アイドルとは即ち決闘者   作:ムーさん@南条P

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ふぅ、筆が乗りました。


第6話 にゃん・にゃん・にゃんの日常

 

 

222(にゃんにゃんにゃん)プロとは、中堅アイドル事務所である。

しかし中堅と言っても、所属アイドルの3人はいずれも実力派揃いであり、人気も高い。ユニット名を「にゃん・にゃん・にゃん」と、事務所と同じ名前を背負う、文字通りの看板アイドルである。

 

―某月某日、都内の撮影スタジオ控え室…

 

「ええっ!?のあにゃんがまだ来てないって、Pチャン!?大丈夫なん!?」

 

「あー…大変です、ね…。」

 

控え室はざわざわと俄に騒がしかった。その理由は出演者の一人、高峯のあがの姿がまだないことである。

なにを考えているのか分からない、アンドロイド系アイドルとして人気の高い彼女が読めないことは今まで多々あったが、仕事に遅れそうになることなどはなかったからだ。

同じグループの前川みくとアナスタシアな二人が慌ててのあに電話を掛けたり、アプリで呼び掛けたりと連絡を取ろうとあたふたしているなか、その音は響いてきた。

ゆったりとしたハーモニカの音色だ。それを聞いた周りのスタッフたちは一様に作業の手を止めて、その音のする方へと視線を向ける。

 

「来た…。」

 

「来た、来た…。」

 

ハーモニカの音に反応するようにスタッフたちは呟く。その視線の先にはロングコートの裾を靡かせながら、自慢の銀髪を揺らし、ハーモニカを吹く高峯のあがいた。

 

「待たせたわね、二人とも。」

 

「お、遅いにゃ~!」

 

「のあ、よかった…。」

 

時間に遅れたとはいえ、同じグループの仲間が漸く姿を現したことに安堵すふ二人と担当のプロデューサー。

その後、にゃん・にゃん・にゃんの三人は無事に収録を迎えたのだった。

そして事件は起こる。時は収録終わり、控え室で支給された弁当やケータリングのお菓子で一息つこうという時にそれは起こった。

 

「ふんふふーん♪ここのお弁当は美味しいからにゃぁ♪今日はハンバーグ弁当らしいしにゃぁ♪」

 

鼻歌まじりに浮かれながら、ユニットの二人より遅れて控え室に戻って来たみく、彼女の好物はハンバーグであり、今日も収録終わりに食べるハンバーグ弁当を楽しみにしていた。

がちゃりと控え室のドアを開けると、二人は既にお弁当を食べ終わっている様子であった。

みくも自分の分のお弁当を食べようと、入っているであろう袋に手を伸ばし、中身を漁る。しかし袋には何も入っていない。

 

「あ、あれ…?何も入ってない…?」

 

不審に思ってちら、とユニットメンバーのテーブルへと視線を向けるみく、その視界は空の容器が2つも置いてあるのあのテーブルを捉える。

そしてご丁寧に一方にはのあ、もう一方にはみくの名前が書いてあったのだ。

 

「…………のあにゃん?」

 

「どうしたの、みく。」

 

沈黙の続く二人、それを破ってみくが声を出す。

 

「のあにゃん、どうして2つもお弁当食べてるにゃ?」

 

「美味しかったわよ、みく。」

 

「なんでみくの分も食べてるにゃぁ!!」

 

さらっと言ったのあに対して、我慢の限界を迎えたみくが叫ぶ。そんな彼女の叫びにびくっとアナスタシアが震えてそちらに目をやった。

 

「アナにゃんもにゃぁ!なぁんでのあにゃんがみくの名前があるお弁当に手を着けてるのを止めないにゃぁ!」

 

「あー…すいません、そういう模様なのかなって…。」

 

「んなわけあるかぁ!!」

 

ユニット仲間のあまりの行動に冷静な言葉すら失うみく、そうなったらすべきことは1つである。

 

「デュエルにゃ、のあにゃん!」

 

「いいわ、望むところよ。」

 

「みくが勝ったら新しいお弁当買ってきてもらうからね!」

 

「いいわよ。その代わり私が勝ったら今日の夕飯はにゃんにゃんにゃんでくら寿司よ。」

 

頭に血が登ったみくと、何を考えているのか分からないのあとのデュエルが始まった。

先行はのあである。

 

「私のターンね、…《SR‐ベイゴマックス》を自身の効果で特殊召喚よ。効果で《SR‐タケトンボーグ》をサーチ、そのままタケトンボーグを特殊召喚よ。」

 

「あれ?のあ…デッキ変えました、か…?」

 

