インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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なんか消化不良だったので、連続投稿です。

それから、ほんの少しだけ男の娘派よりもTS女子派がまたまたリードしました。

最終的に、一体どっちに軍配が上がるのでしょうか?








3対3

 モンドグロッソ大会会場。

 世界中から所狭しと数多くの人々が集まり、数年に一回の祭典を見に来ていた。

 ある者は家族と、またある者は恋人と。もしかしたら友達同士で来ている者もいるかもしれないし、中には個人で来ている者もいるだろう。

 様々なコミュニティがここに集まっているが、その目的はただ一つ。

 間近で迫力あるISの試合を見てみたい。この一言に尽きる。

 

 だが、彼らは知らない。

 この大会の裏で密かに行われようとしている企みを。

 そして、それを阻止する為に海を渡ってやって来た三人の少女達がいることを。

 

 今、遠きドイツの地にて、歴史の裏で生きてきた少女達と、世界の裏で暗躍する亡霊達との最初の死闘が始まろうとしていた。

 これが、本当の意味での『全ての序章』である。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

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・・

 

 

 

 

 会場 大型アリーナ西ブロック

 様々な国の、様々な人種の人々で賑わう場所にて、少し違和感のある少女が存在していた。

 銀色の髪に病的なまでに真っ白な肌。

 その不健康そうな見た目に反して、なんとも健康的な体つき。

 出るところは出て、括れているところは括れている。

 少女自身も、自分が周囲の男達から性的な意味での視線で見られている自覚はあるようで、とても嫌そうな顔をしていた。

 

「いつの世も、どんな世界でも、男ってのはやっぱりバカだよなぁ~……」

 

 流石に喫煙所ではないので煙草は吸わないが、その代わりに棒付きの飴を口に加えて寂しさを紛らわしていた。

 タータンチェックのシャツにグレーのミニスカート。

 黒いニーソックスと、男の視線を釘付けにする材料は揃っている。

 更に、左目につけている眼帯が、また不思議な魅力を醸し出していた。

 

「さて……奴さんは……」

 

 少女が視線を動かすと、その先には興奮した様子で試合を観戦している一人の少年の姿が。

 

「今の内に好きなだけ燥いでてな。今に、死にたくなるような悔しさに身を捩るんだからよ」

 

 不敵に笑う彼女の近くに、これまた見目麗しい一人の少女がやって来た。

 首元で綺麗に揃った黒髪は黒曜石のように輝き、その目はどこまでも真っ直ぐだ。

 青い着物に紺色の帯といった和風な格好は、見ただけで少女が日本から来た人間であると理解出来る。

 だが、脚にはスニーカーを履き、上には赤い革のジャケットを掛けているという、傍で見ると非常にアンバランスな格好なのだが、その和洋折衷な姿がまた不思議な調和を生み出して、彼女の魅力を更に引き出していた。

 彼女が車椅子に座っていることを見た観客たちは、少女の事を思って道を開けてくれる。

 それに対し、少女は笑顔で会釈をして礼をする。

 

「「…………」」

 

 隣り合う二人の少女。

 お互いに一言も言葉を発さずに、目の前だけを見続けている。

 

「さっきの試合はどうだった?」

 

 和服の少女が話し出す。

 

「見てないのかい?」

 

 眼帯の少女が逸れに応える。

 

「ついさっき来たばかりでね」

「そうか。それは惜しい事をしたな」

「そうみたいだな。この盛り上がりを見ればわかる」

「実際に凄かったぜ。ISの試合なんてオレも始めて見たが、中々の迫力だった」

「優勝は誰になると思う?」

「やっぱ、前大会優勝者なんじゃねぇのか?」

「どうして?」

「奴の実力は桁違いだ。明らかに他とは一線を画している」

「それは凄いな」

「全くだ。あんなのを近くで見せられても、全く戦意が削がれてない他の選手も凄いと思うけどな」

「伊達に国の代表じゃないって事だろ」

「違いねぇ」

「「ははははは……」」

 

 まるで、長年連れ添った友人同士のように話が盛り上がる二人の少女。

 とてもじゃないが初対面とは思えない。

 

「「…………」」

 

 再び場が沈黙に包まれる。

 周りの喧騒の中、ここだけが別世界になったかのように。

 

