【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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遅れて申し訳ありませんでした

5月に試験に向けた勉強と、体重を落とすのに時間をとられて遅れてしまいました


8話 第三者

セルゲイからの報告に急いで現場である旧市街へと向かう。旧市街へと入った目の前で赤と黒のジャージのガラの悪い不良と、青装束の不良が睨み合っていた

 

「おうおう、青坊主ども……あんまり調子こいてるとマジでブチ殺すぞ。ネタは既にあがってんだよ」

 

先頭にいたジャージの不良が穏やかでない言葉を投げかけると

 

「フン……これだから低脳な連中は。君たちごときチンピラに卑怯な真似をするまでもない」

 

スカした言葉を投げ返し、ジャージの不良の額に青筋を立てる。双方ともに険悪で一触即発な雰囲気であり、不良達が武器を構える。今にも喧嘩をおっぱじめようしていたが

 

「待った!」

 

寸前の所でロイド達が間に合った。その場に駆けつけて捜査手帳を取り出す

 

「クロスベル警察、特務支援課の者だ。付近住民からの要請で君たちの喧嘩を止めに来た」

 

その証拠である紋章をみせるが

 

「ハアアアアッ!警察だぁっ!」

 

驚くどころか

 

「殆ど警官も寄り付かないのに。そ、そんなわけがあるか……」

 

鼻で笑われる始末である。そんな対応にロイド達は唖然とし

 

「そんなに喧嘩したけりゃ街の外でやってきたらどうだ?」

 

ランディがここでする必要はないのでは?と言うが、やれココにはココのルールがあるだの、この場所でナメた口きいてんだ、だの聞く耳をもっていなかった

 

ロイド達を無視して喧嘩を再開させようとする不良共にミッチェルは溜息を洩らし、銃声が響く

 

「ッ!」

 

ジャージの不良が腕を抑えて悲鳴を上げる。抜き撃ちで4発、ジャージと青装束双方の不良が持っていた武器のみを撃ち落とした。その衝撃が腕まで響き、武器を持っていた方の腕を抑える

 

「最終警告だ。武器を捨て、手を頭の後ろで組み、跪け。この警告を聞き入れない場合は……相応の手段をもって対処する」

 

ミッチェルが双方を睨み付けながら言う。サングラスをかけていて目線が合わないにも関わらず、双方共に動けなかった。戦場と言う殺し合いの現場で実戦を積んだミッチェルの威圧感は不良といっても所詮はアマチュアに過ぎない彼らに耐えれるモノではなかった。双方が尻込みしていると

 

「なにしてんだおまえら」

 

ガラの悪そうな声と

 

「そのへんにしときなよ」

 

涼しげで中性的な声がした。両側の道から獰猛そうで赤い服をきたヴァルドと呼ばれた男と、サングラスをかけたガタイのいい男を引き連れた黄緑色の髪をしたワジと呼ばれた男がいた。目の前の不良の言動からこの二人が双方のトップであると伺えた

 

「クク、人が昼寝をしている間に楽しそうな事をしてるじゃねぇか。なぁ、お前ら……これは一体どういうつもりだ」

 

近くにいた一人に尋ねるが、しどろもどろして言い訳をしていると、ヴァルドはそいつの襟を掴みあげ宙に浮く。片腕で軽々と人を持ち上げるその姿にヴァルドがバカ力の持ち主であることがわかる

 

「……タコが。先走るなって言っただろうが?てめぇら前座がしゃしゃり出て俺様の顔を潰すきかよ……?」

 

それに対して首をめい一杯横に振って違うと言い、興味が失せたのか離してやった。ワジの方でも下の者と話し合いをしていたが、どうも下の者がワジを崇拝している感じすら思える言動であった

 

ヴァルドとワジが顔を合わせるや否や皮肉交じりの言い争いになる。お互い腹の探り合いをしているのかと思っていると

 

「それにしても……君たち本当に警察の人間?とてもそうは見えないけど」

 

ワジがミッチェルの方を向いて言う。制服ではなく私服で活動していて、滅多にこないと言われる旧市街にいることが警察かどうかすら疑わせる要因であった

 

「フン、そこそこやりそうだが。特にそこの赤毛……いいガタイしてるじゃねぇか。グラサンの方も腕に自信があるようだしな」

 

ランディとヴァルドのガタイは同等並みであり、ミッチェルの射撃をみていた風な言い方であった

 

「まぁ、そっちの姉ちゃん達は、とても警察にはみえねぇけどなぁ。クク……なかなかの上玉じゃねぇか?」

 

ニヤニヤしながらエリィやティオの方を向きながらいい、ミッチェルはティオを背に隠す

 

