インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
遂に…遂に登場です!
それと、ここでちょっとした報告なのですが、急遽として思いついた話がありまして、そのせいで原作開始が少し遅くなります。
簡単に説明すると、原作でも語られていた、千冬がドイツにいた頃の話を書こうと思っています。
その際、本当は原作開始と同時に出そうと思っていた大佐と砲術長を少し早目に登場させます。
その代わりに、三人娘たちの出番は暫くお休みですが。
「こっちだよ~」
束とクロエに導かれるまま、研究室の奥まで連れて行かれると、其処には大きな布で隠されている三つの『物体』があった。
一つは縦に長く、二つ目は横に長く、三つ目は空中にアームで固定されるようにして浮いていた。
「ここは昔よりは広くしてあるんだな」
「あの頃は部屋の都合上、やれることが限られてたからね~。でも、ここだと自分に合わせて好きなだけ拡張出来るから便利だよ」
「文字通りの『自分だけの城』って訳か」
誰もが一度は憧れる『自分だけの家』。
それを束は自力で作り上げた。
それだけ普通に驚愕すべき事だった。
「皆さんは、束さまの昔の部屋をご存じなんですよね?」
「一応な。つっても、内装は今と殆ど変わってないぞ」
「変化があるとすれば、ハンガーが広くなったぐらいか」
そんな風に話しながら、三人はそれぞれに三つの物体の傍まで近づいていった。
ソンネンは横長の所へ、デュバルは縦長、ヴェルナーは浮いてる物の場所へ。
「束……この布…取ってもいいか?」
「勿論。この機体達を製作したのは確かに私だけど、でも…この子達の真の相棒は間違いなく君達だよ」
「そうか……」
布の端を掴み、三人がほぼ同時に全力で腕を振り、布を取り去った。
その下から現れたのは、嘗て自分達と一緒に戦場を駆け抜けた、掛け替えのない相棒が、この世界の技術で新たに生まれ変わった姿だった。
まず、束はデュバルの傍まで行って、大きく目を見開いて体を震わせ、呆然と立ち尽くしている彼女の肩にそっと手を置いた。
「どう? ISとなって新生したデューちゃんの相棒は?」
「……どう言えばいいのか分らない程に感動している。私は……私は……」
いつの間にか涙が頬を伝い、ゆっくりと束の方を向く。
「型式番号『EIS-10 ヅダ』。番号自体は元となった機体を捩ってつけさせて貰ったよ。他の子達もね」
「スペックは……」
「問題なし。ちゃんと、エンジン周りや装甲の問題点を全て解決した上で、ISのサイズに原型機の性能をそのまま再現することに成功したよ」
「あ……あぁぁ……!」
遂に感極まったのか、デュバルはその場に座り込んでから、両手で自分の顔を覆って泣いてしまった。
「今日ほど……生きていてよかったと思ったことは無い……。ありがとう……今の私には…それしか言うべき言葉が見つからない……」
「お礼を言うのは、寧ろこっちの方だよ。君達三人がいてくれたから、私は沢山の新しい発見が出来たし、人としての道を踏み外さずに済んだ」
「うん……うん……」
その後、クロエからティッシュを貰うまで、ずっとデュバルの涙が止まることは無かった。
「ぐず……武装の方はどうなっているんだ?」
「それもちゃんと再現してる。『IS用マシンガン』に『IS用バズーカ』。『シュツルム・ファウスト』を二基にヒート・ホーク。おまけに『対艦ライフル』もあるよ」
「シールドに装備してあるクローは?」
「バッチリ装備済み」
「最高だ……!」
涙を拭った彼女の顔は、少女の顔から一気に戦士としての顔へと変わる。
己の分身とも言うべき機体が自分の元へと舞い戻って来たのだ。
いつまでもヅダに情けない姿は見せられない。
「もう大丈夫?」
「あぁ。他の二人の所に行ってやってくれ。説明があるんだろう?」
「うん。フォーマットとかは後で纏めてやるからね」
「了解だ」
転生をして初めて、心から嬉しそうに笑うデュバルの姿を背に、束はソンネンがいる場所へと向かった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「また……会えたな……」
ソンネンの眼前には、全身をダークグリーンに染めた一台の戦車…否、ISがあった。
通常のISと比べれば、頭頂高は若干低いが、その代わりに全長がかなり大きい。
「これは正確にはISじゃないんだよ」
