戦争をやめましょう。帝国軍の完全消滅をもって!ーいや、ダメでしょ。 作:依存
もしこの作品を細音さんが読んでくれたらいいなーとか思ってた時期が僕にもありましたが、やはり書くの大変ですね。世の作家さんは本当に凄いです。
話変わりますが、帝国の装備思ってたのと違って結構服装がファンタジーでしたね。
個人的には自衛隊とかアメリカ軍とかのああいった装備だと思ってました。(主人公のみ補正で服があんな感じ……みたいな?テヘ。)
よくあの服で砂漠とかいけるなぁとか思ってましたが、よく考えたら帝国の科学技術って現代より進んでますよね……
「構え!!!撃て!!!」
この広大な敷地に乾いた破裂音が連続して生み出され、乾いた秋の空に響き渡る。
音の発生源となる場所には、彼を含む二十人ほどの人間、否、星霊使いの姿があった。
「撃ち方止め!!!戻れ!!!」
戦闘用とは言えない過度な飾り付けと無意味な重ね着をした上官の一言が拡声器ごしに聞こえ、彼らは銃を下ろす。
銃についている安全装置を下ろし、マガジンを抜く。
抜いた状態で薬室内に弾丸が入っていないかを指で確認し、誰もいない虚空に向かって空撃ちをして安全な状態であることを各自で確認する。
そこに佇むのは敵である帝国軍の服装をした人間たち。
しかし、彼らはれっきとした皇庁の人間だ。
星霊使いであるにも関わらず、銃を使う部隊というのは公式には存在しない。
なぜなら、ミサイル位の火力を連射できる星霊使いが大半なのだから、銃などは子供の玩具に等しい。
子供の頃から使い、慣れ親しんだ強い星霊と弱くて訓練の必要な銃では圧倒的なまでの性能差が生まれる。
だが、そんな卑下される武器を好んで使う彼等の存在意義はちゃんとある。
【アグレッサー部隊】
この名前を聞いたことがあるだろうか?
自分達の部隊を鍛えるために敵の行動や戦法に技術、使用しているものまでを全て模倣した訓練用部隊。
ここで言うならば"対星霊特化"の部隊だ。
星霊使いにとって星霊の使えない雑兵一体一体は敵ではないが、数になると苦戦する。
そういった"知"の戦闘。
そんな【アグレッサー部隊】であるが、これは決して皇庁全体の軍隊のためにあるわけではない。
ゾア家のために存在し、ゾア家のために戦う。
ゾア家のなかでも秘匿扱いになっている機密部隊。
広大な敷地も山奥に隠され、普段は一切の情報を出さずに日常に紛れて存在し、有事の際の切り札ともなる部隊。
それが彼等であった。
今日は、ゾア私有軍の特別合宿の日。週に一度の通常軍と一緒の訓練とは違う十日の集中訓練。彼等もまた、訓練に励んでいた。
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「いやぁ、まさかお前があのキッシング様の側近までのしあがるとはねー。」
「ほんと、まじでどんなトリック使ったんだよ?」
「制御不能姫《アホ姫》って陰口も最近聞かないしな。」
「あれ誰が最初に言い始めたんだっけなー?」
「誰だっけなー?たしか目の前に居るような~?」
「うーん?あれ?今キミどこに所属してたっけ?」
「あれあれあれ?」
「………………………」
訓練場という広大な敷地の一角にそびえ立つ近接格闘用の建物の陰で騒ぐ男が三人。
二人が一人を弄っているのだろうか?
先程から一言も発しない男は、とても顔が赤かった。
「………………うっせえなぁ??ぁぁ???」
遂にと言うべきか、発した一言目は罵倒であった。
「本性それだろ。お前マジで近衛とか辞めろよ」
「そーだそーだ!お前みたいな雑魚が近衛なんて無理だろ」
「あーああーあーあー聞こえなーい!!!!!!」
彼等もれっきとしたゾア家の精鋭であり、歴戦の戦士であるのだが、会話の内容は年相応と言うべきか青年のものであった。
運動系の部活にありがちな、明るく楽しい休憩時間。
そんな彼等の休憩時間も終わりに差し掛かって来たとき、弄っていたはずの男は急に態度を改めて声を低く下げ、周りを警戒しだした。
雰囲気が変わったのを察した残りの二人も、警戒を外に向け、バレることを防いだことに気付かれないように声を大きくして態度を改めた男の存在のほとんどを隠す。
「そろそろ時間か?」
「ああ!そうだな!」
「いくか?」
「ああ!いこうか。」
【ところで、だ。お前ら知ってるか?】
【実はな_____
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十日の訓練プログラムを総て終えた彼らは、また自分達の【正規の軍隊】に所属していると登録している部隊に戻り、普通の訓練を受けたのだった。
勿論【正規の軍隊】に伝わった彼の遅れた理由は、"キッシングのわがまま"である。
そんな出汁にされたとは露知らず、キッシングは今日も元気に星霊の制御の練習に励んでいたり、いなかったり。
そんな彼女の住むお城に着いた彼。
「はぁ……………」
雪の雲特有の薄灰色の厚い雲は冬の到来を告げる。
彼の心にも雪が降り始めているようだ。
帝国との戦争の激化に伴い、”ネビュリス”のお姫様の戦線投下。
前線基地の奪還及び敵基地の壊滅。
ゾア家にとって、それは許せないものであった。
だが、それよりも赦せない行動。
昨夜未明に"ゾア家上層部の意向を汲み取った"ように振る舞った上官の勝手な戦闘行為。
夜間作戦ということもあり、損害軽微。敵基地を占領するという働きぶりである。
ゾア家の側近ともなれば星霊の力も強大であり、この程度は造作もなかったことだろう。
「このままなら帝国もやれる。」
自らの力が存分に振るえる戦場で、そう思ったことだろう。
しかし、彼らは動くべきではなかった。
<私兵としてのみ働く彼らが国家間の戦闘に介入した>
この事実が漏れただけでゾア家が一国として見なされ、様々な国からバッシングを受けるのだ。
最低でも家ごと消されるだろう。
彼らが戦場から帰ってくるまでの数時間で、命運が決まる。
そんな窮地に立たされているゾア家上層部は彼らに対して密かに決を下した。
_________殺せ。と。
そしてその任務は忠実に遂行された。
離反者二十五名。そして埋葬された遺体の数も二十五。
国のためではなく、家のために動いた優秀な人間はこの世から消えた。
思えばこれがゾア家の最大の過ちなのかもしれない。