皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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・青行燈
 百物語の最後に現れるとされる日本の妖怪。
 正体は?⇒ぶっちゃけ不明。
 「百物語を終えたら天上からクモの足が」みたいな話も。
 「百物語を最後までやると怖いことになるからやめようね」チックな戒めの側面も?
 百物語全体を指す説もある。

・すべらない話
 それは、絶対に面白い話をしなければならないという、法則に支配された場のこと。
 うん、あれ出来るプロすげぇよ…

・キャベツ
 寒いところに適応した野菜。マイナス12度すら、一晩二晩耐えきる。
 丸く玉になるイメージが強いが、そればっかりじゃない。
 ビタミンC、Uを含む。
 ロールキャベツ美味しそう……


第十四回 青行燈・すべらない話・キャベツ

 青行燈。

 それは、百物語の最後に現れるとされる、妖怪の名前。

 前提の話として、百物語を知らない人のために百物語の説明から始めようと思う。といっても、ざっくりとした説明で終わらせるつもりだけど。

 

 まず、100本のろうそくを準備する。

 それら全てに火を灯して、ぐるりと囲み。集まった人々が持ち寄った怖い話……ようは、怪談話を話していく。

 誰かが一つ話しては、一本蝋燭を消して。

 また誰かが一つ話しては、一本消して。

 そうして100の怪談話を話していく集まりのことを、百物語とか、百物語の会とかって呼ぶ。

 青行燈は、そんな百物語の百話目を語り、蝋燭の日を消した時に出てくるって言われてるわけだ。

 

 現れるってだけ言われても分からない?どんな妖怪が現れるのか、だって?

 それは分からない。……まって、呆れかえって帰ろうとしないで欲しい。弁明の機会を。

 

 そもそもとして、だ。青行燈は、それ以上のことがよく分かってない妖怪だ。

 「百物語を終えた時、天井から足が伸びてきた。それを切ったらクモの足が残された」、とか。

 「「100物語を完遂すると怖いことになるよ!やめようね!」と注意を促すために作られた」、とか。

 言ってしまえばそういう、人の都合によっていることにされた妖怪、とでもいおうか。ようは、そういう存在なのだ。

 

 正体も不明、百物語こそが青行燈であるとされるほどの存在的強さ。しかしその本質は、「雷におへそを取られるよ」並みの、「怖いから近づくな」という戒めのために捏造された存在である。

 

 そう考えると、余りにも滑稽じゃないですか?

 

「以上、「かっこつけてるくせに中身のない妖怪、青行燈」でした!」

「でした!じゃないが。オイ、当たり前のような顔で蝋燭の火を消そうとするな」

 

 蝋燭の火を噴き消そうと近づけた顔を、鷲掴みにして押し戻される。青行燈さんはどうやら、本日のお話しもお気に召さなかったらしい。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 それは、あるお昼のことだった。

 キャベツサンドを食べながらロールキャベツの仕込みをしている時。ふと何かがいるような気がして振り返ると、半透明の女性がいた。

 

「あ、いらっしゃいませー。お帰りはあちらですよ、お客様」

「まて、何のことだ」

「何のことだと申されましても。入口で立ち止まるだけのお客様は、即刻蹴りだすと決まってまして」

「そんな話があるか」

 

 あっさり否定されてしまった。

 

「ですが、半透明の体で店内に入ってくるとか、不審者以外の何でもないじゃないですか。お店側としては早く出て行って欲しいといいますか」

「あー……それは、確かに」

 

 あっさり納得されてしまった。

 

「確かに、それはそうだ。それでは仕方ない、また後日お邪魔させていただくよ」

「はい、盛り塩積んでお待ちしていますね」

「それ待つ気ねぇだろ、徹底的に追い出そうとしてるだろ」

 

 そんなまさか。これでも入ってこれる人はちゃんと募集してますって。

 

「だとしても、今は後日に」

「それもそう……いや、確かにそうだな。うん、失礼。お邪魔した」

「はいは~い」

 

 半透明の女性は、そう言うと体の向きを入口の方へと向ける。地に足をつけることもなく、すす~っと移動していき……

 

「いやだからちょっと待って」

「なんですか?まったく、しつこいって言われません?」

「うっ、それは確かに」

 

 心当たりあるのか。大変だな、この人も。

 

「いやだからそうではなくて……君、私のこと見えてるの?」

「見えてませんよ?」

「半透明の人がどうこうつってっただろ」

 

 なるほど、これは一本取られた。

 

「人のあげ足とるの、そんなに楽しいですか?」

「ああ、楽しい楽しい。だからちゃんと聞け」

 

 あ、もう対応めんどがられてしまった。

 はぁ……仕方ない。明らかにこの世の者じゃないけど、話すことにしよう。

 

「それで?結局のところ、あなたは何ですか?」

「青行燈だ。生まれたてかけの、な」

 

 話を聞くところによると。

 あと1話で百物語達成、と言うところで儀式を止められてしまったらしい。結果、こうして中途半端な状態で現世に造られてしまった、と。

 

「そのまま消えればいいんじゃないですか?」

「よっし今からお前のことを呪うことにする」

「仕方ないなぁ、全力で協力しますよ!」

 

 シャレにならないこと言いだしたぞ、この産まれたてかけ。

 

「それで?俺は何を協力すれば?」

「簡単なことだ。物語が足りなくて産まれていないのだから、その分物語を追加してくれればいい」

 

 なるほどなるほど、つまり。

 

「百物語の続きをしろ、と?」

「端的に言えば」

「それであなたがホントに誕生するんですか?」

「誕生する。それだけは、約束する」

「いやそんなこと約束されても、むしろしないでくれた方がいいくらいなんだけど」

 

 なんにせよ。

 こんなきっかけチックな出来事があって、お話しは冒頭へと戻るのであった。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「はぁ……ねぇ、確か言ったよね?百物語をやってって。なのに、今のどこが怪談だったのかな?」

「いや自分、怪談とか苦手なんで」

「なるほどそれだけ見えてるくせにそう来たか」

 

 むしろ見えているからこそ怖かったというか。

 

「だから正直、青行燈さんにも関わりたくないというか。それでも関わらないわけにはいかなさそうなので、方向性を変えてみようかと」

「ほうほう?方向性を変える、と」

「はい」

 

 今回こうして語った内容とも絡むが、簡単には青行燈について調べてある。要するに、「怖い話を百個連ねた結果、超怖い物が出来上がった」みたいなお話しなのだ。じゃあ、

 

「すべらない話でやれば、すべらない話の塊ver青行燈が出来るってことですよね」

「もはや私は、妖怪を改造してこようとするあなたの方が怖いのだけど」

 

 その瞬間。

 風がふいてきて。蝋燭の火が煽られる。

 青行燈は、本気で慌てていた。

 

 さーって、どうやってすきをついて「青行燈verすべらない話」作り出してやろうかなぁ。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 何も分からない。混乱しかないし、不安がある。結局混乱しかないわけじゃなかったけど。

 妖怪をトンチキに改造しようとするやつ、どうやって対処しようか……

 

 …いっそ。アレの話をして蝋燭の火を消せば、全部解決する気がするな。

 

 

 そんな風に考えている彼女が意味不明な少年の犠牲として、トンチンカンな妖怪になるまで。あと1日のことであった。

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