交わるはずのないステージ~謎めいた隣人の正体~   作:氷ユリ

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殺人の館 前編(2)

 

 そんなこんなで、あっという間に昼になる。

 

 静かな路地に低音を響かせて、オレ達の横を大型セダンが通り過ぎて行った。サングラス姿のドライバーの横顔がおぼろげに目に映る。

 

「今の、新堂さんとこの車だよね!帰って来たんだ。ねえ、横に誰か乗ってた?見えた?」

「いや……」

 フルスモークのガラス越しでは、太陽光の反射もあり、中はほとんど確認できない。

「とにかくもう一回行ってみよう!」

 

 急いで丘を駆け上がって車の後を追う。見つからないように茂みに隠れつつ近づき、そのまま木の根元の茂みに二人で身を潜める。

 

「見つかってないよね、私達……」

「ああ、多分な……。歩美ちゃん、あれが、ここの奥さんか?」

 

 車から女が降りて来た。頭と右手首に包帯を巻いている。

 奥さんが、戻って来た?まさか、ここで止めを刺す気か!

 

「あっ!あれ?う~ん……ええと、ええと」最初の反応の後、微妙な答えを繰り返す歩美。

「この距離なら分かるだろ!仲良かったって言ったよな?顔くらい覚えてるだろ!」

 思わず声を荒げてしまう。

「ゴメン、興奮した……」すぐに謝った。

 

 それにしても、なぜ分からないんだ?

 

「違う……。ユイさんは、あんなに冷たい目してないわ。とっても優しいよ?年は離れてるけど、私の事、お友達だって言ってくれて……!」徐々に大きくなる歩美の声に慌てる。

「しー!静かに。聞かれちゃうよ!」

 オレの指摘に歩美が慌てて自分の口を押さえた。

 

 念のため頭をより低くして様子を窺う。どうやら気づかれてはいない様だ。

 二人は微妙な距離を保ったまま、家に入って行った。どう見ても、夫婦には見えないよそよそしさだ。

 

「冷たい目、か……。それがホントなら、一体どういう事だ?彼女は双子で、姉か妹を連れて来たってとこかぁ?」

 おどけて口にしたそれが、歩美にはヒットしたらしい。

 またも声を張り上げる。

「それ!それよ!きっとそう。あの新堂って人、奥さんを、こっ、殺し、ちゃって……」

 

「んで、替え玉に双子の片割れを連れて来た?バカバカしい!何のためにだ?あの冷たい目の女の方が好きになったとか?」

「……それは、分かんないけど……」

 

 オレ達がこんな下らない事を言い合っていた時、リビングのテラスに続くガラス扉が勢い良く開かれた。

 

「ん?」

 次の瞬間、オレは目を疑った。女の手に回転式拳銃が握られていたんだ!

 

「な!何だとぉ?歩美、伏せろー!」

 微妙に体勢を起こしつつあったため、慌てて地面に這いつくばった。

 まさかオレ達がここに潜んでるのに気づいて、殺すつもりか?って、子供だよな、オレ達……訳が分からない!

 

 震える歩美を他所に、こんな状況にあってもオレは、茂みの隙間から拳銃の発砲状況を確認するつもりだった。

 

「いや、狙いはオレ達じゃない……」

 彼女が狙っていたのは、どうやらオレ達の隠れる茂みから伸びる一本の木。

 しかもシリンダーを無造作に回転させるや、一発で弾をはじき出したじゃないか!

 

「あんな芸当、そんじょそこらのヤツが出来るもんか……!一体、何者だ?」

「きゃぁぁー!!」

 轟音と歩美の叫びが共鳴する。

 

 直後に、頭上から一匹のカラスが落ちて来た。

「死んでる、即死だ……」

 

 あり得ない。あの位置からカラスの存在は確認できていないはず。なのに、一発で急所に!しかもその弾はロシアンルーレットで!?

