インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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今回から小学生編です。

といっても、原作突入を最優先にしたいので、さっさと進むつもりですけどね。






小学生編 ~二回目の学校~
恥なんてとっくに捨てた


「いやっほぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 非常に特殊な趣味を持つ人間達に多大な需要を持つ、学校指定の紺色のスクール水着を着用したヴェルナーが、興奮しながら大声で叫びつつ、子供用のプールに向かって大きくジャンプをしてからダイブをした。

 

「こ~ら~! ホルバインさん! プールに飛び込んじゃダメって何度も言ってるでしょ!」

「おっと。悪かったな先生。でもな…水辺にいるとこう…自分の中の何かが昂ってしまってな」

「何かって何よ……」

「う~ん……爺さんから受け継いだ漁師として血?」

「漁師さんは水を見て興奮なんてしないからねっ!?」

 

 担任教師(女性 25歳独身 彼氏募集中)がヴェルナーを叱る。

 自分に非があるのは認めている為、彼女はそれを素直に受け止めはするのだが、それでも自分の内なる情熱だけは押さえきれないようで。

 

「オレの爺さんがよく言っていた。『例え何があっても、我慢だけは絶対にするな。我慢は自分を苦しめるだけだ』ってな」

「時と場合にもよると思うけどっ!?」

 

 この様子を見れば分かるとは思うが、敢えて説明をさせて貰おう。

 デュバル、ソンネン、それから新しく加わったヴェルナーの三人は、白騎士事件から数年の後に無事に近くにある小学校へと入学した。

 

「あいつもよくやるよな……」

「元海兵として、プールに入れることが純粋に嬉しいのだろうな」

「絶対にそれだけじゃないと思うぞ……」

 

 プールサイドでは、ヴェルナーと同じスク水を着ているソンネンとデュバルがいた。

 ソンネンは足が動かせないから、普通ならば見学をするところなのだが、プールの授業の時ぐらいは足を水に浸らせるぐらいはいいんじゃないかとヴェルナーから提案され、仕方なく先生が承諾。

 デュバルが常に傍で見守ることを条件に、今回は特別にソンネンの参加が認められた。

 

「にしても、まさかオレたちが小学生になるとはね……」

「義務教育なのだから仕方あるまい」

「いや、オレが言いたいのはそういう事じゃなくてだな……」

 

 なんて二人で話していると、同じ学校、同じクラスになった一夏と箒がこっちを見ているのが見えた。

 一夏は水着姿の二人を見て少しだけ顔を赤くしてそっぽを向いた。

 目聡い箒は、すぐに一夏が誰を見ていたのかを察して、いつものように一夏に対して何かを怒鳴っていた。

 もう完全に日常となりつつある光景だ。

 

「なにやってんだか……」

「若いって事だろうさ」

「それ、今のオレ達も人の事は言えないからな?」

「そうだったな……」

 

 前にも言ったが、どれだけ精神が成熟していても、体の方は立派な小学生女子。

 しかも美幼女。他人の事は余り偉そうには言えない立場である。

 

「けど、あの元海兵がやって来たときは驚いたよな~」

「あぁ……」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 それは、今から2年程前。

 ヴェルナーが初めて孤児院にやって来た時に遡る。

 

「ヴェルナー・ホルバイン……。私の記憶が正しければ、君はジオン軍の海兵部隊に所属していた人間じゃなかったか?」

「よく知ってるな。というか、オレがあの艦に配属した時にはもうアンタらはいなかった筈なんだが、どうやって知った?」

「ちょっとな」

「ふ~ん…」

 

 何故か、すぐに仲良くなれそうだという理由で、ソンネンとデュバルの二人がヴェルナーの案内係を担当することに。

 彼女達もヴェルナーとは話したいと思っていたから、ある意味で願ったり叶ったりの状況ではあった。

 

「別に言ってもいいんだけどよ、ここでは…な」

「後で貴官にも見せてやろう。私達がどうして君の名を知っていたのか、その理由をな」

「そりゃ楽しみだ」

 

 幼い少女の姿になっても、その独特な性格は健在のようで、非常に掴み所のない性格はとても特殊に見えた。

 だが、長年の軍人としての勘と観察眼で、彼女が決して悪い人間ではない事だけはハッキリと分かった。

 というか、同じ境遇の同胞の事を疑いたくなかったというのが本心だ。

 

