皆で小説を書こう配信 まとめ 作:二 貂理
「こちらがあなたの瓶詰めになります。一ヶ月ほど売れ残っているんですよ。一緒に金平糖が入っているので、カラフルで可愛いんです。」
あなたがその埃を被った瓶を手に取ると、瓶の中のあなたは驚いて頭を瓶の内側に軽くぶつけた。
「はい、いらっしゃいませ」
綺麗な物が並んでいる。散歩の途中、窓の外から見えたそれらに魅かれて、つい入店してしまった。
色とりどり、多種多様な雑貨を眺める。こんなものもあるのか、と驚かされながら……ふと、二度見してしまう物があった。
いや、訂正。二度見どころか、三度見まではいった。これは……?
「気に入るものはありましたかな?」
と、困惑していたら店員さんに声をかけられた。気に入るもの、気に入るものか。 気に入ってはいない、なんなら不気味なくらいの物ならあったのだけど……
「あぁ、それですか」
と。そんな感情を読み取ったのか、その瓶詰めを手に取る。ちょっと埃を被った、一つの瓶詰め。
「こちらはですね。あなたの瓶詰めになります」
何言ってるんだコイツ。
「一ヶ月ほど売れ残っているんですよ。一緒に金平糖が入っているので、カラフルで可愛いんですが」
何ってるんだコイツ、パート2。
「なんていうと、不気味に感じられるかもしれないですね」
と、含みのある言い方で瓶をこちらへ渡してきた。反射的に受け取り、覗き込む。
わたしと目が合った。数秒固まり、驚いた様子で頭を瓶へぶつけている。
まぁ、うん。分かる。驚くよね、うん。等と思ったら、逆にこちらへ顔を寄せて
きた。うん?
「この瓶なんですけどね」
「はい」
「もしもの世界のあなた、が現れる瓶なんです」
「……はい?」
「もしもすらない人が見ると空っぽになるんですが―――お客様には別の可能性もあったようで、羨ましい限りです」
おーっと、なるほど?
「どうです?もしもの自分、興味ありますか?」
「ん-と、そうですね」
「はい」
「どちらかと言うと、わたしがもしも側らしいので、何ともなぁって感じです」
「……はい?」
===
まぁ、つまるところ……なんて改めて言うつもりもないけれど。
わたしから見た際の、もしものわたし。彼女が生きた日々に関しては、まぁおお
よそ聞いていた通りで。得られたものがあったとすれば、その人となりを知る機会になったことくらいだろうか。
「二貂理と貂理とで、ここまで変わるんだなぁ」
というのが、わたしの素直な感想。あっちはあっちで全く同じことを言ってたので、そう間違った印象でもないんじゃなかろうか。
とはいっても、知ったところで何もないのだけど。
「姿形と名前とルーツが同じなだけの別人だなぁ、これは」
経験が異なれば、同じ存在であってもまるで違う人間性を獲得する。いやはやまっ
たく、不思議なものである。
「よし、帰ろっと」
まぁ、だからといって何も無いのだけど。かえってお酒でものもーっと。