幼稚園’’さーくる’’   作:龍宮院奏

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知らない人ははじめまして!知っている人はいつもありがとうございます!
あらすじにも書きましたように、この物語は『ロリ化』をはしゃいだ作者の結果です。
本当に自己満足でしかないのですが、楽しんでくれたら嬉しいです。



第一話ポピパのみんなとお絵かき

 私・笹木琴乃のは幼稚園の先生をしている。

 幼稚園の名前は’’さーくる’’という、園児の笑顔が絶えない幼稚園。

 しかしその反面に……、

「琴乃ちゃん、この子達のことお願いして良い?」

園児に囲まれて、てんやわんや状態です。今疲れ果てて倒れそうなのが、この幼稚園の園長兼もう一人の先生である『月島まりな』先生。

 

「わかりました。みんなは、琴乃せんせいと遊ぼっか」

数名の園児をまりな先生から託されて、今日も個性豊かなこの子達との日常が始まります。

 

『Poppin'Party組』

 私もこの’’さーくる’’で働き始めた時は、『何でこんな名前なの?』と目を疑ったが……。

 

「せんせ〜い!きょうはなにするの?」

腰の辺りに、突如として衝撃が走ったと思えば……。

 

「香澄ちゃん、何度言ったら分かるの。危ないから、いきなり抱きついちゃだめって言ったでしょ」

 

「だって、せんせいもびっくりするでしょ!」

猫耳のような髪型が特徴で、いつも元気にみんなを引っ張っている、戸山香澄ちゃんだった。

 

「そりゃあ、びっくりするけど……。でもね、これは先生だから大丈夫な……」

香澄ちゃんと目線を合わせるようにしゃがんで話しているところを、

 

「かすみちゃんだけずるい、せんせい、わたしも〜」

背中に何かがかぶさり、前に倒れそうに間一髪で食い止める。

 

「たえちゃんも、危ないから。全くもう……」

長い黒髪をたなびかせ、ちょぴり不思議なことを言う、花園たえちゃん。

 

「せんせい〜、うさぎ〜」

たえちゃんはうさぎが大好きで、家でもうさぎを飼っているらしい。ただ、うさぎ好きすぎて時々……。

 

「この子、目の色が左右違う子だね?お名前はあるのかな?」

 

「うん、おっちゃん」

 

「’’おっちゃん’’?」

ときどき、たえちゃんのネーミングセンスがすごいのはあるけど……。なぜ、’’おっちゃん’’?おじさんなの?

 

「何で、’’おっちゃん’’って言うの?ねぇねぇ、先生気になるな〜。たえちゃん、教えて?」

 

「いいよ、おかあさんがね。おめめのいろがちがうのを『おっどあい?』って、おしえてくれたから」

 

『おっどあい』?……、『オッドアイ』!だから、’’おっちゃん’’か……。たえちゃん、相変わらずネーミングセンスがすごいな。

 

「へぇ〜、そうなんだ。’’おっちゃん’’、可愛いね」

 

「でしょ」

 

「でもね、たえちゃん。’’おっちゃん’’は幼稚園に連れてきちゃ駄目だよ」

うさぎを幼稚園に連れてくるんです……。前も言ったはずなんだけどな……。

 ’’おっちゃん’’を抱えるたえちゃんに、とある提案をする。

 

「’’おっちゃん’’、たえちゃんと一緒で楽しいそうだけど、今から色んなことをするから。

’’おっちゃん’’は特等席で見てもらうか」

本当はうさぎが飛び回ってあらぬ事故を起こさないためというのと、’’おっちゃん’’にストレスを掛けないために……。

 

「とくとうせき……、’’おっちゃん’’……」

 

 特等席とは、たえちゃんが過去にもうさぎを連れてきたことがあり、それを知ったまりな先生が『うさぎ……、あはは……。ちょっと待ってて……』蒼白な表情をして何処かに行ってしまった。

