とある男の黄金体験   作:トリプルゼータ

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 皆が悩まされるはずの挨拶。この男はとんでもないことを言うようです。


挨拶って何言えばいいんだろうね……そもそも言えなかったよ……

-----2022年4月-----

 

「……ジー」

「……うぐぅ」

「あ、あ、あ、あぁぁぁぁ……」

 

 あぁ、どうしてこうなってるんだ?あ、うぐぅは織斑くんだ。えぇ、順調に魔境に突っ込まれました。ははは、くたばれ。あのあと、俺はIS学園の参考書(P.S:織斑千冬さん、以下織斑先生のお心遣いか、付箋やマーカーがしてあって、結構分かりやすかった)を病室で暗記した、というかさせられたが正しいか。で、そのままお家を引き払って用意された保護施設で今日このときまで過ごしてきたのだ。そして、この洗礼を受けている……

 

 この前説明し損ねたのだが、実はISくん、女にしか動かせないのだ。守備範囲広すぎん?で、そんな事実が絡みに絡んでできた風潮、それこそが女尊男卑である。簡単に言うなら、IS動かせるから女強い!男弱い!っていう考えだ。これのせいで、毎年無実の紳士がムショに臭い飯を食べに行かされている。何てことだ。んで、ここはIS学園、ISを学ぶための学舎なんだが……うん、察しついてるよな。ここ、織斑くんと俺除いて女子しかいなんだわ。

 

 ……おい、画面の前の君、今瞬きしたお前だよ。今、一瞬でも羨ましいとか思っただろ。そうと言え。いいか!全っ然だね!地獄の方が遥かにましだ!甘ったるい匂いと興味津々ですみたいな視線は童貞にはキツいんだよちくせう!

 

 ……失礼、取り乱した。まぁ、そういう風にガンガン理性が削られるのだ。こういう状況でどうするべきか。知らんわんなもん。幸い、俺はさ行のもんで、少し後ろなんだが……うん、織斑くんは、うん。御愁傷様……あ行は辛いよ。

 

 ここで俺がとれる選択肢は二つ、織斑くんは必要な犠牲とし、俺は大した被害なく切り抜ける。もう一つは、織斑くんにアイサツし、男子協定を結ぶ。

 

 それぞれデメリットを挙げていこう。必要犠牲案は、織斑くんとその後友達になれる確率が低いこと。アイサツ案は、この状況で目立ってしまうこと。しかし、この多分女子しかいないIS学園において、もう一人の男子と仲良くなれないというのは死よりも恐ろしい……!ならば!自ずと答えはd……!

 

「皆さん、おはようございます!」

 

 ……まさかのタイムアウト……だと……?強制必要犠牲ルートなの?神は俺を見放したか!だが、ここは一つ!

 

「「おはようございます」」

「「「「「……」」」」」

 

 ……拝啓、お父様。私、四賀佑真、高校デビュー失敗したかもしれません。助けて。織斑くん助けて。

 




 ミスっ……!痛恨のミスっ……!

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