皆で小説を書こう配信 まとめ 作:二 貂理
詳細不明。
爪+毛深い顔。
黒雲に覆われたけもの。
全身像不明。
でかい舌がある。
神様の化身説アリ。
夕焼け空から舌をでろーんって伸ばして、人をさらう。
さらわれた家は、栄えるとか。
・うさぎ
耳が長い。
よく跳ねる。
思ったより狂暴(だったりする)。
因幡の白兎とか、自分から焚き火に突っ込むのとか。
アリスシリーズとか、妖精として出てくることも。
・羽が生えたなにか
犬とか、猫とか、牛とか、山羊とか、鹿とか。探すと結構いる羽生えてるシリーズ。
不思議なものとして作りやすかった?
異界=天として、そっちに近づく存在として。
「まぁペガサスみたくしとけばええやろ」とか。
そういう感じで、軽率に羽や翼が生える。
世の中には、理不尽と言うものがる。
例えばそれは、逆らうことのできない存在。立場上どうやっても逆らうことのできない存在から命令されたのなら、そこに拒否権はなく。従う外無いのである。
例えばそれは、対話の成り立たない暴虐。地震や台風と言った自然界の大災害。それによってもたらされる破壊と強奪は、どう足掻いたところで逆らうことなどできるはずもなく。ただ静かに通り過ぎるのを待つことしかできないのである。
例えばそれは、人智の外側の存在。人間の理解の外側に位置する存在による干渉。それがあったと証明することも出来ず、かと言って抵抗できる程近しい立場にいるわけでもなく。ただただ受け入れ、その上で自らの胸の中にしまっておくことしかできないような、有り得ざる干渉。
え、最後のはなにか、って?あぁ、これだけは確かにふんわりしすぎていたね。じゃあもうちょッと正確に。
それは、幽霊や妖怪、神といった存在。人間の常識の中において「いない」とされているモノ。ありもしないと切り捨てられる妄言の類。故にこそ、そこから受ける被害は一切証明することが出来ず、理不尽に該当するのだ。
その中でも特に、神と言うやつは酷いものだ。確かに、そいつらは恵みをもたらすんだろう。無くてはならない、重要な役割を持っているのだろう。強大な力を持っているのだろう。だが、だ。だからと言って気まぐれに人類を滅ぼしていいはずもなく。ましてや遊び感覚で干渉してきていい存在ではないはずなのだ。
さて、前置きが長くなった。ここからようやく、結論に入る。この場合の結論とはつまり、今何が起きているのか、と言うことなのだけど。雑に言えば、そう。神とかいうやつが、生贄を要求してきて。
「ほらほら、どうしたんですか?さっきまでの威勢はどこに行ったんですか、変態神さん」
「あのー、ほら。その人……人?も反省してそうですし、それくらいに」
「人間さんは黙っていてください、モフモフに閉じ込めますよ」
「ねぇそれどんな脅し?モフモフに閉じ込めるって何?」
神とやらからこちらに向けて伸ばされた舌を切断し、顔面踏みつけて詰っている人がいるのである。
いや、うん。なんで?
=〇=
「うん?—――なんだ、あれ?」
仕事帰りに、ふと空を見あげて。普段は見えない変なものがあるのに気付いた。
それは、それは……え、なんだあれ。なんか赤い細長い物が、空からでろーんと伸びてきていた。
え、なんだあれ。気持ち悪っ。
「って、あれ。こっちに向かってきてね?」
しかもそれが、何故かこちらへ向かってくる。え、いや待って、怖いキモイ怖い怖い。赤い細長いうねうねしたものがこっちに向かってくる何あれ怖い!