「逆にこっちからも聞いてもいいか?」

「なんだい?」

「どうして私達の事が分かった?」

「そいつは簡単さ」

 

 食堂、ベランダ、中庭と案内しながら、ヴェルナーは淡々と説明していった。

 

「まず、あんた等の名前自体はずっと前…つまりは前世であの艦…ヨーツンヘイムに乗った時にあの技術屋さんに教えて貰った」

「彼に……」

「そうだ。なんとも複雑な表情をしながら語ってくれたよ」

 

 『彼』の話を聞かされ、ソンネン達は少しだけ暗い顔になる。

 何度か衝突はしたが、最終的にはちゃんと通じ合えた。

 彼になら、自分達の思いを、歴史を託せると。

 

「で、二度目に聞いたのは今の体になってから。院長さんの車で移動してる時に聞かされてね。そんな名前の人間は、少なくとも俺が知っている中では、あんた等しか思いつかなかった。だからすぐにこう思った。『あの二人も自分と同じように生まれ変わっているんじゃないか』ってな」

「すぐにその発想に行く着くこと自体が凄いな……」

「普通じゃ生まれ変わりなんて絶対に信じねぇぞ。精々、同姓同名だって思うのが関の山だ」

 

 実に常識的な意見。

 だが、ヴェルナーに関しては、その常識的な意見は通用しなかった。

 

「オレだって、その可能性もちゃんと考えたさ。でもな、ここに入って、あんた等の姿をこの目で見た途端、オレの予想は正しかったと確信した」

「「なんで?」」

「う~ん…こればっかりは言葉じゃ上手く言い表せないんだよな」

「はぁ? なんだよそりゃ?」

「なんて言えばいいのかな……。こう~…頭にキュピーンって直感的なものが降りたんだよ」

「直感…だと?」

「そ。別の言い方をすれば『閃き』って言えばいいのかな?」

 

 普通ならば一笑に伏されてもおかしくない言葉。

 だが、宇宙世紀を生きてきた彼女達だけは違った。

 

(おい…こいつが言ってるのって、まさか……)

(嘗て、かのジオン・ズム・ダイクンが提唱したと言われている、宇宙で生きる人間達にのみ現れるという……)

(ニュータイプってやつか……。この海兵がそうだってのか?)

(それは分からん。だが、当時のジオン軍にもニュータイプとされている人間達がいたとは聞いている)

(えっと……木星帰りのシャリアとかって奴と、あの赤い彗星もだっけか?)

(それと、その彼の腹心と目されている少女がいた筈だ。名前は確か…)

「ララァ・スンか?」

「「!!?」」

 

 自分達の心が読まれた?

 そう思い、二人は凄い顔で振り向いた。

 

「違うのか?」

「い…いや。そんな名前だったと聞いている……」

 

 彼女が本当にニュータイプかどうかは分からないが、一つだけ確実なことがある。

 それは、ヴェルナー・ホルバインと云う人間が唯者じゃないという事実だ。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 ある程度、孤児院の中を紹介し終えた二人は、そのままヴェルナーと一緒に食堂へと向かって小休止をすることに。

 そこで、徐に彼女は自分の今世における身の上を話してきた。

 

「オレの両親は、オレが物心ついてすぐに事故で亡くなった。それからはずっと爺さんと一緒に暮らしていた」

 

 本当なら、ここで軽い相槌でも打つのだろうが、二人は敢えて黙って聞き手に徹することで彼女の好きにさせることにした。

 

「オレの爺さんは凄い漁師でな。そりゃ、色んな機械や船を持ってはいたけど、基本的には鍛えられた肉体と自慢の銛一本だけで仕留めてた」

 

 昔を懐かしむように微笑みながら、ヴェルナーは自分が付けている槍の先端のような首飾りを触った。

 

「それはなんだ?」

「爺さんの形見さ。信じられるか? こんな銛で鮫とかと互角に渡り合ってたんだぜ?」

「そいつは…すげぇな。でも、『形見』ってことは……」

「あぁ……爺さんはもうこの世にはいない」

 