「…予想はしていた」

「なに?」

「あの時、あんな風にくたばったオレがこうなっているのだから、同じように『お前』にも同じ『現象』が起きていても不思議じゃないってな」

「オレも、可能性だけなら考えていた。実際に会っても分らないだろうと考えていた。けど、そんな事は無かったみたいで、逆に安心したよ」

 

 ここで初めて、二人の少女は向き合ってから視線を交える。

 

「どれだけ年月が経っても」

「どれだけ姿形が変わっても」

「「装甲越しでもハッキリと分かる、お前の殺気だけは絶対に忘れない」」

 

 猛獣のような顔をし、お互いを睨み付ける。

 そこにはもう年端もいかない二人の少女は存在せず、戦場を駆ける二人の戦士だけがいた。

 

「お前が何の用でここにいるのかは知らねぇが、こうして会った以上は見逃すわけにはいかないな」

「それはこっちのセリフだ。テメェの狙いは大凡の見当がついてるが、それとは別にテメェだけは絶対に逃がさねぇ」

 

 その場から移動し、相手から決して目を離さないようにしながら違う場所へと移動しようとする。

 徐々に観客席から離れていき、人気の少ない場所までやって来た。

 

「こっちに来な」

「どこに行くつもりだ?」

「邪魔が入らねぇ場所だよ。本当はちゃんと『お仕事』をしないといけねぇが、その前のウォーミングアップと洒落込んでやるぜ」

「言ってろ」

 

 そうして案内されたのは、会場近くにある廃工場。

 捨てられてから、まだ数年しか経過していないのか、まだまだ真新しい部分が残っている。

 

(本当なら、ここは例のガキを誘拐してから隔離しておく場所だが、まぁ問題ないだろう。ここから会場まではそんなにも距離は無いし、まだ決勝までは時間がある。それまでに、この野郎を仕留めればいいだけの話だ)

 

 眼帯の少女…『フェデリコ・ツァリアーノ』は頭の中で計算をして、これからどうするかを考える。

 一方の着物の少女…『デメジエール・ソンネン』もまた、色々と考えていた。

 

(まさか、この野郎がオレ達と同様に生まれ変わっていたとはな。しかも、こいつの目的は一夏のようだった。って事は、必然的に野郎は亡国機業の一員だってことになる。ったく…冗談じゃねぇぞ……)

 

 離れた場所に位置し、いつでも動けるような体勢になる。

 ソンネンにはフェデリコしか見えておらず、フェデリコにはソンネンしか見えていない。

 

「天下の連邦軍の士官様が、よもやテロリストの仲間入りとはな」

「そっちこそ。そんな車椅子に乗った状態で、本当にオレに勝つつもりか?」

「へっ! お前程度にはいいハンデだぜ。御託並べてねぇで、とっとと掛かってきやがれ。この盗人野郎が」

「オレは相手がどんな状態だろうと、容赦せずにぶっ殺す。お前だって例外じゃねぇぞ。戦車野郎」

 

 割れた窓から日差しが差し込み、そこから一枚の葉が迷い込む。

 それがゆっくりと地面へと落ちた……その時!

 

「ヒルドルブ!!!」

「リヴァイヴⅡ!!!」

 

 ソンネンの車椅子が光り輝き、一瞬で彼女の専用機である『ヒルドルブ』へと姿を変える。

 フェデリコの腕輪も光ってから、青白い粒子をまき散らしながら彼女の体に装甲を纏わせた。

 

「ははははは! やっぱり持ってやがったな! その機体を!!」

「お前…そいつは!?」

「おっと。流石はジオン軍士官様だな。すぐに気が付きやがったか」

 

 フェデリコの専用機『ラファール・リヴァイヴⅡ』には、嘗てジオン軍が開発した往年の名機『ザクⅡ』を彷彿とさせるL型のシールドとスパイクアーマーが装着してあった。

 

「最初にこいつを見た時はオレも本気で驚いたがな、今となっちゃ大して気にしてねぇ。それに、お前を殺すのに、これ以上に相応しいISが他にあるか?」

「貴様ッ!!!」

 

