インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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なんか、全国的にHGUCナイチンゲールが売り切れ続出みたいですね。

そりゃまぁ…大人気の機体だし? それが待望のHGで出たとなれば売れるのは当然だと思いますが…。

因みに、私は発売日当日に行きつけのプラモ屋さんにて無事に購入できました。

箱がデカすぎたので帰りのバスで恥ずかしい目に遭ったのはご愛嬌。

久し振りに作っていて楽しいガンプラでした。







こんなのも悪くは無い

 鈴が転入してきた次の日。

 ソンネン達はいつものように集まり、朝の食堂へと向かっていくのだが、今回は少しだけ様子が違った。

 簡単に言うと、いつものメンバーに鈴が加わっていたのだ。

 途中で彼女も合流し、そのまま一緒に朝食に行っていた。

 

「今日の朝は何にするかねぇ~」

「白米もいいが、偶にはパンも悪くないな」

「私はフレークだよ~」

「本音は少しは別の物を食べろ」

 

 ソンネンとデュバルが高校生らしからぬ会話をしている所に本音が自分の偏った食生活を暴露する。

 すぐにオカン属性になりつつあるソンネンに注意されたが。

 

「鈴はどうする?」

「あたし? あたしは~……ん?」

 

 一夏に聞かれ、顎に手を当てながら考えていると、ふと廊下にある掲示板に目が行く。

 そこにはいつも、学校行事に関する情報や部活動の勧誘ポスター、後は生徒会の広報に新聞部の作成した学園新聞が貼られているのだが、今回はある事が掛かれた大きな紙がデカデカと貼られている。

 

「なにこれ…って」

「少佐…これは……」

「へぇ…仕事が早いじゃねぇか」

 

 そこに貼ってあったのは、近々開催されるというクラス対抗戦のトーナメント表。

 ちゃんと一年の部と二年の部、三年の部に分かれて貼られている。

 

「どれどれ? 一回戦で早くもオレ様とぶち当たっちまう不幸な奴は一体誰かな?」

 

 右端からジッ~っと眺めていくと、左端の方に一組の名前があった。

 

「お…あったあった。で、対戦するクラスは……え?」

「マジ?」

「なんと……」

「わぉ……」

 

 三人娘と鈴が驚くのも無理はない。

 何故なら、トーナメント一回戦にて一組と戦うクラスは二組…つまり、鈴だったからだ。

 

「簪さん、これは……」

「うん。どう考えてもおかしい」

「え? どういうことだ?」

 

 代表候補生であるセシリアと簪が訝しんでいると、隣にいた箒が疑問を投げかける。

 それに答えたのは二人ではなく、近くにいたオリヴァーだった。

 

「通常、専用機持ち同士の試合はトーナメントでも最も盛り上がる場面です。それこそ、通常ならば決勝戦。最低でも準決勝付近に当たるように計算してトーナメントを組み立てるのが普通なんです。だけど、これは……」

「そうか。私にも分かったぞ。他のスポーツで例えるならば、前大会優勝者と今大会の優勝候補が一回戦で当たってしまうようなものか」

「その認識で間違いないかと」

 

 なんとも箒らしい考え方だが、あながち間違いでもないので否定はしない。

 

「学園側は一体何を考えてるのかしら…?」

「この感じ…なんつーか適当にやった感がしますよね……」

「俺でも、もうちょっと凝った風にするけどな~」

 

 遂には一夏にまで言われてしまう始末。

 千冬が頭を抱えている姿が目に浮かびそうだ。

 

「まぁ…いいんじゃない? 決まったものは仕方がないし、いっそのことアタシとデメの二人で観客の皆の度肝を抜いてやればいいのよ」

「あんまりやり過ぎても普通に困る。後には私の試合も控えてるし」

 

 一年生の部の一回戦、第3試合は簪率いる4組と6組になっていた。

 現在、一年のクラスで専用機持ちが所属しているのは一組と二組、三組と四組だけ。

 因みに、三組の専用機持ちはオランダ代表候補生のロランだ。

 

「ってことは、あたしとデメのどっちが勝っても、後々に専用機持ちがぶつかるって事?」

「そうなるな。だとしても、一回戦でぶつける理由にはならねぇけど」

 

 後の試合で専用機持ち同士の試合があるとしても、それならばそれぞれバラバラにしてから組み込んだ方が遥かに盛り上がる。

 それをしていない時点で学園側の思考が全く読めない。

 

「案外、サイコロか何かで適当に決めてたりしてな」

「ヴェルナー…お前が言うと冗談には聞こえないから止めろ」

 

 ニュータイプ疑惑濃厚なヴェルナーが言うと、どんな冗談でも途端に真実味を帯びてしまう。

 恐るべし海兵である。

 

「ここでクダクダと考えても意味ねぇだろ。それよりも……」

 

 ここでソンネンがいつもは見せない獰猛な笑顔を晒す。

 それは、彼女が普段ヒルドルブの装甲の内側でしか出さない顔だ。

 

