インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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今回は、予告通りに少しだけホンワカなお話を投下。

やっぱり、何事にもマスコットって必要ですよね。

ジオン軍公式(?)ゆるキャラ登場です。







サクサク作れるから

 とある日の放課後。

 第603技術試験隊の面々は、オリヴァーに呼ばれてISの整備室へと訪れていた。

 

「お前がオレ達を呼び出すなんて珍しいな。一体どうしたんだ?」

「実は、皆さんに見せたい物があって」

「見せたい物? 我々にだけか?」

「今のところは、ですね。後々は先生達とかにもお見せしたいと思ってるんですけど、それよりはまず、同じジオンの旗の元に集った同志である皆に見せた方が良いと思って」

 

 オリヴァーにしては珍しく回りくどい言い方。

 人並み以上に勘がいいヴェルナーは、すぐに額をキラーンと光らせて納得した。

 

「それってつまり、またぞろ何か実際にジオンで使っていた兵器か何かの再現に成功したって事か?」

「う~ん……半分正解で、半分ハズレというか……」

「随分と勿体ぶるじゃない。そんなに凄い物なの?」

「ある意味では凄いと思います。まぁ、それとは別に報告する事もあるんですけど。ソンネン少佐」

「どうした?」

「ヒルドルブの修理、および整備が完全に完了しました。これでまた、いつでも使用可能です」

「マジか! よっしゃぁ! サンキューな! この礼はいつか必ずさせて貰うぜ!」

「ボクも好きでやっている事ですので、そこまで気にしなくても……」

 

 急にテンションが上がったソンネンに驚くことも無く、普通に返事をするオリヴァー。

 彼女の気質も完全に603色に染まっているのかもしれない。

 

「で、オレの相棒は何処にいるんだ?」

「慌てないでください。今、持って来させますから」

「持って来させる?」

「はい。お~い!」

 

 他に誰かいるのか?

 そう思って、オリヴァーが叫んだ方向を全員で見つめると、格納庫の奥から誰もが全く予想もしなかった存在がヒルドルブの待機形態である車椅子を押してきた。

 

「~♪」

「な…なんじゃありゃ……」

「まるでカプセルのような緑色の体に…」

「モノアイ……」

「蛇腹状の手足……?」

「ぎ…技術中尉…まさか、貴公が見せたいと言っていたのは……」

「その通り。これです」

 

 奥からヨチヨチと歩いてきたソレは、ソンネンの傍まで来て車椅子を止めてから、そのままオリヴァーの隣まで移動して並んだ。

 

「あの…オリヴァー? 私…この子の事、すっごく見覚えがあるんだけど…」

「やっぱり、総帥部直属だったモニクは知ってたんだね」

「お…おい…モニクよ。お前さんは、このザク擬きのことを知ってんのか?」

「一応……」

 

 知ってはいるが、余り思い出したくない。

 モニクの苦虫を噛んだような表情から、そんな気持ちが易々と読み取れた。

 

「これこそ、嘗てジオン公国が開発したとされる超量産型MS…その名も『サク』です」

「「「「「「サ…サク…?」」」」」」

 

 名前を聞かされて、なんて反応していいか困っている面々がサクの方を見ると、彼(?)はビシッと敬礼をしてきた。

 

「これ実は、あのドズル中将が要請をして、ギレン閣下が考案したとされる機体なんです」

「ザビ家は一体何を考えてんだっ!?」

「ドズル中将…腐っているザビ家において、数少ない真の武人であると思っていたのだが……」

「あんな強面な癖に、意外とお茶目な所もあったんだな」

「ザビ家の兄弟たちの中で唯一の既婚者だったからなぁ……」

「家庭を持つが故に、子供人気の事も気にし始めていたのかもしれんな…」

 

 各々に勝手な事を言っているが、サクは全く気にすることなく立っている。

 その姿には不思議な愛嬌があった。

 

「因みに、名前の由来は?」

「サクサク作れるから…だそうです」

「て…適当だな……。じゃあ、額に書かれてる『ジ』って文字は?」

「ジオン軍の紋章代わりらしいですよ」

「どこまで経費削ってんだよ……」

 