「……新人だけど、一応警官だ。『特務支援課』、発足されたばかりの新部署に所属している」

 

ロイドが所属を名乗ると、ワジがしっているような口ぶりをする。なんでもクロスベルタイムズに載っていたと言い、あの記者が書いた記事であることは明白である。それにワジが自分の名とグループ名『テスタメンツ』を名乗り、ヴァルドも同じくグループ名『サーベルバイパー』と名を名乗った

 

「2人ともこれ以上やりあうつもりもないみたいだし……ここは任せてもいいな?」

 

両グループ共にこれ以上やりあう雰囲気だと感じ、大丈夫だとロイドは思った。だが、それにワジとヴァルドは声を上げて笑う。それにロイドは戸惑うが、ランディやミッチェルは笑っている理由は察せた

 

「随分おめでたいな……この場で手を引くのは単に準備が済んでないだけ。準備が終わりしだい徹底的に遣り合うつもりだよ」

 

その顔から予想だにできない獰猛な発言をワジが言い

 

「それも今までみたいなセコイ小競り合いじゃねぇ……どちらかが生き残る、お互い潰し合うつもりでなぁ!」

 

ヴァルドも同じ考えで、その発言はお互い殺しあうかのような言いようであった。サーベルバイパーとテスタメンツは自分のアジトへと引き上げていく。この場は引いてくれたが、お互い血を見る所では済まなくなるとランディが言い、セルゲイの要請はこの場での喧嘩の仲裁……既に任務は完了し、これ以上は任務外なのではとティオが言うと

 

「いや……それじゃあ本当の意味で任務を終わらせた事にならない。ここで放置したら……警察に対する市民の信頼はいつまでも回復できないだろう」

 

ロイドはこの喧嘩に首を突っ込むべきだと主張する。それにエリィも賛同し、見て見ぬフリは出来ないと言う。だが、お互いに仲良くしろと言って言うことを聞くはずもなければ、警官の巡回も大幅に減らされて本部に応援を頼めない状態でもあった。どうするべきかと頭を悩ましていると

 

「そういえば……どうしてあの2チームは『潰し合う』つもりなんだ?」

 

ふとした疑問をロイドが口にする

 

「そりゃあ、ここの縄張り争いや意地の張り合いだろ」

 

不良同士の喧嘩に深い意味などないとランディが言うが

 

「いや、それだけじゃ普通、本気の潰し合いにはならない。利害が絡んでいるならともかく、街の不良同士のいざこざだ、どうして念入り準備してまで徹底的に潰し合う必要がある?」

 

それにランディやエリィ達はハッ!となる。お互いが本気の潰し合いをする程なのだから縄張り争い程度ではないと言うのだ。その発言にエリィ達が感心した様子でロイドを見て、ロイドは焦っていた

 

「何かあるんだろうな……当事者以外しか知らない争う理由が」

 

ミッチェルが言うとおり、これほどの争いには絶対に理由がある。ロイドはサーベルバイパーとテスタメンツの両方に聞き込みをすることを決めた

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

先に聞き込みをしたのはテスタメンツだった。『トリニティ』と言う名のプールバーを溜り場にしているようで、中はとても不良のトップが経営しているとは思えない落ち着いた雰囲気であった。ティオが言うには、ここは認可を受けた店だと言う

 

店に入るとワジに付き添っていた禿の大男と手下が何用かと尋ねてくる。手下は臨戦態勢だったが、大男はそれを止め、カウンターに座っていたワジに判断を任せる。ワジは通してもいいと言い、ロイド達は店の中へと踏み込んでいく

 

「で、なに?警察の犬はお呼びじゃないって言ったはずだけど?」

 

ワジは既に聞く耳を持たずの雰囲気であったが、ロイド達には用があった。捜査協力をしてくれとロイドが頼むと、ワジは先に争いを止めるつもりは無いという。だが、ロイドは止めるつもりなどなく、潰し合う理由を知りたいと言う

 

「へぇ……」

 

それにワジが感心した声を出し、手下に動揺が走るが、大男がそれを鎮める。その理由を話してくれとロイドが頼むが

 

「あのさ……それを知ってどうするの?遊撃士ならともかく、警察が何かしてくれるワケ?僕たち旧市街(ダウンタウン)に住む、悪ガキ(バッドボーイズ)をさ?」

 

警察が既に旧市街を見限っているのは誰もが知っていることであり、腰抜けの警察程度に何ができるのかと聞くと

 

「……警察の対応が不十分なのは認めるよ。理由を知ったからと言って、君たちに協力できるとも限らない。人を守るのが仕事だっていう遊撃士と同じ訳じゃあいからね」

 