 女がチラリとオレを見た気がして、背筋がゾッとなり、思わず頭を下げて身を隠した。

 

 

 一方新堂邸のリビングでは……

 

「ねえ、カラスの他にもギャラリー、いたみたい」

「何?どこにだ」

「ふふ!早速、私のファンの子達かしら」

 

 新一の読み通り、どうやら彼女だけが気づいていたようだ。

 

「……ああ。それにしても、とても頭が痛いわ」

「そうそう。君は一応、絶対安静なんだ。早急にベッドへ行ってもらおうか」

 

 

 再び静けさが戻った。

 オレ達が体勢を起こした時には、ガラス扉は閉ざされていた。

 

「私、もう我慢できない!直接聞いて来る!」

「あ、おい!歩美!あいつ等は危険だ、お前は関わるんじゃねェ!」

 何も知らない歩美は恐れ知らずだ。恥ずかしながらオレの足は竦んでいたのに……!

 

 結局、歩美がインターホンを鳴らしてしまった。

 

「はい、どちら様?」

 最初の訪問時と全く同じセリフが聞こえた。

 

「あの!」

「おや歩美ちゃん、また来てくれたのか。ごめんな、ユイはまだ遊べないんだ」

 透かさずオレも問いただす。

「さっき一緒に帰って来た女の人、誰?新堂さんの奥さんじゃないよね?」

「……また君か」

 新堂は心なしか、うんざりした様子でオレを見下ろした。

 

 怯むもんか!この犯罪、必ずこの高校生探偵、工藤新一が暴いてやる。って、今は小学生だが。

 

「ねえ、新堂さんって凄いお金持ちみたいだけど、何のお仕事してる人?」

「新一君?」

 唐突に話題を変えたオレに、歩美が首を傾げる。

「君は、新一君と言うんだね」

「そう。工藤新一です。一応、探偵をやってる。この家に入った泥棒の事、調べてあげるよ」

 

「君達には関係ない!帰れ。今すぐにここから立ち去るんだ!」

 新堂は唐突に声を荒げ、オレ達を追い払おうとした。

 

「……悪かった、大声を出したりして。ユイが起きてしまったら厄介なんだよ」

「何で厄介なの?その前に、ついさっきまであそこの部屋で話してたよね。もう寝ちゃったの?」

「……君達、いつからここに?」

 

 新堂の鋭い視線が突き刺さる。もう、最初の穏かな彼ではなかった。

 ふいに歩美が新堂の足元をすり抜けて、薄暗い室内に入り込んだ。

 

「あっ!……おい、戻れ、不用意に行っては危険だ!」

「バカ!歩美、それはないぞ。不法侵入は立派な犯罪だぜ?」

 

 これだから小学生は!歩美の後を追って駆け込んだ新堂を追って、オレも入っちまった。ここまで来たらもういいよな?

 

「一体、何がそんなに危険なんだ?拳銃がか?」

 真っ昼間だというのに薄暗い廊下を走りながら、オレは直球で尋ねてみた。

「……!お前、どこまで知っている?」

 新堂が立ち止まってオレを振り返った。外の明るさに慣れた目では表情が良く見えない。

「偶然さ。安心しろ、オレは警察じゃない」

「そんな事は分かってる!」

 

 新堂が頭を抱える仕草をしたのが分かった。

 

「全く。次から次へと厄介事が増える!俺までどうかしてしまいそうだよ……」

「厄介事?自分が蒔いた種だろ」

 

 新堂の視線に一瞬、殺気が帯びたように感じて身構えた時には、ある部屋の前に辿り着いていた。

 歩美が泣きながら、ベッドに横たわる女に向かって叫んでいる。この部屋もカーテンが閉まっていて暗かった。

 

「ユイさん!起きてっ、ねえ!ユイさんなんでしょ?そうだって言ってぇ……」

「やめるんだ、起こすんじゃない!鎮静剤が効いているから、そうそう起きる事はないだろうが……。コイツの事だ、油断はできん」

「鎮静、剤?打ったのか?アンタが」医者が出入りした形跡はなかった。

「ああ、打ったよ。だから何だ?」もはや新堂は諦めモードだ。

 