 キャタピラを高速で回転させて、一気に懐に潜り込もうとするソンネンに対し、同じようにブースターを吹かして接近するフェデリコ。

 ヒルドルブのモノアイが光り、フェデリコの顔が狂気に歪む。

 

「「テメェなんざ!! 一発あれば十分なんだよ!!!!!」」

 

 前世から続く因縁が、再び激突する。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「今の所、特にこれといった問題は発生してないみたいね」

 

 人気が疎らな廊下を、赤いスーツを着た一人の美女が歩いていく。

 モデルも顔負けのスタイルと顔立ちで、100人が100人全員が彼女の事を『美人』と称すだろう。

 

「あら? この反応は……」

 

 ふと、自分のスマホに視線をやると、そこには会場から離れて行く一つの光点が。

 

「あの子……もうすぐ作戦開始だって時に、何をやってるのよ……」

 

 仲間になった時から全く心の中が読めない少女ではあったが、ここまで自由だと流石に困る。

 兵士として非常に優秀なのが、せめてもの救いか。

 

「まぁ…時間までに戻ってくれば文句は無いんだけどね」

 

 呆れたように呟きながら、美女はスマホを自分の鞄の中へと戻す。

 すると、そこへ一人の少女が向こう側からやって来た。

 

(あら……私好みの美少女)

 

 白いブラウスに青いロングスカート。

 美しい金髪をポニーテールに纏め、頭頂部からは存在を主張するかのように一本だけ髪が立っている。

 

「こんにちは」

「こんにちは」

 

 通り過ぎる際に会釈をしてから歩き去る。

 どこにでもある日常的な光景だ。このまま終われば。

 

(こんな時じゃなければ、あんな坊やよりも彼女の方を迷わず連れ去りたいわね)

 

 少女は急に立ち止まり、後ろを向いたまま微笑を浮かべる。

 

左肩が下がっていますね(・・・・・・・・・・・)

「……なんですって?」

 

 言われた意味が分らず、美女の方も思わず立ち止まって振り向いた。

 

「普通、貴女のようなキャリアウーマンがショルダーホルスターで(・・・・・・・・・・・)()なんか持ちはしませんよ(・・・・・・・・・・・)

「……………」

「精々がナイフかスタンガン。マフィアなどでも腹かポーチにのんでいるものですよ(・・・・・・・・・・)。それに……」

「それに?」

「服装だけを幾ら真似ても、矢張りプロ(・・)は一般人には見えないですね」

 

 そこまで言われてから、美女…スコール・ミューゼルは疲れたように大きな溜息を吐いた。

 

「……勉強不足だったかしらね」

「かもしれませんね」

 

 改めてスコールは目の前の少女を観察する。

 見た目だけならば息を飲むレベルの美少女だが、その小さな体から出ている雰囲気は間違いなく一般人のソレではない。

 スコールは彼女から出ている気配をよく知っている。

 

「あなた……何者?」

「ただの女子中学生ですよ。危険が迫っている友人を救いたいと思っている…ね」

「そう…それじゃあ……」

 

 スコールの体が黄金に光り、一瞬で彼女の体にISスーツとISが纏われる。

 その輝きに、思わず腕で顔を庇い、目を細める。

 

「残念だけど、ここで始末するしかないわね」

「黄金の…IS……?」

 

 それは、ゴールドに染められたラファール・リヴァイヴだった。

 見ているだけで胸焼けしそうな機体で、実際に少女…デュバルはげんなりとしている。

 

「あら。単純に色を変えただけとは思ない方がいいわよ。見た目はリヴァイヴでも、中身は私用にカスタムした全く別の機体と言っても過言じゃないわ。さぁ…どうする?」

「決まっている!!」

 

 首から下げている羽根飾りを掴み、自身の分身である愛機を呼ぶ。

 嘗てはその存在を証明する為に、今は大切な友を悪意ある存在から守る為に。

 ジャン・リュック・デュバルは立ち上がる。

 

「来い!!!」

 

 青く輝く光の中で、デュバルは自らの信念の象徴を纏う。

 その蒼き鋼が、今…顕現する。

 

全身装甲(フルスキン)……一つ目(モノアイ)……!」

「では、付き合って貰おうか」

「あらいいの? 私だけに構ってて」

「なに?」

「部下がいるとは思わないの?」

「部下とは……」

 