「強くなった鈴とガチで戦りあえるんだ。今から楽しみで仕方がねぇよ」

「それはこっちの台詞よ。セシリアを破ったっていう実力…この身で確かめさせて貰うわ」

「望むところだぜ」

 

 互いに拳を軽く小突かせてから笑みを浮かべる。

 それは親友同士の友情を確かめるものではなく、ライバル同士が戦いの前にする儀式のようだった。

 

 余談だが、掲示板の前で時間を取り過ぎたせいで朝食を食べる時間がギリギリになってしまった面々だった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 放課後になり、今日も今日とて第一アリーナにて訓練に励む。

 だがしかし、今回は一夏や箒の訓練はお休みだった。

 

「悪いなお前ら。こっちの事情に付き合わせてよ」

「気にするな。偶には見稽古も悪くない」

「そういうこった。それに、ソンネンのヒルドルブはカッコいいから、見ていても楽しいしな」

「そ…そっか?」

 

 自分の愛機をカッコいいと言われれば、流石のソンネンも照れてしまう。

 そんな彼女に悶絶するお貴族様が約一名。

 

(照れながら頬を掻くデメジエールさん…眼福ですわ…♡)

 

 両手で顔を隠してはいるが、上半分は普通に出ているのでセシリアがにやけているのは一目瞭然だった。

 因みに、今回いるのは一組のメンバーだけで、鈴や簪は別のクラスであり尚且つクラス対抗戦が近づきつつあるという事もあり、訓練時は基本的に接触しないようにしていた。

 

「で、どんな訓練をする気だ?」

「うーん…今更、普通の訓練をしても成果は乏しいだろうしな…」

「では?」

「やっぱここは実戦形式が一番だろ」

「「「「「言うと思った」」」」」

 

 603メンバーはなんとなくソンネンがそんな事を言うだろと予想していたのか、声を揃えてツッコんだ。

 

「相手はどうするんですの?」

「そうだなぁ……」

 

 空を仰いで考える仕草をするが、その目は既に相手を決めていた。

 

「…デュバル。偶にはやらねぇか?」

「ほぅ…? 面白い。私は一向に構わんぞ?」

 

 言うが早いが、すぐにデュバルはヅダを展開してから空中に浮かび待機をする。

 それを見てからソンネンもヒルドルブを即時展開して臨戦態勢に移った。

 

「最初からやる気120%って感じね……」

「らしいっちゃらしいけどな」

「なんだか、二人とも嬉しそうに見えるね」

 

 念の為に他の皆は端の方まで離れ、ソンネンとデュバルはステージ中央まで進んでいく。

 

「こうして、お前と戦うのはこれが初めてかもな」

「そうだな。では、始めるか。時間も無い事だしな」

「おう! いくぜ!!」

 

 ヒルドルブが両手にマシンガンを装備し、連射しながら突撃する。

 それに合わせ、ヅダもまたマシンガンを両手で握りしめながら、自慢のスピードで迫ってきた。

 

「まずは一発!!」

「甘い!!」

 

 ばら撒かれるマシンガンの弾丸を華麗に回避し、反撃としてデュバルも正確な狙いでマシンガンを斉射するが、ソンネンは見事なドリフトを披露して難なく避けた。

 

「これが…ソンネン少佐とデュバル少佐の戦い……」

「初手からレベルが高すぎますわ…」

「俺なら間違いなく当たってる…つーか、どうして二人とも普通に避けれんだよ…」

 

 僅か数秒で二人が常人とは別次元にある事を思い知らされる。

 どちらの攻撃も正確無比で鋭い。

 なのにも拘らず、全く直撃が無かった。

 

「おらぁっ!!」

「この程度っ!!」

 

 凄まじい速度で空中を舞い踊るヅダに向けて、ヒルドルブの主砲から通常榴弾(HE弾)が発射されるが、全身を旋回させつつ見事なマニューバで回避をし、動きながらも器用に武器をマシンガンからバズーカへと切り替え、すぐに標準を合わせる。

 

「そこっ!」

「させるかよ!!」

 

 急速な後退によってバズーカを避けたと思ったら、走りながら対空用榴散弾(type3)を撃ち少しでもダメージを与えるように狙う。

 

「むっ!? だがっ!!」

 

 普通の方法では避けられないと判断したのか、デュバルは咄嗟に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用しての緊急回避。

 ヅダの速度は通常時でも並のISの瞬時加速級のスピードなのに、そこから更に瞬時加速なんて使ったらどうなるか。

 答えは簡単。早過ぎて瞬間移動をしたみたいになる。

 

「き…消えただとっ!?」

「違いますわ! ジャンさんの動きが早過ぎて肉眼では捉えきれないのです!」

「機械の力で瞬間移動って再現できるんだな~……」

 

 セシリアと箒は目を見開いて驚き、一夏に至っては凄すぎて呑気な事を言い出した。

 