 ヴェルナーの為の注がれた麦茶を一飲みしてから、再び語り出す。

 

「今から三か月ぐらい前に、大きな台風があったろ」

「ニュースで見た。九州の南の方を襲ったと……まさか?」

「その『まさか』さ。爺さんはその台風で命を落とした」

 

 三人の空気が急に重くなる。

 だが、それでもヴェルナーは話すのを止めない。

 

「もう気が付いてるとは思うが、オレは日本で生まれて育った。つっても、父親はフランスの血筋らしいがな」

「……ハーフか?」

「そーゆーこった。父親がフランス人で、母親が日本人。でも、オレ自身はフランスになんて微塵も興味は無い。両親が愛して、父が祖国を捨ててまで渡ってきたこの国こそがオレの本当の故郷だって思ってるからな」

 

 誇らしげに話す彼女の顔は微塵も悲しみに染まっておらず、それどころか、碌に顔すら知らない両親の事を誇りに思っているように見えた。

 

「話が逸れちまったな。爺さんは島民の皆を避難させるために漁師仲間と一緒に人々を避難所へと誘導してたんだけどな、その時に荒波に飲まれて海に消えちまった…らしい」

「らしい?」

「その時、オレは大人達に連れられて避難所にいたからな」

「そう…だよな」

 

 なんだか気まずくなったソンネンは、誤魔化すように麦茶を飲んだ。

 

「それを他の大人たちから聞かされた時、本気で呆然としちまった」

「だろうな……」

「台風が過ぎ去ってから警察や漁師仲間達が捜索をしたんだが、遺体すらも見つからなかった」

「……………」

「結局、形だけの葬儀をしてから、何も入ってない墓だけが立てられた」

「それから、ここの院長に?」

「そう急かすなって。この齢で天涯孤独の身となったオレは、最初は親戚達の世話になるって話になってたんだが、オレはそれを丁重に断った」

「なんでだよ? 世話になればいいじゃねぇか」

「他の家々も被害が甚大だったんだよ。自分達の事だけで精一杯だってのに、オレみたいなガキが来たら、もっと大変なことになっちまう」

「だがしかし、大人たちは反対したのではないか?」

「したぜ。でも、そこで助け舟を出してくれたのが、ここの院長さんだったのさ」

「だと思った」

「なんでも、オレの爺さんと院長さんは古い知り合いだったらしくてな、そのよしみでオレの事を、成人するまで孤児院で面倒見るって言ってくれたんだ」

「で、その話にお前さんは乗ったってわけか」

「あぁ。あのままじゃ困るのは事実だったし、爺さんの知り合いなら問題無いしな。即座に頷いた」

「それで、今に至る…か」

「その通り」

 

 話し終わり、ヴェルナーは大きく息を吐いてから背凭れに体を預ける。

 

「こんなにも自分の事を話したのは普通に初めてだぜ。多分、あんた等が『同じ境遇』だからかな」

「かもしれんな」

「オレ達って、マジで不思議な縁で繋がってるよな。同じ国、同じ艦に乗ってたのは事実なのによ、以前は全く会ってすらいないんだぜ? それなのに……」

「こうして、生まれ変わって初めて言葉を交わすことが出来た…か。そう言われると、確かに不思議な縁だな」

「生まれ変わり…か。日本じゃ『転生』とも言うらしいぜ」

「転生……。仏教の教えにある『輪廻転生』の事を指しているのか?」

「仏教の事は詳しくは知らないけど、多分そうなんじゃないのか?」

「輪廻転生……ね。そんじゃつまり、オレ達は『転生者』って呼ばれるのか?」

「なんとも不思議な響きを持つ言葉だな」

 

 仲睦まじげに話している三人を遠くで見ながら、院長と年長組の二人は、ヴェルナーがここに馴染めるか心配をしていたことが杞憂であると理解した。

 

 その後、ヴェルナーはその不思議な魅力でソンネンやデュバルと同じように、孤児院の中心的存在となっていくのだった。

 

 

 

 

 

 




回想はまだまだ続くんじゃよ。

次回はヴェルナーと束を会わせます。

それよりも……幼女達のスク水だぞ。興奮した?

最近思うんですが、もしかして元おっさんが転生して美少女になるって展開が今はトレンドだったりするんですかね?
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