【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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お久しぶりです。

実は国防の最前線へといくことになり、その教育の間はパソコンも触れず、稀に帰ってきても書ける暇がない状況でした。

ですが、少々分け合って退役してきましたので、また書き始めていこうかと思います。


16話 古戦場

仕事を終えたミッチェル達はヨナのいる第2制御端末室にいた。結論から言うと『仔猫(キティ)』を捕えることに成功した。ティオがエイオンシステムを限界まで性能を引き出して、仔猫を追い詰めてヨナが捕えた

 

だが、居場所を特定された腹いせか最初から手の平の上だったのか、相手に遊ばれていた。その証拠にアドレスを割り出したログに奇妙な添付ファイルがあり、その中には『Congratulations!』と書かれた画像ファイルがあった。それをみたヨナが情けない声を上げながら倒れる音がスピーカーから聞えていた

 

「やられたな、相手の方が一枚上手だった訳だ」

 

ヨナがソファーの上で駄々をこねているのを見ながらミッチェルが言う。しかし、あの腕前はウィザード級レベルであると考えていた、そんな人物がいる中では普及すら出来ていない状況での端末のファイヤーウォールも役に立たないと溜息を零しながらミッチェルは思っていた

 

「しかし、仔猫の居場所がローゼンベルグ工房とは……そこまで端末が普及しているとは初耳だが」

 

ヨナの報告にアドレスを解析し、アクセスポイントを割り出した場所がローゼンベルグ工房……そこに仔猫がいるという結論となった。ティオの説明では『導力ネットワーク』網はクロスベル市内とウルスラ病院くらいだと言う

 

「(ローゼンベルグ工房……仔猫……そして、あの画像……)」

 

ミッチェルが口に手を当てて考え込むのは、その不可解な場所、仔猫という存在、添付されていた画像の共通点である

 

「(まさか……いや、しかし……)」

 

その思考に浮かび上がった人物に激しく疑問を持つ。ティオやヨナという存在がいる以上、可能性はゼロではない。しかし、画像の黒ウサギに仔猫とうハンドルネーム、この二つからしても連想できる人物は1人であり、さらに場所がローゼンベルグ工房となると筋が通るのだ

 

「まぁ、謎は残されましたが収穫はあったみたいで何よりです。それでは報酬を頂きましょうか?」

 

ティオがヨナに報酬を請求する。謎が残り証拠もない状況で犯人を決めつけるのは時期尚早であるとミッチェルは判断し、ひとまず置いとくことにした

 

「はぁ……わかったつーの。アンタらの助けがなかったら、ここまで辿り着けなかったしな」

 

ヨナが記録結晶を置く。そこにミッチェル達が興味を示す情報がある……ミッチェルは結晶を手に取り、部屋を後にした。支援課に帰ってきたミッチェル達が合流したロイド達と共に記録結晶の中身を見る

 

「……たしかに、これは興味を示す情報だな」

 

その内容はルバーチェの会長であるマルコ-ニやガルシアの情報に、繋がりの深い帝国よりの議員であるハルトマン議長の詳細な情報があった。それに加えて、武装や勢力範囲まで事細かに書かれていた

 

「……待ってください」

 

するとティオが何かに気づいた。何事か思っていると

 

「渡された記録結晶の中に隠されたデータがありました……後でおしおきしないと」

 

お仕置きはさておき、隠しファイルの存在に気付いたティオが、そのファイルを開く。そのタイトルに全員の目が見開いた

 

「これは、黒の競売会(シュバルツオークション)!?」

 

ロイドは、その文字を見て表情が硬くなる。ミッチェルがそのファイルの中身を開くようにティオに言い、中身を確認する。その内容が創立記念祭の最終日にルバーチェが開催しているオークションであり、保養地ミシュラムにあるハルトマン議長の大邸宅を貸し切って開催される。出品される品は一流の物ばかりだが、綺麗(・・)な品ばかりではない。また、周辺諸国の貴族や資産家が多く招待され、『金の薔薇』が刻まれた招待カードがない限り、中に入ることは出来ないと書いてある

