皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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第十五回 青坊主

 妖怪伝承というものに、一度は触れたことがあることだろう。

 海外の方でなじみがなければ、魔物や妖精と言った存在を思い出してくれればおおよそのイメージは近いはずだ。

 妖怪。それは、言ってしまえば「理解を超えた何か」。ニワトリとタマゴどちらが先かは分からないが、いずれにせよその結論は変わらない。

 異形の者、超常の者。だが神ほどには理解を外れていない存在達を、妖怪と分類した。

 うん?なら大したことはないじゃないか、って?そんなことはない。確かに神様みたいな派手さはないかもしれないけれど、なんだかんだ彼らはやるものだ。

 

 例えば、カッパ。そうそう、キュウリが大好きで、頭の皿が乾くと力が抜けたり死んでしまったりする緑の妖怪。

 彼らは、人間から尻子玉というものを抜き取る。何故かは諸説あるけれど、抜き取る。

 結果人間は死ぬ。

 

 次に、天狗。そうそう、赤ら顔で鼻の長い、翼が生えてたりする妖怪。

 彼らは、流れ星を擬人化した妖怪だと言われたりするのだけど、まぁそんなことは置いといて。手に草で出来た大きなうちわを持っていたりする。

 アレを振るうと超暴風をぶっぱできる。人間は死ぬ。

 

 次に……うん?もういいって?まだ有名どころとして鬼とかもいるのだけど。「どうせ人間は死ぬんだろう?」

 その通りだとも。鬼に会えば、ただ単純な暴力で人間は死ぬ。

 

 と、まぁそんな感じで。確かに神様みたいな派手さはないけど、人間なんて相手じゃないのが妖怪の常みたいなところはあるわけだ。勿論例外はいるけれど、大体そんな感じ。

 どうかな?少しは認識が変わっただろうか。派手さはないものの、結構やるものだし、人間とか視界に入らないくらいの存在ではあるんだよ、妖怪。

 何なら、神様より面白いまである。神様はこう、立場とか役割とかに結構縛られてしまうのだけど、妖怪にはそれがない。

「え、何でそんなことしたの?」って感じの行動をする妖怪のお話しとか、かなり出てくるはずだ。

 

 前置きが長くなった。そろそろ本題に入ろう。

 

 ここまで念入りに前置きをしたのには、一応理由がある。この後登場する妖怪のための、土台造りと言うわけだ。その妖怪の名は、『青坊主』。

 

 聞いたことない?安心してほしい、それが普通だと思う。少なくとも先ほどまで名前を出していた妖怪達と比べて、知名度は圧倒的に低い。それでも、条件を満たせば簡単に人を殺せてしまうような、そんな伝承がある妖怪ではあるわけで。

 さてそれでは、どんな妖怪化と言うと、だ。

 

「あ、待って落ち着いて、怖くないから、おじさん怖くないからちょっと目つきが悪いかもしれないけど怖くはないから、お願いだから流さないdアボボボボボ」

 

 ついさっきまで、小学校の便器から顔を出していた。

 そしてたった今、ゴミを見る目で流されていった変態妖怪である。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「コレは由々しき問題だ」

 

 縄張りとしている山で、誰が聞いているわけでもないが一人こぼす。しかし、これが由々しき問題であることは間違いないのだ。

 

「最近のトイレは、便器には入り込みづらく、そして流れがあまりにも早すぎる」

 

 昔はよかった。ただその下には空洞があり、穢れ知らぬこの身はその空間にいてなお汚れることも無かったが故に、簡単に入り込み、驚かすことが出来たのだから。

 だが、今はどうだ。あの場にはもはやそのような空間はなく、どうにかして入り込み顔だけ出したところで、つまみをひねり流されてしまう。

 

「勿論、驚いてくれる子供たちもいる。あぁとても愛おしい表情、愛おしい反応だ」

 

 その反応を思い返す。性別を問わず、悲鳴を上げてくれる子がいた。悲鳴を上げることも出来ず後ずさる子もいた。その場に崩れ落ちてしまう子もいた。

 そんな純粋な反応を逃すまいと、目を光らせるのが楽しいのだ。

 

「あぁだからと言って、驚いてくれない子供たちが愛おしくないわけではない」

 

 彼ら彼女らの反応もまた、大変良い物である。

 理解できる範囲を超えたのか、完全に固まる子。

 我を人間と勘違いしているのか、変態と叫ぶ子。

 年齢の割に達観しているのか、冷たい目で見降ろす子。

 どの反応も素晴らしく、我が心へ突き刺さり揺さぶりかけてくる。

 

 あぁ、なんて愛おしいのか。

 

「よし、もう一度見て来よう」

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「蓋を閉じるまではまだいい。だが、流すまでがあまりにも早すぎる…!」

 

 再び山へ帰り。人が通りがかると困るので狸の姿へ戻って、愚痴る。

 そうだ、流すのだ。流れるのだ、近年の物は!

 しかも、子供たちが流す判断をするのもまた早い!

 どの子も危険なものを見たかのように、一刻も早く排除しようとするかのように、その選択を迷いなく!

 

「呆然としてなお数秒で立ち直り判断・決行するその決断力。子供の可能性は無限大だな」

 

 子どもの未来は明るい。その可能性の塊に、我はすっかり虜にされてしまっている。

 

「よし、ちょっと畑に小学生ウォッチングに出向くか」

 

 そろそろ彼ら彼女らの下校時間と言うヤツになる。麦の中に身を潜め、感付かれずに観察するとしよう。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「なんだあの車とか言うヤツ、危ないではないか!」

 

 潜んでみていることに我慢できなくなり、飛び出して轢かれそうになり慌てて逃げかえって愚痴ることを三度繰り替えす。

 

「あんな危ない物、あって許されるものか。次会った時は正面から、叩き壊してくれるわ!」

 

 言ったそばから行動へ向かい、車相手に相撲をとろうとして撥ね飛ばされた、変化をし忘れた狸がいたのだが。

 この辺りに住む妖怪たちは揃って「またか」と呆れ返り、見なかったことにしたとかなんとか。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 と、こんなところで如何だっただろうか?

 意味が分からない?大丈夫、内容なんてないから意味が分からなくて問題はない。むしろわかる方が

問題だ。

 

 と、これが現代を生きる青坊主と言う妖怪のお話。狸で山の神様な彼は、神様的な意味でも子供を愛している。だって神にしてみれば、理解できない物に純粋な反応を示してくれる子供は、ある種信仰の途絶えない稀有な存在だ。愛するに決まっている。

 

 まぁ、その結果があの変態行動なので、どうしようもないのだけど。

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