皆で小説を書こう配信 まとめ 作:二 貂理
百物語の最後に現れるとされる日本の妖怪。
正体は?⇒ぶっちゃけ不明。
「百物語を終えたら天上からクモの足が」みたいな話も。
「百物語を最後までやると怖いことになるからやめようね」チックな戒めの側面も?
百物語全体を指す説もある。
・すべらない話
それは、絶対に面白い話をしなければならないという、法則に支配された場のこと。
うん、あれ出来るプロすげぇよ…
・キャベツ
寒いところに適応した野菜。マイナス12度すら、一晩二晩耐えきる。
丸く玉になるイメージが強いが、そればっかりじゃない。
ビタミンC、Uを含む。
ロールキャベツ美味しそう……
青行燈。
それは、百物語の最後に現れるとされる、妖怪の名前。
前提の話として、百物語を知らない人のために百物語の説明から始めようと思う。といっても、ざっくりとした説明で終わらせるつもりだけど。
まず、100本のろうそくを準備する。
それら全てに火を灯して、ぐるりと囲み。集まった人々が持ち寄った怖い話……ようは、怪談話を話していく。
誰かが一つ話しては、一本蝋燭を消して。
また誰かが一つ話しては、一本消して。
そうして100の怪談話を話していく集まりのことを、百物語とか、百物語の会とかって呼ぶ。
青行燈は、そんな百物語の百話目を語り、蝋燭の日を消した時に出てくるって言われてるわけだ。
現れるってだけ言われても分からない?どんな妖怪が現れるのか、だって?
それは分からない。……まって、呆れかえって帰ろうとしないで欲しい。弁明の機会を。
そもそもとして、だ。青行燈は、それ以上のことがよく分かってない妖怪だ。
「百物語を終えた時、天井から足が伸びてきた。それを切ったらクモの足が残された」、とか。
「「100物語を完遂すると怖いことになるよ!やめようね!」と注意を促すために作られた」、とか。
言ってしまえばそういう、人の都合によっていることにされた妖怪、とでもいおうか。ようは、そういう存在なのだ。
正体も不明、百物語こそが青行燈であるとされるほどの存在的強さ。しかしその本質は、「雷におへそを取られるよ」並みの、「怖いから近づくな」という戒めのために捏造された存在である。
そう考えると、余りにも滑稽じゃないですか?
「以上、「かっこつけてるくせに中身のない妖怪、青行燈」でした!」
「でした!じゃないが。オイ、当たり前のような顔で蝋燭の火を消そうとするな」
蝋燭の火を噴き消そうと近づけた顔を、鷲掴みにして押し戻される。青行燈さんはどうやら、本日のお話しもお気に召さなかったらしい。
=〇=
それは、あるお昼のことだった。
キャベツサンドを食べながらロールキャベツの仕込みをしている時。ふと何かがいるような気がして振り返ると、半透明の女性がいた。
「あ、いらっしゃいませー。お帰りはあちらですよ、お客様」
「まて、何のことだ」
「何のことだと申されましても。入口で立ち止まるだけのお客様は、即刻蹴りだすと決まってまして」
「そんな話があるか」
あっさり否定されてしまった。
「ですが、半透明の体で店内に入ってくるとか、不審者以外の何でもないじゃないですか。お店側としては早く出て行って欲しいといいますか」
「あー……それは、確かに」
あっさり納得されてしまった。
「確かに、それはそうだ。それでは仕方ない、また後日お邪魔させていただくよ」
「はい、盛り塩積んでお待ちしていますね」
「それ待つ気ねぇだろ、徹底的に追い出そうとしてるだろ」
そんなまさか。これでも入ってこれる人はちゃんと募集してますって。
「だとしても、今は後日に」
「それもそう……いや、確かにそうだな。うん、失礼。お邪魔した」
「はいは~い」
半透明の女性は、そう言うと体の向きを入口の方へと向ける。地に足をつけることもなく、すす~っと移動していき……
「いやだからちょっと待って」
「なんですか?まったく、しつこいって言われません?」
「うっ、それは確かに」
心当たりあるのか。大変だな、この人も。
「いやだからそうではなくて……君、私のこと見えてるの?」
「見えてませんよ?」
「半透明の人がどうこうつってっただろ」
なるほど、これは一本取られた。
「人のあげ足とるの、そんなに楽しいですか?」
「ああ、楽しい楽しい。だからちゃんと聞け」
あ、もう対応めんどがられてしまった。
はぁ……仕方ない。明らかにこの世の者じゃないけど、話すことにしよう。
「それで?結局のところ、あなたは何ですか?」
「青行燈だ。生まれたてかけの、な」
話を聞くところによると。
あと1話で百物語達成、と言うところで儀式を止められてしまったらしい。結果、こうして中途半端な状態で現世に造られてしまった、と。
「そのまま消えればいいんじゃないですか?」
「よっし今からお前のことを呪うことにする」
「仕方ないなぁ、全力で協力しますよ!」
シャレにならないこと言いだしたぞ、この産まれたてかけ。
「それで?俺は何を協力すれば?」
「簡単なことだ。物語が足りなくて産まれていないのだから、その分物語を追加してくれればいい」
なるほどなるほど、つまり。
「百物語の続きをしろ、と?」
「端的に言えば」
「それであなたがホントに誕生するんですか?」
「誕生する。それだけは、約束する」
「いやそんなこと約束されても、むしろしないでくれた方がいいくらいなんだけど」
なんにせよ。
こんなきっかけチックな出来事があって、お話しは冒頭へと戻るのであった。
=〇=
「はぁ……ねぇ、確か言ったよね?百物語をやってって。なのに、今のどこが怪談だったのかな?」
「いや自分、怪談とか苦手なんで」
「なるほどそれだけ見えてるくせにそう来たか」
むしろ見えているからこそ怖かったというか。
「だから正直、青行燈さんにも関わりたくないというか。それでも関わらないわけにはいかなさそうなので、方向性を変えてみようかと」
「ほうほう?方向性を変える、と」
「はい」
今回こうして語った内容とも絡むが、簡単には青行燈について調べてある。要するに、「怖い話を百個連ねた結果、超怖い物が出来上がった」みたいなお話しなのだ。じゃあ、
「すべらない話でやれば、すべらない話の塊ver青行燈が出来るってことですよね」
「もはや私は、妖怪を改造してこようとするあなたの方が怖いのだけど」
その瞬間。
風がふいてきて。蝋燭の火が煽られる。
青行燈は、本気で慌てていた。
さーって、どうやってすきをついて「青行燈verすべらない話」作り出してやろうかなぁ。
=〇=
何も分からない。混乱しかないし、不安がある。結局混乱しかないわけじゃなかったけど。
妖怪をトンチキに改造しようとするやつ、どうやって対処しようか……
…いっそ。アレの話をして蝋燭の火を消せば、全部解決する気がするな。
そんな風に考えている彼女が意味不明な少年の犠牲として、トンチンカンな妖怪になるまで。あと1日のことであった。