 

「……出品される品は盗品等が大半だろう。ルバーチェや、繋がりのある議員を一斉検挙できる場でありそうだが、問題は招待カードだな」

 

その内容を見終えたミッチェルが言いうが、そんな簡単にはいかないとも理解していた。こんな大々的にしており、毎年おこなわれているなら捜査一課が気づかないはずがない。警察とマスコミには厳重に規制をかけているのだろうと容易に推測できた。ロイド達もどうするべきかと頭を悩ませていると

 

「やれやれ……まさか自力でそこまでたどり着いちまうとはな」

 

その声にミッチェル達は振り向くと、セルゲイの姿があった。一通り話してやると言われ、ロイド達が執務室へと集まる。セルゲイが記録結晶の中身をみた内容は全て事実であり、適格に纏められているという

 

「で、でも……警察の上層部の人達は既にこのことを掴んでいるのですよね?」

 

エリーが少し困惑した様子をしながら尋ねると

 

「ああ、全員とは言わねぇがな。警部クラス以上はもちろん、一課の連中は全員知っているハズだ。遊撃士協会だって受付やアリオスあたりだったら、とっくに承知してるだろ」

 

ロイドが歯を噛みしめながら、目の前のが『壁』であることを理解し、セルゲイがこれまでにないデカい『壁』であるという。更に、これまで何をしようとも口出しをしなかったセルゲイが『黒の競売会(シュバルツオークション)』には手を出すなという。それにロイド達は納得いかずに反論するが

 

「……そこまで危険なのか」

 

静かにミッチェルがセルゲイに尋ねる。これまで口出さなかったのは、セルゲイから見て問題なしと判断していたからこそ口出しをしてこなかった。だが、今回の案件で口出ししてきたのはロイド達では実力不足であるという意味であるとミッチェルは推測していた。セルゲイはその問いに頷き

 

「お前たちには荷が重すぎる」

 

それにまだ納得のいかないロイドが食い掛かろうとするが

 

「おいおい、課長。言葉を間違えてるんじゃねぇよ。俺達に荷が重いってより、警察そのものが動けなぇんだろ?」

 

ランディがセルゲイに問いかける

 

「……」

 

セルゲイは沈黙するが、それが答えであった

 

「それだけの有力者を招待して、しかも実質的主催者の一人が、あのハルトマン議長……そんなの動けるわけがないわ」

 

エリィの言う通り、相手は警察上層部と深く関わりがある有力者達。警察組織である捜査一課は勿論、どの部署の人間も動けずにいる現状であるのは明白であった。更に遊撃士協会も民間人に被害に逢わないかぎり動けないのだ

 

「し、しかし!?」

 

まだ食い下がるロイドに

 

「悔しいのはお前だけではない、捜査一課の連中は恐らく長年苦汁を舐めさせられている。ここで何を言っても事件は解決しない」

 

ミッチェルがロイドをたしなめる。ここでセルゲイに何を言っても状況は好転しないと言う、それにロイドは拳を握りしめて無理やり納得するように頷く

 

「実際、下手に手を出しちまったら支援課ごと潰される可能性は高い。だから、今回ばかりは俺もお前らを止めざる得ない」

 

部屋には沈黙が支配する。誰もかれも納得していない表情をしていない

 

「……納得しろとは言わない。だが、現状を直視し、自分たちに何がどこまで出来るか見極めるってのも時には必要だ。そして、その悔しさを忘れない限り、いつかきっとチャンスは来るだろう。お前たちが諦めなければ、な」

 

セルゲイの言葉にロイドは、この件に首を突っ込まないと言う。セルゲイがミッチェルだけ残るように言うと他のメンバーの退出を言い渡す。執務室にミッチェルとセルゲイだけになると

 