 と思ったら、『知り合いに頼んで……、うさぎ小屋作って貰ったから……』と預けられた物が教室の隅の方に置いてある。

 

「休み時間になったら、また’’おっちゃん’’と遊ぼう」

たえちゃんの頭をそっと撫でる。

 

「……、うん」

少しの間が有ったものの、自分で’’おっちゃん’’を特等席へと連れて行った。

 

「’’おっちゃん’’……、また後でね……」

すごい悲しい雰囲気になってるけど、これじゃ私悪者?でも、致し方ないか……。

 

 おっと、二人にばかり構っている場合では無かった。この『Poppin’Party組』には、まだ他に子どもたちが居るんだった。

 

「みんな居るかな?お名前を呼ぶから、大きな声で返事してね」

 

「「「「「は〜い」」」」」

 

「それじゃあ、戸山香澄ちゃん」

 

「はい!」

 

「花園たえちゃん」

 

「は〜い!」

 

「牛込りみちゃん」

 

「は、はい!」

 

「山吹沙綾ちゃん」

 

「はい!」

 

「市ヶ谷有咲ちゃん」

 

「……はい」

おや?有咲ちゃんだけ小さいような……?

 

「有咲ちゃん」

もう一回呼んでみようか?

 

「…はい」

さっきよりは大きいけど……、何か機嫌があまりよろしくないのかな。

 頭に妙案が閃き、ゆっくりと有咲ちゃんに近づく。ビクッ!と近づくのに気づくも、大人の身体能力には敵わず……。

 

「有咲ちゃん!」

あっさり捕まって、私の腕の中でバタバタしてます。

 

「ちょ、せんせい!いきなり……」

顔を真っ赤にする有咲ちゃん……、超絶可愛いのだけれど……。

 

「だって、有咲ちゃんの元気なお返事が来ないから。元気がないのかなって思って、元気が出る魔法を掛けに来ちゃった」

この子達が泣いたりしたときに、こうして抱きしめると途端に笑顔になるのだ。

 

「わかった、わかったから!せんせい、へんじするから!くるしい……」

 

「へ?苦しかった……って、あ〜!有咲ちゃん!」

後ろから抱きしめていたけど、結局途中で顔を合わせる形で抱きしめていたから……。

 

「えっと、今日はみんなで『好きなものをお絵かき』したいと思います」

有咲ちゃんが元気になったので、気を取り直して今日も授業を始めましょう。

 

「「「「「は〜い」」」」」」

今度はみんな、ちゃんと返事が出来ました。

 

「みんな、自由にお絵かきしてみよう」

大きな画用紙とクレヨンを手渡すと、机を合わせてみんなで何を描こうか話し始めた。

 

「みんなはなにかくの?」

せんせいから、おおきながようしをもっらたから、みんなであつまってみた。

 

「わたしは、うさぎかく。’’おっちゃん’’もいるから」

きょうもたえちゃん、べつのうさぎさんつれてきてたもんね。

 

「おたえは、うさぎさんだいすきだね。りみりんは?」

 

「わ、わたしは…、チョココロネをかこうかな」

チョココロネ、りみりんのだいすきなパンだ!

 

「おいしいよね、チョココロネ」

 

「うん!さあやちゃんのおうちでつくっているチョココロネがすっごくすき」

チョココロネのはなしをすると、りみりんのめがキラキラしている。

 

「ありがとう、りみ。こんど、お父さんにいっておくね」

 

「さあやちゃんは?さあやちゃんはなにかくの?」

 

「わたしは……、まだきめてないかな」

なにかをかんがえていたけど、おもいつかなかったみたい。

 

「そうなの……」

 

「でも、ありさもきまってないみたいだよ」

 

「な、いうな〜」

 

「ありさもきまってないの?」

 

「え、あ…うん……」

 

「ありさのすきなものってなあに?」

ありさのところまで、てくてくと歩いていく。そばによって、かおをのぞきこむ。

 