そういうとワジは話にならないと呆れ返る。ギブ・アンド・テイクなしに情報を聞くつもりなのかと聞く

 

「……いや、ギブならあるさ」

 

ロイドの予想外の返答にワジは驚く

 

「捜査官の仕事は闇に埋もれた真実を明らかにして人と社会に光をもたらすこと……少なくとも俺はそんな風に教えられてきた。もし君達が、ほんの少しでも疑念という闇を抱えてるのなら……それを晴らす手伝いはできると思う。それが、俺たちの提供できるギブさ」

 

なんとも臭い台詞にランディやミッチェル達が笑いを零すが、この熱血漢を好ましく思えてしまえた。ワジも腹を抱えて笑い声を上げる

 

「いいね!すごくいいよ!そんなクサイ台詞、そうそう聞けるもんじゃない!ロイドって言ったっけ!?いや~気に入っちゃったよ」

 

どうやらご満悦のようで、先ほどの刺々しい雰囲気は消えていた

 

「……フフ、まぁいいか。あんな決め台詞まで聞かされて、おひねりを出さないほどケチじゃない。……アッバス、教えちゃってもいいよ」

 

ワジは大男に話すように言う。事の発端は五日前の夜での出来事で、テスタメンツのメンバーの一人が、この近くの裏路地でサーベルバイパーから闇討ちを受けたというのだ。襲われた一人は後頭部に一撃を食らって倒れた後にメッタ打ちされて未だ意識が戻らない容体だという

 

「それほどの手傷を負わされたのは分かるが、サーベルバイパーだと言い切る要素はなんだ?」

 

目撃者がいないのに、闇討ちした犯人がサーベルバイパーだと言う証拠はなんだとミッチェルが聞くと

 

「僕たちが彼らの仕業と断定した理由……捜査官の君なら見当つくんじゃない?」

 

ワジがロイドに尋ねる。ロイドが頭を悩まして……何かに気付く

 

「そうか、襲われたメンバーの傷跡が決め手となったのか」

 

どうやらそれは正解のようだった。襲われたメンバーは打撲と裂傷が酷く、固く尖った物で殴られたようだと言う。それはサーベルバイパーが持っていた釘バットがそれに当たり、状況判断としては十分であると言えた

 

「なるほど、参考になったよ」

 

まだ判断材料が少ないが、話を聞けただけ十分だとロイドは考えた。ワジもロイドの事が気に入ったようで、面白い話が聞けるなら少しは待つと言う。それを聞き、ロイド達はトリニティを後にした

 

次にサーベルバイパーの溜り場である『イグニス』と書かれたライブハウスへと向かう。見張りの少年とひと悶着あったが、エリィの交渉でイグニスの中へと入れた

 

その中は大音量のヘビーメタルが流れており、ティオが顰めた表情をする。目の前のステージにヴァルドが座っていた

 

中にいたメンバーは明らかに歓迎していない所か敵意を剥き出しにしている。今にも飛び掛かってきそうな雰囲気の中でロイド達はライブハウスの中へと進んでいく

 

「青坊主どもから話は聞いてきたみたいだな。それで、どうした?俺たちを逮捕しに来たのかよ?」

 

既にテスタメンツから話を聞いたかたことを承知の用で、何の用かとヴァルドが尋ねる。ロイドはテスタメンツと同様に捜査の一環としてお互いが潰し合う理由を聞くが、案の定ヴァルドは素直に話してはくれなかった

 

「俺はな、とにかく暴れられりゃあいいんだよ。この血のたぎりをスカッ!とさせりゃいいんだよ!」

 

ヴァルドが自分の獲物を持ち立ち上がると、取り巻きも武器を構える。どうも遣り合うつもりのようであり、ミッチェルもM14の安全装置を密かに解除する。話を聞きたければ喧嘩して勝てとヴァルドが要求するが、ロイドは警察の人間としてそれはできないと言う。すると、ヴァルドはエリィ達を差し出せば話を聞いてやるかもなと言い出し

 

「……御託はいい、それとも唯のこけおどしか?」

 

溜息を洩らしながらミッチェルが挑発する。取り巻きの練度は先程確認し武器も釘バットやナイフのみで遠距離武器は一人もいない、出口の方には一人もいない。脱出経路と敵の数で問題なしと判断できる。目の前のヴァルドも先ほどの大型魔獣に比べたら恐ろしくもなんともない相手であった。その挑発に取り巻きはキレて、ヴァルドも額に青筋を立てて飛びかかろうとしたが

 

「……そうだな、もう一ついい提案がある」

 

