インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
給料が入ったので、それで5000円分ぐらい一気に関連商品を買ってから改造をしたんですけど、予想以上にカッコよくなりました。
マジで原型が無くなりました。
まさか、これ程だったとは……本気で驚きです。
それと、前々回に書き忘れていましたが、ヴェルナーが着ているISスーツは劇中でも出てくる学園指定のスク水みたいなデザインのやつです。
きっと、彼女には非常に似合っているでしょう。
周囲を警戒中に突如として遥か空の彼方にある成層圏から強襲を仕掛けてきたヴェルナー。
この世界では誰も想像すらしない、考えようとも思わない前代未聞の場所からの敵機の襲来に、エージェントとしてもIS操縦者としても優秀なオータムですら一瞬だけ本気で頭の中が真っ白になった。
「はっ! お前ら!! 急いで迎撃態勢を取れ!!」
「「「「りょ…了解!」」」」
リヴァイヴを装備したオータムの部下達がそれぞれにライフルなどを装備して、真っ逆さまに突撃してくるゼーゴックに向かって標準を合わせる。
だが、それを見てヴェルナーはにやりと笑った。
「掛かりやがったな」
「なに……?」
5対1。数の上では圧倒的に不利だというのに、なんで彼女が笑っているのか分らなかった。
最初は単純に強がっているのとばかり思っていたが、数瞬の後にそれが大きな間違いであったことを身を持って知る事となる。
「なんだとっ!?」
「「「「えっ!?」」」」
あろうことか、ヴェルナーはそのままオータムたちの事をスルーして彼女の達の事を追い抜いたのだ。
「私達を無視した……?」
「こっちが狙いじゃなかったの?」
部下達が困惑する中、オータムは一人だけ猛烈に嫌な予感に襲われていた。
(なんだ…この違和感は……。あの余裕の笑みに意味不明な行動……奴の狙いは一体……)
オータム達から20メートルほど離れたところで、いきなりヴェルナーはその身を無理矢理に反転させ、上を向いた状態で降下し始める。
それと同時に、大量兵器輸送コンテナ【LWC】に装備された武装のハッチが展開された。
そこには、5門の砲口が見え、そこに光の粒子が急速に収束しているのが見えた。
「し…しまった!! あいつの狙いは!!」
「もう遅い!!」
ゼーゴックの装備している、高出力拡散ビーム砲【クーベルメ】が最大出力で発射される。
眩く光り輝く無数の光線は、一瞬で上空にいるオータムたちのいる場所まで届いた。
「特製の光の網だ!! とくと受け取りな!!」
「ヤロウ……! テメェら!! 死ぬ気で避けやがれ!!!」
必死にオータムが叫ぶが、命令を出すのが遅すぎた。
お世辞にもまだ完全にISを乗りこなしているとは言い難い部下達は、必死に回避しようと試みてはいたが、既にロックオンされている状態で彼女達がヴェルナーの攻撃を避けるのは不可能に近かった。
「よ…避けきれない!? キャァァァァァァァッ!?」
「光が……光が来るっ!?」
「ライフルがっ!? あぁぁぁああぁぁぁっ!?」
「SEが一瞬で全部削られたっ!? 機体が動かないっ!!」
ISの力を知っている者達からすれば、到底信じられない光景だった。
どれだけ相手の攻撃力が高いとはいえ、一瞬にして量産型のISを4機同時に撃墜された。
それは、相手の急所を的確に攻撃出来るほどの技量が無ければ絶対に不可能だ。
これが示す事を、オータムはすぐに理解した。
(そうだよな! あれだけアホな方法で攻撃を仕掛けてきてんだから、それだけの実力があるのは当たり前か! くそったれが!!)
