【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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5話 特務支援課

「何故お前がここに?」

 

特務支援課として最初の任務をこなすべくミッチェル達はこの場にいた。だが、現れた大型魔獣を一瞬で倒したのはアリオスであり、救援要請をしていないのに同じ警察官である彼が此処にいる理由が分からないとミッチェルが思っていると

 

「す、スゲー!流石アリオスさんだぜ!」

 

リュウとアンリがアリオスの方へと駆け寄り、賛辞を呈する。少年達の姿と褒めちぎる言葉に溜息を洩らし

 

「スマンが、話は今度だ。ミッチェル」

 

そう言い、アリオスは少年達と共に来た道を戻っていた。その光景にロイド達が唖然と見ていた

 

「かぁ~、なんてオッサンだよ。纏ってるオーラが尋常じゃないって言うか……」

 

ランディが頭を手で押さえながら言う。五人掛かりで、ようやく倒せるであろう大型魔獣を一瞬のすれ違いざまで倒したのだ

 

「……腕前の方も尋常ではありませんでした」

 

その攻撃の瞬間や動きを目で追えなかったティオが溜息をつきながら言う

 

「斬った……でいいのか分からないが、16回の攻撃は見えた」

 

攻撃の瞬間と斬った回数を言うミッチェル。動体視力は戦場で敵兵を見つけたり、僅かな動きを察知する為に常人どころか軍人の中でも相当よい方である。故に攻撃の瞬間と回数は捉えることができた

 

だが、今の16回の攻撃を一瞬のすれ違いざまにできるかと問われれば不可能であると答えるであろう。それをしたアリオスを本当に同じ人間なのか疑わしく思っていると

 

「は~、よく見えたな。しかし、いったい何者なんだ、あのオッサン」

 

ランディが感心しながらも、去って行った方を向いて言うと

 

「そう、あれが……」

 

しっている口ぶりで言うエリィ

 

「お嬢、しっているのか?」

 

その言い方にアリオスが誰なのかをランディが尋ねると

 

「名前ぐらいだけど……ね。というか何で私をそんな風に言うのかしら?」

 

自分へのあだ名が何故そんなのかを聞く

 

「いや、何となくノリで」

 

場を和ませる為なのか、わざとなのかは分からないが、笑いながら言う。だが、ミッチェルはアリオスが警察の人間ではなかったのかと考えていると

 

「アリオス・マクレイン……クロスベルタイムズで何度か読んだことがあるよ。遊撃士協会・クロスベル支部に所属する最強のA級遊撃士……市からの信頼も厚く、真のクロスベルの守護者、『風の剣聖』アリオス・マクレインだ」

 

その正体にロイド達は何も言えなかった、自分たちとは違うレベルの人間であるという現実を叩き付けられたからだ

 

ロイド達も来た道を戻り、ジオフロントから出ると、日も落ちて夕焼けがクロスベルを包んでいた。すると階段付近でシャッター音が聞こえてくる

 

「いや~アリオスさん!またしてもお手柄でしたねぇ!ずさんな市の施設管理の下、危機に陥ってしまった少年たちを鮮やかに救出した手際のよさ!最新号にバッチリスクープさせてもらいますから!」

 

カメラのシャッターを切り続ける女性はアリオスと少年達を写しながら言う。その言動から彼女がマスコミの人間であるとロイド達が思っていた

 

「……グレイス、あまり騒ぎを立てないでくれ。確かに市の管理も問題だが、この子達の行動にも問題がある。偏った記事には関心しないぞ」

 

溜息をつきながら、偏ったことを言うグレイスに注意を言うが

 

「いえいえ、あくまで読者のニーズに応えているだけですから。それに……今回は面白いゲストもいるみたいですから」

 

グレイスがロイド達の方を向き、口元に笑みを浮かべて近づいてシャッターを切る

 

「クロスベル警察の未来を背負う『特務支援課』初めての出動!しかし力及ばす、いつもと同じように遊撃士に手柄を奪われるのだった!あぁ、未熟さを痛感した若者達は果たして、この先に待ち受ける数々の試練を乗り越えられるのか!?」