「まだわかんない……。かすみはなにかくんだ?」

 

「わたし?わたしはおほしさま!」

 

「かすみも、おたえとおなじで、おほしさまがだいすきだね」

 

「うん、おほしさまをみてると、キラキラってドキドキってするの」

 

「じゃあ、かすみのかくおほしさまもキラキラしてるのかな?」

 

「もちろんだよ、すっごくキラキラしてるから」

さあやちゃんに、わたしのさいこうのキラキラをみせるんだ。くれよんをもって、かみのうえにこう……。

 

 みんな、始めは話し合っていたけど……。自分の描くものが決まった途端に、静かに集中して描いていた。

「私も何か描こうかな……」

丁度、画用紙が一枚とクレヨンのセットが一つ残っていたので、私もみんなの姿に感化され絵を描き始めた。

「自分の好きなもの……」

お題を出題したのに……、何だろうな……。私の好きなもの、好きなもの……。クレヨンを手に持って悩む……。

 ふと視線を子供たちにむけると……、私と同じように悩んでいる子を見つけた。

 

「有咲ちゃんは何描くか決まりそう?」

 

「まだきまってない……」

寂しげな表情を浮かべ、金色で二つに結ったツインテールを左右に振りながら答えた。

 

「有咲ちゃん、先生もね、今何描こうか考えてるからさ。一緒に考えない?」

優しく微笑みながらそう言うと、小さく頷いてくれた。

 

「せんせいは……、せんせいはなにがすきなの?」

有咲ちゃんからの質問に、

 

「先生か……、先生は……みんなが好きかな?」

 

「みんな……?わたしも……?」

 

「そうだよ。この『Poppin'party組』のみんなが大好きだよ。香澄ちゃん、たえちゃん、りみちゃん、沙綾ちゃん、それから有咲ちゃんも」

この時、私の顔はどんな顔をしていたのか分からないけど、

 

「……きまった……」

 

「?どうしたの?」

 

「かくもの、すきなものがきまったの。だから、せんせいはむこうでまってて」

突然、有咲ちゃんが私の背中を押してきた。どうやら、有咲ちゃんのスイッチを押したらしい。

 

「え〜、私はまだ決まってないのに〜。ぶ〜、有咲ちゃんずるい〜」

 

「せんせい、おとなげないから。ほら、はやく」

 

「お、大人げない……。う、うわ〜ん。沙綾ちゃん、有咲ちゃんがイジメる〜」

有咲ちゃんが辛辣な言葉を投げかけてくるので、隣の沙綾ちゃんの元に転がり込む。

 

「せんせい、ありさはいいこだから、せんせいのことわるくいってないよ」

沙綾ちゃんが私の頭を撫でてくれた。小さな手が……、すごい柔らかい……。

 

「あ”り”がどう〜」

 

「せんせい、なんだかこどもみたいだよ」

薄茶色な髪をポニーテールでまとめて、パンのいい香りがする沙綾ちゃんが『天使』かと思った。

 

「せんせい……」

有咲ちゃんからの視線で、背中に突き刺さるような感じはしなくもなかったけど……。

 

「沙綾ちゃんは、何描いてるの?」

有咲ちゃんが見せてくれないので、沙綾ちゃんなら見せてくれるはず。

 

「ひみつです、かんせいしたらみせます」

あれ?沙綾ちゃん、沙綾ちゃんは見せてくれるんじゃないの?

