インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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サクの登場に想像以上の感想をいただいて驚いています。

やっぱり、可愛いは正義なんですね。

そんなサクは今回も登場します。

というか、地味に端々で登場させていくつもりです。








サクといっしょ

 サクがやって来た次の日の朝。

 ソンネンは彼(?)に車椅子を押されながら食堂へと向かっていた。

 その隣では、悔しさを表情に出さないように必死に歯を食いしばっているセシリアがいた。

 

「おぉ~。中々にいい感じじゃないか。やるな」

「~♪」

「ま…まぁ? それぐらいならば別にいいですけど?」

 

 この時間帯の食堂へと続く廊下は否が応でも朝食に向かう生徒達でごった返す。

 となれば必然的に、緑色の奇妙なロボットが車椅子を押す光景が目撃されるわけで。

 

「な…なんか可愛いのが……」

「ソンネンさんの車椅子を押してる…?」

「チョコチョコしてて可愛い…♡」

「あれって何なのかな?」

「さぁ…?」

 

 生徒達からの評判は中々に良好。

 IS学園内にサクたちが普及し始めるのも時間の問題かもしれない。

 

「このまま食堂に入ったら、どんな反応をされるかな」

「間違いなく、色んな意味で注目を浴びるでしょうね……」

「だとよ。人気者だな、お前」

「~♡」

 

 照れくさそうに自分の頭を撫でるサク。

 ジャンクパーツで構成されている筈なのに、感情表現まで出来るとは恐るべし。

 もしかしたら、オリヴァーを初めとする技術部の連中は、とんでもない発明をしてしまったのかもしれない。

 

「さぁて…今日の朝ご飯は何にするかねぇ~」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 四月も下旬に差し掛かり、地面に落ちた桜の花弁が散乱している姿が日常的になってきた頃。

 一年一組の生徒達は、グラウンドにて千冬の実技の授業を受けていた。

 まだ本格的にISを使った授業ではない為、生徒達はジャージ姿で授業を受けている。

 と言っても、専用機を所持している面々は、ジャージの下にISスーツを着用しているが。

 

「では、これより専用機持ち達にISの基本的な飛行操縦を見せて貰う事にする…が、その前に一つだけいいか?」

「どうしました? 織斑先生」

「いや…その…ソンネンの膝の上に乗っているのは……」

 

 気になっていたのは千冬だけではない。

 何も知らない生徒たち全員が非常に気になっていた。

 

「もしや、それがカスペンが言っていた、オリヴァー達の作りだしたというロボットか?」

「その通りです。名前は『サク』と言います」

 

 オリヴァーが軽く紹介すると、サクは千冬と真耶に向かって可愛らしく敬礼をした。

 その姿は、可愛いもの好きの少女達のハートを一発で貫いた。

 

「「「「「可愛い~♡」」」」」

 

 いつの世も『可愛いは正義』なのだという証拠だった。

 

「デュバルから話だけは聞いていたが…これが……」

「すっげ~…これ、絶対に学生が作れるレベルを超えてるだろ……」

「まるまるとしてて可愛いね~♡」

「ま…まぁ……可愛らしいのは私も認めますけど……」

 

 箒達も初めて見るサクに興味津々のようで、特に本音は早くもサクの事が気に入ったのか、満面の笑みで頭を撫でていた。

 因みに、ここ数日の生活でセシリアも徐々にではあるがサクの可愛さに惹かれつつあった。

 

「可愛くて、役にも立って…オリヴァーさん達って凄いですねぇ~…。私も一つ欲しいなぁ~…」

 

 どうやら、真耶も他の女子達の例に漏れなかったようだ。

 彼女とならば色合い的な意味もあって絵になりそうだ。

 

「なんとなく授業に連れてきちまったけど、大丈夫だったか?」

「も…問題は無いだろう。授業の邪魔さえしなければ」

「その点は心配ないぜ。な?」

 

 ソンネンの言葉にサクはまたもやフリップを出して『お邪魔にならないように気を付けます!』と返事をした。

 

「…私達の言葉が理解出来ているのか?」

「らしいぜ?」

「これは地味に凄い事なのではないか…?」

 

 増々、オリヴァーが束と重なって見えてしまう千冬。

 流石に、あそこまでマッドな性格をしてはいないが、才能だけで言えばほぼ同格に等しいかもしれない。

 