 

その言い方は、ロイド達が碌に仕事などできず、遊撃士のお蔭で事件が解決したというのだ。それに加え誹謗中傷じみたことを言い、ロイド達の表情がムッとなる。するとグレイスはミッチェルの方を向き

 

「完全な武装を整えて出動に挑むも、その実力不足に力およb」

 

喋りながらシャッターを切ろうとしたが、レンズを掴まれた。グレイスは行き成りの行動に文句を言いそうになるが、ミッチェルの睨む目線に冷や汗を流す

 

「肖像権侵害、名誉毀損,信用毀損,侮辱……」

 

ミッチェルの口からは次々と言葉が並べられていき

 

「どれで逮捕されたい?好きなのを選べ」

 

有無を言わせない圧力をグレイスに向けながら静かに言う。それにグレイスは冷や汗を流し続けるものの

 

「そ、それは横暴じゃないかしら?私は記者であり、真実を国民に伝えるのが義務ですから」

 

記者根性とでも言うべきか、なんとか言い返す。するとミッチェルはカメラから手を離し

 

「なら挑発するようなことを言うな。何を書こうが勝手だが、その言い方は誤解を招くぞ。お互い、衝突は避けたいだろ?」

 

此方の仕事を一方的に叩くのは果たしてどうなのかとミッチェルが言う。すると

 

「そこまでにしておけ。一応、この子達を最初に助けたのは彼らだ」

 

予想外にアリオスがロイド達を庇うが

 

「まぁ、つめは甘かったがな」

 

嫌味を言うのも忘れなかった。それにロイドの表情が強張る

 

「あらら、やっぱりそうなんだ。ま、記事で色々書くと思うけどあまり気にしないでね?お姉さんからのエールだと思ってこれからも頑張ってちょうだい」

 

冷や汗が引いて、笑いながら最後にと写真を一枚とり、アリオス達とこの場を去っていった

 

「何なんでしょ、いったい」

 

去っていく背中をジト目で見ながらティオが言うと

 

「俺達のことをピエロに仕立てようって(ハラ)みてぇだが……」

 

先ほどのグレイスの言葉にランディも不満を隠せなかった

 

「気にするな、あることないことを書いて食っているのがマスコミだ。気にするだけ無駄だ」

 

溜息をつきながらミッチェルが言う。世界が変わろうとも人がのやることは変わらないと思わずにいられなかった

 

「とにかく、セルゲイ課長の課題はクリアしたし、警察本部に戻ろう。子供達の件もきちんと報告……」

 

話を切り上げ、警察本部に戻ろうと思った矢先にベルが鳴る。音の発生源を取り出すと、エニグマからベルが鳴り響いていた

 

「そこの赤いボタンを押せば通信モードに切り替わります」

 

どうすればいいのかロイドが困っているとティオが使い方を言う。言われた通りに赤いボタンを押すと

 

「えっと……ロイド・バニングスです。セルゲイ課長ですか?……あっさっきの……ふ、副局長?……はい、わかりました。すぐ向かいます」

 

ロイドが通信をきると

 

「いったい何があったの?」

 

その通信内容をエリィが尋ねると

 

「いや、警察本部で副局長が俺たちを呼んでいるって」

 

警察のナンバー2が読んでいることに驚きながら、何故呼ばれたのか検討がつかないままロイド達は警察本部へと向かう

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……まったく!いったい何のつもりだね!?」

 

警察本部にいる副局長に呼ばれる程だから重要なことなのかと思い、副局長室に入った第一声がこれである。豪華な装飾が施され銃や剣が壁に掛けられており、内装も警察の執務室と思えないほど豪華であった

 

キツネ顔の副局長であるピエールが横一列に並んだロイド達に小言を言っていく

 

「任務に関係ないことに首を突っ込んだあげく、あのアリオス・マクレインに手柄を持っていかれて!お、おまけに『クロスベルタイムズ』にすっぱ抜かれてしまうとは!」

 

