皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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第二十四回 一反木綿

 一反木綿、と言う妖怪がいる。

 どんな妖怪か、は説明するまでも無いのではないか。とある事情により、もはやだれもが知っている妖怪と言っても過言ではないと思う。

 とはいえ、それを理由に説明をサボるのは信条に反する。よって、手短に。

 

 それは、反物の妖怪である。

 反物が妖怪になったのか、はたまた反物の妖怪として生まれているのか。その因果関係は分からないが、まぁ行きつく先は「反物の妖怪」であるため、問わないものとする。

 それがひらひらと宙を舞っている様子を思い描いた方は、ちょっと不思議枠くらいに思っただろうか。であるのならば水を差して申し訳ないのだが、こいつは分かりやすく攻撃的な妖怪である。

 なにせ、顔や首に巻き付いて窒息死を狙ってくる妖怪なのだから。普通に殺意が高すぎる。

 

 その結果顔にまとわりついて窒息を狙ってくる妖怪はひとまとめに同類と分類されたりするくらいには、しっかり物騒なことを狙ってくる妖怪なのだ。

 

 とまぁ、こんなところで理解して貰えただろうか。改めて説明してみると、物騒な妖怪であるという情報は伝えるべき内容だった。やはり、説明はサボってはいけないな。

 

 と、そうではなく。説明を終えて、本題に入ろう。述べた通り「反物の妖怪」であるところの一反木綿。いいか、「反物の妖怪」だ。それが、一反木綿だ。

 

「で、今俺の目の前にいる喋る抱き枕カバーさん、お名前は?」

「はい、名前は特にありません!」

「ほうほう、では何者ですか?」

「もう名乗るのも二度目ですが、わたくし、妖怪一反木綿でございます!」

 

 一反木綿は反物の妖怪だっつってんだろ。ふざけんな。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 事の始まりはこうだった。

 夜の気温が心地よかったので、ちょっとベランダに出て缶ビールを呑んでいたら、何やら顔に布が巻きついてきた。

 そのまま締め付けようとしてきたが、ちょうどビールを呑もうとした瞬間だったため、中身をそれにぶちまけた。

「つめたっ!?」とか言って、顔に巻きついてきていた布がはがれ落ちた。

 それは、抱き枕カバーだった。

 なんでか、会話が成り立った。

 聞けば、一反木綿を名乗った。

 

 以上である。

 うん、分からん。

 

「それで、えっと」

「はい」

「何だったっけ、そう、あれだ。なんで顔に巻き付いてきた?」

 

 いやそうじゃないだろ。今聞くべきことはもっとあるだろ。

 そう思ったのだが、意味不明が過ぎてそんなことは考えていられなかった。

 

「いやだってほら、私って一反木綿ですから」

「いやうん、違うと思うんだけどな」

「なんでですか」

「反物じゃないし、オマエ」

「そんなのは些細な事ですよ」

 

 反物と抱き枕カバーの共通点を教えてくれ。布ってジャンルである事しか思いつかないんだ。何なら片や材料で、片や完成品だし。

 

「そうなってくるとですね、一反木綿的には誰かを窒息させないとなわけで」

「おう、まぁそういう妖怪なのは知ってるけど、一反木綿」

「ご存じでしたか。では話が早いです」

「ほうほう」

「つまりはそういうことです」

 

 なんも分からん。

 

「ですので、窒息させられて下さい」

「いやですが」

「いいじゃないですか、私に絞められといた方が他の一反木綿に絞められるよりお得ですよ」

「他にもいるってところと、他のヤツラも絞めようとしてくるってことと、いや絞められるのにお得ってななだよってところと、どこから突っ込めばいい?」

「出来ることなら、お得ってところを。セールスポイントなので」

「じゃあ、他の一反木綿のことを」

「セールスポイントはですね!」

 

 わざわざ聞かせときながら無視しやがった。なんて奴だ、この布は。

 

「人生最後に見るのが、超至近距離の美少女の顔になるんです!」

「帰ってください」

 

 確かに反物にはない利点なのかもしれないが、その場合死因が「美少女のプリントされた抱き枕のカバーが顔に巻き付いて窒息」になるのである。

 いや流石にないだろう、それは。

 

「おや、何やら不安そうなお顔」

「不安と言うか、不満なんだけどな」

「不満ですか」

「あと、不思議」

「そこはまぁ、妖怪なんて不思議存在が目の前にいるんですもの。当たり前じゃないですか!」

「いや、反物でもないヤツが一反木綿名乗ってることが不思議」

「現代社会反物少なすぎるんですよ」

 

 またひっどい理由が飛び出してきたな。

 

「で、『この際飛んでる長めの布ならなんでもいんじゃね』ということで、そう言った布を参考に生まれ」

「今の話で少なくとも一人、干してた抱き枕カバーが飛んでいってた事が確定したな。」

 

 

 どうせ行くならその哀れな人にいってくれないだろうか、と思いつつ。

 一反木綿を名乗る抱き枕カバーをどう処分するか、考えるのであった。

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