オータム自身も自分のIS【アラクネ】を駆り、なんとか回避してはいるが、いかんせん、アラクネはその名の通り蜘蛛の足のようなサブアームが6本も存在しているため、通常のISよりも大型なせいで完全な回避とはいかずにいた。
「ち…っくしょう!! サブアームが!!」
まるで自分の意志を持っているかのように左右に動くビームに翻弄され、6本中3本のアームが破壊された。
完全に爆発する前にパージをしたから被害自体は軽微で済んでいるが、戦闘力の大幅な低下は免れなかった。
「へへ……大漁だぜ……!」
数秒の後にビームが止んで、ゼーゴックは急降下を止めて水平飛行をした後に、急旋回と急上昇をして、唯一残ったオータムの事を追撃しようとした。
「あいつらは……全員堕とされたか……ちっ!」
クーベルメの餌食となった部下達は、揃って地面に落下して気を失っているようだ。
ISを纏っていたから命だけは助かっているが、それでも後で回収をしなくてはいけないのは確かだった。
「余所見しててもいいのかい?」
「な……っ!? あれはっ!?」
移動中に装備を換装したのか、いつの間にかクーベルメは外されていて、その代わりに28連装ロケット弾ポッド4基【
「今度のはとっておきの『撒き餌』だ! たっぷりと受け取りな!!」
「舐めてんじゃねぇぞ!! このクソガキがっ!!」
大きな発射音と共に、数えるのも嫌になる程の量のロケット弾が自分目掛けて飛んでくる。
それは、まさにロケット弾の雨。
両手にマシンガン『ノーリンコカービン』を取り出してから迎撃しようとするが、余りにも数が多すぎた。
「クソッ! クソッ! クソがぁぁぁぁぁぁっ!!」
マシンガンの弾が命中し、空中で爆発する。
それが連鎖するように何度も何度も炸裂するが、それでも全部を破壊するには至らない。
破壊しきれなかったロケット弾が機体装甲に当たり、それを切っ掛けとして次々と命中し始め、SEが確実に削られていく。
「ち…くしょう……!」
本当は分かっていた。
この戦いは最初から自分達の負けである事は。
相手の強襲を許したばかりか、先制攻撃すらもさせてしまった。
その時点で、自分達の負ける確率は非常に高くなっていた。
それが100%になったのは、拡散ビーム砲が発射された時。
あの攻撃で部下達が全滅した瞬間に、本来ならば撤退をしなければいけなかった。
なのに、それをしなかったのは……。
「お前みたいなガキにやられっぱなしで戻るのだけは、絶対に嫌なんだよっ!!」
「ほぉ~…言うじゃないの」
ロケット弾の雨霰が止み、アラクネは見るも無残な姿へとなっている。
サブアームは全て破壊され、正体露見を予防して顔面に装着しているバイザーもボロボロになり、オータムの素顔が半分だけ見えていた。
(あいつ……体つきからして本当にガキみたいだな。あのISは、見た感じではスコールの機体と同じラファールの特殊改造機のようだが、あんな特異な機体は見たことも聞いたことが無い。一体、どこのどいつなんだ……!)
戦闘が始まって、ようやくほんの僅かだけ呼吸を整える時間が生まれ、その数秒の間に思考を巡らせる。
だが、それはすぐに己の中にある感情に塗り潰された。
「いや…んなの今は関係ないか。今、重要なのは……」
目の前を飛行しながら、次の攻撃をしようとしているヴェルナーに向けて銃口を向ける。
「あのガキをどうやってぶっ殺すかだ!!」
「ちぃっ!」
オータムの反撃。
2丁のマシンガンから放たれる弾丸がヴェルナーへ向かって飛んでくるが、その時、彼女の額に一瞬だけ閃光のようなものが走り、軽快な動きで見事に全弾回避してみせた。
「なんだ……今のは……!」
今、目の前で起きた事が正しく理解出来なかった。
冷や汗を掻きながらも、『それ』を確かめる為に、もう一回だけ攻撃を仕掛ける。
「オラオラオラオラオラァッ!!」
「そこかっ!」
今度も、ヴェルナーは高速飛行をしながら全ての弾を回避した。
それを見て、オータムは信じたくない事実を認識する。
(間違いない……! あのガキは
生半可な飛び道具ではヴェルナーに攻撃を当てることは絶対に不可能。
ならば、近接攻撃ならばどうか?
アラクネにはカタールも装備されているが、それをしようとすれば、すぐにヴェルナーは距離を取ってくるだろう。
つまり……。
(今の装備じゃ絶対に勝てないって事かよ…クソが!! 相手は大火力と高機動を兼ね備えた機体……接近戦を得意とするアラクネとの相性は最悪に近い! んなことは最初の攻撃を受けた時から分ってる……分ってるけどよ!)