 

「り、りみちゃんは見せてくれるよね?」

きっちりと揃えられた黒髪セミロングのりみちゃんに、救いを求めるも……。

 

「え、えっと…。わたしも、かんせいしてからせんせいにみせます……」

有咲ちゃんや沙綾ちゃんと同じように、絵を見せてはくれなかった。

 

「う”ぅ……、か、完成したら、ちゃんと見せてよね〜」

あまりの辛さに心が耐えきれずに、走ってその場をあとにしようとしたが……。

 

「痛い……」

その場で足を滑らせて、盛大に転びました……。はじゅかしい……。

 

「「「せんせい……」」」

有咲ちゃん、沙綾ちゃん、りみちゃん……、そんな、そんないたわるような目で見つめないで……。

 

 するとそこにこの組で、一番こういう時心にくる言葉を言ってきそうなたえちゃんがゆっくりとやって来て……。

 

「せんせい、’’おっちゃん’’いる?」

特等席に居たはずの’’おっちゃん’’を私の頭に乗せてきました。

 

「う”ぅ……いる……」

この後、たえちゃんから’’おっちゃん’’を預かり、みんなは再び静かに絵を描き始めた。以外にも、香澄ちゃんが終始静かに絵を描いていたので、よほど集中しているのだと思った。

 ’’おっちゃん’’のふわふわの毛並みに癒やされて、私も絵を描くのであった。

 

 絵を描き始めてから、一時時間近くが経とうとしていた。私の方は、上手かどうかは判らないが描き終えた。

 みんなも、自分のすきなもの絵を描き終えたようで楽しくお喋りをしていた。

 

「は〜い、みんな書き終えたかな?」

 

「キラキラドキドキのえがかけました!」

 

「’’おっちゃん’’ぱーふぇくとばーじょん」

 

「じょうずかな…」

 

「だいじょうぶだよ、わたしもえはあんまりとくいじゃないから」

 

「わたしもふあんだ……」

 

「それじゃあ、最初は誰から絵をはっ」

 

「はい!」

勢いよく香澄ちゃんの手が挙がる、これは相当自信があるとみた。

 

「わたしのすきなものは、おほしさま!キラキラしてて、ドキドキする!」

香澄ちゃんが絵をみんなに見せると、「おぉ〜」と歓声が溢れる。夜空いっぱいに輝く金色の星々、夜空を彩るためにしっかりと色を塗っていたようだ。だから、黙々と描いていたんだ。

 

「本当にキラキラした綺麗なお星さまの絵だね、先生もドキドキしてくるよ」

 

「えへへ」

褒めてもらえたことにご満悦の表情の香澄ちゃん。

 

「はい、つぎはわたし」

香澄ちゃんの絵をみて、今度はたえちゃんが絵をみせる。

 

「これは……すごい……」

絵を見せた時に思わず息を飲んでしまった……。

 

「うさぎがいっぱい『はなぞのランド』」

さっき『’’おっちゃん’’ぱーふぇくとばーじょん』っていたのは……、それにしても……。

 

「たえちゃん、『はなぞのランド』なに?」

りみちゃんが私と同じことを考えていたらしく、たえちゃんに質問していた。

 

「えっとね〜、うさぎがいっぱいいて、ゆうえんちみたいで、たのしいところ?」

 

 この瞬間、私は心の中である一言を叫んでいた。『何で楽しいところが疑問系なんだ〜!』と。でも、本人は描いてて楽しかったのだろう。だって、色んな色で彩られた素敵な場所なんだから。

 

「じゃあ、りみ。つぎはおねがいしたよ」

おっとたえちゃん、まさかのご指名だ!大胆だね。りみちゃんも、慌ててるけど覚悟を決めたようだ。

 

「わ、わたしは『さあやちゃんちのチョココロネ』」

 

「「「「お〜」」」」

 

「美味しいもんね、『山吹ベーカリー』のパン」

私もお昼に買っていくことが偶にある。先生が生徒の家のお店に行くのかって?美味しいからいいの!