「じゃあなんなんだ?」
隣まで来ていた束の言葉に疑問を感じ、思わず聞き返す。
「これが嘗ては『
「それは……」
「その名も『インフィニット・タンク』。通称『IT』だよ」
「インフィニット・タンク……」
「そして、この子はその試作一号機」
ソンネンの車椅子を押して、機体を正面から見れる位置に移動する。
「型式番号『YIT-05 ヒルドルブ』」
「……束。色々と聞いてもいいか?」
「なんなりと」
鋭く目を光らせながら、ソンネンの質問攻めが始まった。
「最大射程距離は?」
「32~35㎞」
「最高速度」
「110㎞/h」
「武装」
「主砲一門。スモーク・ディスチャージャー四基。IS用マシンガン二丁」
「使用弾種」
「
そこまで言い終えてから、ソンネンはいきなり隣にいる束の体に抱き着いた。
車椅子に乗っているので、彼女のお腹を抱く様な形になっているが。
「
「ご期待に添えてよかったよ…って、泣いてる?」
「泣いたら悪いのかよ……。もう二度と会うことは無いと思ってた相棒にまた会えたんだ……誰だって泣きたくなるだろうが……」
「そうだね……うん。泣いていいよ」
「あぁ……」
静かに涙を流すソンネンの頭を優しく抱きながら撫でている束の姿は、とても微笑ましく見えた。
千冬や箒辺りが見たら『別人だ!』と叫びそうな程に。
「もういい…大丈夫だ。悪かったな、みっともない姿を見せちまって」
「気にしてないよ。ソーちゃんの泣いてる姿は凄く可愛かったから、束さん的には非常に役得でした」
「言ってろ。でだ。改めて聞きたいことがあるんだけどよ」
「何かな?」
「この『ヒルドルブ』は、オレのように足が動かない奴でも大丈夫なのか?」
「というか、この子は最初からソーちゃんが乗ることを前提に設計してるから、その辺は全く持って大丈夫。障害者用の車みたいに、殆どの操作は手元で出来るようにしてあるし、一部の操作はビット兵器の応用で脳波コントロール出来るようになってる」
「戦車乗りの魂を振るわせてくれるような仕様にしてくれるじゃねぇか……!」
少女の体に生まれ変わっても、その内に眠る獰猛な『戦車乗り』としての意志は消せない。
逆に、これまでずっと燻らせてきたお蔭で、前世の時以上に燃え上っていた。
「それとは別に、実はヒルドルブに関しては面白い事を考えててね」
「なんだそりゃ?」
「それは、もう少ししてからのお楽しみ」
「ま、アンタなら大丈夫だろ」
それだけを言い残して、束はヴェルナーの所に向かうことにした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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ソンネンとデュバルが説明を受けている間、ずっとヴェルナーは目の前の機体を眺めていた。
「気に入った?」
「気に入るってよりは、驚いたってのが素直な感想だな」
「でも、嬉しそうだよ?」
「かもな。少なくとも、嫌な気分じゃない事だけは確かだ」
アームで固定されている機体は、ヴェルナーが知っている物とは一部がかなり違っていた。
その一部とは、最も重要な部分である『制御ユニット』だった。
「なぁ…あの『本体』は……」
「やっぱり、そこが気になるよね。いいよ、教えてあげる」
束はいつの間にか手に持っていた端末を操作して、空中に投影型ディスプレイを出した。
「この『本体』の部分は、前にも言った『デュノア社』の開発した量産型第二世代機『ラファール・リヴァイヴ』で代用した。機体色は元の機体に合わせて青く塗り替えたけどね」
「みたいだな。前に雑誌でラファールって機体を見たことがあるが、デフォルトの色は緑だったな」
緑色の機体と言えば、ヴェルナー的にはザクを彷彿とさせるのだが、海兵だった彼女は一度も乗ったことが無いので、そこまで思い入れは無かった。
「拡張領域内には最低限の武装は内蔵してる」
「例えば?」
「アサルトライフルを二丁に、近接ブレード」
「ライフルはともかく、ブレードなんて絶対に使う機会なんてないだろ……」
「念の為だよ」
「ふ~ん……」
そこまで気にしていないのか、いつも通りの顔で見上げた。
「機体名はどうなってる? ここまで変わっちまったら、流石に別の名前になってるんだろ?」
「う~ん…そこらへんは別に気にしなくてもいいと思って、元の名前をそのまま採用してるよ?」
「マジか」
