インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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まさか、授業だけで二分割する羽目になるとは……。

割と素で初めてですね。







サクサクいきましょう

 上空まで飛んだデュバル達は、地上にいる千冬から急降下からの急停止を命じられる。

 とはいっても、初心者である一夏には非常に困難な課題であるため、彼だけは特別に免除されているが。

 

「では、誰から行く?」

「まずは私からよろしいでしょうか?」

「セシリアからか。いいとも」

「では、お先に失礼しますわ」

 

 若干の前傾姿勢になった後、セシリアは慣れた感じで急降下を開始する。

 かなりの速度を出しているようで、僅か数秒で地上に迫る。

 

「今だな」

「今ね」

「今ッスね」

「へ?」

 

 三人が何を言っているのか分らないまま一夏も下を眺める。

 すると、デュバル達が言ったタイミングでセシリアは見事な完全停止に成功。

 しかも、ちゃんと言われた通りに目標の10センチを達成した。

 

「す…すっげぇ~…」

 

 今の自分には逆立ちしたって出来そうにない芸当を目の前で見せつけられ、一夏は純粋に感心をした。

 ハイパーセンサーでよく見ると、ソンネンに向かって思いっ切りアピールをして、ソンネンとサクが拍手でそれを褒め称えている。

 照れすぎて、このままだと反り返りすぎて後ろを向きそうだ。

 

「んじゃ、次はオレいいッスか?」

「その次は私が行きますね」

「ならば、最後は私が行こう。一夏は、我々が全員降りてからでいいから、ゆっくりと降りてくるんだ。今のお前なら楽勝だろう?」

「あぁ!」

 

 親指を立ててから、三機のヅダの内、二番機…即ちワシヤ機が急降下を開始。

 セシリアに負けず劣らずの速度で地表へと向かい、眼前に表示されている高度を示す数値に細心の注意を払う。

 そして、それが10センチに差し掛かろうとした瞬間……。

 

「ここだ!」

 

 ワシヤはヅダの全身に付いているブースターやアポジモーターを駆使して急停止を敢行。

 多少の土煙を出してはしまったが、見事に着地に成功した。

 

「よっし! どんなもんだい!」

「流石だな。お前に掛かれば、これぐらいは容易いか」

「いやいや、んなことはないッスよ。割と緊張しましたよ?」

 

 千冬に褒められて照れくさそうにするワシヤであったが、ヅダを装備している状態では逆に面白く映ってしまう。

 そうこうしている間に、少し離れた地点にモニクが全く危なげのない停止を見せてから静かに着地をした。

 

「よいしょっと。これでいいですか?」

「完璧だ。よくやった」

 

 そして、最後はデュバルの番。

 前世と全く遜色がない、いや、あの時以上に見事な腕前を見せつけられ、デュバルは歓喜と興奮で充たされていた。

 

「あの二人も頑張っているのだな……。これは、先達として私も負けられんな!」

「おぉ~…あのいつも冷静沈着なデュバルが、珍しく燃えてやがる……」

「私だって、そんな時ぐらいはあるさ。ならば…行くぞ!」

 

 先に降りた三人と同じような体勢となり、デュバルもブースターを吹かしてから急降下を開始した。

 だが、その速度は他の三人と比べても速く、あっという間に地表が目前に迫る。

 その速度に誰もが手に汗を握り、唾を飲む。

 

「はぁっ!!」

 

 背部ブースターの向きを変更させ、同時にワシヤやモニクの時と同様に全身の小型ブースターやアポジモーターを使いこなし、見事過ぎる腕前を披露しつつ完全停止を成功させた。

 勿論、目標の10センチは簡単にクリアしている。

 

「ふぅ…こんなものか」

「「「「「おぉ~!!」」」」」

 

 見ていた生徒たち全員が拍手喝采。

 特に箒は物凄い勢いで拍手をしていて、掌が赤く腫れそうな勢いだ。

 サクもデュバルの腕前に感動し、『お見事であります! デュバル少佐殿!』と書かれたフリップを両手で持って何度もジャンプを繰り返していた。

 

「スゲェじゃねぇか! デュバル!」

「いやはや…こいつは参ったね…」

「やっぱり、デュバル少佐は別格ね」

「まだまだ、ヅダを完全に使いこなせる日は遠いなぁ~…」

「素人目で見てもハッキリと分かる…。デュバル少佐の実力は、あの頃よりも確実にレベルアップしている!」

 

 同じ隊の皆からもベタ褒めの嵐。

 そうなると、流石のデュバルも照れくさいのか、装甲越しに頬を掻いていた。

 

「わ…私は、自分に出来る精一杯をしただけなのだがな……」

「だからこそ凄いんじゃねぇか!」

 

 皆の傍にゆっくりとした速度で降りてきた一夏が、非常に興奮した顔で同じように拍手をしてきた。

 