その空気をぶち壊すかのようにロイドが言い、その場の全員が耳を傾ける。ロイドが一歩前に出て、武器を構える

 

「一対一のタイマン……あくまで練習試合の名目だ。俺が凌いだら、あんたが知ってることを洗いざらい喋ってもらう」

 

ロイドがヴァルドにタイマンを申し込んだ。ヴァルドは唖然とした表情をした後に……声を上げて笑い出し、武器で近くにあったドラム管を吹き飛ばす

 

「上等だよ!まさかヤツ以外にも俺様にタイマン張る大馬鹿野郎がいるとはな……いいだろ、小僧!サーベルバイパーのヘッド、ヴァルド・ヴァレスの鬼砕き……凌げるもんなら凌いでみやがれ!」

 

ヴァルドがステージからロイドへと飛び掛かる。振り下ろされた有刺鉄線の巻かれた木刀をロイドはトンファーで凌ぐ、お互いに距離を取り、相手の出方を見る。取り巻きやミッチェル達はその場から少し離れる

 

猪突猛進タイプであるヴァルドは連打を仕掛けるが、防御型のロイドはそれに耐える。だが、その耐えたロイドの襟元を掴みあげ

 

「おらっ!」

 

木刀を叩き付ける、それに吹き飛ばされるロイドだが、すぐに立ち上がり

 

「せいっ!はっ!」

 

ヴァルドに近づいて二連撃を食らわす。思った以上の威力だったのか、ヴァルドは少し後退する。ロイドも先ほどの大型魔獣を相手に凌ぎきってみせたのだ、この程度の倒れる筈がなかった。お互いに一進一退の攻防が続き、ロイドもヴァルドも肩で息をしていた。お互いが睨み合う中……先に仕掛けたのはロイドだった

 

「ぜあっ!」

 

突撃してくるロイドとタイミングを合わせて木刀を振り下ろすが、ロイドは寸前の所で転がって避ける。振り下ろした硬直で、ヴァルドの側面ががら空きだった

 

「はあああああっ!タイガー……チャージ!」

 

怒涛のラッシュを浴びせた後に最大限の力を込めた突きを食らわせる。その突きが電力を帯びて、まるで虎の(あぎと)のようであった。無防備な所に食らったヴァルドは、たたらを踏み、膝をついた

 

「はぁ!はぁ!……これで、どうだ!」

 

ロイドが勝った事にミッチェル達は驚いたが、喜び。取り巻きはヴァルドがやられたことに驚いて、戦いを仕掛けようとしたが、ヴァルドがそれを止め、難なく立ち上がる。その様子からタフネスが化け物並みであるかとロイドは思った

 

「本当なら本格的やりあいたい所だが……ヤツとの決戦もあるし、この程度でいいだろ。話してやるよ」

 

ヴァルドも今回のタイマンに満足したのか、潰し合いの原因を話し始めた。内容は五日前の夜にテスタメンツから闇討ちに遭ったと言う。ヴァルドが言うには、このグループは武闘派であり、闇討ちなどのセコい手は使わないと言う。タイマンを張って約束を守るヴァルドの言うことをロイドは信用できると考えた

 

「そのメンバーだが、打撲による骨折で全治一ヶ月だとよ。青坊主どもの意識不明程じゃないが、ケガだけって事ならむしと重たいくらいだぜ」

 

こちらの被害者も酷い手傷を負わされたようであった。テスタメンツと決め付ける理由を聞くと、遠くの方から石が飛んできたと言い、それがテスタメンツの使ってるスリングショットであると言うのだ。話は以上で、ロイド達はイグニスを後にした

 

「……明らかに不自然だ。同じ日にちの夜に近くの場所で襲撃を仕掛けて、双方が気づかないはずがない」

 

外にでたミッチェルが第一声にそういった。襲撃された場所も近くで同じ時間帯、しかも同じ日ときた。襲われてタコ殴りにあっているのを気づかないはずがないと言えた

 

「確かに妙だな……何かが足りない、欠けたパズルのピースが……」

 

それを妙だと感じたロイドは一体何が起きているのかと頭を捻らせていると

 

「フフン、お困りのようね?」

 

ふと、ロイド達に声がかけられる。声のした方を見ると、前にあった記者の女性であった。ミッチェルは如何にも嫌そうな表情をして

 

「……何か用か?」

 

と、尋ねると

 

「いや~面白い場所にいると思ってね。あ、いい構図」

 

はぐらかすように言い、写真を撮り始める。ミッチェルやティオが明らかに不機嫌な様子になり

 

「また、あんな記事を書いて笑いものにするつもりですか?」

 