決して、自分が最強だと自惚れたことは一度も無い。
負けた経験だって一度や二度じゃない。
それでも、ここまでの完全敗北を喫したのは初めてだった。
「……行きな」
「あぁ?」
「オレの目的はお前を殺す事じゃない。大切な『ダチ公』を守ることだ」
「ふざけやがって……! このあたしに情けを掛けるつもりかよ!!」
「情けなんかじゃない。あんただって分ってる筈だろ。もう勝負はついてるんだって」
言われるまでも無い。寧ろ、これは喉から手が出るほどに有り難い提案だった。
だが、ここで大人しく敵に見送られながら、情けを掛けられて敗走するのはオータムのプライドが許さない。許さないが……。
(こんなアタシにだって……守りたいもんはある……)
自分のプライドと愛する者。
その二つを天秤にかけて、すぐに答えを出した。
オータムはヴェルナーに背中を向けて、ブースターを吹かし始める。
「……今回は大人しく負けを認めてやる。だがな! テメェの事は完全に覚えたからな!! 今度会った時は必ずテメェの事を完膚なきまでに叩きのめしてやる!! その時まで、首を洗って待ってやがれ!!」
「……オレの爺さんが言っていた。『勝利も敗北も知り、逃げ回って、涙を流して、ようやく人は一人前になれる。泣いたっていい。乗り越えろ』……ってな」
「ガキが……一丁前に言いやがって。でも……いい言葉だな」
そっと呟いてから、オータムはこの場から去っていった。
「出来れば……アンタとは戦場以外の場所で会いたかったな。そうすれば、いい友達になれたかもしれないのによ」
彼女の背中を見ながら言うヴェルナーの顔には、悲哀の感情が滲み出ていた。
「到着! ……って、アラクネはっ!?」
遅れてやって来たのは、クラリッサ率いるシュヴァルツェ・ハーゼ隊の別動隊。
だが、もう既に全ての決着はついている為、何とも言えない場違い感があった。
「奴さんなら、とっくの昔に撤退しちまったよ」
「そ…そうなのですか? あれ? ということは……貴女があいつを撃退したのですかっ!?」
「そうだけど……それがどうかしたのかい?」
(見た限りでは、まだ年端もいかない少女……なのに、あのオータムを単独で撃破してみせたっ!? よく見たら、一緒にいた筈の彼女の部下たちの姿が無い。つまり、たった一人で5人ものIS操縦者を圧倒したということ……! 機体に目立った損傷も見当たらないし……もしも本当にそうならば、この少女の実力は間違いなく代表候補生…いや、国家代表に匹敵している事になる! しかも、この見たことのないリヴァイヴのカスタム機……一体、彼女は誰で、背後には何が潜んでいるというの……)
考えれば考えるほどに疑問が浮かんでくる。
それでも確実な事は、自分達では勝てる見込みが全く無い事。
(隊長が『手を出すな』と言っていた理由がようやく分かった……。下手に捕縛なんてしようものなら、間違いなく返り討ちに遭うからだ!)
そんな風に焦燥しているクラリッサの心境を知ってか知らずか、ヴェルナーは地面を指差しながら呑気に言った。
「あんたら……もしかして、会場を警備してるっていうドイツ軍の人達かい?」
「え…えぇ…そうです。ここでIS同士の戦闘があったと報告があったので、急いで駆け付けたのです」
「そうか。それは悪かったな。なんだか仕事を奪うような真似をしちまって」
「い…いえ。そのような事は……」
「でも、まだ仕事は残ってると思うぞ」
「と言うと?」
「この下にオレが倒した連中が呑気にお昼寝してやがるから、回収される前に確保した方がいいと思うぞ」
「え?」
ヴェルナーが真下を指差すと、そこには未だに気を失ったままのオータムの部下達がいる。
それを確認したクラリッサは、急いで隊員達に命令した。
「本当だ……! 総員、急いで降下し、あの者達を捕えるぞ!」
「「「「了解!」」」」
仕事に向かったクラリッサを見届けてから、ヴェルナーは表示されているマップを確認する。
「集合場所は……ここだったな。んじゃ、こっちも急ぎますか」
ゼーゴックに再び火を入れてから、ヴェルナーはその場を後にした。
「こんなにも凪いだ海は久し振りだな……」
生まれ変わってから初めて、ヴェルナーは心から嬉しそうな笑みを浮かべた。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
撤退中のオータムは、涙をこらえて通信をしていた。
「スコール……聞こえるか?」
『オータムっ!? どうしたのっ!? ドイツ軍襲撃にでもあったのっ!?』
「そうじゃないんだけどよ……派手にやられたよ」
『な…なんですってっ!? 貴女が…倒された……っ!? 一体誰にっ!?』
「全く見たことが無い奴だ。でも…とてつもない強さだった。文字通り、アタシが手も足も出ない程にな」
『貴女が……一方的にやられたっていうのっ!?』
「あぁ。部下達も全員落とされた。本当なら、回収をするべきだったんだろうが、それをする余裕すら無い程に疲弊しちまってな。悪い」
『……別にいいのよ。貴女が無事ならそれで』
「ありがとな。そんな訳で、今は一人悲しく撤退中だ。今のところ、ドイツ軍の追撃は無い」
『了解よ。それじゃあ、例の場所で落ち合いましょう……っとっ!』
スコールの声を聞いて少しだけ心が落ち着いたが、どうも向こうの様子がおかしい。
まるで、何かをしているような、そんな感じがするのだ。
「スコール? どうしたんだ?」
『ちょっとね! 謎の金髪美少女と交戦中なのよ!』
「はぁ?」
意味が分らない。
スコールはアリーナ内にいた筈。それなのに交戦中とはこれいかに。
『しかも、顔に似合わず凄まじい強さなのよ!』
「だ…大丈夫なのか?」
『私を誰だと思っているの? こっちはこっちで何とかするから、オータムは先に行ってて頂戴!』
「りょ…了解だ」
ここで通信を切り、一路、撤退ポイントまで急ぐ。
「まさか……あのガキは一人じゃなかった……?」
その予想が大当たりである事が判明するのは、ドイツでの戦いが全て終結してからであった。
まずはヴェルナー対オータム戦から。
なんだかオータム視線で書いちゃいましたね。
次回はデュバル対スコールです。