皆で小説を書こう配信 まとめ 作:二 貂理
「ありがとうございました~。次の方~」
そんな声を背に、コンビニを出る。
手には、おにぎりが一つ。時間がないからと、お昼代わりに買ったものだ。似た考えの人が多かったのか、梅干ししか残っていなかった。
ビニールを剥ぎ、一口。うん、酸っぱい。溢れてくる唾液を飲みこんで、もうひと口。
「おーっす!」
「ぐふっ」
その瞬間、思いっきり背中を叩かれた。
梅干しが変なところに入り、盛大に咽る。
「ったく、歩き食いなんかしてるからだぞ行儀が悪い」
「どう考えても背中ぶったたいてきたヤツの方が悪いだろうが…!」
反射的に怒鳴り返しながら、最後の一口を放り込む。
「いやいや、お祭りの屋台でもないのに歩き食いしてる方が悪いって」
「寝坊して時間なかったんだよ、一限があの教授じゃなかったら家で食ってきたわ」
「寝坊したお前が悪い」
それは、そう。何も言い返せない。
「それに、だからってコンビニおにぎりって。寝不足もだけど、体壊すぞ」
「添加物がどうこうって?そんなこと気にするやつだったっけ、お前。腐ってても平気で食う側だろ」
「食わんわ。量とか栄養とかだよ」
昼夜は食うから、それでチャラってことにしといて欲しい。
「それに、添加物だなんだって腐らせないための物なんだから。添加物気にする奴らの方が平気で、何なら喜んで食うだろ、腐ったもの」
「……それは、なんか違くねぇか?」
一瞬。ホントに一瞬、納得しかけたが。
ああいう人たちは、腐る前にとか、新鮮な内に食べる感じなんじゃないだろうか。
「いやいや、きっといるって。腐ったってことは、添加物が入ってない証拠だ!って喜んで食うヤツ」
「ちょっといそうな言い回しにするのやめろ」
添加物が入っていても腐らないわけじゃないのが、またポイント高いな。
「俺だったら、そこで腐らなかった方を食べたいけどなぁ」
「まぁ、その方が安心だよな」
店頭に並んでる時間やら、家で実際に食べるまでの時間やら。どうしても買ってすぐに食べる、というわけにはいかないのだ。多少はもってくれないと、安心して食べられやしない。
「一ヶ月とか一年とかほっといても腐らないくらいのヤツ」
「ホントになに言ってるんだ、お前は」
ちょっとスケールが違った。
いや、保存食とかはそれくらいなのか?ちょっと、ほんのちょっとだけ、分からなくなってきた。
「だってさ」
「おう」
「それ食えば、自分も腐らなさそうじゃん?」
本当に。本当に何を言ってるんだ、コイツは?
「いつから食材になったんだよ、お前は」
「友達の事食べ物扱いするの、よくないと思うぞ」
「しだしたのはお前だろうが」
誰か、いつにもましておかしな言動しかしない阿呆を止めて欲しい。
「でも、そっか。そう思うと、添加物まみれの食事をとってる人は、肉食獣目線いい保存食だったりするのかな」
「急にグロテスクな話を始めるな」
「人類保存食計画!人類に添加物を普及させたのは、食料の長期間保存を企む高次元生命体だった!?」
「突拍子もない胡散臭いオカルト話、やめて頂けないでしょうか」
コンビニのおにぎり食べてただけで巻き込まれるにしては、意味不明な話にも程があるだろうが。