 彼女が目を覚ましていない事を確認すると、側にあった椅子に力尽きたように腰を降ろす。

 

「いたた……っ。クソ、ユイのヤツめ!」腰を擦りながらこんな事を呟く。

「腰、痛めたの?ユイさんのせいなの?中腰で何かしてたからでしょ。力仕事とか」

「一々うるさいな、全く……」新堂がさらに呟き、額に手を当てていた。

 

 カーテンの隙間から太陽の光が漏れている。

 

「それで。君達は一体、何の用だ?」

「どうして……、どうして!ユイさんと、あんなに仲良かったじゃない?どうして殺したの!」

 耐え兼ねて歩美が叫ぶ。

 オレは歩美に近づき、さり気なくその身をガードした。これから何が起こっても、歩美だけは守らなければ。

 

「一体何を言っている?私がユイを殺した?」

「なぜ彼女が目を覚ますと厄介なんだ?説明しろ!」

「だから、危険なんだよ。特に今の彼女はね」

「知らない女だからだろ?この人は、アンタの奥さんじゃないんだろ!白状しろよ」

 

 呆気に取られたようにオレ達を見つめる新堂。

 

「バラバラにして、埋めちゃうなんて……!酷いよ……っ、え~ん!」

 泣きじゃくる歩美に代わって続ける。

「電話の相手は誰?共犯者だろ。ユイさん、どこに隠した?ホントはまだどこかで生きてるんだろ」

「電話……。そんなものまで立ち聞きしていたか。ふっ!小僧、いい度胸だな」

 新堂が笑みを浮かべた。

 

 ついに本性を現したか!

 そう思って覚悟した時、新堂は大きなため息をついた。それも本当に疲れた様子で。

 

 ……何だ?どういう事だ、観念したのか?

 

「頼むからここで騒がないでくれ。今の私は、彼女とこれ以上、やり合う気力はないんでね」

 

 う~ん。どうもあの一瞬以来、この男から殺気が感じられない……

「まあ、移動するくらいなら、いいけど」

 オレ達は誘導されてリビングへ移動する事にした。

 

 歩美の足取りが重そうだ、と思ったら、オレに寄りかかって足が止まった。

「お、おい、どうしたの?歩美ちゃん?」

 立ち止まったオレに新堂が申し出た。

「神経を張り詰めすぎたんだろう。少し休ませた方がいい、私が運ぼう。心配するな、手荒な真似などしない」

 

 軽々と抱き上げて、リビングのどデカい黒革のソファに歩美を寝かせると、閉め切ったカーテンを全開した。

 途端に辺りの光景は一転し、光に満ち溢れた。

 

「眩し……っ」

 室内は白の内装で統一されて、とても明るかった。今まで外観から想像していた不気味さはどこにもない。まるで地獄から天国へと移動したような気分になる。

 

「どうやら、君らにとんだ勘違いをさせてしまったようだな……」

 そう言って新堂がカバンから何やら取り出した。それは聴診器だった。

 

「……え?」

「お詫びと言っては何だが。彼女を、診察させてもらってもいいかな?」

「え?ああ!はい……もちろん」

 この人、医者だったのか!

 

 慣れた手つきで歩美の心音を確認すると、そのままやや辛そうに床に腰を降ろした。

「まあ君も座れ。一体何を勘違いしているのか、説明してもらおうか」

 

 どうしたものか迷いつつも、眠り込む歩美の隣におずおずと腰を降ろす。

 

「悪いが、とても疲れているんだ。手短に頼むよ」

 いつの間にか、新堂の目は優しい眼差しに変わっていた。その視線はオレに向けられた後、歩美に移って止まる。

「歩美ちゃんは、ユイの事を本当に慕ってくれてるんだな。嬉しい事だ」

 