「マイ」

「は…はい?」

「頼むから、お前は健全に真っ直ぐに育ってくれ」

「はぁ……分かりました」

 

 極々、当たり前のことを言われても、オリヴァーからすれば『何を言ってるんだ、この人は』以外の感想が出ない。

 オリヴァーに限っては、千冬が危惧しているような事はないだろうが。

 

「少し話が逸れたな。オルコット。デュバル。キャデラック。ワシヤ。織斑。前に出て試しに飛行をしてみせてくれ」

「「「「分かりました」」」」

 

 ここで生徒達の頭に再び疑問符が浮かぶ。

 セシリアや一夏は当然だが、以前の話でデュバルが専用機を所持している事は皆が知っていた。

 だが、どうしてここでモニクやワシヤの名前が出てくるのか。

 その答えは一つしかなかった。

 

「あ…あの…織斑先生?」

「どうした?」

「もしかして、キャデラックさんとワシヤさんも……」

「専用機を所持しているぞ」

「「「「「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~っ!?」」」」」

 

 本人達からすれば今更だが、他の生徒達は全く知らなかった事。

 まさか、一つのクラスにここまで専用機持ちが集結するだなんて、誰が想像しただろうか。

 

「ってことは、ホルバインさんも?」

「持ってるぜ。かなり特殊な機体だから、今回の授業じゃ使えないけどな」

「そ…そうなんだ……」

 

 早くも驚き疲れた生徒達は、次はキラキラした目でデュバルとモニク、ワシヤの三人に注目した。

 一体、あの三人はどんな機体を持っているのだろうか。

 溢れ出す好奇心を抑えられないと、全身でアピールしている。

 

「では、まずは私から」

 

 セシリアが、耳に付けているティアーズの待機形態であるイヤーカフスにそっと触れ、自身の愛機を呼び出す。

 その間、一秒未満。無論、ちゃんとジャージからISスーツに変わっている。

 

「「「「「おぉ~」」」」」

 

 余りにも鮮やかな手際に、思わず小さく拍手。

 サクもパチパチパチと手を叩いていた。

 

「ならば、お次は私達だな。いくぞ、キャデラック特務大尉! ワシヤ中尉!」

「「了解!」」

 

 三人はお揃いの羽の形をした首飾りを握りしめ、そっと目を閉じる。

 すると、青白い粒子が三人の体を覆いつくし、空色の装甲が彼女達の体を包み込んでいく。

 これまた一秒も掛からずに展開が完了した。

 

「全身装甲だ!」

「しかも、三人同じ!?」

「…じゃないっぽいよ? 頭の形が微妙に違う」

「ホントだ! デュバルさんのには角があるけど、キャデラックさんとワシヤさんのには角が無い!」

「それに、肩についてる盾の文字もなんか違う」

 

 普段はなんやかんやと騒いではいるが、ちゃんと見るべきものは見ているのだと、デュバルはヅダの装甲の下で密かに感心していた。

 

「これが、デュバルさん達の専用機の『ヅダ』です。量産試作機ということらしく同型の機体が複数存在していて、デュバルさんのが隊長機であり一番機でもあるそうです」

 

 ここで真耶が追加で情報をプラスした。

 自分の担任がヅダの事を知ってくれているのは普通に嬉しいデュバルだった。

 装甲の中では誰にも見せられないような笑みを浮かべていて、この日初めてヅダが全身装甲であることに感謝した。

 

「さ…最後は俺か。よ…よし!」

 

 一夏の専用機『白式』の待機形態は、彼が右手首に付けているガントレット…のような物。

 本人にもよく分かっていないらしい。

 

「えっと…うんと……!」

 

 まだ乗り始めて少ししか経っていないので、予想通りに手間取る。

 一夏も、これ以上皆を待たせては罪悪感で胃に穴が開きそうなので、仕方なく名前を呼んで展開することに。

 

「びゃ…白式!」

 

 開始してからおよそ10秒。

 ようやく白式の展開に成功した。

 

「まだお前は初心者だから、今日は特別に見逃すが、次回以降はこうはいかんぞ。ちゃんと訓練をしておけ。いいな?」

「は…はい」

 

 自分がするべき事は山のようにあると実感した瞬間だった。

 

「全員、展開完了したな。よし、では飛べ。余り速度は出さなくていい」

 