「すまんが、あいつらが無茶しないように見張っといてくれ。いま冷静に判断できるのはお前ぐらいだ」

 

口では首を突っ込まないといったロイドだが、もしもの可能性を考慮してのセルゲイの要請であった

 

「最前は尽くす、今回の件がいかにヤバイかは分かっているつもりだ」

 

元の世界であくどいことをしている連中や裏社会をしっているミッチェルから見ても、今の戦力では分が悪いとしか言えなかった。もし、ゴーストのユニットがいれば話は別だが、そんな『if』など考えるだけ無駄であるとミッチェルは内心溜息を吐く

 

「頼むぞ、今はお前が頼りだ」

 

セルゲイの言葉にミッチェルは頷き、部屋を後にした

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

部屋に戻り、寝たミッチェルは部屋の中に気配を感じた。直ぐに目を開き、枕の下に忍ばしていた拳銃を握って、気配のする方を見ると

 

「……おはようございます」

 

そこには杖を掲げたティオの姿があった。ミッチェルは拳銃から手を放して、起き上がると

 

「どうした?何かあったか?」

 

朝からティオが来るのは初めてではないが、それは用事があってのことであった。何か用事でもあるのかとミッチェルが聞くと

 

「い、いえ……そろそろ起きなくてはスコットさんがミーティングまでに準備がおわらないだろうな、と」

 

どこか、しどろもどろしながら言うティオに疑問を感じながらも時間を確認する。朝のミーティングの30分前であり、寝過ごしたと理解する。夜遅くまで整備と今後の活動についての案を考えていたのが原因だろうと判断する

 

「すぐに準備する。下で待っていてくれ」

 

ベッドから出て、服を着替えようとするが、ティオがその場から動かないのに首を傾げる。どこかモジモジしており、何かを察したミッチェルがティオの頭を撫でる

 

「部屋に来たのは起こしに来てくれたのだろ、ありがとう」

 

感謝の言葉を言い、頭を優しく撫でる。するとティオの頬が赤くなりだした

 

「とにかく、昨日のことは置いておき、目の前に任務に集中していくぞ」

 

そう言いながら、頭を撫でると頬を赤らめながら

 

「分かりました、スコットさん」

 

と返事をして部屋を出て行った。その足どりは機嫌がよさそう見てわかる程だった。準備を整えて、4日目の支援要請を片付けていく。

 

窃盗事件の捜査を終わらした後に、観光者が行方不明との連絡が入りアルモリカ村へと向かう。宿屋の店主であるゴーファンの話によると一組のカップルが『古戦場』とやらに行ったらしく、そこは危険な魔獣が徘徊しており村の人間でも近付かない場所だと言う

 

「……確かに情報通りだな」

 

古戦場へと向かったミッチェル達は、徘徊している魔獣が街道にいる魔獣よりも相当厄介であると理解できる程に実力差があるのだ

 

「こりゃ、早く見つけないとヤバイな」

 

奥にそびえる塔を見ながらランディが言う。これほど危険な魔獣が徘徊しているのなら、襲われでもしていたら一貫の終わりである

 

「フロントは私がやる。縦列隊形(カラム・フォーメーション)だ、テールガンにはランディがつけ」

 

一刻の猶予もない状況である現状、迅速に移動ができるカラム・フォーメーションで敵陣突破を指示する。いくら目の前の魔獣が強かろうと、先制して銃撃を浴びせ続ければ無傷で勝利できる。更に、大型魔獣用のカールグスタフも用意している状況では道中の魔獣は大した障害などではなかった

 

「オラッ!」

 

目の前に立ちふさがる魔獣をランディが吹き飛ばす。階段を上がると、端に倒れている女性と遊撃士らしき人物がいた。先ほど宿屋であった遊撃士のスコットであり、遊撃士の方にも捜索の依頼がだされていたのだ

 

「君達か、随分早かったな。彼女は共和国で発行されたパスポートを所持していた。どうやら観光客の片割れらしいな」

 

