筈じゃがの」

 

 平行線の議論に、僕は肩を竦める。

 そして、老人は立ち上がった。もっとも、僕はそれに対して言葉を投げ掛けた。

 

「……シリウス・ブラックは無罪だと?」

「君()そう思うかね?」

「……いえ、余り」

 

 とは言え、僕の家にわざわざ来たのは、それを聞く為だったのは他ならないのだろう。

 そんな事は誰にも言えまい。英雄的に死んだ若者の死を穢し、〝生き残った男の子〟の両親の仇であるような存在を庇うような台詞は。

 

 僕は先程ピーター・ペティグリューの死について一つの疑問を呈したが、この誰よりも賢きアルバス・ダンブルドアには当然念頭に有っただろう。この大魔法使いが僕と同じような事を考えない筈が無い。

 

 そしてこの老人であれば一度で十三人を粉々にする事(同じ事)が出来ない筈も無いが、それは相当な難事だと判断している筈だ。そしてこの老人は僕以上の情報――例えば教え子の力量、当時の死喰い人や魔法省の動きなど――を当然有している。色々と思う事が有るのだろう。特に、シリウス・ブラックが解き放たれた今となっては。

 

「……去年の問題はどうやって、だった。そして今年はどうして今、ですか」

 

 脱獄不可能の拷問刑務所、アズカバン。

 その中で十二、三年耐え切った、それも逃げおおせる程の正気を保ち続けた存在だ。しかも闇の帝王の蠢動に同調するように、という主張は成り立たない。一昨年の裏に闇の帝王の存在が有った事は公にされていないのだから。

 

 勿論、収容されている間ずっと脱獄を目論んで来て、そして今、偶々脱獄に成功したに過ぎない可能性もまた否定出来ない。

 しかし、やはりアルバス・ダンブルドアは、彼のみが有する諸々の事情を総合した結果、その可能性は小さくないと感じている。その確度を検証する為に、僕のような第三者に打ち明けてみせる程度には。

 

 だからこそ、僕は非難の言葉を当然述べる。

 

「……無罪の可能性が有ると思うならば、何故貴方は今まで何もしなかったんです? 闇の帝王失墜時に貴方は〝生き残った男の子〟の保護を筆頭に色々忙しかったのは解りますが、後から話を聞く事も出来た筈では?」

「簡単な話じゃ。儂に対して当時政治的な横槍が有り、そしてそれが無くなった時には既に取返しも付かない状況に陥ったと感じたからじゃ」

 

 僕は視線で先を求め、老人の蒼の瞳は返答するかのように燃え上がった。

 

「アズカバン。その最奥に一度でも閉じ込めた者が、まともに証言を出来ると思うかね? 錯乱や狂気に堕ちずに正気を保っていられると思うかね?」

「…………」

 

 成程、議論をここに持ってきたかったからこそ、老人は吸魂鬼の話を持ち出したのだ。

 

「君の言う通り、吸魂鬼に耐性を持つ者は存在する。闇との親和性が深まれば深まる程に、必然として魂は影響を受け難くなる。要は、落差じゃ。単に冷やすだけでは耐えられても、一度温めた後に冷やすのであれば、その物は酷く脆くなる」

「ならば、魔法族は善の生き物(light creature)を開発するべきですね。闇だけではバランスが悪いと思っていた。それが闇の帝王が蕩ける位であれば申し分無い」

 

 その冗談にアルバス・ダンブルドアは愉快そうに微笑み、しかし再度表情を引き締めた。

 

「心が善であれば善である程に、その冤罪は取り返しが付かなくなる。儂にはそのような事は許されるべきではないと思うし、それを齎す吸魂鬼は好まぬ」

「幾ら性根が腐っていようが、冤罪の価値に変わりはない。そして、それは見逃せるコストだ。後からでも取返しが付く事は去年送られた誰かで証明されている。他ならぬ彼も、ヒトである事には変わりないでしょう?」

 

 最後に付け加えた言葉に、老人は嫌そうに顔を歪めた。

 半巨人だから頑丈だ、なんて台詞は口が裂けても言えないのが、この老人の弱みだった。

 

「……シリウス・ブラックは、弁解も抗弁も許されず、まるで口封じされるかのようにアズカバンへと送られた。それは君の価値観に合うのかね?」

「謎が残る以上、吐かせるだけ吐かせて牢獄送りにするのが筋でしょう。牢獄送りにするのは、服従の呪文に掛けられていたという妄言が出てからでも遅くない」

「であるならば、彼への処遇において賛同出来ない。それは儂等の共通理解かの」

「吸魂鬼もですよ。現状での有用性を認める事と、将来への禍根を憂う事は両立しうる。彼等を滅ぼす方法が有るのなら、僕は当然賛同しますよ」

「宜しい。――最初の授業は、学期が始まってから三週目の土曜日じゃ。校長室へと赴く為の方法は、また追って知らせる」

 

 それだけを言い捨てて、老人はローブを翻して中空へと消え失せた。

 何が起こったかは考えるまでも無い。ここまで一貫して杖を使わないでおいたのは、最後の最後でこれをやる為であったのだろう。

 

「……全く、嫌がらせの上手い老人だ」

 

 当然の事ながら、『未成年魔法使いの妥当な制限による法令』に基づく警告など来ないだろう。そして、魔法省はこの魔法の行使自体を把握していないに違いない。

 

 今世紀で最も偉大な魔法使いというのは伊達では無いのだから。




・テオブロミン
 犬などにチョコレートを食べさせてはいけないというアレ。

・未成年魔法使いの妥当な制限による法令
 アルバス・ダンブルドアは、スラグホーンの勧誘の為ハリーを連れて行くに際しダーズリー家において魔法を行使しているが(六巻・第三章)、それが咎められた様子は無い。
 魔法省に話を通しているか、或いはそもそも察知されないのかは不明であるが、裏を返せばこの法規の拘束力は、権力者の都合によってどうにでもなる程度のものであるようにも思える。

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