「織斑の言う通りだ。『精一杯』なんて言葉にすれば簡単だが、それを実際に出来る人間は本当に一握りだ。お前は凄いよ、デュバル」

「そうですよ! デュバルさんの実力は、国家代表と比肩しても遜色ないです!」

「織斑先生…山田先生……」

 

 この時、デュバルはヅダが全身装甲で本当に良かったと思った。

 何故ならば、今の彼女の顔は羞恥心で真っ赤になっていたからだ。

 

「感無量だ…デュバル。私は今、猛烈に感動している……」

「私はハリウッド映画じゃないんだが……」

「興行収入は100億円突破だな……」

「ほ…箒?」

 

 同室であり幼馴染である箒の感動は更に凄くなり、いつの間にか出したハンカチで流れる涙を拭いている。

 

「お前達、デュバルの腕前に感動したのは分かるが、次に行くぞ」

 

 このままでは収集が付きそうになかったので、千冬がパンパンと手を叩いてから全員を正気に戻す。

 

「では、次は武器の展開をやって貰おうか。これには織斑も参加しろ」

「分かりました」

 

 専用機を展開している全員が列の前に移動してから並ぶ。

 真ん中にヅダ三機が並び、その両隣に一夏とセシリアが来る形だ。

 

「では、まずは織斑からだ。と言っても、まだお前も素人なのは同じだからな。私からアドバイスをやろう。お前達もよく聞いておくように」

「「「「「はい!」」」」」

 

 さっきまでの興奮が嘘のようないい返事。

 この辺りの切り替えはちゃんと出来ているようだ。

 

「拡張領域から各種武装を展開する場合は、武器の形などをイメージすることが大事だ。やってみろ」

「おう!」

 

 両手を前に出してから、頭の中でイメージを固める。

 白式に搭載されているのは一本の剣だけ。

 嘗て、姉が使っていた愛刀の後継。

 

「うぐぐ…!」

「…と、このように、上手くイメージが固まらないと、量子エネルギーだけが渦巻くだけになってしまう。そんな時は武器の名前を言えばいい。そうすれば簡単に武装を展開できる。織斑」

「ゆ…雪片弐型!」

 

 言われるがままに一夏が叫ぶと、その手には一本の真っ白な剣が握られていた。

 

「このような場合はいいが、実戦では武器の名前を呼んで展開するなんてのは愚の骨頂だ。なんせ、自分の戦法を自分の口から教えているようなものだからな。故に、これが許されるのは初心者の間だけだと思っておけ。分かったな? 初心者」

「それに対して何も言えない自分が悲しい……」

 

 自分が初心者なのは一夏自身が一番分かっているので、グゥの音も出なかった。

 

「次はオルコット」

「はい」

 

 セシリアは少しだけ目を瞑ると、一瞬でレーザーライフル『スターライトMk-Ⅲ』を展開してみせた。

 しかも、ちゃんと腕部装甲にライフル本体が接続されてエネルギーが流れ込んでいる。

 後はセシリアが脳内で指令を下せば、いつでも安全装置を解除できる。

 

「これが最も理想の形となる。覚えておくように」

 

 流石は代表候補生。

 他の生徒達に対する最高の見本となった。

 

「次は近接武器を展開してみせろ。出来るな?」

「勿論ですわ。少し前までは苦手でしたけど、ソンネンさんとの試合を経た今の私ならば……」

 

 これまた一瞬でライフルを収納し、あっという間にその手には近接用小型ブレード『インターセプター』が装備されている。

 

「この通り…ですわ」

「よし。ならば、次はデュバル達になるが…確か、武装は共通している筈だったな?」

「一応は。デュバル少佐の機体は追加の武装がありますけど」

「そうか。では、まずは共通武装を揃って展開してみせてくれ」

「「「了解」」」

 

 と言う訳で、最初はIS用マシンガンを展開。

 ちゃんとマガジンは装着されていて、サブグリップも出ていた。

 

「次はバズーカだ」

 

 マシンガンを収納し、一秒にも満たない時間でIS用バズーカを展開して肩に担ぐ。

 

「いつ見ても鮮やかなものだな。次だ」

 

 バズーカを収納、近接武装となるヒートホークを展開する。

 流石に刃の部分に熱は籠っていないが。

 

「そこまで。まるで三つ子であるかのような一糸乱れぬ動きだったな」

「慣れっていうか、癖っていうか……」

「三人で息を合わせるのが普通になってるわよね」

「それだけ、我等のチームワークが完成されつつあるという事だろう」

 

 ヒートホークも収納し、両手を自由にする。

 これで終わりかと思ったが、そうではなかった。

 

「他の武装は確か……」

「シールド内に収納されているシュツルム・ファウストと、折り畳み式のシールド・クローですね」

 

 試しにデュバルがシールドの裏側を見せ、同時にクローを展開してみせた。

 どちらも接近戦では絶大な威力を発揮する武装だ。

 