幸い魔獣に襲われかけている所をスコットに救われ、怪我は内容であった。女性をスコットに任せ、ミッチェル達は奥に逃げたであろうもう一人を探しに行く。奥へと進んでいくが一向に見当たらず、何処かに隠れているのを見落としたのかと思っていると

 

「だ、誰かー!助けてくれー!」

 

男性の叫び声が聞こえ、声がした方へと走る。その先には壁へと追い詰められた男性と、それを囲むように滲みよる魔獣がいた。ミッチェルが直ぐにSIG550を発砲、一匹に命中して注意を引き付けた

 

「クロスベル警察の者です!我々が引き付けている間に早く!」

 

ロイドが男性に逃げるよう言い、男性は一目散に逃げていく。四匹の魔獣が一斉に咆哮を上げる

 

「くっ!なんだこの魔獣……迫力がまるで違うぞ!」

 

道中や街道の魔獣とは一線を画す迫力にロイドが冷や汗を流す。小型の恐竜モドキを古代の魔獣ではないかと危惧するエリィだが

 

「話は後だ、楔型隊形(ウェッジ・フォーメーション)。相手に隙を与えるな」

 

目の前の魔獣が何であれ、討伐対象には違いない。カールグスタフを構えて撃つ、爆発で二匹の魔獣の動きを止める。大ダメージを与えている程ではないが、十分にダメージを与えられている。残り二匹はロイドとランディが足止めをしていおり、順調にダメージを蓄積しているが、それも長くは続かない

 

「リロード!」

 

残段数が0となったカートリッジを交換しようとするミッチェルに足止めされていた二匹の魔獣が襲い掛かるが、ミッチェルは既にあるものを転がしており、魔獣達に背を向けていた。すると突然魔獣達に激しい閃光と爆音が襲う、スタングレネードを直撃した魔獣達は突然視覚と聴覚が奪われ混乱している。援護に徹しているエリィとティオにはハンドサインで伝えており、閃光を防いでいた

 

「レディ!」

 

リロードが完了したことを声にだし、未だ混乱している魔獣にゼロダークを抜いて突き刺す。スタンを最大で流し込み、体を痙攣させホルスターからM39を抜き、頭部に乱射する。マガジン1つ撃ち切ると、その巨体が力無く地面へと崩れ落ち、横たえた。残り三匹となり状況を確認する、ロイドとランディが二匹の足止めをしており、一匹はスタンしたままである。

 

「ティオはア-ツで2人の援護、エリィは目の前のを足止めだ」

 

リロードしながら指示をだす。広範囲に攻撃できるティオなら足止めしている二匹をより効率的にダメージを与えられ、一匹だけならエリィと二人で対処可能と判断した。ティオがアーツの発動準備を始め、エリィが足止めしている間に、ミッチェルがカールグスタフを構える。動きが止まっている目標に当てるのは簡単であった、全弾命中し崩れ落ちていく魔獣であったが、ミッチェルはある問題点に気づいていた

 

「……随分とタフだな」

 

と愚痴る。大型タイプでなく小型と中型の間のようなタイプでありながら、その耐久性は導力砲を全弾もちいてやっと倒せる程であった。頭部のような急所でも何発も撃ち込む必要があり、残り二匹だが持久戦になると考えていた。

 

「エリィとティオはロイドの援護、前衛二人は下がれ」

 

ポーチからグレネードを取出しピンを抜く、ロイドとランディが下がったのを確認し、二匹の間に投げる。二匹の間で爆発した衝撃で二匹は共に反対側へとたたらを踏んで怯み、そこへランディとロイドが襲い掛かり分断する。一匹ずつ別れて対処し確実に仕留めていく作戦にしたのだ。二匹ともダメージが蓄積しているのが確かなのだが、足止めしていたランディとロイドも傷を負っていた。故にサポートができる二人を経験の浅いロイドに付け、ミッチェルはランディと共に短期決戦へと持ち込んだ