随分と情報が早いなとミッチェルは思いながら聞き流していた。この手のタイプはアメリカにもいて慣れており、聞き流して相槌を打っておけば終わる。ランディやティオはめんどくさそうに聞いており、ロイドとエリィはグッタリしていた

 

まだ30分も経っていないのに、それだけ情報網が広いのかと別のことを考えている間にピエールの小言が一旦止まり、なにやら独り言を呟いている

 

「君たち、悪いことは言わない。『特務支援課』への配属を一両日中に辞退したまえ」

 

すると、意味不明なことを言い出し、ロイド達は驚く。流石に納得がいくはずもなく、説明を求めると

 

「そのままの意味だ。どうせ半年も保たない部署だ、絶対に出世の役には立たないぞ。それどころか、問題に巻き込まれて経歴を汚す可能性もある……バカバカしいとは思わないかね?」

 

その言動がバカバカしいとしか思えず、キーティング将軍の下で働けた自分が本当に幸運であったと認識せざるを得なかった

 

まだ何か言っているが、聞くだけ無駄だと判断して部屋から退出した。エレベータで一階へと降りたロイド達は溜息しか出なかった。仕事をして子供を保護したと思ったら遊撃士に全部持っていかれて、副局長には小言と辞退を言われ、踏んだり蹴ったりな日だとランディが愚痴を言うと

 

「よぉ、新人ども。災難だったみてぇだなぁ」

 

グッタリしていたロイド達に声を掛けたのは二人組の男であった

 

「ドノバンだ。捜査二課に所属している」

 

髭を生やしたベテラン風の男が名乗り

 

「同じく二課のレイモンドだよ。へ~噂には聞いてたけど、こんな小さな子までいるのか」

 

金髪の青年が名乗り、ティオを見て珍しそうにすると、ティオがムッとなり不機嫌になる。ロイドを初めとして自己紹介をする

 

「ようこそ、クロスベル警察へ。そうか、オメーがあの……」

 

ドノバンがロイドを見て懐かしむように言うと、ロイドとレイモンドが不思議そうな顔をする

 

「……いや、なんでもねぇ。しかし、セルゲイのヤツも無茶なことを考えるぜ。こんな新人共ばかり集めて市民の人気取りとはなぁ」

 

苦笑いしながらドノバンは言うが、ロイド達には初耳であり驚きを隠せなかった

 

「なんだ……まだ話を聞いてないのかよ?う~ん、マズイ事を言っちまったか?」

 

頭の後ろを掻きながら困った顔をする

 

「ま、大変だと思うがセルゲイに付き合うかどうか、一応考えてみてやってくれ。ただ、無理はすんなよ?何だったら纏めて二課で引き取ってもいいからな」

 

ドノバンはエリィをナンパしているレイモンドの首根っこを掴み、引っ張りながらこの場を後にする。この事態が一体どう言うことなのか理解出来ず混乱していると、ロイドのエニグマのベルが鳴る

 

「もしもし、ロイド・バニングスです……えぇ、それはもう……じゃなくて、一体どこにいるんですか!?警察本部で待っているって言ったじゃないですか!?……荷物って寮ですか?……分かりました、場所はどこですか……は、はぁ、分かりました」

 

通信を切るとロイドは再びゲッソリした顔をして溜息を吐く

 

「課長から寮に荷物が届いているから、その場所で説明すると言ってる。とにかく行ってみよう」

 

ロイドの後を続いて警察本部から出る。図書館の前を通り、中央広場について、そのまま駅の方へと歩いていくと脇道にある階段を下りていく。そこにあったのは古い雑居ビルであった

 

「なんだ、ずいぶんボロイ建物だな」

 

ランディが溜息を付きながら言う。その見た目から古ぼけて大分前から建っているのが分かる

 

「築30年……取り壊し間近って所です」

 

ティオも見た目の劣化具合から何年前の物かを予想し、溜息をつく。すると玄関が開き中からセルゲイが出てきた

 

