皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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第二十回 化けイタチ・現代物

「えっと、420円のお返しです」

「はい、ありがとうございます」

 

 フードを目深にかぶっての散歩中、ふと見かけた和菓子屋さんで。美味しそうな和菓子を買いながら、ふと思う。

 2周年。2周年である。

 いやホントに2周年か?実は自分のデビュー月を半年くらい勘違いしていて、まだ一年半とか逆に二年半とかじゃない?マジで2周年?

 

「いやうん、マジなんだよなぁ」

 

 袋から一つ取り出して、口に放り込み。改めて考える。

 が、驚くべきことに、マジである。何をもってデビュー日とするかは難しいところではあるけれど、少なくとも11月デビューであることだけは間違いない。TwitterもYouTubeも11月に開設している。

 あとはまぁ、縁のおかげで間違えることはない。はず。

 

「いや去年間違えたな、デビュー月」

 

 訂正。間違えることもある。けどまぁ、その場合はすぐにでも気づくだろう環境にいる。

 結論。どうやらマジで2年が経とうとしているらしい。

 

「いやぁ。早いなぁ、2年」

 

 あっという間の二年だった、とか言うとなんかテンプレっぽいけれど。しかし事実なのだから仕方ない。学園物の小説とかで「あっという間の3年間だった」とかいう表現出てきてたけど、あれはホントだったらしい。各主人公やら登場人物へ。疑ってすまんかった。

 

「何やってたっけ、2年」

 

 そもそもこんな振り返りをこれまでにしただろうか、と思い返す。やるとすれば、何か節目のタイミングだろうけど……

 うん、覚えてない。

 

「覚えてないってことは、まぁやってないのと同じだよね」

 

 と言うわけで、やっていないということにする。これまでやってこなかった振り返り。それをするというのは、まぁある意味らしいのではなかろうか。

 ちょっと楽しくなってきた。さて、じゃあ2年間何をしてきたか振り返るとしよう。

 ………………

 振り返、る?

 

 まず、1年目。こういう時って直近一年間を振り返るんじゃないの?っていうのはわきに置いといて。何をしてたか。

 

「たぶん、何にも考えてなかったんだろうなぁ」

 

 当時のサムネイルを見返すと、まぁよく分かる。たぶんなにか面白そうだと思ったら飛びついて、みたいな。ゲームもお酒も人も機械も、どれもこれも目新しくて、ひたすらに手を出していただけだった気がする。

 甘い。甘すぎる。さっきコンビニで買ったエクレアくらい甘い。ウヰスキーほしくなるな。

 

「それで面白かったから、何も考えずに続けたんだろうなぁ」

 

 中にはまぁ、意味不明なのもあったけど。バイノーラルとか。あれは未だによく分かっていない。もし次があったなら、何か分かったのだろうか?

 ……分かったのかなぁ。分からなかった気がするなぁ。

 

「分かる必要があるかと言うと、そういうわけでもないのかもだけど」

 

 極端に暴力的に言ってしまえば、どっちでも関係ない。面白かったから2年目にそのまま突入した。それだけだ。

 

「んで、2年目に入ったわけだけど」

 

 今が10月なので、「11か月前」になっている辺り

が2年目になるのか。

 

「何か変わってる、のかなぁ」

 

 変わってない気がする。やっぱり面白そうだって手を出して、そのまま気分であっちこっち。落ち着きがない。

 つまりまぁ、最初期から何にも変わってない。

 

「いいのかそれで、わたしよ」

 

 いいんだよこれで、って返ってきた。ならまぁ、いいんだろう。

 一年は絶対に続けよう、とだけ決めて始めたこと。現代に紛れ込んでの、ほんの気まぐれ。それがここまで楽しくなるとは、思ってもいなかった。

 

「出自を思えば、微妙なところのはずなのになぁ」

 

 自らの来歴を思う。わたしの記憶にはないけれど、確かにあるそれ。いやまぁ、知ったこっちゃないって言っちゃえばそこまでなんだけど。

 それでも。本質的には、目の前の光景をぶち壊したいはずなのだ。とかなんとか、自分で言って笑ってしまう。

 

「こんな面白おかしい物、誰が壊したがるのやら」

 

 意図的に、口に出す。疑問はない。迷いもない。今のわたしは、何の負い目もなく今を楽しんでいる。出自であるところの彼は、まぁ、うん。しっかり消化されたのでしょう。

 彼だっけ?彼女だったっけ?伝聞でしか知らないから、まるで覚えてないや。

 

「ま、自分が何食べたか事細かに覚えてる生き物なんていないよね、ってことで」

 

 食事なんて毎日するものだ。その上今より脳みその出来が低スペックな野良イタチ時代最後の晩餐とか、覚えているはずもない。美味しかった気もしないから思い出したくもない。

 

「あ、焼き鳥だ」

 

 目に付いたのは、焼き鳥屋さん。居酒屋さんって感じだけど、店頭販売もしている。香ばしい香りがこちらまで漂ってくるように感じて、我慢できる気がしない。

 

「よし、ゴ主人からパクったお金まだあるし、買って帰るか」

 

 手土産持参なら怒られることもないだろう、と。フードを引き下げつつ、打算込みで焼き鳥へ向かう。

 

 そういえば、初配信の後も夜散歩して、焼き鳥買って帰ったな、なんて。

 案外食べたモノ覚えてんじゃんって、面白くなった。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 わたしじゃない私は、どうだったのか知らないけれど。

 少なくともわたしは。人間味をもって、楽しみ続けていく。

 

 ……ゴ主人が死んだら、まぁその時は考えよう。ってことで。

 

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