エリィもどこか怒った風に言う。クロスベルタイムズに笑い者にするかのような記事を書かれているのだから、しかたないと言えた

 

「それよりも、何だか今度は面白いネタに絡んでいるみたいね?ちょっとお姉さんの取材に協力してくれないかしら?」

 

女性は今の捜査状況を教えてくれと言うが、ロイドは断固と拒否する。マスコミの人間なんかに教えられるかと言うと

 

「もう、つれないわね。せっかく美味しい東方料理をご馳走してあげるのにぃ……デザートとして、『欠けたパズルのピース』もね」

 

口元に笑みを浮かべながら女性が言うと、ロイドが顔を強張らせる。話を聞かれていたと思ったのだ、その表情を見て女性は

 

「その気があるなら東通りに出た所にある『龍老飯店』にいらっしゃい」

 

そう言い、女性は去って行こうとして、振り返り

 

「そうそう、まだ名乗ってなかったわね。『クロスベルタイムズ』の記者、グレイス・リンよ」

 

所属と名を言い、この場を後にした。この誘いに乗るかをロイド達が話し合うと、警察本部が頼れない今、情報を持っているであろう記者の話を聞くのはありであるとなり、龍老飯店へと向かうことに決めた

 

龍老飯店へと入り、グレイスが既に飲み物を飲んでいた。食事を奢ってくれると言い、ロイドは拒んだが、ランディを始めとする他のメンバーは奢って貰えるなら構わないとなり、酒を除いた食事を共にすることになった

 

丁度昼食時で、戦闘をこなしてきたのか空腹が激しく、みるみる内に大皿の料理が無くなっていく。ある程度食事が進むと、本題に入っていく

 

「それで、旧市街での事件に関しては話した通りです。あなたが持っている『欠けたパズルのピース』……そろそろ話してくれませんか?」

 

ロイドが闇討ち事件の話を言い、グレイスに情報を言うよう求めたら

 

「うふふん……もし、嫌だと言ったら?」

 

ニヤけた顔をしながら言うと、ミッチェルは席を立ち

 

「では帰らせてもらう。今後会うこともないだろうがな」

 

お前とは2度と会わない遠回し言い、ロイド達も席を立ち帰ろうとしたら

 

「ウソウソ、本気にしちゃやーよ。でも、その表情もいいわね~クールな表情から滲み出る存在感、そっちの優しげなマスクとのギャップも合わさって、なかなかそそるっていうか~」

 

余裕の表情を見せるグレイスだが、実の所、背中は冷や汗でびっしょりだった。ミッチェルに睨み付けと威圧を至近距離で叩き付けられているのだ。ミッチェル達は無言で席に座り、話を聞く

 

「あなたたち、『ルバーチェ』って知ってる?」

 

グレイスの問いかけにミッチェルやティオにランディは知らない様子であったが、エリィは知っているように呟き、ロイドも知っているような様子であった

 

「『ルバーチェ商会』、クロスベル市で認可された法人にそんな名前があったような」

 

データベースで見た名前にあったとティオが言うと

 

「表向きは……ね」

 

グレイスが意味深にいうと

 

「なるほど……マフィアか」

 

ルバーチェと言う組織でギャング集団であるとミッチェルが言うと、グレイスが頷く。なんでも昔からクロスベルの裏社会を牛耳る程の巨大な組織だと言う

 

「マフィア……犯罪組織というわけですか」

 

いわば違法な物を取り扱う犯罪集団であるとティオが言うが、マフィアにも様々な人種がいることをミッチェルは知っていた。表の人たちに一切迷惑かけずに悪の道を貫くマフィアと、表の人を食い物にする外道だ。ルバーチェが前者ならマシだが、後者なら面倒なことこの上ないことになると考えていた

 

「クロスベルにいれば嫌でも聞く名前で、様々なコネクションを持つ組織なの。有権者との繋がりも深いから警察もおいそれと手が出せないと聞くわ」

 

裏社会を牛耳っている組織であり、相当厄介で裏稼業はどの世界でも変わらないなとミッチェルは思った。そのルバーチェが何の関係があるのかと聞くと

 

「最近『ルバーチェ』の構成員が妙な動きを見せてるらしいのよ。どこか忙しそうっていうか、積極的に動いているっていうか……あたしも暇を見つけて調べてみたけど、ある筋から聞いた情報だと半月前からマフィアの構成員が旧市街をうろついていたらしくてね」

 

マフィアが半年前から旧市街をうろつき、その場所では不良グループが抗争をしている

 

「……匂うな」

 

明らかにルバーチェが何らかの関わりをもっているに違いないと睨むミッチェルに

 