「っていうか、さっきからどっちも全く攻撃を当てれてないよな……」

「これ…ちゃんと決着が付くのかしら?」

「つかなそうですね……」

「まぁ…好きにやらせとけばいいんじゃないのか? 時間になれば自然と止めるさ」

 

 ヴェルナーの言う通り、二人の模擬戦(?)はアリーナ使用時間ギリギリまで続き、決着はつかないままで終わってしまった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一方その頃。

 鈴は教室にてある事を考えていた。

 

(なんかカッコつけてキザな台詞を言っちゃったけど、よくよく考えたら相手にするのってあのデメなのよね? 昔からめっちゃ頭が良くて手先が器用なデメ…確か、上半身限定で体も鍛えていたような気が……)

 

 ソンネンは昔から下半身不随だからと言って嘆くことは一切無く、それを受け入れた上で自分に出来る事を精一杯頑張る少女だった。

 だからこそ彼女に惹かれたのだが、それは同時にソンネンが想像以上の強敵なのではないのかという疑念も生んでしまう。

 

(なんか気が引けるけど…ここはまず情報収集から始めるべきかしら)

 

 敵を知り、己を知れば百戦危うからず。

 未知なる相手に対抗するにはまず、その相手を知る事から始めなければ。

 

「ねぇ…ちょっといい?」

「どうしたの?」

「あたしが転校してくる前に、一組で候補生の子が試合をしたって聞いたんだけど、その時の事って覚えてる?」

「覚えてるけど…どうしてそれを……あっ!?」

 

 鈴が話しかけた生徒はすぐに彼女が何を言いたいのかを察し、納得したようにポンと手を叩く。

 

「もしかして、クラス対抗戦に備えてって事? あの張り紙なら私も見たけど…」

「そう! そうなのよ! なんか色々と噂になってるから、誰か知らないかなーって思って」

「成る程ね~。あの試合、本当に凄かったもんな~」

 

 あの時、ソンネンとセシリアの試合があったその日、大勢の生徒達が歴史の証人となった。

 どれだけ体にハンデがあっても関係ない。

 強い者は強いのだという単純明快な事実を思い知らされた日。

 少なくとも、全ての新入生達の脳裏に強く刻まれた日になった。

 

「あの時の試合なら、他の子がスマホで撮影してた気が……」

「マジッ!?」

「うん。ねぇ、誰だったっけ~?」

 

 クラス全員に聞こえるような声で尋ねると、一人の生徒がスマホ片手にやって来た。

 

「あの日の試合なら、私が動画撮ってるよ。少しでも参考にしようと思って」

「それ、見せて貰ってもいい?」

「別にいいよ。ほら」

 

 そうして見せて貰ったスマホの画面には、少し遠くではあるが確かに当時の試合が映されていた。

 

「なによ…これ……」

 

 かなり強いんだろうとは思っていた。

 思っていたが、実際に見た映像は鈴の想像を遥かに超えていた。

 セシリアの実力も相当だが、それを圧倒する程の実力をソンネンは見せていた。

 何より衝撃的なのは、ソンネンの専用機だった。

 

「これ…完全に戦車じゃないのよ……」

 

 キャタピラの下半身に両腕が生えたようなデザイン。

 見る者全てを威圧するような姿に画面越しとはいえ鈴もビビる。

 更に、その巨大な砲身から放たれる一撃は凄まじい攻撃力と共につんざくような轟音を響かせた。

 

(あたしの専用機はそこらのISよりも装甲が分厚い方だけど…それでもこれは無理ゲーでしょ…! こんなの、もしも直撃なんて受けたらどんなISも一撃で沈むわよ! 完全にワンパンされるから!)

 

 見なければよかったと今更ながらに後悔した。

 ソンネンの専用機の姿も、その一端とはいえ性能も見る事は出来た。

 貴重な情報と引き換えに、鈴はその精神をかなり削られた。

 

(どうしよう……途端に自信が無くなってきちゃった……)

 

 もしもこの事実を知らなければ、強気のままで試合に臨めたかもしれない。

 だが、知ってしまった事実はもう覆せない。

 

「デメでこれなら…ジャンとかヴェルナーはどうなってるのよ……」

 

 中国にて自分も相当に鍛えてきたつもりだったが、幼馴染達はその間に己の遥か先まで行っていた。

 だが、鈴は知らない。あの三人は彼女がISに関わるよりもずっと前から常人を越える実力を秘めていた事を。

 スタート地点がそもそも違うのだ。その差だけはどうやっても埋めようがない。

 ならばどうすればいいのか。その答えはもう分かっていた。

 

「やるしか…無いわよね。もうサイは投げられてるんだから……」

 

 鈴の真価が発揮される時が、早くもやって来てしまった。

 セシリアと同様に彼女もまた高みへと至れるのか。

 それは全て鈴次第であった。

 

 

 

 

 

 

 

 




話が一区切り付けば、また番外編を書こうと思います。

今度は誰にするかな~?


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