インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

28 / 110
主役勢VSライバル勢の戦闘BGMは、基本的に『機動戦』か『進出ス!』が推奨です。

だって、めっちゃカッコいいんだもん。






デュバルVSスコール

 ヴェルナーとオータムの戦闘が終了した頃。

 会場から少し離れた空域にて青い線と金の線が上空にて何度も交差し、激しい火花を散らしていた。

 

「やるわね……お嬢さん!」

「そちらこそな!」

 

 スコールの『ゴールド・リヴァイヴ』の眩い装甲には、幾つもの傷跡があった。

 銃痕に爆発痕。裂傷。

 そのいずれもが、デュバルの駆る『ヅダ』によってつけられたものだった。

 

「そこっ!」

「甘いっ!」

 

 背面飛行をしながらヅダがマシンガンを構えて放つ。

 その銃弾をスコールは華麗に避けていくが、一瞬で背後に回られて後ろから攻撃される。

 

「ちぃっ!」

「逃がすか!!」

 

 すぐにその場から離れて反撃体勢に移行しようとするが、ヅダの凄まじいスピードがそれを許してくれない。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

「突撃っ!?」

 

 まるで青い流星の如く、一直線に突っ込んでくるヅダ。

 その左肩に装備されたシールドクローを展開し、ほんの僅かな隙を晒してしまったスコールの懐に飛び込んだ!

 

「ぐはぁっ!?」

 

 シールドクロー自体はそこまでの威力は無い。

 だが、ヅダの常識を超えた速度が、それにとてつもない攻撃力を付加していた。

 

「これで終わりではない! ゼロ距離……取ったぞ!!」

「しまっ……!」

 

 シールド内に装備していた二基のシュツムル・ファウスト。

 その内の一基を超至近距離で発射した。

 

 シュツルム・ファウストは携帯用の武装としては破格の破壊力を秘めてはいるが、自動追尾機能などは一切無く、ISのように高速で移動する目標に命中させるのは非常に困難ではあるが、今回のように『絶対に当てられる距離』にいるならば話は変わってくる。

 

「キャァァァァッ!?」

「ふん!」

 

 案の定、避けられなかったスコールにシュツルム・ファウストは命中し、爆発の余波で自分がダメージを食らう前にデュバルは全速力で緊急離脱。

 これも、普通ならば難しいところではあるが、ズバ抜けた機動力を誇るヅダだからこそ可能な芸当だ。

 

「よくも……やってくれたわね!!」

 

 爆煙の中から、大きく傷ついたゴールド・リヴァイヴを引きずりながら、スコールが両手に装備したアサルトライフルを連射しながら突貫してくる。

 

「この私を本気にさせた事をあの世で後悔なさい!」

「悪いが……あの世ならば一度見ているのでな!」

 

 ヅダの土星エンジンが出力を上げ、まるで瞬間移動のようにその場から消え去った。

 

「は…速い……速すぎる!!」

 

 彼女の周囲を超高速で移動するヅダが、残像によって何体もいるように見える。

 実際には残像なんて全く起きてはいないのだが、ハイパーセンサーがヅダの速度を追い切れないが為に起きた現象である。

 

(実力はほぼ互角……いえ、向こうの方が僅かに上かしら? それならば、こんな防戦一方にはならない筈。とすると、私と彼女を隔てているのは……)

 

 そこまで考えて、スコールは背後からの殺気に反応した。

 

「そこよ!!」

「読まれたか! だが!!」

 

 マシンガンの銃口が向けられた瞬間、ヅダがまたしても消え去り、背後に回り込まれると同時に、いつの間にか装備していたヒートホークを振り被っていた。

 

「貰ったぞ!!」

「まだまだぁっ!!」

 

 スコールも咄嗟にリヴァイヴ用の近接ブレード『ブレッド・スライサー』に持ち替えて、ヒートホークの刃を受け止める。

 だが、その刃から発せられる熱量によって、徐々に押されていた。

 

「刃が溶けている……っ!? まさか、これはヒート兵器っ!?」

「その……通りだ!!」

 

 そのままヒート・ホークを振り抜き、ブレッドスライサーごとスコールも切り裂こうとするが、スコールもそのままやられるようなことはせず、緊急で出した小型シールドを囮にしてその場を脱した。

 

(私と彼女を大きく隔てているもの……それは、圧倒的なまでの機体性能の差!)