「いやぁ…SRのあの2枚はどのデッキにも入る出張パーツにゃし、変わってないと思うにゃぁ…。」

 

のあの展開に対していぶかしむように目を細めるみく、しかしそれを気にせずにのあは手を進める。

 

「魔法カード《手札断殺》よ、手札から《ゾンビキャリア》、《インフェルニティ・ビートル》を墓地に送るわ。ゾンビキャリアの効果発動よ、手札を1枚デッキトップに戻して、自身を特殊召喚。手札を2枚伏せるわね。」

 

「やっぱりインフェルニティにゃ…。」

 

「タケトンボーグとベイゴマックスでシンクロ召喚よ。レベル6、《スターダスト・チャージ・ウォリアー》よ。このカードがシンクロ召喚に成功したことで1枚ドローよ。」

 

淀みないのあの手つきにみくは嫌な予感を抱えながら見守る。その手札に手札誘発はなにもない。

 

「引いたカードはもちろん、さっきゾンビキャリアで戻したカード…《インフェルニティ・デーモン》よ。」

 

「やっぱりにゃ…。インフェルニティの過労死担当…。」

 

「手札がこのカード1枚だけの時、デーモンは特殊召喚出来るわ。そして《インフェルニティ》カードをサーチできる…。《インフェルニティ・ネクロマンサー》を手札に加えるわ。さらに伏せていた魔法カード《愚かな埋葬》でデッキから《ヘルウェイパトロール》を墓地に送るわ。そしてゾンビキャリアとデーモンでシンクロよ。レベル6、2体目のチャージ・ウォリアーね。」

 

「またにゃ…。」

 

どうせここからランク6でしょ?と今まで何度もみた流れを感じて辟易、といった様子のみく。しかし今までとはどこか違った様子をのあは見せる。

 

「さっき引いた《EMブランコブラ》をペンデュラムスケールにセッティングよ。そして墓地のヘルウェイパトロールを除外して手札のネクロマンサーを特殊召喚するわ。ネクロマンサーの効果で墓地のデーモンを蘇生し、デーモン効果でデッキから二枚目のネクロマンサーをサーチするわね。」

 

「うわぁ…。」

 

「2体のチャージウォリアーでエクシーズよ。ランク6、《永遠の淑女 ベアトリーチェ》をエクシーズ召喚するわ。ベアトリーチェの効果発動よ。オーバーレイユニットを消費して、デッキから《インフェルニティ・デーモン》を墓地に送る。そして手札からネクロマンサーを召喚して、さっき墓地に送ったデーモンを蘇生、デーモン効果で《インフェルニティガン》をサーチするわ。」

 

「来ちゃった…。」

 

次々と展開される怒濤のデッキにみくももはや言葉を失い、そばにいるアナスタシアも見守るしかなかった。

 

「そしてネクロマンサー2体でオーバーレイ、エクシーズ召喚、《M.X‐セイバー インヴォーカー》!」

 

「…はっ!?」

 

「そしてインヴォーカーの効果発動よ。」

 

「なーんでインヴォーカーなんて入ってるにゃあ!!」

 

みくからの突っ込みも我関せずとばかりにのあは展開を続ける。

 

「デッキから《アマゾネスの射手》を特殊召喚よ。」

 

「あ…終わったにゃ…。」

 

「アマゾネスの射手の効果発動よ、ベアトリーチェとインヴォーカーをリリースして1200の効果ダメージを与えるわ。そして手札から《インフェルニティガン》を発動、そしてインフェルニティガンを墓地に送って墓地からネクロマンサーを2体蘇生するわ。1体目のネクロマンサーで墓地からデーモンを蘇生、デーモン効果で《インフェルニティ・ドワーフ》をサーチ。デーモン2体でエクシーズよ。《キングレムリン》をエクシーズ召喚して効果発動よ。デッキから爬虫類族モンスターをサーチ、《EMリザードロー》を手札に加えて、ペンデュラムスケールにセッティングよ。これでレベル3、4のモンスターをペンデュラム召喚できるわ。」

 

 

 

その後、のあの展開は止まらず《ガガガガンマン》のバーンも交えてジャスト8000バーンによる先行ワンキルが行われた…。

 

 

「さぁ、みく。私の勝ちだけれど言いたいことはあるかしら?」

 

「ただのレギュレーション違反にゃぁ!!」

 

「ふふ、そうね。(よし楽しく話せたわね。)」

 

その後、にゃん・にゃん・にゃんの3人は寿司屋で親睦を深めるのであった。

 

 





(よし、楽しく話せたな。)


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