「人気がないから、余計に怖い!」
ざっと来た方を振り返り、走り出す。と言うか、走るしか選択肢がない。迷いなく逃げを選択する。
「おわっ、追って……こない?」
と、少し走ってから後ろを見ると。布製の巻き尺を回収するときのようにうねり暴れながら空へ戻っていく。えぇ、何あれ。
「—――あ、帰ってきた」
と、少し待っていたら再び空からでろーんと伸びてくる。いやうん、怖いのよ。明らかにこっちに向かってきてるし。
「って、うん?なんかくっついてる?」
と、もう一度走り出す前に奇跡的にソレの先端になにかくっついているのが見えた。なんだろうと思ってみている間にどんどん近づいてくる。まず紙だと気付き、続けて何やら書いてあることにも気付けた。
つまりは、あれだろうか。手紙?あるいは筆談の可能性もある。
「え、何それ怖い」
なぞの赤い細長い物体が手紙か筆談を持って近づいてきた。いやもうそれだけで十二分に恐怖体験でしかないのだけど。
などと考えている間に、その髪を受け取れる距離まで近づかれてしまった。仕方ないので、紙を受け取る。と、そこでこれが「舌」にしか見えないことに気付いたけど、気のせいだということにした。
「ええっと、何々?」
『驚かせてしまい、申し訳ありません。我は名前はありませんが、赤舌と呼ばれております。無名処、知名度の薄い身ではありますが、一応神の末席に座らせていただいている者です』
「え、なにこれ丁寧すぎて怖いんだけど」
意味不明な物体からとっても丁寧なお手紙が届いた。いやこわっ。いっそ無礼極まりないとかむっちゃ上から目線とかあってくれたらまだ混乱しなかったのに。混乱度合いが増した。
と、混乱の真っただ中なわけだけど。接触してしまった以上は、もうコミュニケーションをとるしかないわけで。
「ええっと……その赤舌さんが、何の御用でしょう」
って、想定通りならここにあるのは舌なんだから、言ったところで聞こえないのか。となると、こっちも紙に書いて舌にのせて持ち帰ってもらうしか?
などと考えていると、再び巻き尺ムーブで舌が天へ戻っていく。
暫し待つ。
再びでろーんシュルルルル、とこちらへ向けて舌が伸びてきた。
紙をとる。
『この度唐突に連絡させていただいたのは、1点不躾なお願いがありまして』
神からこの始まりをする手紙を受け取る人間って何なんだよ。意味不明なんだよ。
『結論から端的に申し上げますと、生贄のお願いです。』
「おーっとヘビーなのが来たぞ」
思った以上に神様の理不尽さを見せつけられた。え、生贄っつった?捧げろと?そういうこと?
「一応、何でなのかって聞いてもいいですかね?」
神様相手だしダメもとで聞いてみると、再び巻き尺ムーブで天へと帰っていく舌。紙がくっついたってことは唾液的な物でくっつけてたんだろうけど、まるで唾液がまき散らされていない。これが神の力なのだろうか。
なんだその神の力。どんな場面で役に立つんだよそんなもの。
と、帰ってきた。今度も紙をつけている。
さて何が書いてあるかなぁ、と受け取ってみると。
『何故、とは……?』
「おーっとそう来たか」
超丁寧な口調でも、神は神と言うことか。生贄を求めることに対して何の疑問も抱いていない。捧げて当たり前という発想なのだろう。
え、こわっ。
「いやこう、唐突に生贄って言われても混乱するんですよ」
巻き尺形式で戻っていく。
でろーんシュルルルル形式で帰ってくる。
『こん、らん……?』
「わざわざあんだけの手間かけといて4音かよ!」
ついキレてしまった。
でももう仕方ない。抑えきれるものではない。
「変わったかってんなら変わったよ生贄に疑問を抱かない日本人とかいねぇよ!」
いや探せばいるかもだけど超少数派!
