インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
そして、同時にとある原作キャラ達との因縁も発生。
「それじゃあ、行ってくるよ! お土産、楽しみにしててくれよな!」
「気を付けて行ってこいよ~」
「過度な期待はしてないわよ~」
一夏がドイツにモンドグロッソを見に行く日。
彼を見送る為に鈴や弾、それからソンネン達は彼を見送る為に空港まで来ていた。
「拾い食いなんてするなよ~」
「ソンネンは俺をどんな風に見てるんだ?」
「道に迷ったりしたら、すぐに誰かに聞くんだぞ」
「デュバルは俺のお母さんか?」
「もうそろそろ時間じゃないか?」
「ヴェルナーに至っては、何にもなしか……」
搭乗口に向かって手を振りながら歩いていく一夏を見届けてから、彼女達は解散するこに。
本来ならば、ここで大人しくそれぞれに家へと帰宅するのだが、ソンネン達だけは違った。
「それじゃ、とっとと帰りましょうか」
「え~? どうせなら、このままどっかに遊びに行こうぜ~?」
「それはそれで面白そうだが……」
「悪いな。これからオレ達はちっとばっかし用事があるんだわ」
「だから、遊びに行くのはまた今度な」
「ちぇ……分かったよ」
空港を出た後に帰路についた二人を確認してから、ヴェルナーが後ろに向かって声を掛ける。
「待たせたな。もういいぜ」
「いや~、若いっていいね~。柄にもなく、束さんも学生時代を思い出しちゃったよ~」
背後から現れたのは、ジュースを飲みながら待っていた束だった。
一応の変装のつもりなのか、サングラスを付けているのだが、服装が全く変わっていないので、却って目立ちまくっていた。
「……ずっとその格好で待ってたのか?」
「そうだけど?」
「……空港警察に話しかけられなかったのが奇跡だな」
毎度御馴染みの束の奇行に呆れつつ、三人はすぐに気持ちを切り替える。
「準備は?」
「万端。いつでも行けるよ」
「「「上等!」」」
三人は、束に案内されるがままに着いていき、空港の外れにある場所まで進んでいった。
そこには、三人が乗れるぐらいの大きさのニンジンロケットがあった。
「私は研究室からサポートするよ。本当は私も現地に着いていきたいけど、足手纏いになりそうだし」
「それがいいだろう。貴女に荒事は似合わないし、させたくもない」
「ここはオレ達に任せておいてくれ」
「ここまでの準備は全部アンタがしてくれた。今度はオレ達の番だ」
とても、中学生の少女とは思えない程に頼もしい三人に、申し訳なさを感じつつも、それに甘えるしかない自分が情けなくもあった。
「……お願いね」
「「「あぁ!」」」
突き出した拳をコツンと合わせる。
「それと、これは重要だから言っておくね。このロケットは使い捨ての片道切符。燃料は行きの分しか入ってない」
「じゃあ、帰りはどうすればいいんだ?」
「私が直接迎えに行くよ。その方が確実だと思うから」
「分かったぜ」
「恐らく、連中もすぐに動き出す事はしないと思う。多分だけど、行動を開始するのは決勝戦になってからだろうね」
「決勝戦ともなれば、大会も千冬さん自身も相当に忙しくなるはず。その隙を狙うつもりか」
「それだけじゃないな。向こうで連中も最終準備をする可能性がある。あいつらはプロだ。ギリギリまで動き出しはしないだろう」
「オレ達が行動開始するのも、そのタイミングか」
束がロケットのハッチを開けると、そこには簡易的なベッドや数日分の食糧などが入っていた。
「これは?」
「私のロケットでも、一日じゃドイツには着けない。だから、三人分の食料と寝具を用意しておいたんだ」
「ナイスな判断だ」
「もしかしたら、先回りが出来るかもな」
「かといって、あいつに会うようなことは避けないとな。表向き、オレ達は日本にいることになってるんだからな」
「それぐらいは承知してるっての」
ロケットの中へと乗り込もうと進み、車椅子のソンネンが最初に乗ってから、次にデュバル。最後にヴェルナーが搭乗した。
「三人共……気を付けてね」
「あぁ……」
「そっちも頼んだぜ」
「行ってくる」
ハッチが閉まり、光学迷彩とステルス機能が発動し、ロケットは誰の目にも見えなくなると同時に、レーダーなどにも全く映らなくなる。