 

 ハイパーセンサーですら誤認する程の速度を、肉眼で追う事など絶対に不可能。

 余りにも早すぎて、最早その場に本当にいるのかどうかすら疑わしくなってくる。

 

(武装が強力という訳じゃない。その点はリヴァイヴを初めとする他の量産機と同様。あの機体が異常なのは、あの異次元の性能を誇る速度にある! あんな速度を出せるISなんて、少なくとも私は知らない! 織斑千冬の専用機である『暮桜』でも、あそこまでの速度は出せない筈! となると、今…私は……)

 

 そこまで考えてから、スコールは冷や汗を流した。

 

(私は……『世界最速のIS』と戦っている……?)

 

 スコールがそう思うのも無理はない。

 ヅダは、MSだった頃から既に同年代に開発された他のMSを完全に越える程の機動力を誇っているのだから。

 特に、推力だけに限って言えば、ヅダはあの連邦軍の最強の切り札とも言える『RX-78シリーズ』の機体すらも凌駕してみせていたのだ。

 つまり、多少改造した程度の量産機では、どれだけパイロットが優れていても、ヅダと相対した瞬間から勝ち目がない。

 

(今なら理解出来る……あの青いISにとって、その超絶的なスピードこそが最強の武器! 私用にカスタマイズをしたとは言え、リヴァイヴ程度では到底追従は出来ない!)

 

 この時点で、スコールはデュバルに勝つことを完全に諦めた。

 頭を切り替えて、どうやって相手を振り切って撤退し、オータムと合流するかを考え始める。

 

「にしても……ここまで出たり消えたりを何度も繰り返すなんて……まるで貴女は『亡霊戦士(ゴースト・ファイター)』ね」

「なに……?」

 

 スコールからすれば、本当に何気なく喋った言葉だった。

 だが、それが拙かった。

 デュバルにとって最も禁句となる言葉を放ってしまったから。

 それは、後にとある少年が自分の名前を馬鹿にされたことで軍の人間に殴り掛かってしまった時のように、デュバルは一気に『プッツン』してしまった。

 

「私は……ヅダは……!」

「な…なにかしら……お姉さん、猛烈に嫌な予感がするわ……」

 

 その予感は大当たりである。

 

 ヅダのモノアイが光り、まるで機体も怒っているかのように見えた。

 

「ヅダは!! 最早ゴーストファイターなどではない!!!」

「え………?」

 

 刹那、スコールのすぐ横を疾風が通り過ぎた。

 それが全速力を出したヅダだと理解するのに、数秒ほど必要とした。

 

「ザクにも!! リヴァイヴにも!!」

「これは本気でヤバいかも……! せめて、直撃だけは絶対に避けないと!」

 

 急加速、急停止、急旋回。

 物理法則に真正面から喧嘩を売るかのような軌道に、もう苦笑いしか浮かばない。

 牽制程度にはなるかと思いライフルを撃ち続けるが、全く効果が無かった。

 

「当たるどころか掠りもしない! なんなのよもう!!」

 

 自分はとんでもない相手に喧嘩を売ってしまったかもしれない。

 今になってスコールは、すぐに戦闘に持ち込んだことを後悔し始める。

 だが、過ぎてしまった時はもう戻せないのだ。

 

「決して劣ってなどいない!!!」

「かはっ……!」

 

 再びのシールドクローでの攻撃。

 だが、今度のは先程までの比じゃない速度での一撃な為、その威力も遥かに高い。

 スコールは体内にある空気を全部吐き出しながら体を曲げる。

 

「でぇぇいっ!!」

「ぐっ……!」

 

 追撃に渾身の蹴りをお見舞いする。

 手痛いダメージではあるが、これで距離が離れた上にデュバルは体勢を崩している。

 スコールにとって、これは千載一遇のチャンスだった。

 

「隙あり……よ!」

「なにっ!?」

 

 すぐにアサルトライフルを収納し、それを入れ替えるようにしてバズーカを呼び出して装備し、すぐにヅダへ向けて標準を合わせる。

 

(さっきまではまともにロックオンも出来なかったけど、今なら出来る!)