 

「援護する、思う存分攻めろ」

 

SIG550を手に持ち、援護に集中する。それを聞き、ランディは笑みを浮かべ

 

「よっしゃ!後ろは頼むぜ!」

 

ハルバートを持ち直し、魔獣へと突撃する。魔獣も咆哮を上げてランディへと突撃する、だがミッチェルが膝撃ち姿勢(ニーリング)して発砲。魔獣の膝へと撃ち込み、それにより魔獣が転倒、その隙にランディがハルバートを振り上げ

 

「おらぁっ!」

 

力いっぱい振り下ろした。渾身の一撃が魔獣の首へと打ち付けられ、魔獣が悲鳴を漏らす。そこへすかさず連撃を叩き込むランディ、起き上がり噛み付こうとする魔獣の目元にミッチェルが撃つ。ワザと目を狙わずにその周りを狙い撃ち、怯ませたのだ

 

「おらおら!どうした!」

 

身動きが取れない魔獣を一方的に攻撃するランディ、魔獣も関節部や目元に口の中など弱点を立て続けに撃たれて、まともに動けずにいた。それでも強引にランディへと噛みつこうとするものの、ミッチェルが足の爪の根元へとピンポイントで撃ち抜き行動を妨害する

 

「相変わらずいい腕だな……とっ!」

 

その射撃の腕前を褒めながら、一回転して遠心力を加えた一撃を魔獣の頭部にクリーンヒットさせる

 

「グギャッ!」

 

その一撃にたじろいいで、足元から崩れ落ちる。それに追撃を加える形でランディが力を込める

 

「おらぁっ!クリムゾンゲイル!」

 

渾身の力を溜めた炎の衝撃波が無防備の魔獣に襲いかかり、その威力に魔獣はなすすべもなく横たえた。残りの一体の方を見ると

 

「だぁぁぁぁぁぁ!タイガーチャーージ!」

 

ロイドが怒涛のラッシュからの最後の一撃が決まり、最後の魔獣も崩れ落ちた

 

「これが俺たちの力だ!」

 

肩で息をしながら堂々と言うロイド、激しく厳しい戦いであり、前線で壁となり戦っていた男三人は体中が傷だらけで服に血が染みている状況であるが、保護対象を守り後衛二人も攻撃に晒すことなく勝ったのだ。この戦闘で大きく成長できたかとミッチェルが内心安堵ていると

 

「……グルルル」

 

獣の声が聞こえ、すぐさま振り向き銃を構えると魔獣達が起き上がり始めていた

 

「な、なにッ……!?」

 

起き上がった魔獣を見てロイドが、驚愕の表情をする。起き上がった一体が咆哮を上げる、その威圧にティオとエリィが尻餅をつき、ランディとロイドも武器を構えるが、その疲労は目に見えていた

 

「こんなヘトヘトの状態でもう一戦ってか……!?」

 

舌打ちをしながら苦しげな顔をするランディ、ロイドは何とかしてこの場を切り抜けようと思考を巡らせた矢先、銃声と共に咆哮を上げた一体の頭から鮮血が舞い、その場に倒れて消えていった。通常なら魔獣から鮮血が舞うはずがない、何故なら非殺傷されている武器では昏倒して消えていくのだ。血が出る……それは殺傷設定で『殺した(・・・)』のだ。その銃声のした場所には銃を構えたミッチェルがおり、その目つきは通常の戦闘とは違うものであった

 

「スコット……さん」

 

その滲み出る雰囲気にティオが困惑するかのように名前を呼ぶ。目の前の人物が、自分の知っている人には見えず、ミッチェルの背後には黒く死の気配を感じさせる亡霊らしき姿が見えていた。それは幻影だろうかとティオが瞬きするとその亡霊達は消えていた。その亡霊は初めてあった時の恰好に似ていたが、姿は別人であるように思えた

 

「ふーッ……」

 