 

「なんだか、さあやちゃんちのパンたべたくなってきた」

りみちゃんの絵を見て、たえちゃんが涎を若干垂らしながら言う。ティッシュ、ティッシュ。

 

「りみりんのかいたチョココロネ、ほんものみたいだね」

 

「あ、ありがとう。かすみちゃん」

自信がなかったけど、褒めれられて良かったねりみちゃん。

 

「残すは、沙綾ちゃんと有咲ちゃんか……。どっちから先に見せる?それとも一緒に見せる?」

 

「わたしは、いっしょでもいいです」

沙綾ちゃんが答えると、こくりと有咲ちゃんも小さく頷く。

 

「それじゃあ、二人はどんなのを描いたのかな?お願いします!」

 

「じゃあ、ありさ。せ〜のでいくよ、せ〜の」

 

「え、ちょまま。まだまって、あ」

沙綾ちゃんの合図に合わせて、有咲ちゃんも絵を見せる。

 

 二人の絵が出された時、みんなが静かに絵を見つめた。

 

「わたしのすきなものは、おとうさんとおかあさん」

二人の大人と一人の女の子が笑顔で手を繋いでる様子が描かれ、後ろには沙綾ちゃんと大好きなお父さんとお母さんが、暮らすお家が描かれていた。

 

「わたしがす、すきなものは……。せ、せんせい……と、みんな……」

幼稚園で働いている時に身に着けているエプロン姿の私と、香澄ちゃん、たえちゃん、りみちゃん、沙綾ちゃん、有咲ちゃんが、みんなでいる所だった。

 

 沙綾ちゃんの絵を見て、みんなが笑顔になっていた。そこに有咲ちゃんの、絵が投下されると……。私も……。

 

「有咲ちゃん」

 

「「「「ありさ(ちゃん)〜」」」」

全員で気づけば抱きしめていたのでした。

 

「先生、先生嬉しいよ……。さっき冷たくされて、嫌われてるものだと……」

 

「ありさ〜、わたしもありさのことだいすきだよ〜」

 

「ありさ、わたしもありさのことすき。こんど、おうちのうさぎすきなだけなでていいよ」

 

「ありさちゃん……。わたしも、ありさちゃんのことすきだよ」

 

「ありさったら、すなおじゃないんだから。わたしもすき」

 

 いきなり全員に抱きつかれて、おしくらまんじゅう状態で息がつまりそうな有咲ちゃん。

 

「あ、あつい〜。あ、あと……。わたしも……、みんなのことすき……」

けど、熱さの所為にも、別の要因が顔を真っ赤にさせていることはすぐにわかった。本当に素直じゃないんだから。

 思わず頭を、ワシャワシャと撫でる。真っ赤に染まった顔が、わずかに緩んでるのが見えて私も幸せだ。

 

 そんなこんなで、抱きつこと数分。

「じゃあ、先生も描いた絵をみんなに見せようかな……」

 

「せんせいもかいたの?」

 

「どうぶつさん?」

 

「せんせいのすきなもの?」

 

「せんせいのすきなもの……?なんだろうね、ありさ」

 

「なんだろう……、わたしもわからない」

みんな、悩んでいるようだね……。ふっふふ……、それじゃお披露目といきましょうか!

 

「先生の好きなものは、みんなだよ!」

絵が描かれた方を見せる。

 

「「「「「わぁぁぁ〜!」」」」」

この仕事での最大のご褒美と言っても過言でもない、みんなが一斉に笑顔になっていく。実は私、絵には少しばかり自信がありまして、クレヨン以外に下書きでシャーペンとか使って書いていました。

 だって……、さっきあんな恥ずかしいところ見せちゃったから……。名誉挽回の為だから良いの!

 

「せんせいのえ、すっごいじょうず!」

 

「ありがとう、香澄ちゃん。これが香澄ちゃんだよ」

真ん中に、お星さまに乗っている女の子。

 

「こっちの子が、たえちゃんだよ」

 

「’’おっちゃん’’といっしょ」

リアルな’’おっちゃん’’がいたので、うさぎを抱きかかえてる女の子。

 

「せんせい、わたしは?」

 

「りみちゃんはね、この子だよ」

大好きなチョココロネを笑顔で食べている女の子。

 

「りみりんそっくり」

 

「ほんとうに、わたしみたい」

香澄ちゃんにも、りみちゃんにも大盛況。

 