 ヅダのモノアイが動き、スコールの後ろを向く。

 それに釣られてスコールも振り向くと、そこには気絶をして倒れている大勢の部下達がいた。

 

「なっ……!?」

「彼らの事ですか?」

「いつの間に……! 彼らがこうも簡単に……」

「いいんですか? 私だけに構っていて」

「くっ……! 調子に乗らない事ね! 御嬢さん!!」

「その言葉、そのまま返させて貰おう!!」

 

 外側に接している窓ガラスを割るようにしてから外に出ながら、両者はライフルを構える。

 

「作戦は遂行する! 例え何があっても!!」

「そうはさせるか!!」

 

 蒼と金。

 二色の機体が今、大空を舞う。

 守る為に。奪う為に。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 ドイツの遥か上空。成層圏ギリギリの位置で、ヴェルナーはゼーゴックを展開した状態で待機をしていた。

 その顔には、顔バレを防ぐ為のモノアイ型のバイザーが装着されている。

 

「……二人は動き出したようだな」

『うん。そろそろナーちゃんも行動開始だよ』

「おう。にしても……」

『どうしたの?』

「いやな。随分と敵さんは贅沢だなと思ってな」

 

 ナビゲーターである束と会話しながら、ヴェルナーは時を待つ。

 その目はジッと、青く綺麗な空だけを見ている。

 

『そうだね。警戒に出している全てのISに光学迷彩とジャマーを装備。腹立つぐらいに金を持ってるよね。これだからテロリストは……』

「言うなって。虚しくなるだけだから」

『そうだね』

 

 念の為に、装備と機体の最終確認を行う。

 現在、装備しているのは高出力拡散ビーム砲【クーベルメ】だ。

 

「拡張領域内に【R-1(アール・アイン)】と【マルチ・ミサイル・バス】が入ってるんだったよな」

『原型機とは違って、ナーちゃんの技量次第じゃ戦場での空中換装も可能だよ』

「そこはまぁ……頑張るしかねぇわな」

『……時間だよ』

「カウント頼む」

『了解。9…8…7…』

 

 ゼーゴック全体を縦にして、突入準備をする。

 目標を設定し、いつでも行けるようにブースターに火を灯す。

 

『3…2…1…!』

 

 カッ! っと目を大きく見開き、最大出力で鋼鉄の潜航者が出撃する!

 

「エントリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!!」

 

 一筋の流星となって、ゼーゴックは標的に向かって突入する。

 その凄まじい速度は、並のISなんて比較にすらならない。

 シールドバリアーで守られているとはいえ、空気の摩擦で機体は赤く燃えあがる。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 衝撃で震える体を必死に支え、目だけはしっかりと開けたまま。

 目の前に表示されている高度を逐一、確認しながらヴェルナーは真っ直ぐに戦場へと急ぐ。

 

 そんな事など全く知らない、オータム率いるIS部隊はハイパーセンサーを全開にしながら、会場周辺の空域にてドイツ軍へ対して警戒をしていた。

 

「今の所は大人しいもんだな……」

「このままなら楽勝ですね!」

「油断してんじゃねぇ……ん?」

 

 突如、オータムの機体が警戒警報を出した。

 センサーは上空に反応アリと示している。

 

「上空だと? あたしらの上にあるのは、それこそ宇宙しか……なぁっ!?」

 

 冗談だと思った。嘘だと思った。

 だが、それは紛れもない現実。

 一体誰が、成層圏から強襲が来ると想像するだろうか。

 

「狙いは明らかにあたし達……! どんなバカだよ!! クソッタレが!!」

「あ~ひゃはははははははははははははははははははっ!!!」

「なんなんだこいつはっ!?」

「邪魔な『外来魚』を狩りに来た『漁師』だ!!」

 

 突然過ぎる接敵に混乱しつつ、なんとか体勢を整えようとする。

 これが、ヴェルナー生涯のライバルとなるオータムとの最初の戦いになるのだが、また二人はその事を知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ソンネンVSフェデリコ

デュバルVSスコール

ヴェルナーVSオータム

ヒロインとは真逆のライバルキャラたちの登場です。

となると、マドカのライバルとなるのは……?
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