息を掃き出し、思考をクリアにしていくミッチェル。獣の声が聞こえた瞬間には殺傷設定へと切り替えており、咆哮を上げた時には襲い掛かってくると判断し、排除した。久々に感じる戦場の雰囲気にミッチェルは……どこか懐かしさを感じていた。帰ってきたのだと……そう片隅で考えながら、残り三体は明らかに自分を警戒しているのだと察したミッチェルが排除した個体の後ろにいた一体に照準を合わせる。それに本能で危険を感じた魔獣が走り出したが、先を見据え、偏差射撃にて頭を撃ち抜く

 

「……Target down」

 

口から自然と言葉が漏れ、残り二体の方を見ると、他のメンバーを無視しミッチェルに襲い掛かろうとしていた。迫りくる死から慌てることも恐れることもなく、精密機械のごとく標的へと銃口を向ける。今にも食らわんと大口を開けながら……しかし、それは銃声と共にミッチェルの視界から消え去った。即座に銃声をした方を確認すると、スナイパータイプの導力銃を構えたスコットの姿があり、その後ろには保護対象のカップルがいた。すると横を通り過ぎる何かを捉えたミッチェルが追うように振り向くと

 

「斬―――!」

 

声と同時に魔獣が切り刻まれて消える場面と、残身をする黒髪の男性……アリオスの姿があった

 

「……どうやら間に合ったようだな」

 

刀を鞘に納めながらロイド達の方を向く

 

「つ、つーか……なんでオッサンがこんなトコにいるんだ!?」

 

突然現れたアリオスにランディが少し戸惑いながら尋ねると

 

「助けた相手に対して随分なご挨拶だな……ギルドで依頼を確認したらスコットがこちらに来ているといううのでな。厄介な場所だから、助太刀がいるだろうと思って追って来たというわけだ」

 

スコットへの応援に駆け付けた所、この場面に出くわしたのだと言うと

 

「……助かりました。どうもありがとうございます」

 

エリィやティオは助けてくれた礼を言うが

 

「いやいや、流石にタイミングよすぎだろ!オッサン……まさか、タイミングを計ってたんじゃねぇだろうな~!?」

 

軽い感じで問い詰めるランディであったが、危険な戦闘を切り抜けた安堵の感じであった

 

「ハハ……どうかな。だが……」

 

口元に笑みを浮かべながらアリオスが言うと、ミッチェルの方を向く

 

「……助けは必要なかったかもしれんな」

 

アリオスが見たミッチェルの姿は背筋に冷たい汗が流れる程であった。精密機械のごとく動き、迫りくる死に汗ひとつ流さずに踏み出す姿……何よりもその雰囲気を感じ取ったアリオスはミッチェルの実力の片鱗を感じ取ったのだ

 

「そんなことはない、危険な状況だった。もし5分でも遅れていたら、大怪我では済まない事態になっていた」

 

最悪の状況での援軍であり、ウルスラ病院へ搬送される危機であったと言いながら、ミッチェルは別のことを考えていた。殺傷設定にして己自身を切り替えた時、懐かし感じがあった。戦場の雰囲気でのことではなく、懐かしき人に出会ったような感触であったと……

 

「とりあえず、みんな無事そうだな」

 

スコットがカップルを連れてくると、ロイド達が無事な様子を確認した。その時にカップルの女性がスコットの姿に見惚れてしまった様子で一悶着あり、手柄もアリオス達遊撃士に持っていかれたが

 

「結果オーライってやつです」

 

終わり良ければ総て良しであるとティオが言い、それに同意であるミッチェルも相槌をうった

 

「……」

 

すると、アリオスが何か考えている素振りをしており

 

「どうした?」

 

それに気づいたミッチェルが問うと

 

「いや……なんでもない」

 

首を横に振りながら返答し

 

「それよりも、早く彼らをアルモリカ村に送った方がいいだろう。……特務支援課、後ろの警戒は頼むぞ」

 