「あぁ、プンプンする」

 

ロイドも同じようなことを考えており陰謀の匂いがしてならなかった

 

「2つの不良グループが同時に起こすのは難しいと思われていた2件の闇討ち……そこに新たな第3の容疑者が現れたわけね」

 

今の情報を照らし合わせてまとめていくエリィ、だんだんと道筋が見えてきた

 

「でもおかしいです。何故、マフィア組織が不良グループのメンバーをわざわざ闇討ちに?」

 

巨大な組織であるマフィアがゴロツキ相手を態々質素な恰好をして人目を避けてまで潰す理由が分からないとティオがいうと

 

「問題はそこだな。マフィアと不良共が敵対してんなら話は簡単なんだが……」

 

ランディが恐らく一番の問題点であろう指摘に頭を悩ませる。悪のプロがアマチュアに闇討ちを仕掛けた理由を全員で思考を巡らせる

 

「片方がマフィアと組んでと考えられるが……お互いそんな性格じゃなさそうだしな」

 

直に溜り場へと乗り込んで話を聞きに行っただけあり、ワジもヴァルドも誰かと手を、しかもマフィアなんかと手を組んで片方を叩き潰すようには見えないとミッチェルは言う。それにはロイド達もそう思えた

 

「マフィアの手助けの線がなくなるな。手下の暴走も考えられるけど、あの2人は人望が厚そうだったしな……」

 

ロイドが真相を探している時、グレイスが小さく笑う

 

「ふふ……あたしとしたことが、サービスしすぎちゃったかな?他の取材があるから、これで失礼させてもらうわ」

 

テーブルに料理の代金を置いて、ロイド達に手を振り店を出て行った

 

「我が道をいく……って人ね。でも、彼女のおかげで、かなり情報がそろってきたわ」

 

ジャーナリストだけあることあり、グレイスの持っていた情報は値千金……とまでいかなくとも重要な手がかりに繋がるものであった

 

「……食事が終わり次第、一旦戻るぞ。経過報告を課長に言い、引き続き捜査だ」

 

料理を飲み込み、ミッチェルが言う。それにロイド達も賛成し、一先ずはテーブルにある食事を楽しむことにした

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

食事を終えて特務支援課に戻りセルゲイに報告すると、この件は全て任せると言ってきた。それにロイドは驚き、指示とかはないのかと尋ねるが、それを考えるのも仕事だと言い渡され、助言者を教えてやるとある法律事務所を紹介された

 

その事務所は西通りにあり、目的地には看板に大きくグリムウッド法律事務所と書かれていた。事務所に入ろうとしたとき、中から人が出てきたのはメガネを掛けた男性だった。服装も髪も綺麗に整えたその姿はどこかのエリートの人間であると思わせる。だが、ランディとミッチェルは別の所を見ていた

 

「お前たちは……なるほど、セルゲイさんが飼い始めた仔犬どもというわけか」

 

嘲笑うかのようにいうメガネの男にロイドは驚きを表情にだす。そして、その服についてあるバッジからクロスベル警察であるとわかる

 

「わたしのことはどうでもいい。イアン先生を訪ねてきたようだが……くれぐれも余計な時間を取らせるんじゃないぞ。お前たち役立たずと違ってお忙しい人だ」

 

役立たず、そう言われてロイドが怒りを表情にだす。メガネの男がロイド達の間を割るように歩くと、突然止まった。睨みつけていたミッチェルの睨み返していたのだ。その服装と装備を見た後に、何も言わず立ち去って行った

 

「何なんだいまのッ!」

 

明らかに怒りを含んだ声を出すロイド、エリィやティオも不快感をだしていたが

 

「しかし、あのメガネ……随分とやるようだな」

 

ランディは男が去って行った方を見ながら言い

 

「左わきに銃を持っていた、膨らみ具合から恐らく大型の拳銃だな」

 

ミッチェルもランディと同じで懐に銃を忍ばしていたのに気づいていた

 

「わたしもセンサーで感知しました。軍用の大型拳銃……そんな所でしようね」

 

3人が気づいていたのにロイドとエリィが驚いた。事務所に入り、熊ヒゲ先生ことイアン先生に今回の事件の相談をした。するとルバーチェの勢力の巨大さと帝国・共和国共に議員との繋がりの深さから相当厄介であると改めて認識させられた。だが、そのルバーチェに対抗する組織がクロスベルに出来たのだと言う

 

その名は『黒月(ヘイユエ)』、カルバート共和国の東方人街に一大勢力を置く組織なのだと言う。その組織がつい最近、クロスベルの湾港区に『黒月貿易公司』が出来たのだ

 