「それでね、この子が沙綾ちゃん」

沙綾ちゃんは悩んだね。パンはりみちゃんと被っちゃうから、別のものを合わせようと……その答えは……。

 

「沙綾ちゃん、カバンに『らいおんさん』のキーホルダーが付いていたから、らいおんさんとのツーショットにしてみました」

本物のライオンだと怖いから、キーホルダーの子みたいに可愛く仕上げました。

 

「せんせい、いつからきづいていたの?」

そう、実はカバンに付いているライオンさんのことは沙綾ちゃんから聞いてません。だから、沙綾ちゃんすっごい目がキラキラしてる。

 

「ちょっと前にカバンに付けたのを見て、沙綾ちゃんはライオンさん好きなのかな?じゃあ、沙綾ちゃんが話してくれるまで待ってみようかなって」

 

「せんせい、すごい!せんせいはまほうつかいみたいに、わたしのひみつをわかっちゃった」

 

「そうでしょ、すごいでしょ!先生はみんなの先生だから、ちゃんとみんなのこと見てるよ。もちろん、有咲ちゃんもだよ」

 

「え?」

突然名前を呼ばれて、びっくりする有咲ちゃん。

 

「ほら、この綺麗なお花を持ってる子。これは有咲ちゃんです」

 

「これが…わたし?」

自分と言われた絵の子を見つめる。

 

「実は〜、お婆ちゃんと前に有咲ちゃんのこと話してたら、『有咲は盆栽が好きでね、色んな木のお世話をしてるんですよ。これ、これ有咲が一人でお世話して育てた梅の木の盆栽で立派に花が咲いてね』って教えてくれたんだよ」

 

「ば、ばあ〜ちゃん……。もう……」

大好きなお婆ちゃんからの密告に、項垂れる有咲ちゃん。

 

「それで、有咲ちゃんはお花が似合うと思って、お花を持たせて見ました!」

多分、すごいドや顔を決めていたんだと思う。何でそう思うのかって?有咲ちゃんが、ぷるぷる震えていたから。こうしてぷるぷる震えるときは……。

 

「せんせい…かお……おかしい…」

 

「ありさがわらった!」

 

「ほんとうだ、ありさがわらってる」

 

「ありさちゃんがすごいわらうのがまんしてる」

 

「ありさ〜、わらっちゃいなよ」

笑うのを必死に堪えているときである。みんなもそれを知っているので、有咲ちゃんを笑わせようとする。

 

「有咲ちゃん……」

不敵な笑みを浮かべてゆっくりと手を伸ばし……、

 

「こちょこちょこちょこちょ!さぁ、盛大に笑っちゃいなさい!」

有咲ちゃんの脇腹をこちょこちょする。私が始めると、みんなもそれにのって有咲ちゃんをこちょこちょし始めた。

 

「ちょっ!みんな、こうさ……」

 

「笑えば楽になるんだから、笑っちゃいなさい!」

中々我慢強く、笑ってくれないのでさらに威力をあげてくすぐる。

 

「も、もうむり……。あはははぁ、せんせいにもおかえしだ〜」

遂に耐えきることができずに笑ってくれた。笑ってくれたけど、私、くすぐり本当にだめでっ!

 

「あひゃ!ありぃしゃちゃん、だめ、あひゃはは」

 

「せんせいがわたしにさきにしたんだ、みんなかかれ〜」

 

「「「「お〜!」」」」

有咲ちゃんが見事なリーダシップを発揮したせいで、このあと笑いすぎてお昼ご飯が食べられないくらいに笑いました。

 私がみんなにくすぐられてるのを、偶々通りかかったまりな先生に見られ、

「琴乃ちゃん、いま…すっごくいい顔してるよ……ぷ」

笑われました。

 

 今日も幼稚園さーくるは笑顔が絶えません!




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
感想などがあればお待ちしております。
それと、私の別のシリーズも良かったら読んでみてください。お願いします。

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