この場は魔獣が再び現れる可能性があり、直ぐに戻るべきだとアリオスが言い、それに同意したロイド達もアルモリカ村まで護衛で後方と側面の警戒に当たった。何事もなく無事にアルモリカ村の宿屋に到着し、カップルの二人が部屋へと戻ると

 

「無事に観光客を連れ戻してくれて助かったよ。皆さん、どうもありがとな」

 

店主であるゴーファンが安堵した表情をしてロイド達、特務支援課に礼を言った。大切な客人に何かあったらと不安な様子でもあったので、怪我なく無事に戻ってきたことに胸を撫で下ろしていた

 

「いえ、そんな。ほとんどスコットさんとアリオスさんのおかげですし……」

 

当の本人達はカップル達の様子を見ており、その面倒見の良い所が遊撃士ならではかもしれないとエリィが言う

 

「とりあえずだ、任務完了だな」

 

ミッチェルが任務を終え、一息つけるなと思ったが

 

「ええ、ですが……問題が一つあります」

 

ティオが懸念があると言い

 

「今回、警察とギルドの共同任務という形でしたが……最終的にはどういう判断になるのでしょう?」

 

警察と『遊撃士協会(ギルド)』の両方に依頼がいっており、共同して達成したはいいが、それはどちらの依頼であるかとティオが問う。それに一同がどうするべきかと頭を捻らせ

 

「うーん……さっきも言ったけど……今回の依頼はスコットさんとアリオスさんがいなかったら解決しなかったはずだ。だったら今回は彼らが依頼を達成したということに……」

 

リーダーであるロイドが今回はギルドの方が達成したという考えであり、それに他のメンバーも反論する気はなかったが

 

「それには及ばない」

 

階段から降りてくるスコットがそれに声をかける。アリオスとスコットが話し合った結果、今回の依頼達成は警察側であると言うのだ

 

「いいのですか?スコットさん達がいなければ依頼は達成出来なかったですし……」

 

それにロイドが尋ねると

 

「そんなことはないさ、君たちが先行してくれていなければ私が女性の介抱に専念できなかったし、もう一人の彼を救うのが手遅れになっていたさ」

 

古戦場の奥まで先行していき、魔獣の足止めをして保護対象の逃げる時間を稼いだロイド達が一番の功労者であると言うのだ。するとアリオスがゴーファンにカップル二人が深く反省して、改めて謝罪したいと伝えると

 

「……ロイド・バニングス」

 

アリオスがロイドの名前を呼ぶと、ロイド本人は何事かと首をかしげる

 

「ジオフロントで会った時のお前は、勝ち目のない魔獣に対して安易な自己犠牲をするようなふちがみうけられていた……だが、今回は勝てないしろ切り抜ける方法を探すかのように感じた」

 

ロイドの成長具合を見たアリオスが口元に笑みを浮かべながら言うと

 

「特務支援課じたいが最初に会った時より少しマシになったようだ……よい教官もいるからな」

 

そういいながらミッチェルの方を向く

 

「それは私のが指導したからではない、本人達が見せたやる気と場数があったからこそだ。私がいなくともロイド達は自分たちで成長していた」

 

珍しく褒める姿にロイド達は照れていた、同じ18歳には見えないとも考えながら

 

「さて、任務も終えたし帰るぞ。次の要請が待っている」

 

ミッチェルが言うと、ロイド達も宿屋を出た。その並んでいる姿は正しく『戦友』であるかのように




地元に帰ってきたらやりたいことや欲しいものが多くてこまるものです。

さて、実はローン・サバイバと言う映画を見たのですが、見入り共感する処がある映画でした

私も元いた場所で得た同期の為にと言われると、確かにと思い、仲間の大事さを学んできましたから

ブラックホーク・ダウンに続く個人的に神作な映画でした、見ていない人に是非オススメしたい一作です。レンタルよりも買うかと迷うレベルですし。

では次回まで気長に待っていただけたら幸いです
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