 

 迷わず引き金を引き、相手がダメージを受けて怯んでいる間に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使って離脱しようと企む……が、そのチャンスは最悪の形で崩壊した。

 

「「え……?」」

 

 本来ならば命中している筈のバズーカの弾丸が、あろうことか空中で停止しているのだ。

 まるで時が静止してしまったかのように、弾丸はピクリとも動かない。

 

「私の大切な『友人』に何をするつもりだ? テロリストが」

「あ…貴女は……!」

 

 スコールの目が大きく見開かれ、いつの間にかデュバルの隣にいる少女に向けられる。

 ここでようやく、スコールとデュバルは自分達の周りに多数のISがいる事に気が付く。

 

「大丈夫かね? 『少佐』」

「私を『少佐』と呼ぶ、貴女は一体……」

 

 黒いISを纏っている金髪の少女が、自分のISスーツの胸の辺りをチョンチョンと指差す。

 すると、そこには『赤い襟の一本角の髑髏』のパーソナルマークが。

 

「そ…そのパーソナルマークは……まさかっ!? 貴女はっ!?」

「そうだ。本当に久し振りだな、少佐」

「カスペン大佐……なのですか……?」

 

 今度は、別の意味で体が振るえる。

 宇宙世紀から生まれ変わったのは自分達だけじゃなかった。

 その事がすぐには信じられず、思わずカスペンの全身を見渡す。

 

「貴女も……『変わった』のですね……」

「む? それを言うということは、まさか貴公も……」

「はい……」

 

 ヅダの頭部だけを部分解除し、生身の顔を見せる。

 すると、今度はカスペンが驚く番だった。

 

「ず…随分と見違えたな……少佐……」

「その言葉はそのままお返ししますよ。大佐」

 

 ここで困惑するのはカスペンについてきた他の隊員達。

 いきなり謎のISを庇ったと思いきや、突然の『少佐』発言。

 特にラウラは最も混乱していた。

 

(あの、私と余り歳が変わらないような少女が『少佐』だと…? どういう事なのだ……?)

 

 何にも事情を知らないラウラ達は、黙って事態を静観しながら、疲弊したスコールを逃がさないように包囲しているしかない。

 

「しかし、どうして私だと分かったのですか?」

「あの癖の強いヅダをここまで自在に乗りこなせる人間なんて、私は貴公以外に知らない」

「実に貴女らしいですね……」

 

 いきなり目の前で繰り広げられた少女達の会話。

 それを目の前で見て、感動している場違いな女が一人いた。

 

「はぁ~……尊い……♡」

 

 スコールである。

 この女、先程からずっとデュバルとカスペンの二人を見て、ずっと発情しっぱなしである。

 

「にしても、まさかここで貴女が駆けつけるとは思ってなかったわ」

「ほぅ……私の事を知っているのか?」

「知っているわよ。ドイツ特殊IS部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ隊』新隊長の『ヘルベルト・フォン・カスペン』大佐さん」

「どうやら、知らぬ間に私も随分と有名人となっていたようだな」

「当然じゃない。なにせ貴女は……」

 

 私のお気に入りの美少女の一人なんだから。

 スコールは心の中でそう呟いた。

 

「ところで、なんで弾丸が空中で停止をして……」

「おっと。そうだったな。そろそろ解除するか」

 

 翳していた手を下げると、弾丸も同時に落下し始める。

 それを右手でナイスキャッチし、心配の無くなった弾丸を握りしめる。

 

「まだまだ改良の余地は多分にあるが、防御用としては中々に有用のようだな。この『AIC』とやらは」

 