「あの日、本当に泥棒、入ったの?」

「ああ。盗まれたものはないと言ったが、本当は一つあるんだ。私の、とても大切なものだ」

「それは、何?」

 

「彼女の……記憶だ」

「き、お、く?それって、ユイさん、旦那さんの事忘れちゃったって事?でも!」

 彼女の言動からして、そんな素振りはなかったはずだが……

「本当なんだ。……信じたくないがね」彼は本当に悲しそうに言った。

 これは真実なんだろう。だとすれば何て悲劇だ。

 

「今のユイは、私の知らない女だ」

「そんな大変な事になったのに、警察に届けないのはどうして?」

「何度も言わせるなよ……。あまり関わりたくない」

「ユイさんが、拳銃持ってるから?」

「ズバリ言うね、君は!まあ……、それだけじゃないがね。それ以上は勘弁してくれないか?」

 

 この男の素性は、越して来た当初から現在まで謎のままだ。

 一見礼儀正しく不審なところはないが、親しい付き合いをしている者が誰もいないため、何の情報も入ってこない。

 今の言い分だと、やはり悪どい事にでも手を染めているんだろう。

 

「じゃ、もう逃げられないって何の事?」

「あの電話か。あれは仕事の話だ」

「仕事?」

「ああ。まだ質問に答えていなかったな。私は一応、外科医をしていてね。オペの段取りの話さ。くれぐれも、私が医者だという事は公にしないでくれ?」

 

 逃げられないのはガン細胞の事で、バラバラにするというのは、侵された臓器の事だったと知る。

 オレは文字通り目を丸くしていただろう。

 

「そんなに驚くなよ。あまり話したくなかったんだが仕方がない。まあ、医者には見えないって良く言われるがね」

「そっ、そういう意味じゃなくて!あの……、それじゃ、腰を痛めたのは?泥棒が入ったのって、不在の時だったんでしょ?一体何で……」

「ああ。お恥ずかしながら、彼女に投げられた」

「えぇーっ!マジかよ?!」

 

 彼がこの部屋の高い天井を見上げた。オレもつられて見上げる。これだけ高さがあれば、室内での投げ技も可能か……って、まさか、ここで?

 

「ああ。マジだ。そこまでされるとは思ってなかったから、咄嗟に受け身が取れなくてね……このザマさ。な?厄介だろ」

 

 オレは呆然とした。忘れてしまったとは言え、旦那を投げ飛ばす妻!彼女は射撃が得意な柔道家、とか?

 

「そ、そうだったんだ……。新堂さん、いえ、先生!数々の失礼な発言、本当に、ゴメンなさい!」

 もう平謝りするしかない。何しろオレ達は、医者の先生を殺人犯呼ばわりしていたのだから!

 ああ……、探偵業を始めて以来、こんな大失態は初めてだ。ショック半端ないぜぇ~!!

 

 それにしても、医者なんて立派な職業に就きながら、何で公にできないなんて?

 

「うう~ん……」

「お、目が覚めたようだ。大丈夫か?」

 

 究極に落ち込むオレを他所に、歩美と新堂先生の周囲だけが眩く輝いて見えた。ただ単に、周りの白が光を反射してるだけなのだが。

 

「あれ?私……。だ、だんなさん!そうだ、私!」

「歩美、何も心配なかった。オレ達の誤解だったんだ。ユイさんはちゃんと生きてる。良かったな」

「え?え?」

 

 事情が飲み込めないでいる歩美だったが、その後の新堂先生の丁寧な説明でようやく理解した。

 

「でも…。旦那さん、ユイさんを運んでた時、凄く怖い顔してたよ……?」

「ん?」

「歩美、偶然見てたんだ。先生が、ケガをしたユイさんを車に乗せるとこ」

「ああ。……そうか、あの時の視線は君だったのか」

「ご、ごめんなさい!私、ホントに、遊びに来ただけだったの……」

 

 新堂先生が力なく首を横に振った。

 