「あ、いやまて戻るな舌!」
と、この言に対して返答しようとしたのか、舌が返っていこうとする。
「あまりにも食い違ってて話にならないから、もうこっちに直で来い!つーかテンポが悪い!」
一々舌が戻っていて紙を持って帰ってくる。しかもそれで持ってくるのがたった4音。
うん、流石にあり得ない。あまりにもテンポが悪い。
と、再び巻き尺ムーブで天へ帰っていく舌。
大きく息を吸って~。吐いて~。
吸って~。吐いて~。
「人の話、聞けよ!」
『あ、はい。そうさせていただきました』
「おぉん!?」
声の方へ振り替える。
むっちゃ毛むくじゃらの顔に鋭い爪で、舌が口の端から出ている謎の生命体がいた。
え、何コイツ怖い。
「え、何コイツ怖い」
『よく言われます』
あ、やっぱりよく言われるのね。
『と言うわけで改めまして。こんな身ですが、一応神様やってます』
「あ、はいどうも初めまして……」
頭を下げられてしまった。神に。
どうしたらいいのか分からないので、一先ず頭を下げておくことにした。
「それで、えっと。生贄とかって件なんですけど」
『あ、はい。そうでしたそうでした。えっとですね』
「獲ったぁ!」
と、そこで。
こっちの質問に答えようと口を開き、やはりどうやっても口には収まらなかったのかでろんと飛び出た舌に向けて。
上空から飛び降りてきた人物の刀が振り下ろされた。すっぱーん!と。綺麗に上から下で。音もなく切断された。
「……うん?」
「逃がすかぁ!」
と、まるで理解が追い付いていないのだけど。とりあえず唐突に舌を切られた神様(赤舌)は背中に真っ白な翼(!)をはやし、逃げようとする。なるほどさっき唐突に背後にいたのはアレを使って天から降りてきたのか、と納得していると。女性は女性で膝を軽く曲げ、伸ばし。
超ジャンプをして、神様を捕まえた。
それどころかその真っ白な翼をむんずと掴み。綺麗な白を赤く染めながら引っこ抜いていく。……うわ、ぐっろ。
「ふん、味気ない」
翼を失えば飛べなくなるのは必定。真っ逆さまに落ちていく。落下場所は……よし、見えた。
「一応、向かうか」
気乗りはしないけど、状況についていけてないから仕方ない。
=〇=
「ほらほら、どうしたんですか?さっきまでの威勢はどこに行ったんですか、変態神さん」
落下ヶ所にたどり着くと、赤舌さんが背中を踏みつけられ、今にも首を落とされそうな勢いだった。
うーん、物騒。
「あのー、ほら。その人……人?も反省してそうですし、それくらいに」
いや、神様別に当たり前のことっぽい感じだったから反省とかはしてないんだろうけど。少なくとも悪い人じゃなさそうだったから、ちゃんと話せば分かってくれるんじゃないかなって、そう思う次第でございまして。
「人間さんは黙っていてください、モフモフに閉じ込めますよ」
「ねぇそれどんな脅し?モフモフに閉じ込めるって何?」
まるで効かないどころか新たなる脅しをかけてきやがった。
「いいですか」
と、足元の赤舌の背へ日本刀を突き刺しながら。
「コレは、貴方に生贄を要求したんですよ」
「あー、はい。そう、でしたね」
「何故、かばう必要があるんですか?」
「あー、確か、に。そうでは、あるんですけど」
どうしよう、全てが正論で何も言い返せないぞこれ。
「それに、何より」
「はい?」
「これだけ問い詰めて何も言ってこないのです。なにかやましいことがあると思うのが自然では?」
「ねぇ貴女舌切り落としてましたよね?舌べろすっぱーん!って切り落とすために飛び降りてきましたよね?」
どうやって喋れというのか。
「……まぁ、それは置いといて」
「いや結構大事なことでは」
「人に生贄要求する神がまともなわけ、ないんです」
言いきっちゃった。
「神にその身を捧げた兎の末裔として、後始末は付けます」
兎。……兎?
よく見ると、帽子で隠されてはいるけど、確かにうさぎの耳っぽい物が見える。
「知りませんか?高貴な身分のお方へ捧げる物が見つからず、自らの身体を焚き火へ放り込んだウサギの話を」
聞いたことがあるような気はした。
が、パッと思い出せるほどの学はない。
「そんなことをしたバカな先祖のせいで、人間がずーっと苦しんでいるのです」
「いや、そんなに変わらなかったんじゃないかなって思うんだけど」
「その後始末だけは…ひゃうん!?」
そして、そこまでして聞く気もなかったので。
帽子から見えている耳をひっつかんで引っ張ることにした。
結果、気絶したウサギになった。どうやらホントにウサギだったらしい。
足元には背中ごと地面につき刺し止められた赤舌(神様)。
手にはどうやら自ら焚き火へ飛び込んだウサギの末裔。
いや、うん。何でなん?