インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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前回の流れから、今回は戦闘シーンオンリーになると思った?

残念! 今回は皆が待ちに待った『大佐』視点のお話だよ!

さぁて、彼はどんな美少女になっているのかな?







英雄達の帰還

 モンドグロッソ大会会場の付近に併設された、ドイツ軍の簡易駐留所。

 警備の為に出向しているドイツ軍の兵士達が待機をしている場所だ。

 歩兵は足を使っての周辺警戒をし、ISを使用する特殊部隊は空中などからの見張りをしている。

 そんな連中が集まっている場所に、一際目立つ大きなテントがあった。

 それは、テントと言うよりは、もうある種の施設に近かった。

 その中で、一人の少女が椅子に座り、優雅にコーヒーを飲んでいる。

 

「どうやら、大会は順調に進行しているようだな」

「そうですね。これなら、私達は態々出張ってくる必要も無かったかもしれません」

「ハルフォーフ大尉。油断は禁物だと何度も教えた筈だが?」

「はっ! 申し訳ありませんでした! 隊長!」

「今が順調だからと言って、一秒後も同じとは限らない。故に、我々はどんな時も、何をしている時も決して油断などしてはいけないのだ」

「「「「ハッ!」」」」

 

 少女の言葉にテント内にいる全員が敬礼をする。

 『隊長』と呼ばれた少女は、とてもじゃないが軍人とは思えない程に可憐で可愛らしく、美しかった。

 少々くせっ毛が強いブロンドの髪をポニーテールに纏め、頭頂部からはその存在を主張するかの如く、大きな一本のアホ毛が歪曲しながら屹立している。

 それ以上に、少女の容姿がとても幼かった。

 どう見ても10歳ぐらいの幼女にしか見えず、日本人ならばその背にランドセルを背負っている姿を想像してもおかしくない。

 だが、それでも彼女は立派なドイツ軍人であると同時に、見た目相応の年齢ではない。

 ちゃんと順当に歳を重ねた結果が、今の姿なのだ。

 

「しかし、こうも暇だと流石に手持無沙汰感は否めんな……」

 

 近くにある机に肘をつき、溜息交じりで小窓から空を見上げる。

 それを見て、副隊長である『クラリッサ・ハルフォーフ』は思わず鼻を押さえる。

 

(儚げに黄昏る隊長が可愛過ぎる……♡)

 

 必死に気合で抑え込んでいなければ、間違いなくすぐにでも鼻から『愛』が噴き出ていただろう。

 その『愛』が何なのかは、読者の諸君の想像にお任せする。

 

「ボーデヴィッヒ少尉。何か面白い話でも無いか?」

「わ…私ですか?」

「そうだ。何か無いか?」

「何かと言われましても……」

 

 隊員達の中でも、隊長を除けば最も幼い容姿をしている少女『ラウラ・ボーデヴィッヒ』は、いきなりの無茶振りに困惑してしまう。

 生まれてからずっと軍の中で育ってきた彼女に、面白い話を振るのは余りにも酷と言うものだろう。

 

「ボーデヴィッヒ少尉」

「は…はい!」

「いきなり変な話を振った私も悪いが、だからと言って何もネタが無いのはどうかと思うぞ。軍だけに限らず、人の世とは何処も彼処もが集団生活の場だ。集団生活をする上で最も大切なものは何か。それは『コミュニケーション』だ。人と人との関係を円滑にする上で、これ以上に大事なことは無い。だろう? 副隊長」

「はっ! その通りであります! ですから、隊長も私と身体を使ったコミュニケーションを……」

「断る。貴官はほんの少しでも隙を見せたら、すぐに私が寝ているベッドの中へと侵入してこようとするではないか」

「それは隊長が可愛いからです!!」

「お前という奴は……」

 

 痛そうに頭を押さえる。

 クラリッサは容姿も端麗で、軍人としては非常に優秀なのだが、この性格が全てを台無しにしている。

 

「あ~…ボーデヴィッヒ少尉だけは、こんな風にはなるなよ?」

「りょ…了解です」

 

 なんて言いつつも、実は密かに他の隊員達からの影響で隊長に対して萌え始めているラウラであった。

 

 そんな和やかな空気が、レーダー監視をしていた隊員の報告にて一変する。

 