 よりにもよってカタカナ一文字は哀れ過ぎた。

 いつの日か、ちゃんとしたジオン軍の紋章を描いてあげたい。

 

「実際にはMSじゃなくて、さっき見て貰った通りのお手伝いロボットみたいな感じになってるんですけどね」

「別にいいんじゃない? 変に戦場に出すならともかく、日常生活を助けてくれるんなら、寧ろ大歓迎だと思うけど」

「特務大尉の言う通りだ。特に、ISの整備などをしていると、どうしても人手が足りなくなる場面が出てくる。そんな時にサクに手伝って貰えば大助かりだ」

「大佐にそう言って頂けると、こっちとしても作った甲斐があります」

 

 サクと最も視線が近いカスペンは、その頭を撫でながら満足そうに頷いた。

 どうやら、大隊長殿のお眼鏡には叶ったようだ。

 

「そういや、どうやってこんなもんを作ったんだ? そんな材料がここにあったのか?」

「それが…実を言うと、このサクは整備室などに転がっていたジャンクパーツで作られてるんです」

「ジャ…ジャンクパーツで? こんな凄い物が出来ちゃったの?」

「出来ちゃったんだ……ボク自身が一番驚いてる……」

 

 遠い目をしながら呟くオリヴァー。

 なんでかサクも一緒に遠い目をして同じ方を見ていた。

 

「ボクが技術部に入ったのは知ってますよね?」

「そういや、そうだったな」

「その時、ちょっとしたレクレーションで、先輩達と一緒にジャンクパーツを使って工作染みた事をしてたんです。そうしたら、いつの間にか……」

「サクが完成していたと」

「その通りです……」

 

 幾ら実力があるからと言って、明らかに学生が作れるレベルを超えている。

 ある意味、ISよりも凄い発明かもしれない。

 

「しかもこれ、本当に安価なパーツで幾つも製作が可能なんです。コストの割には想像以上の性能になってて、完成した時は皆揃って驚いてましたよ」

「そりゃそうだ……」

 

 オリヴァーが説明をしている間、ずっとデュバルはサクの事を見つめていた。

 ザクとは色々と因縁がある為、それを基にしているサクには思うところがあるのかもしれない。

 

「ん? さっきからコイツの事を凝視して、どうしたんだ? デュバル少佐よ」

「あ…いえ…なんでもありません…ヘンメ大尉……」

「やっぱり…デュバル少佐はお気に召しませんでしたか? 幾ら大幅にデフォルトしているとはいえ……」

「ち…違うぞ! 断じてそんな事は無いぞ技術中尉! うん! ただ…その……なんと言うかだな……」

「???」

 

 恥ずかしそうに眼を逸らして、顔を真っ赤にして頬を掻くデュバル。

 この中で生粋の女性であるモニクだけが、彼女が何を言いたいのかを理解出来た。

 

「デュバル少佐…もしかして、この子の事が気に入ったんですか?」

「ま…まぁ…そう…だな…。丸っこくて可愛らしいし? それでいて役に立つならば言う事は無いのではないか?」

((素直じゃない奴……))

 

 一緒に孤児院に住んでいるソンネンとヴェルナーだけは知っている。

 実はデュバルは転生してからこっち、可愛い物が好きになっていて、皆には内緒(にしているつもり)で色々なぬいぐるみなんかを買っているのだ。

 因みに、一夏と鈴もこの事を知っている。逆に千冬は全く知らない。

 

「この子は試作一号機なんですけど、もし許可を頂ければ他にも作ろうと思っています。どうでしょうか? カスペン大佐」

「私は大いに賛成だ。よろしい、生徒会から先生方に掛け合ってみよう」

「よかった。このサクなんですけど、最初は足が不自由なソンネン少佐の補助が出来ればいいと思って作ったんです」

「そうだったのか。そいつは有り難いぜ。いつまでもセシリアに負担を掛けさせるわけにはいかないからな」

 

 本人は全く気が付いてないが、セシリア自身は自分から率先してソンネンの補助をしている。

 その理由は単純で、少しでもソンネンの体に触れていたいから。

 

「よろしければ、今日からでも一緒に行動するようにさせましょうか?」

「いいのかよ?」

「勿論です。サクもいいよね?」

 