イアン先生にロイドは礼を言い、事務所から出て、特務支援課にて情報を纏めている最中であった。ホワイトボードに地図や内容を纏めたメモを貼り付けていく

 

「……発端は5日前の真夜中。『サーベルバイパー』と『テスタメンツ』のメンバーがそれぞれ何者かに襲われた。場所は旧市街の別の2か所」

 

ホワイトボードの前に立つロイドがボードに書いた地図に赤いマーカーで×印をつける。西の裏通りがテスタメンツが襲われた場所で東のライブハウス前がサーベルバイパーの襲われた場所であった

 

「……こうしてみると、旧市街の反対側同士ですね」

 

襲われた場所を見てティオが気づいた風に言う

 

「同じ夜に襲われても、すぐには気づかれない。それを踏まえ、お互いが闇討ちされたと思った……という所か」

 

現状を踏まえて、情報を纏めてミッチェルが言うと

 

「う~ん……やっぱ第三者がいたとしか思えないぜ。どちらかのメンバー全員が口裏を合わせない限り両方の犯行は不可能だろう」

 

同じ日に同じ時間帯での同時犯行、これを行うのは裏工作をしない限り不可能だとランディが言う

 

「あぁ……この段階で2つの犯行を第三者の仕業だと仮定しても構わないと思う」

 

ランディの主張に同意するロイドは犯行が第三者であると思っていた。その第三者こそルバーチェ商会……クロスベルのマフィアである

 

「グレイスさんの情報によれば半月ほど前、その構成員が旧市街で目撃されている。この情報が定かは分からないが、まずは『ルバーチェ』が2件の傷害事件を起こしたと仮定してみよう』

 

ロイドはホワイトボードに手に入れた情報を書いていく

 

「問題は犯行を起こそうとさせた『動機』だな」

 

ミッチェルの言葉にロイドが頷く。ルバーチェが犯行を行う動機が不明であったのだ、これが分からない限りルバーチェが犯人であると言い張れなかった

 

「動機な……マフィアと二組の不良達……対抗組織の存在……なるほど、そういうことか」

 

キーワードを口にして考えを纏めていたミッチェルはパズルのピースが埋まった感じがして、狙いが見えた。その様子に他のメンバーは不思議そうにしていたが

 

「ロイド、お前も気づいてるんじゃないか?」

 

自分自身から言わずに、リーダーであるロイドの方を見ると、ロイドは口元に笑みを浮かべて頷いた

 

「今までの情報から考えるに、鍵となるのは……可能性があるのは『黒月《ヘイユエ》』の存在だと思う」

 

対抗組織である黒月、その存在が重要であるとは他のメンバーも理解できるが、ルバーチェが二組の不良達を襲う『必然性』とは何かと議論になると

 

「自分達の組織と対抗する組織ができる……そこから考えるに抗争に繋がる可能性が高い」

 

そこまで言うとランディは理解した表情をするが、エリィとティオは分からない様子だった

 

「抗争となれば戦うための人員が必要だ。だが、1から育てるには時間が掛かりすぎる。なら経験者を雇えばいい……だがクロスベルで猟兵団を雇うと下手に目立ちすぎる、その状況で最も戦力となるのは」

 

それにエリィとティオも理解した。要するに不良共を自分たちの兵隊にしようとしているとのことだった

 

「だが、不良達は素直に頷くはずがない……何故なら既にトップがいるからだ、トップの二人もマフィアに組するような人物ではない。ルバーチェからすると、そのトップは邪魔でしかたがない、そこから導かれるのは……」

 

ミッチェルがそこまで言うと

 

「今回の事件と繋がる……ということね」

 

エリィが最後の考えを言い当て、ミッチェルは頷く

 

「それも可能性での話だけどね。そこで……だ、この推理をあの2人に伝えた法がいいと思わないか?」

 

ロイドの言葉にエリィとティオは驚いたが、ランディとミッチェルは笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

3日後の夜も更けた時間帯、旧市街の裏通りを一人の男が歩いていた。その服装からテスタメンツの一員であると見て分かる。すると次の瞬間、物陰から黒い服を着た男が背後からテスタメンツの一員を棒で頭を殴った

 

「クク……青ウサギを一匹と」

 

殴った男が笑いながら言うと、物陰から同じ服装の男が3人でてきた

 

「時間がない……さっさと痛めつけるぞ」

 

黒服の一人がそういい、角材を取り出して袋叩きにしようとした……だが

 

「がっ!」

 