「型式番号『ISM-07M ゼーゴック』。原型と同様のシステムを内蔵してる」
「同様のシステムってことは、モビルダイバーシステムか」
「能力は同じでも、ここの名称は流石に変えてるけどね。名付けて『インフィニット・ダイバーシステム』だよ」
「インフィニットダイバー……無限の潜航者…ね」
宇宙から地球という海へとダイブする。
一見すると無謀を通り越して机上の空論と思われても仕方のない戦法を、実際にやってのけるのが、このゼーゴックなのだ。
成層圏から仕掛けられる超高高度からの強襲なんて、誰も予想すらしないだろう。
「制御ユニットの方は納得した。一番肝心な『LWC』の方はどうなってる?」
「そっちもバッチリだよ!」
ゼーゴックの隣に並ぶようにして、一機のコンテナと三種類の兵装があった。
ぞのいずれもが、ヴェルナーのよく知っている物ばかりだ。
「大量兵器輸送コンテナ。通称『LWC』。そして、LWCに装備される三種類の大型換装パッケージ」
固定アームが移動し、一つ一つのパッケージを前に出していく。
「第一種兵装である大型ミサイル四基『マルチ・ミサイル・バス』。第2兵装である28連装ロケット弾ポッド4基『
「第三兵装である、高出力拡散ビーム砲『クーベルメ』…か」
「正解。言っておくけど、このクーベルメは5秒以上の照射で爆発するなんてことは無いからね?」
「分ってるよ。あんたがそんな雑な仕事をするなんて微塵も思ってないさ」
「ナーちゃんって、本当に素直な子だよね……?」
「そうか? オレは単純に思ってることを言ってるだけだが……」
「それが『素直』なんだよ。今時の子には無い魅力なのかもね」
そんな事を言われても、ヴェルナーにはサッパリだ。
どこまでも真っ直ぐに、愚直に、前だけを見続ける。
それがヴェルナー・ホルバインという人間なのだから。
「いざとなったら、リヴァイヴを切り離しての緊急離脱も可能だよ」
「文字通りの最終手段って訳か。了解だ。覚えておくぜ」
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・・
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「これで、一通りの説明は終わったよ。何か質問は?」
「この機体達に関しては、今のところは何もない。だが、他の部分で聞きたいことがある」
「なにかな~?」
「私が持っていた、あのUSB…あれには、他の機体のデータも入っていたりしたのか?」
デュバルは、ずっとその事が気になっていた。
自分が死に際まで所属していた、あの『第603技術試験隊』には、自分達が死んでからも様々な機体が送り込まれたはずだ。
ヴェルナーの『ゼーゴック』がいい例だ。
『ヅダ』と『ヒルドルブ』、『ゼーゴック』のデータが入っていたのならば、それ以外のデータも入っていておかしくない。
「……うん。実は、他にも色々と興味をそそられるデータがあったよ。特に…あの、赤くて巨大な機体は……」
「赤い機体?」
「ううん! なんでもないよ!」
赤い機体と言えば、連想するのは『赤い彗星』シャア・アズナブル少佐の機体か、もしくは『深紅の稲妻』ジョニー・ライデン少佐の機体ぐらいか。
だが、そのどちらもが自分達とは全く接点がない。
否、シャアの方だけはほんの少しだけ接点が有るが、その事を彼女達は知らない。
「まぁいい。どんなデータであれ、束ならば悪用はしないだろうからな。あのUSBは引き続き、貴女に預けておこう」
「ありがとね。じゃ、今から三人の専用機の『
「コアの『
「その必要はないよ。この子達に使ってるコアは、私が一から作った特製だから」
「だと思ったよ。なら、さっさと始めようぜ。幾ら早めの時間帯に着たとはいえ、時間は惜しいからな」
「ソーちゃんの言う通りだね。じゃ、三人共コクピットに乗ってね。あ、ソーちゃんは乗り方を教えるから。クーちゃん、ちょっと手伝って」
「分りました、束さま」
その後、何事も無く作業は終了し、三人は秘密裏に前世での相棒との再会を果たすと同時に、それ等を自分の専用機として手に入れたのだった。
これが後に、世界中に『第603技術試験隊』の名を轟かせる最初の切っ掛けになろうとは、誰も予想すらしていなかった。
まだ実際に動くのは先ですが、それでも…出せました!
でも…まだだ! まだ出してないキャラや機体があるから、ここで満足はしませんよ!