「た…隊長! 大変です!」

「どうした?」

「D地区周辺を警戒していた者から緊急報告! 会場周辺にて正体不明のIS同士の交戦が確認されたとのことです!」

「なんだとっ!?」

 

 一気に場の空気が緊迫する。

 先程までの少女達は完全にいなくなり、ここには規律を重んじながらも人命を守る為に立ち上がる軍人達が現れる。

 

「他にも、F地区と会場から50メートルほど離れた場所になる廃工場でも交戦が確認されたとのこと!」

「三か所同時にだと……? 軍曹、モニターに出せるか?」

「出せます!」

「頼む」

「了解!」

 

 指示された隊員は、素早く機器を操作して全員に見えるように、複数の投影型モニターを出す。

 

「どれも少し遠いな……」

「こっちは、見た限りだと青いISと黄金のISが戦っていますね」

「こちらは……蜘蛛のような姿をしたIS…まさか、アメリカから強奪されたと報告があった第二世代型ISの『アラクネ』っ!? それと戦ってるのは…なに?」

「廃工場の方はもっと見えない。けど、なんだ……? 窓から僅かに見えるキャタピラのような足跡は……まさか、中に小型戦車でもいるというのか?」

 

 三つのモニターをそれぞれ見て、少女は大きく目を見開いた。

 

「あれらの機体は……まさか……!」

「隊長? どうしました?」

 

 明らかに様子がおかしい少女に、クラリッサが本気で心配をする。

 だが、そんな事などお構いなしで、少女は部下に命令を出す。

 

「軍曹! 最大望遠で拡大できるかっ!?」

「やってみます!」

「頼む!」

 

 一気に映像が拡大、分析され、より詳細に画面の向こうで乱舞する機体達が映る。

 それを見た瞬間、少女の心臓が大きく鼓動し始めた。

 

「こ…これは……そう…なのか……っ!?」

「隊…長……?」

 

 顔に汗を掻きながら、少女は震える体を押さえながらモニターを凝視する。

 

(あの青い全身装甲の機体は間違いない……! ヅダの一番機……! あれを駆り、あの自由自在なマニューバが出来るのは、私が知る限りではこの世に一人しかいない……!)

 

 二つ目のモニターを見て、涙が溢れそうになる。

 

(試作モビルタンク『ヒルドルブ』……。地上最強の戦車であり、その高い性能は正しく『陸の王者』と呼ばれても不思議じゃない。それを、あんな狭い空間で己が手足の如く扱える者など、『彼』以外に有り得ないだろう……)

 

 三つ目のモニターで、遂に顔を伏せた。

 

(モビルダイバーシステム搭載機『ゼーゴック』……。制御ユニットとなっている機体は違えど、その下部に装備されているのは間違いなく『LWC』だ。あんな癖しかない機体に好き好んで乗り込む人間なんて、『彼』以外にいないじゃないか……)

 

 彼女は、モニターの向こうで戦っている者達を知っている。

 前世において、プライベートでよく会っていたから。

 情熱を失いながらも、ジッと燻り続けた『彼』を心から心配した。

 『彼』のヅダに掛ける信念は何よりも美しく尊い事を知った時、本気で尊敬した。

 海を愛し、海に愛された『彼』の真っ直ぐな目に、とても大事な事を学んだ気がした。

 

「そうだよな……」

「隊長?」

私達(・・)がこうしてここに立っているのだ……。ジオン軍の誇り高き英傑達である貴官等が同じように『ここ』にいても不思議じゃないじゃないか……」

 

 嬉しかった。喜ばしかった。

 年甲斐も無く、見栄も恥も外聞をかなぐり捨てて泣いた。

 

「あぁ……黄泉の国から……戦士たちが帰ってきてくれた……」

 

 こんなにも素晴らしい日が他にあるだろうか。

 同じ世界に生まれ、同じ国の為に戦い、同じ艦に乗り、同じ戦争で散った。

 だが、幾星霜の時を超えても、この絆だけは絶対に壊れはしない。

 我らは『同志』であり、『兄弟』であり、『家族』なのだから。

 

 涙を袖で拭ってから、改めてモニターを観察する。

 