 オリヴァーが尋ねると、サクは何処からか取り出したフリップで『お任せください! ソンネン少佐殿!』と力強い返事をしてくれた。

 

「この子…人間の言葉が分かるの?」

「そうみたい」

「みたいって……」

「はっはっは! 中々に良い返事をするじゃねぇか!」

「そうだな。サクよ、君もまた立派なジオン公国の同胞だ」

 

 カスペンに褒められ、違うフリップで『わーい! わーい!』と喜びながら小さくジャンプをした。

 その愛くるしさは、デュバルの心に何度となく直撃を食らわせていた。

 

「そんじゃ、これからよろしく頼むぜ、サク!」

 

 ソンネンの言葉に、再びサクはビシッと敬礼をして応えた。

 こうして、第603技術試験隊にマスコットキャラが追加された。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 その日の夜。

 ソンネンとセシリアの自室。

 

「あ…あの…デメジエールさん?」

「どうした?」

「その…緑色の丸っこい子? …は、なんなんですの?」

 

 ベッドの上で寝転びながらスマホを弄っているソンネンの傍で、サクがいそいそと洗濯物を畳んでいた。

 その奇妙な光景を見て、セシリアは尋ねずにはいられなかった。

 

「サクのことか?」

「サ…サク?」

「おう。オリヴァーの奴が部活で作ったお手伝いロボットなんだと。んで、オレの補助とかをしてくれるんだと」

「オリヴァーさんがこれを…? というか、デメジエールさんの補助ですって…っ!?」

 

 セシリアからしたら決して聞き逃せない言葉。

 自分にとっての至福の時を、あろうことかポッと出のマスコットに取られようとしている。

 これは彼女として決して見逃せない由々しき事態だった。

 

「ま…負けられませんわ…!」

「~?」

 

 どうしてセシリアが自分に対抗心を燃やすのか分らないまま、サクは洗濯物を畳み続ける。

 その後、なんだかんだ言ってセシリアもサクの世話になって助けられることになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 久方振りの束の移動式ラボ。

 勿論、今回の事もバッチリと見ていた。

 

「……束さま」

「ん? どったのクーちゃん?」

「私もサクが欲しいです!! 物凄く私好みのマスコットです!!」

「えぇっ!?」

 

 どうやら、クロエもまたサクの可愛さの虜になってしまったようで、さっきからずっとサクが動いている映像ばかりを見ていた。

 チョコチョコと歩く姿は、確かに可愛いかもしれない。

 

「束さまなら簡単に作れますよねっ!? お願いします!」

「う~ん…確かに、私から見ても可愛いとは思うし、簡易的な構造の割にはすっごく役には立ちそうだけど……」

 

 チラっとクロエの方を見ると、彼女はキラキラとした期待を込めた目で束を凝視していた。

 流石の束も、この視線には勝てなかった。

 

「…分かったよ。息抜きがてらに作ってみようか」

「ありがとうございます!」

「ふぅ……」

 

 大きく息を吐きながら、モニターに映っているオリヴァーの事を見る。

 画面の中で、彼女は自室にて一夏と微笑みながら話していた。

 

「まさか、どこにでもありそうなジャンクパーツで、あんな物を作ってしまうなんてね……。オーちゃんも、やっぱり他の皆と一緒で『こっち側』の住人なんだね……」

 

 その後、束のラボにもサクが作り出され、色んな意味で活躍をする存在となっていった。

 

 

 

 




サク…可愛いですよね? 私は好きです。

そんでもって、これから少しの間、後書きにてサクのバリエーション機を紹介していこうと思います。
今回はその第一弾です。


シャア専用サク:色々と三倍。
ガルマ専用サク:坊やだからさ。
ドズル専用サク:皆のお父さん。無駄に豪華。
キシリア部隊専用サク:なんか一杯いる。
黒い三連星専用サク:いつも三体一緒。なかよし。
ガトー専用サク:難しい四文字熟語を沢山知ってる。
ジョニー・ライデン専用サク:イケメン。シャア専用に間違われると怒る。
シン・マツナガ専用サク:渋い。
ランバ・ラル専用サク:説明大好き。
ククルス・ドアン専用サク:肉弾戦上等。何かに目覚めると金色に染まる。



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