これで、彼女達が半ばドイツへ不法入国のような形になっても、取り敢えずは誰にもバレないで済む。
ロケットが火を噴き、あっという間に空の彼方へと消えていく。
その光景を見届けながら、束は彼女達の無事を祈るように手を合わせていた。
「お願いね……」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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ドイツ 市街内道路 亡国機業専用車 車内
「作戦は分ってるわね」
「あったりまえだぜ」
「言うまでもない」
黒塗りのリムジンの中で、三人の女性が話し合っていた。
一人は金髪の美女、もう一人も金髪だが、雰囲気が違う。
まるで、獰猛な獣を思わせる空気を出している。
最後の一人は、眼帯を着けた銀髪の美少女。
「まず、オータムは会場周辺にてIS部隊を率いて警戒態勢。会場にはドイツ軍のISの部隊が警備をしていると情報にあるから」
「任せとけ。どんな奴が来ても、あたしが全員蹴散らしてやるからよ」
「それは頼もしいけど、油断は禁物よ。少し前に隊長に就任した人物は相当な切れ者な上に、かなりの実力者らしいから」
「へぇ~…それはそれで楽しみじゃねぇか……!」
作戦の成功よりも、強敵との戦いを想像して、オータムと呼ばれた女性は怪しく舌なめずりをした。
「大佐は会場に侵入をしてから、ターゲットの確保をお願い。こういうのは人数を多くしても逆に邪魔になるし、貴女もその方がやり易いでしょう?」
「まぁな。幾らブリュンヒルデの弟とはいえ、本人は何の訓練も受けていない素人のガキ。接近さえできれば、後は簡単だ」
大佐……フェデリコ・ツァリアーノは、窓の外の流れ行く景色を眺めながら、詰まらなそうに呟いた。
「スコールはどうするんだ?」
「私は、念の為の会場の中を部下達と一緒に見廻るわ。ドイツ軍の人間がいれば排除しなくちゃいけないし、例の彼の周囲にも警備担当の人間がいる可能性が高いしね」
「了解だ。サポートは任せる」
フェデリコは懐から煙草を取り出してから、火を着ける。
「また煙草なんか吸って。健康に悪いって何度も言ってるでしょう?」
「お前もそれを言うのかよ……」
「貴方の為を思って言ってるの。大人になって後悔しても遅いのよ?」
「へいへい……分りましたよ」
渋々、火を着けたばかりの煙草をドアについている灰皿へと押し付ける。
(中身は立派な成人男性なんだけどな……)
心の中でそう呟きながら、自分の腕に付けてある自分の『専用機』の待機形態を見つめていた。
・・・・・
・・・・
・・・
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ISの世界大会『モンドグロッソ』
この大会は、基本的に数日間の間で執り行われる。
選手のコンディションや機体の整備、他にも各種部門の優秀選手を決定するための試合なども行われるため、必然的に大会自体が長くなってしまうのだ。
といっても、まだ第二回なので、これから先で色々と改善されていく可能性は非常に高い。
まだまだ、大会自体が実験的で手探りの状態なのだ。
スタッフも選手も、色々と課題は多い。
「……って、それでもこんなにもデカい大会なのかよ」
「これでまだ手探りって……」
「ISが、良くも悪くも世界の中心になっている証拠だよな」
ロケットの中で、束が食料など以外にも用意してくれた情報端末で、モンドグロッソの事を調べながら、簡易食料を食べている三人。
「明日の昼頃にはドイツに着くだろう」
「飛行機でも直行で12時間らしいしな。日本を出たのが昼頃だから……」
「向こうに着くのも昼頃か」
窓から見える星空を眺めながら、三人はふと物思いに耽った。
宇宙で育ち、宇宙で生きた三人には夜空の星空は懐かしい気持ちにさせる。
「前までは、あの空の向こうに住んでたんだよな……」
「そう思うと……」
「なんだか、感慨深いよな……」
昔を思い出しながら、少女達は眠りにつく。
明日から始まる、友人に向けられた悪意ある刃を打ち砕くために。
今回は短め。
次回から本格始動。