皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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第十九回 赤シャグマ

 赤シャグマ、と言う妖怪がいる。

 どんな妖怪か?そうだな、一言で言うなら座敷童の四国版。うん、この一言に尽きる。

 そうそう、その座敷童。幸運を家に呼んでくれるとか、いなくなると不幸になるとか、テケテケの元ネタだとか、そういう感じで言われてるそれ。

 

 言ってて思ったけど、最後のはなんでなんだろうな。家に幸福をもたらす座敷童と、下半身を失った幽霊的なテケテケ。どうやっても結びつかないと思うんだけど、どこで繋がったのだろうか。

 

 と、閑話休題。今の主題はそっちじゃなかった。赤シャグマの話に戻す。

 

 四国版座敷童赤シャグマ。

 暫しの幸運と定められた滅びを持ってくる、冷静になるとそれなり以上に質の悪い妖怪。きっと人前に姿を現そうものなら座敷牢にでも閉じ込められて二度と逃げ出せないようにされるであろうそれ。さて、なんだってそんな存在の話をしたかと言うと、だ。

 

「またかテメェ!」

「シャーッシャッシャッシャ!」

 

 今日こそは捕まえて折檻を、と思ったのにいつの間にかいなくなっている。

 

 一瞬だけ見えた特徴。小さな体躯に、真っ赤な髪の毛。さらに言えば、今いる場所は四国。つまり、アレの正体は決まっている。

 

 今日こそは逃がさんぞ、赤シャグマ。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 9月初旬。まだ暑さは残るとは言え、夜は比較的寝やすくなってきたころ。久々の寝心地がいい夜を過ごしていたら―――しっかり、叩きおこされた。

 

「ふあ……なんだ、今の」

 

 何か違和感を感じて起こされる。せっかく人が心地よく寝ていたのだから、このまま気付かずに眠らせてほしかった。

 

「……ん?」

 

 と、そんな現実逃避をしながら顔を見上げる。

 なんか髪まっかの子供がいた。うーん、赤か。どこの国の人なんだろう、赤。

 

「っていや、そうじゃない」

 

  だから、それは今考えるコトではない。

 体を起こして、立ち上がる。

 立ち上がって、すると子供が走って逃げ出した。

 追う。

 仏壇の前までたどり着いた。そこでふっと姿を消す。あぁ、うん。なるほど。

 

「いたずら小僧かと思ったら、人間じゃないのか」

 

 超常現象を見せつけられては、納得するしかない。お仏壇にはウチのご先祖様がいるだけのはずなんだけど、どこにいったんだろうか、あの子は。別にこのお仏壇の中じゃなくて、床下とかの誰も使ってない部屋とか。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・

 

 いや、いいや。

 

「寝よ」

 

 帰ったのなら、もう起こされることもないだろう。改めてしっかり睡眠を取れればいい。

 秋の真夜中に不思議な体験をした。そう思えば、まぁギリギリセーフかな、って。

 

 踵を返してお部屋に戻り、お布団を広げて。

 

 おやすみなさい。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 

「だから!なんなんんだ!お前らは!!」

 

 

 しっかりたたき起こされた。

 どうやら彼らにしてみれば、人間ならだれでもいいようだ。うんうん、すっごく分かりやすいな。

 

 敵だ。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「またかテメェ!」

「シャーッシャッシャッシャ!」 

 

 もう何度になるか分からない赤シャグマとの攻防。アイツは寝ていないと反応しないので夜通し一人で相手するしかない。ひたすら追いかけて、仏壇なり地下室なりで逃げられる。何よりも大きいのが、足が速いこと。どてもじゃないけど、追いつけない。

 

 ので、追いつくことはあきらめた。

 

 

「シャ!?」

「っし引っかかった!」

 

 聞こえてくる悲痛な鳴き声。それに勝利を確信して角を曲がると、想像通り罠にはまった赤シャグマがいた。右足にロープをひっかけ、天井からつるされている。和服姿の子供が、天井から逆さ吊りにされている。

 

 あれ、これもしかしなくても絵面がマズいのでは?

 

「…まぁ、相手は妖怪だし」

 

 そう、相手は妖怪だ、よって、問題はない。そもそも今回の件だって、もとはと言えば赤シャグマの方が俺をくすぐろうとしたのが問題なのであって、こっちは別に何も悪くな

 

 真っ赤なカツラが、ポトリと落ちた。

 涙目の彼が、必死に頭を隠そうとしている。

 

 そっと無言で近付いてロープを切り、降ろしてやった。

 

 ぶっ飛ばされた。

 それはもう盛大に、ぶっ飛ばされた。

 

「理不尽、な……」

 

 言いながら、そうでもないな、悪いの俺だな、と考え始め。そのまま意識を失った。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 しかしまぁその後、彼が妖怪赤シャグマを捕まえられるはずもなく。とうとう仕事もやめて毎日毎日バトルする日々が始まるのだが、それはまた別のお話。

 

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