「では、最後にデュバル機にだけあるという追加武装とやらを見せて貰えるか?」

「了解です」

 

 右手を前に翳し、装甲の中で目を瞑る。

 余り使用したことは無いが、それでも克明に思い出せる。

 

 光と共に長大な銃が姿を現す。

 それは、セシリアの持つレーザーライフルよりも大きくて長く、それでもまだ折り畳まれている状態だった。

 

「ここをこうして…こうか」

 

 折り畳まれていた銃身を展開し、マガジンを装着。

 ちゃんとバイポッドも出してから両手で構えた。

 

「随分と大きいな…それは?」

「対艦用ライフルです。見ての通り、超長距離の相手に使う代物ですよ」

「そのようだな。ヅダの機動性と一緒に用いれば、相当な威力を発揮しそうだ」

 

 見上げるほどの大きさのライフルを眺め、千冬が素直な感想を述べた。

 こんな銃を見ても心配する様子が無いのは、それだけデュバルの事を信頼している証拠だった。

 

「先生」

「どうした、相川」

「あの…ソンネンさんがオルコットさんとの試合の時に複数の砲弾を使ってましたけど、他にも種類があるんですか?」

「…だそうだが? どうなんだソンネン?」

「結構あるぜ。説明をしてもいいのか?」

「まだ時間はあるからな。構わんよ」

「りょーかい」

 

 車椅子を動かしてから、少しだけ前に出て全員が聞きやすい位置に移動をする。

 勿論、サクを膝の上に乗せたままで。

 

「まずは通常榴弾だな。それから、対戦車榴弾と相手の動きを動きを封じる粘着榴弾。んでもって徹甲弾と装弾筒型徹甲弾。それを強化した装弾筒型翼安定徹甲弾に、試合でも使った対空用榴散弾。そして……」

『対戦車焼夷榴弾もありますよね』

「そうだったな。ありがとな、サク」

 

 フリップで説明を手伝ってくれたサクを撫でてから褒めるソンネン。

 モノアイの部分がニッコリとなって、照れて頭を掻いている姿はのぼっととは思えない程に感情豊かだった。

 

「全く聞いたことのない単語のオンパレード……」

「サクちゃんが教えてくれた焼夷なんとかって…何?」

「簡単に言えば、火炎放射みたいなもんだな。IS相手には効果は薄いが、奇襲で敵の意表を突いたり、目暗ましには十分な効果を発揮する。それ以上に、全ての生き物は本能的に『火』ってのを嫌うもんだからな。幾ら大丈夫だと頭では分かっていても、根っこの部分で恐れちまうもんなのさ」

「心理的な効果があるってことなんだね……」

「流石はソンネンさん……武器の種類じゃなくて砲弾の種類で駆け引きをするなんて……」

「まぁな。聞いたことのない単語に関しては、自分達で勉強してくれとしか言えねぇけどな。全部を説明して言ったら、それこそ時間が足りねぇ」

 

 別に説明をしたくない訳ではない。寧ろ、したい。させてくださいと思っている。

 だが、そうなったら暴走しそうな気がするので、ここは我慢をして自重することにしたのだ。

 もし仮にソンネンがこの場で説明をすれば、確実にここから全ての時間が『ソンネン先生の戦車教室』に変わってしまう。

 

「む? もう終わりか」

 

 いいタイミングで授業終了のチャイムが鳴る。

 グラウンドにクレーターも出来ていないので、このままスムーズに授業を終わらせられる。

 

「では、これで本日の授業を終了する。お前達も、ISを戻してから戻っていいぞ」

 

 こうして、サクが初めて参加した授業が終了したのだった。

 今回の事を皮切りに、これからもサクが普通に授業に参加するようになる事になり、いつしかそれはIS学園にとって当たり前の光景になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は非常に久し振りに鈴の再登場です。

やっと本編に出してあげられる…。

果たして、彼女は誰と相部屋になるのでしょうか?

それはそれとして、今回もサクの愉快な仲間達の紹介です。



サク・フリッパー:肩を赤く塗りたい
ディザート・サク:砂漠でも頑張ってるんだよ~。
サニー:サムとのハーフ。
トラッツェ:ジャンクの中のジャンク。でも速い。
ハイサック:不遇な境遇でも頑張ってます。
ハイサック・カスタム:狙い撃つぜぇぇぇぇっ!!
ホビー・ハイサック:完全なオモチャ。とっても愉快。
サクⅢ:皆の末っ子。口から水鉄砲が出せる。
サクⅢ改:薔薇を育てるのが趣味。女の子大好き。
Zサク:どうしてこうなった。
サク50:遠い子孫。色々と凄い。
スーパーカスタムサクF2000:重すぎて動けません…。
サク・アメイジング:ガンプラは自由だぁぁぁぁぁぁぁっ!!
バリスティック・サク:燃え上がれ! ガンプラァァァァァァァッ!!
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