「おう、遅かったな。とっとと中に入れ、この『特務支援課』がどういった部署なのか……お前たちの疑問の全てにちゃんと答えてやるからよ」

 

建物の中へと戻るセルゲイに付いていき、部屋の中で『特務支援課』の説明が始まり

 

「市民の安全を第一に考え、様々な要望に応える部署!?」

 

セルゲイの説明にロイドが驚きの声を上げる。要すれば雑用係の部署みたいなものだからだ

 

「そう、それが新たに設立された『特務支援課』の行動方針だ。市民の生活に密着できるよう、こんな街中に分室も用意された。クク、なかなか合理的だろ?」

 

口元に笑みを浮かべながらセルゲイが言う。このビルの名前は『特務支援課・分室ビル』という名であり、警察内部や市民からの要望や依頼等の支援要請をこなしていくと言うのだ

 

「完全に遊撃士協会(ブレイサーギルド)の真似っていうか……」

 

「……ありていに言えばパクリですね」

 

この部署の行動方針が他の所と丸被りであるとティオとエリィが言う。遊撃士協会とは傭兵の集まりか、PMCみたいなものだとしか認識していないミッチェルは話についていけなかった

 

「知っているかもしれんが、現在このクロスベルにおいて遊撃士協会の評判は大したもんだ。A級遊撃士アリオス・マクレイン……『風の剣聖』なんて呼ばれている男に加え、かなりの実力者がクロスベル支部に常駐している。それが警察のお偉方にとって何を意味するのか判るか?」

 

警察よりも遊撃士の方が人気で実力も上である。これがどういう意味なのかをセルゲイが尋ねると

 

「警察と遊撃士(ブレイサー)の比較、組織としての問題点。それによる市民の不満が警察に集中し信頼が下がり、それが政府にまでおよんでいる……と言う所か?」

 

遊撃士協会がいるお陰で警察の面子が丸潰れであり、それに伴う批判が国家組織である故に政府にまで批判がきているとミッチェルが言う

 

「なるほど、要はギルドのお株を何とか奪って市民への人気取りをしようって肚なわけだ」

 

上層部が何を欲しているかが分かったランディが言う

 

「概ねその通りだ。だが、警察の基本理念は治安維持と自治州法の遵守……市民へのサービスってのは本来、二の次ではあるわけだ。だからこそ、警察内部ではそうした人気取りを快く思わない声も多くてな、早くも散々な陰口を叩かれてるってわけだ」

 

この部署が人気取りの為にできて、それを快く思わない連中が多いと言うと

 

「だが、それを怠った結果が……いまの現状ということか」

 

溜息を洩らしながらミッチェルが言う。その市民へのサービスを怠った訳で、市民からの信頼が落ち、この部署ができたのだと言う

 

「指摘通りだな。副局長の奴に聞かされたと思うが、配属の辞退することは可能だ。正式に配属された場合やってもらう仕事は様々だ、今日みたいな魔獣退治や落し物探し、本部の手伝いなど細かい雑用もあるだろう。その気がない人間に勤まるとはとても思えんからな」

 

セルゲイが真剣な表情をする。様々な仕事を真剣にする者以外はいらないと言うことであった

 

「一晩、じっくり考えてみろ。明日の朝に結論を聞く」

 

そういうと退室するようにセルゲイが言う。納得していない表情でロイド達が部屋を後にする中

 

「……スコットさん?」

 

ティオがその場から動いていないミッチェルに気づき声をかけるとロイド達も振り向き、不思議そうにする

 

「先に行っていてくれ、少し用事があるだけだ」

 

ミッチェルの言葉にティオは頷き、ロイド達と部屋を出て行った。扉が閉まり、足音が遠ざかっていくのを確認し

 

「今日は済まなかった。あいつらの面倒を見てくれてありがとよ」

 

セルゲイは話し合いが今まで遅れたかとの謝罪とロイド達に付いて行ってくれた事と感謝した

 

「あの場で話を合わしてくれて助かった。だが、今まで何処にいたんだ?」

 