「まだ例の連中が潜んでるかもしれないと思ってね。警戒していたんだ。私も取り乱していた。申し訳なかったね」

 

 歩美が力いっぱい頭を横に振って、否定の意志を伝えている。

 

「とにかく、私の疑いは晴れたみたいだな。怖い思いをさせて悪かったね」

「そっ、そんな事……私こそごめんなさいっ!」

「だが、当分、ユイには会わない方がいい」

「どうして?忘れちゃっててもいいよ。私、またお友達になるもん!」

 

 新堂先生が困った顔をしている。

 

「手に負えないって、言ってたね……」オレは言ってみる。

「どうも、人格が変わってしまったみたいでね……」

 

 オレ達も、冷たい瞳の彼女を思い出した。そして投げられた先生を想像する。そんなバトルの後じゃ、髪も服も乱れる訳だ!

 

「きっと、そのうち思い出すさ!そしたらまた遊びに来ればいいよ。な、歩美ちゃん?」

 そうしてくれ、とオレの言葉に同意して新堂先生が笑った。

「もう遅い。君達の家まで送って行くよ」

「大丈夫!新堂先生、疲れてるんでしょ。オレが歩美を送ってく。腰、お大事に!奥さんに付いててあげて」

 

 こうしてオレ達は新堂邸を後にしたのだった。

 

 

「それはそれは。散々だったわね、新堂先生も!」

 

 翌日の学校での会話だ。灰原に問いただされて仕方なく顛末を報告した。

 

「そう言うなよ……。元はと言えば、歩美の早とちりだろ!」

「そうやって、責任転嫁は良くないわよ?」

「チッ……」

 

 灰原が笑っている。

 何とも分が悪いオレだが、気を取り直して最も伝えたかった事を切り出す。

 

「なあ。あそこの夫婦の事、お前、どんだけ知ってる?」

「さあ。どれだけって言われても。接点ないから」

 人間付き合いの悪そうなこの女が、接点あったら怖いけどな!

「だよなぁ~」

 

 話の続きを言い出さないオレに、灰原が聞いてくる。

「……何よ。何かあるの?」 

「これはオレの勘なんだ。参考程度に聞いてくれ」

「最近大ポカした、探偵さんの勘ね」

 

 嫌味に笑顔を向けて来る灰原に、負けずに嫌味な笑顔を返す。

 

「旦那の方はともかく、あのユイって人。何かあるぜ」

「何かって?」

 

 オレは、あの日に感じた悪寒を説明した。それはオレ達の宿敵、黒の組織の連中を思わせるものだった事を。そしてあの射撃の腕……

 

 急に灰原の顔色が曇る。

「ま、まさか!……もしそれが本当なら、吉田さんが危ないんじゃ……?」

 歩美が新堂邸に出入りしている事を思い出したようだ。

 

「だとしても、そうそう無関係の子供には手を出したりしないと思うぜ。何なら、おめー、歩美と一緒に行って、偵察して来いよ!」

「何でアタシなのよ!あなたが行けばいいでしょ。面識あるんだし」

「オレが面識あんのは、旦那の方だからなぁ」

「私はイヤよ」

「ゼッテー女の方がいいって、こういうのは!さっき、歩美の事心配だって言ってくれたろ?」

 

 場合によってはオレが……という気持ちはもちろんある。だが今は、新堂先生に迷惑を掛ける行為は極力避けたいんだ!せめて少しだけ時間をくれ……

 もう少し、ほとぼりが冷めてから?

 

「な!はい、決定!お~い、歩美ちゃん。灰原が、ユイさん家、一緒に遊びに行きたいってよ!今度連れてってやってくれ」

「ちっ、ちょっと工藤君!勝手に決めないでよ!」

 

 もしユイという女が例の組織の人間なら、これまで以上に警戒しなければならない。

 だが、もし何の関係もなかったら?もしかして、強力な助っ人に、なってくれるかもしれないじゃないか!

 

 オレは一人、そんな事を考えていた。

 

 


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