倒れていた筈のテスタメンツの一員が最初に殴った男の手を掴み、捻りあげながら地面に叩き付けたのだ。突然の出来事に黒服達は驚きあわて始める。テスタメンツの一員が上着を脱いだ、そこにいたのはミッチェルの姿であった

 

「クロスベル警察だ。傷害の現行犯で逮捕する」

 

その言葉に耳を疑う程の驚いた黒服達は逃げようとするが

 

「おっと、どこにいくのかな?」

 

上から声がして、黒服達が見上げる。そこにはワジとロイド達の姿があった

 

「おーおーものの見事に引っかかってくれちゃって~」

 

ランディが笑いながら言う。3日前、ワジとヴァルドに推理の全容を話したところ、一ヶ月前にルバーチェから勧誘があったと両方いうのだ。マフィアにコケにされた二人は当然このままで済ませるはずがなく、ロイド達と協力することになったのだ

 

「まったく……本当なら俺が囮する所だったんだけどな」

 

ロイドは囮という危ない役目は自分がすると言ったのだが、リーダーであるロイドがそれをするのは不許可だとミッチェル言い、囮役を買ってでたのだ

 

「クソッ!散れっ!」

 

黒服達が二人組で反対側に逃げていく。ミッチェルは背負っていたM14のコッキングレバーを引きロイド達の方を見上げる

 

「ロイドさん達はもう一組の方をお願いします」

 

ティオがそう言うと同時に屋根から飛び降りる。それを難なくミッチェルがキャッチしティオと共に先行したワジを追いかけていく。黒服の一組が旧市街の出口に付き、そのまま逃走しようとしたが、正面にヴァルドと後方にテスタメンツとサーベルバイパーのメンバーに挟まれて捕まえられた

 

「こっちは捕まえたな」

 

ロイドが一安心し、もう一組の方を追いかけたミッチェル達の方角を心配そうに見た。仲間が捕らえられたもう一組は逆方向へ屋根の上から逃走するがワジに待ちかまえられており、下へと降りた瞬間にライトで照らされた

 

「手を頭の後ろで組み、跪け!もう逃げられんぞ」

 

アクセサリーで取り付けていたライトを黒服達に照らし、ティオも自分の武器を構えていた

 

「飛んで火にいる夏の虫……ですね」

 

自分から逃げ道のない場所に降りてきた黒服にいい、上からワジも降りてきてミッチェルの隣に並び観念するように言うが

 

「ガキ共が……調子にのりやがって」

 

一人が鉈を構え、一人が懐から銃を取り出した

 

「俺たちプロを舐めたことを後悔しやg」

 

銃を構えていた黒服が喋っている間にミッチェルが眉間に銃弾を叩きこむ。サングラスが割れ、その破片が刺さり怯んでいる所へ追撃の銃弾を浴びせる。頭部ががら空きで怯んでいる相手が同じ場所に数発もくらって昏倒する

 

「てめぇっ!」

 

鉈を持っていた男がミッチェルに襲い掛かってきて、ティオがアーツを発動とワジが迎撃しようとした。だが、男が持っていた鉈が銃声と共に弾き飛ばされ、近寄ってきていた黒服の顎に銃床を叩き込む。それに倒れて激痛にのたうち回る黒服に追撃の顔面踏みつけをして気絶したのを確認し

 

「連れて行くぞ」

 

目の前の黒服の襟首を掴み、引きずっていくミッチェルの姿にティオとワジが茫然としていた。二人とも相手は戦闘になれていて気の抜けない戦いになると思っていたが、いざ始まってみればミッチェルが瞬時に制圧したのだ。ティオは前の戦いでその力を見ていたので、それほど驚かなかったが、ワジはその力に驚きを露わにしていた

 

「……いったい何者だい?ただの警察じゃないでしょ?」

 

これほどの実力をもった警察官がいると普通ならとある筋から情報が回ってくはずなのだが、そんな情報など一切なく、これほどまでの実力者に何者かとワジが尋ねると

 

「今はクロスベル警察の特務支援課の一人だ」

 

そういいミッチェルは引きずったまま、広場へと向かう。その隣にティオが歩き、ワジは肩を竦めて昏倒していた黒服を広場まで引きずっていった

 




最近ソードアート・オンラインを見始めましたが、あれ普通に面白いですね。食わず嫌いしてて謙遜していましたが、いざ読んでみると凄く面白いラノベですわ(まだ一巻しか読んでないがw)

あれ読んでるとクロスオーバーの考えが湯水のように湧いてきて書きたい衝動にかられましたわwまぁ、こちらを最優先ですが。クロスするならSAO×覚悟のススメですかね、ただ書くのなら嫌いな転生を考えに入れておかないといけないのが難しいところですね

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