 千冬の合図と共に、全員が一斉に飛び上がった。

 言われた通り、そこまで速度は出していないが、それでもぶっちぎりでトップだったのはデュバルのヅダだった。

 

「うそぉッ!? めっちゃ早いっ!?」

「見た目はキャデラックさん達のとほぼ同じなのに……」

「性能がだんちじゃん……」

 

 因みに、順番はデュバル、モニクとワシヤとセシリアがほぼ同じ、最後に一夏になっている。

 

「あの時もそうだったが…やはり、デュバルの機体は凄いな……」

「すっごく速いね~」

「もう小さくなりやがった」

「一夏の奴も、少しはマシになってきたか?」

「そうなんですか?」

 

 前はヒルドルブの修理があって一夏が実際に飛ぶ姿を見ていないせいか、かなり驚いているようだ。

 初見なのはソンネンも同じ筈なのだが、彼女の場合はそこまで驚いてはいなかった。

 幼馴染故の言葉には無い信頼があるからかもしれない。

 因みに、白式の存在自体は授業の前から聞かされていたので、驚くような事は無かった。

 

 余談だが、飛んで行く皆を見ていたサクは、『ジ』と書かれた緑の旗をパタパタと振って応援していた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 上空まで昇り切ったデュバル達は、地上からの千冬の指示を待つ事に。

 

「皆…凄いなぁ~…。前々から疑問だったけど、どうやったら、そんなにもスムーズに飛べるんだ? デュバルのは前にも聞いたけど……」

「参考書には『己の前方に円錐や角錐を展開させるイメージと書かれてはいますけど、自分が一番やりやすい方法を模索するのが一番だと思いますわよ?」

「イメージねぇ……」

 

 セシリアに説明をされても、やっぱりピンとこない。

 こればかりは勉強ではどうにもならない事なので、一夏には非は無い。

 

「キャデラックさんとワシヤはどんなイメージで飛んでるんだ?」

「水泳かしらね。それが一番分かりやすいし」

「テキトー」

「て…てきとーって……」

 

 人類にとって最も難解な『飛ぶ』という行動を『テキトー』の一言で済ませられるワシヤは、ある意味で天才肌なのかもしれない。

 

「そもそもさ、ISってどんな仕組みで飛んでるんだ?」

「オリヴァーに習わなかったのか?」

「いや、まだそこまで行ってないんだよな…。前に同じことを聞いた時は『凄く長い説明になるから、時間のある時に一気に教えるね』って言われた」

「それはオリヴァーさんが正しいですわ。実際に教えるとなると、反重力力翼や流動波干渉などの話になりますから、最低でも2~3時間は掛かるかと……」

「その二つの単語を聞いただけで頭が痛くなってきた……」

 

 唯でさえ、ISの勉強は専門用語のオンパレードなのに、更にそれが増える事は今の一夏の頭脳には致命的だった。

 近い内、知恵熱で頭から煙を出して倒れる彼が拝めるかもしれない。

 

 空気が和んできた時、地上から千冬がインカムを使って上空にいるデュバル達に指示を出してきた。

 

『ちゃんと上空まで行けたな? では、これよりお前達には急降下と完全停止をやって貰おう。目標は地表から10センチとする。まだISに乗り始めて日が浅い織斑はしなくてもいい。全員が終わった後にゆっくりと降りてこい』

 

 これまた、難しい事を言ってきたなぁ…と、思わずにはいられないデュバル達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サクのお蔭(?)で、思った以上に話が長引くことに。
次回は授業後半です。

そして、今回もまたサクバリエーションのご紹介です。




サク・スナイパータイプ:狙い撃つぜ!
高機動型サク:背中にペットボトルロケットを装備。
サク・マインレイヤー:機雷の代わりに水風船をばら撒く。
サク・キャノン:頭に水鉄砲をくっつけている。
サク・タンク:縁の下の力持ち。働き者。
サク・マリナー:実は泳げない。ビート版があれば泳げる。
強行偵察型サク:むせる。
サク・デザートタイプ:砂遊び大好き。
サイコミュ試験型サク:手が伸びる。火は吹けない。テレポートも出来ない。
アクト・サク:普通のサクよりも機敏に動く。
マレット・サンギーヌ専用アクト・サク:ひゃっはー!
サク・トレーナータイプ:皆の先生。千冬と仲良し。
サイコ・サク:超強い。ジャズが嫌いで、ポップスが好き。


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