 近くにいた隊員に弾丸を渡して、改めてスコールと対峙する。

 

「さて……スコール・ミューゼル。お前は完全に包囲されている上に、少佐との戦闘で機体もお前自身も激しく疲弊している。無駄な抵抗はお互いの為にならないと判断するが?」

「そうね。確かにあなたの言う通りだわ。でもね……」

 

 一瞬でバズーカを収納し、それの代わりに一個の手榴弾を手に持つ。

 

「とっくの昔に、私はここから逃げることにしていたのよ!!」

「総員!! 急いでソイツを捕まえろ!!」

「もう遅いわ!!」

 

 流れるような動作でピンを抜き、手榴弾を空中に放り投げる。

 すると、それは激しい光を放ち、一瞬だけ全員の視界を奪った。

 その隙にスコールは最後の力を振り絞ってから、その場からの緊急離脱を成功させる。

 気がついた時にはもう、スコールは遥か後方にまで去ってしまっていた。

 

「申し訳ありません……」

「いや……気にするな。私も油断していた」

 

 落ち込むラウラを慰めるように、彼女の頭を撫でるカスペン。

 生まれ変わっても、カスペンの面倒見の良さは変わらないのだと思い、ふと安心した。

 

「ISを纏っている以上、フラッシュグレネードで目にダメージを負う事は無いが、それでも強制的に隙を生み出すにはもってこいだ。まだまだだな、私も……」

「奴の機体にまだあれだけのエネルギーが残っていたのは、恐らくは拡張領域に予備のエネルギータンクでも収納していたのでしょうね」

「切り札は最後の瞬間まで取っておく……か。スコール・ミューゼル……高飛車そうに見えて、その実は用意周到で強かな女よ……」

 

 スコールが去った方向を睨み付けながら、装甲内にある鋼鉄の左手をギシギシと軋ませる。

 

「……状況終了。お前達はこのまま戻れ」

「隊長はどうされるのですか?」

「私はもう少しだけ残る。久し振りに会った友人と話したくなったのでな」

「了解です。では、私達はお先に失礼します」

「うむ。ご苦労だったな」

 

 隊員達の去り行く背中を眺めながら、カスペンはデュバルにそっと耳打ちをする。

 

「今までの事や今回の事を、色々と話してもらうぞ。いいな?」

「勿論です。他の者ならいざ知らず、同じ身の上の大佐ならば喜んでお話ししましょう。ただし……」

「他の二人も揃ってから……か?」

「御存じだったので?」

「私を誰だと思っている? 当然だ」

 

 鼻息荒く胸を張るカスペンだったが、幼女のような見た目のせいで普通に可愛くしか見えない。

 思わず、自分の手がカスペンの頭に行きかけたデュバルだが、流石にここはグッと堪えたという。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 撤退しながら、スコールは先程までの事を思いだしながら舌なめずりをしていた。

 

「機体性能の差が大きかったとはいえ、私をここまで追い詰めた、あの子……本当に気に入ったわ……。顔も体も私好みだし、絶対にモノにしてみせる……! そうして、私に屈服させた後は……」

 

 自分で自分の体を抱きながら、硬骨な表情を浮かべる。

 それは、オータムと夜を一緒に過ごす時にしか見せない顔だった。

 

「思いっきり可愛がってあげるわ……♡ 私無じゃ生きられなくなる程に…ね。その為にもまずは……私だけの専用機が必要になってくるわね……」

 

 スコールの目に野生が宿る。

 狙った獲物は絶対に逃がさない。必ず自分の女にする。

 例えそれが、どんな美少女だったとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




当然ですが、デュバルVSスコールはデュバル少佐に軍配が上がりました。
 
その代償として、デュバルは完全にスコールに別の意味でロックオンされる羽目に。

もしも捕まったりしたら、それこそメス堕ちとかしそうですね。

今はまだスコールが原作でも御馴染みの専用機を所持していませんが、もしもゲットしたら……?

次回は遂に、宇宙世紀から続く因縁の対決再び!

介入者はいないので、とことんまでバトって貰いましょう!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。