皆で小説を書こう配信 まとめ 作:二 貂理
想像力が強いこと、豊かであることをいいことのように扱う風習はどうかと思うのである。
なんて言い回しから始めてはみたのだけど、果たしてこんなことに意味はあるのだろうか。
そもそも、誰かに語り掛けるような。そんな言い回しをする意味ってなんなのだろう。あくまでもこれは、頭の中、口にすら出さない独り言なのに。これでは、誰かに言って聞かせているかのようではないか。
と。さっそく意味の分からない想像に逸れてしまい、頭を振る。すーぐ思考がわき道に逸れる、ホントよろしくないと思う。
さて。本題である。
想像力が豊かであること。コレは、本当にいいことなのか。
賛否が分かれるであろうこの問いに、私は否と返したい。
理由?そんなもの、ココまでの様子を振り返ればわかるだろう。ほんの少し考え事をしようとしただけで、すーぐわき道にそれる。こんなにも酷い時間の浪費が、他にあるだろうか。
あると思ったそこの貴方。自覚があるなら今すぐに辞めようね。
閑話休題。
そんな物、あるわけが無いのだ。
想像力なんてものは、時間の浪費を生むことしか出来ない、世界一ムダな能力なのである。
「あっ……」
しかも、だ。
思考を食いつぶすだけの事ならまだよかったのに、コイツは思考以外にも被害を及ぼしやがる。
視界の先。
道の真ん中に、筆箱が落ちていた。
綺麗な青色をした、細身の筆箱。今歩いているのが通学路なのを思うと、きっと落とした人は今日一日困ったことになるだろう。
そう思うと拾って職員室にでも届けるのがいいだろう……と、思いつつ。
別の思考として。落とし主が戻ってきたらどうなるのだろう、とも思う。
落としたことに気付いて、道を戻りながら探しているかもしれない。その場合、拾って届ける行為は迷惑極まりないのではないだろうか。
そも、歩いてる最中にカバンから筆箱が落ちるなんて事、起こるのだろうか。それも、学生カバンから落ちるだなんて、ありえるのか?
そう思うと、落とし主は同じ学校の生徒じゃないのかもしれない。この道を通るのは確かに同じ学校の生徒が大部分だけど、それだけしかいないわけではない。
だとしたら、拾って学校に届けるというのは、その人が一生筆箱を取り戻せなくしてしまうのではないか。
あれはどうだ、これはどうだ、と思考が止まらなくなる。想像力が暴走する。道で立ち止まって筆箱を眺める不審人物が誕生してしまったが、それでも次の行動に移ることが出来ない。
と。そうこうしていたら、前方から女性が歩いてきた。制服からするに、同じ高校の生徒らしい。
スッとしゃがみ、筆箱を拾う。よかったー、などといいつつ砂を払い、かばんにしまっている。
どうやら、最初の想定……拾って学校に届ける、で問題なかったらしい。なんだったんだこの時間は。
額に手を当て頭を振っていたら、変な人を見る目で見られた。
急に変なことをしだした変人と見られたのかもしれない。
そもそも、筆箱をずっと眺めていた変人と見られていたのかもしれない。
それ以前に、もしかして学校で危険人物として有名だったりするのだろうか。
と。再びあれやこれやと考えてしまったので、もう一度頭を振る。
こうすると、ちょっとの間だけ頭が楽になるのだ。遠心力で色んな想像がとんでいくのかもしれない。
でも、そうだとしたらとんで行った想像はどうなるのだろう。とんで行った先で誰かや何かに憑りつくのだろうか。
その辺りにある雑草や、虫やら雀やらが、飛んできた想像に苦しんでいるのかもしれない。近くに生えている雑草が、全く同じことを考えている。
そう思ったら、ちょっと怖くなってきた。
「……早く学校行くか」
いつまでも考えていたって仕方ない。それに、怖いのならここから離れればいい。
と。そんな思考で再び学校へ向かうよう、足を動かし始めた。
どうだろう?これが私の日常生活なわけだけども。
これでもまだ、想像力があるのはいい事だ、っていうのかい?