皆で小説を書こう配信 まとめ   作:二 貂理

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第五十八回 交通事故

 交通事故。

 調べてみたところによると、電車でも船でも飛行機でも。交通に関わる物が起こした事故であればすべて該当するらしい。

 が、だ。パッと言われて思い浮かぶのは自動車による事故ではないだろうか。人によってはバイクやら自転車やらも思い浮かぶかもしれない。

 最近だと電動……っと、コレは伏せよう、うん。自分でもよく分かっていない物を印象で批判するのはよろしくない。

 

 とまぁ、そんな感じで。道路を走っているモノに対して思い浮かべる人が多いんじゃないだろうか。

 

 車を何かにこすってしまった、とか。

 バイクで横転してしまった、とか。

 自転車で人にぶつかってしまった、とか。

 

 最悪のケースとしては。

 車が物や動物、人にぶつかってしまい。誰かしら乃命が失われてしまうような。

 

 そう言った事故も、少なからず存在している。

 

 これは。

 そんな悲しい出来事から生まれた、とある噂話。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

 それは、とある場所で広まっている噂話だ。

 

 曰く、その場所を通る際。ハンドルを握る腕を、幽霊に捕まれる。

 曰く、その場所を通る際。地面に横たわる髪の長い女性の幽霊が、バックミラーに映る。

 曰く、その場所を通る際。つけていなかったはずのラジオが急に鳴りだす。

 

 曰く、曰く、曰く、曰く。

 様々な噂話が、そこには広まっていた。

 

「なんでも。昔、そこで交通事故があったらしいんですよ」

 

 と。

 噂話の震源地へ向かう最中、タクシーの運転手が話してくれた。

 

「……なんのことでしょう?」

 

 なんとなく。

 心霊スポット巡りする不届きもの、と見られたくなくて。とぼけてみる。

 

「お客さん、ご指定の場所は道以外何もありませんよ」

 

 無意味だった。

 より一層恥ずかしくなり、そっと目をそらす。

 

「あったらしい、というか実際にあったみたいですけどね。花が供えられたりしてましたから」

「それは……あった、んでしょうね」

 

 地元でも、道端で見たことがある。

 生者の為に行うのか、死者のために執り行うのか。境界が曖昧な、しかし必要な行為。

 

「それで、幽霊の仕業だと?」

「そういう事みたいです。被害者が道連れを作ろうとしている、運転手を許せないでいる……とまぁ、話の流れは色々ですが」

 

 ふーむ。

 

「道連れなのか恨みなのか、よく分かんないですね」

「まぁ、都市伝説なんてそういう物なんじゃないですかね。語り手の都合に合わせて、尾ひれがついていくもんでしょう」

 

 それはまぁ、うん。確かに。

 

 

 

 =〇=

 

 

 

「って感じで伝わってたんですけど」

「ちょっと待って、流石にそれはショックなんだけど」

 

 と。

 そんな話を、その現場で出会った幽霊さんにしてみた。

 

「じゃあ、全部うそっぱちの作り話だったり?」

「や、私が交通事故に遭ってこうして幽霊になった、の辺りは事実だけど」

 

 街灯がないのもありつつ、運転手の不注意でこうなったけど、と。あまりにもあっけからんと言われてしまった。

 お悔やみ申し上げますの一言すら言いづらい。あまりにも軽く言いすぎだろう、この幽霊。

 

「えっと、じゃあどの辺りが?」

「道連れを作ろうとしてるとか、運転手への恨みが~とか、その辺り」

 

 と。

 ちょっと夜道では遭遇したくない見た目の幽霊さんが、胡坐をかいて地面を叩く。

 

「あ、恨みはない感じで」

「や、あるけど。めっちゃあるけど」

 

 じゃあもうどこがショックなんだよ。

 

「これでも私、交通事故減らそうと頑張ってるつもりなんだけど」

「……うん?」

 

 えーっと?

 

「注意力散漫になってる運転手を引っ張って目を覚まさせたり」

「うん」

「オーディオ設定弄ってラジオ流させたり」

「あー」

「あからさまに眠そうなヤツには、衝撃的な物見せつけて眠気吹き飛ばさせたり」

 

 なるほど。

 確かに、そう捉えることも出来るのか。

 

「それに、本気で命を取りに行くなら腕じゃなくてハンドル掴んで引っ張るし」

「そらそうだ」

 

 腕をつかんで引っ張るなんかより、よほど確実な手段である。

 いやはやまったく、何とも。

 

「噂話ってのは、アテにならないんだなぁ」

「や、こっちにしてみればいい迷惑なんだけど」

「いいじゃないですか。それこそ、さっきの話をしてくれたタクシーの運ちゃんが言ってたんですけどね」

 

 そんな噂話のおかげか、この辺りではもうずっと交通事故が起こってないそうですよ、と。

 

 そう告げると、彼女(?)は腕を組み、暫し悩んだ様子を見せて。

 

「や、それはそれとして悪霊呼ばわりされてるのは腹立つだろ」

「うーん、ごもっとも」

 

 やっべ、なんも言い返せないや。

 

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