拠点近くから恐らく消えたことだろうとミッチェルは思い

 

「気を失ったと思ったら今日、森の中で目覚めた。その後に道を見つけ、クロスベル市に到着した」

 

普通なら、そんなこと信じられる筈などないのだが

 

「……あの場所から突然消えて、驚いたが……あの日から7年、今のお前を見ても全く歳をとった風には見えないからな」

 

7年の歳月が過ぎているにも関わらず、ミッチェルが身体的に歳をとったように見えなかったのだ。それに、ミッチェルが常識的なことを知らないことから何があってもおかしくないとセルゲイは思っていた

 

「と、するとティオは」

 

7年の時が過ぎたことに、共に戦ってティオが例の少女ではないかと尋ねると

 

「予想通りだ。あの子は、あの日お前が救った子だ」

 

頷いてセルゲイが答えると、無事に成長しているようで一安心したミッチェルは本題にはいる

 

「……今から言うことはデマカセの用に聞こえるかもしれんが、すべて真実だ」

 

前置きを置いて話す。自分がアメリカ合衆国陸軍の第7特殊部隊の人間で、大量破壊兵器の発射を阻止すべく自らの命を掛けて部下と共に阻止をした。だが、気を失ったらあの場所にいて、今現在にいたる

 

「……」

 

その突拍子もない話に驚きながらも、セルゲイは真剣な表情をして

 

「なにか証拠となる物はあるのか?」

 

ミッチェルが別の世界の住人である証拠があるのか聞くと

 

「私の世界には導力器(オーブメント)も無ければ、七曜教会という巨大な宗教団体もない。私たちの世界では車の燃料はガソリンであり、銃は殆どが火薬式だ。それに……」

 

背負っていたバックパックから折りたたまれた紙を取り出すと、それは世界地図であった。様々な場所に飛ぶミッチェル達ゴーストは世界地図を始め、各国のアナログな地図を所持していた

 

これが世界地図だと渡されたものをセルゲイが見て、大陸の地図とは全く違った。これと証言だけでは信憑性に欠けるが

 

「……ここで嘘をつくメリットは無いか。それが事実だとしてお前はどうするんだ?」

 

巨大なバックもなければ天涯孤独の身となってしまったミッチェルは、この世界でどうするのかを聞くと

 

「まずは元の世界に戻れる手がかりを探す。その間はここに置いてほしい」

 

それにセルゲイは無言で聞き、話を続ける

 

「この部署はフットワークが軽そうだが、それ故に大きな事件に首を突っ込む可能性がある。実力者がいる方が有利だと思うが?」

 

ミッチェルは自分自身の培ってきた能力をセルゲイに貸すという。数多くの紛争を経験してきた能力と判断力は紛れもない力であり、それは魅力的であった

 

「それに……彼らとは上手くやれそうだ」

 

ミッチェル自身もロイド達と共に仕事をするのは吝かではなかった。共に戦ったからこそ、彼らがどういう性格かの片鱗は見えており、それを踏まえての答えだった

 

「……分かった、書類等は俺が何とかしよう」

 

セルゲイはミッチェルの部署入りを許可する。その実力と冷静な判断力は共に戦ったセルゲイも理解しており、悪人でないことは分かっていた

 

「ほら、部屋は自由に使え」

 

机の引き出しから部屋の番号が書かれた鍵をミッチェルに渡す。それを受け取り、部屋から出ようとしたが

 

「そういえば、ガイはどうした?アリオスは遊撃士のようだが」

 

アリオスとセルゲイには会ったが、ガイをまだ見ていないと尋ねると、セルゲイの表情が曇る

 

「アイツは……殉職した」

 

その言葉にミッチェルは驚き、少ない時間だが彼のような真っ直ぐな人物が死んだことに悲しく感じていた

 

「……そうか」

 

ミッチェルは何も聞かなかった。戦友や仲間を目の前で撃たれて失った経験のあるミッチェルはセルゲイの心の傷に触れるべきでないと判断して部屋から出て行った

 

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