「あの交戦している相手は……もしや、指名手配となっている亡国機業のエージェントであるスコール・ミューゼルか?」

「そう言われてみれば確かに……」

「あんな派手なISに乗る女なんぞ、少なくとも私は他に知らん」

 

 気を取り直す為に、少し冷えかけているコーヒーを一気飲みする。

 

「では、こっちのアラクネは?」

「それは恐らく、スコールの相棒であるオータムである可能性が高い。アラクネ強奪事件の実行犯が奴だからな。そのまま自分の専用機としたのやもしれん」

「かも知れませんね。では、廃工場で戦っているのは誰でしょうか? 反応からはラファール系列の機体であることは確実なのですが……」

「それだけでは人物の特定は出来んな。というか他の二人が特徴的過ぎるんだ」

 

 オータムとスコールは、裏の世界では相当に名が知れた二人組である。

 世界的に指名手配されていて、IS操縦者としてもエージェントとしても一流の腕を持っているとされている。

 

(だが、それでも連中が『彼等』に勝てるとは思わんがな。奴らは戦争を知らない。本物の戦場を知らない。希望と絶望の狭間を知らない。どれだけ実力が高くても、それだけでは戦いには勝てない)

 

 大きく深呼吸をして自分を落ち着かせ、今やるべき事を考える。

 否、するべき事など最初から決まっていた。

 後は、それを実行するだけだ。

 

「総員! 直ちに出撃準備に入れ!!」

「それはよろしいのですが隊長、どうされるおつもりなのですか?」

「決まっている。大事な大会で暴れまわっている国際的テロリストを確保しにいくのだ」

「もう片方の勢力はよろしいので?」

「何を言っている。あれは我々の味方だ」

「は?」

「あの青いISと戦車のようなISと急降下してきたISには一切手出しを禁ずる!! いいなっ!!」

「「「「了解!!」」」」

 

 手袋を填めた自分の左手(・・・・・・・・・・・)をギシギシと鳴らしながら、少女は戦士の顔で笑った。

 

「愚かな亡霊風情が……。我等ジオン軍人が本気になればどうなるのか…その身でたっぷりと味わうがいい……!」

 

 バッ! っと自分が来ている軍服を脱ぎ捨て、中に着ていたグレーのISスーツに格好を変える。

 慎ましやかな胸の部分には、彼女のパーソナルマークである『赤い襟の一本角の髑髏』が描かれている。

 

「軍曹! 他の警戒任務に当たっている連中に伝令! IS部隊だけ我らと合流し歩兵部隊は引き続き警戒任務に当たれ!」

「了解です!」

「隊長の『シュヴァルツェア・レーゲン』を初めとした、各機体の出撃準備が整いました!」

「よし!」

 

 彼女と同じように、いつの間にかISスーツに着替えた部下達が並び、隊長である少女の命令を待つ。

 

「クラリッサは四人ほど連れてアラクネがいる方へと向かえ」

「了解!」

「私達は青いISと金のISが交戦している場所へと急行する! ボーデヴィッヒ少尉!」

「は…はい!」

「貴官は私と一緒に来い」

「りょ…了解であります!」

 

 やや緊張気味のラウラの肩に優しく手を当てて、少女はそっと耳元で呟く。

 

「本当の戦士の戦いというものを見せてやる。楽しみにしていろ」

「戦士の…戦い……」

 

 言葉を反芻するラウラを尻目に、少女はテントを出てから、簡易IS格納庫がある場所へと向かう。

 

「隊長!」

「大丈夫か?」

「はい! 問題ありません! いつでも出撃可能です!」

「いい仕事だ。では…シュヴァルツェ・ハーゼ隊! 出撃するぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「了解です! ヘルベルト・フォン・カスペン大佐!!」」」」

 

 

 

 

 




やっと…大佐を出せました……。

カスペン大佐のTSしたモデルは、『幼女戦記』の主人公であるターニャちゃんです。

理由? ミドルネームが同じ『フォン」だから。
確か、ドイツの人って『フォン』というミドルネームが多いと聞いたことがあります。

原作のカスペン大佐も、ドイツ系の人なんでしょうかね?

カスペン大佐は中学生編の後に予定している『ドイツ編(仮)』で主人公をして貰う予定です。

それから、大佐殿はTS転生をした後でも三人より年上です。
見た目は完全な美幼女だけど。


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