インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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ようやく砲術長を登場させられます。

かなり初期の頃にアンケートをして、やっとって感じです。

本当にお待たせしました。







彼女は大砲屋

 千冬がドイツに来てから初めての休日。

 教官として仕事に来たとはいえ、ちゃんと休むべき時には休まなければ、体よりも心の方が先に参ってしまう。

 そして、千冬が休みという事は、他の隊員達も同じように大半は今日は非番になっているわけで。

 

「こんなものかな……」

 

 宿舎にある自分の部屋にある姿見で服装を確認しているのは、私服に着替えたカスペン。

 いつもならば休みの日は実家に帰省をしている彼女だったが、今回は別の用事がある為に帰省は中止した。

 そんなカスペンのしている格好は、白いセーターに紺色のロングスカート、水色のスカーフを首に巻き、財布やスマホなどを入れている緑色のショルダーバックを肩から下げている。

 

「よし。これでいいだろう」

 

 この間は撮影で派手な服を着せられたが、カスペンが本来好むのはこのような落ち着いた服装なのだ。

 根っからの軍人としての性か、派手な服はどうも好きにはなれない。

 

「まだ時間はあるな……そうだ」

 

 何かを思いついたのか、戸締りを確認した後に廊下に出て、ある部屋を目指して歩き出す。

 暫く歩いてから目的の場所に着いたのか、彼女は部屋の扉をノックする。

 

「お休みの所失礼します。カスペンです」

『大佐か? ちょっと待ってくれ。すぐ開ける』

 

 ゴソゴソという音の後に、少しだけ扉が開かれて部屋の主である千冬が顔を覗かせた。

 どうして千冬が扉を全開しないのかは……御理解頂けると思う。

 

「急にどうした…ん…だ……」

 

 カスペンの私服を見て千冬は完全に固まった。

 普段は規律正しく自分を律している軍人の鑑のような彼女が、完全にどこにでもいる普通の女の子と化していたからだ。

 

「実は、今日はある場所へ出かける予定なのですが、もしお暇でしたら観光ついでに一緒に行きませんか?」

「そ…そう…だな……うん。私もまだ碌に街の様子とか見ていなかったし…偶にはいいかもしれん」

 

 つい、カスペンの可愛さに押されて衝動的に返事をしてしまった。

 因みに、この手の事に真っ先に食いつきそうなクラリッサは、昨夜は次の日が休みであるのをいい事にしこたま酒を飲んで、今はベットの上で爆睡中である。

 

「すぐに支度をするから、少し待っててくれ」

「時間は有るので急がなくてもいいですよ」

 

 すぐにドアを閉めてから、さっき以上にドタバタと音が聞こえてくる。

 普通に着替えるだけでなんでこんな音が聞こえてくるのか。

 それは千冬の部屋を過去に一度でも覗いたことのある人物だけが知る。

 

「お…お待たせ……」

 

 十数分後。千冬は息を切らせながら部屋から出てきた。

 白いTシャツに黒いジャケット、レディースのジーパンと、割と普通の格好だった。

 千冬もまた、普段から余り洒落た服装は着ようとはしなかったから、これと似たような服しか持ってはいない。

 

「では、参りましょうか……ん?」

 

 ふと、視界の端に見覚えのある小さな人影が見えた。

 それを見て、カスペンは思わず声を掛けていた。

 

「ボーデヴィッヒ少尉」

「た…大佐っ!? それに織斑教官もご一緒に! お…おはようございます!」

「あぁ、おはよう」

 

 朝から自分の尊敬する二人に会って、いきなりガチガチに緊張するラウラ。

 まだ会ってから日が浅い千冬はともかく、もうかなりの時間を共に過ごしているにも拘らず、未だに緊張をされる自分が悲しくなるカスペン。

 そこでまた、カスペンの思いつきが炸裂した。

 

「ちょっと尋ねるのだが、少尉は今日の予定は何かあるのか?」

「今日の予定…でありますか?」

「そうだ。何か用事があるのならば別に強制はしないのだが、実は今から私用で出かけるところでな、よかったら少尉も一緒に来ないか?」

「わ…私もお二人とご一緒にっ!?」

「いい暇潰しにはなると思うのだが……イヤか?」

 

 ここで必殺の上目使い攻撃。

 これをカスペンは全くの無自覚でやっている。

 

「い…いえ! そのような事はありません! 私も今日は何も予定らしい予定は無かったので、喜んで大佐と教官にお供します!」

 

 普通ならばお世辞とか言っていると思われるだろうが、この場合はマジの本心だったりする。

 というか、この基地内にカスペンからの『お誘い』を断るような人間は一人もいない。

 勿論。千冬も含めて。

 

「では、部屋に戻って私服に着替えてくるといい。別に慌てる必要はないぞ。時間ならばまだまだたっぷりとあるからな」

「し…私服…でありますか……」

「あぁ。私やクラリッサ達がやった御下がりがあるだろう?」

「は…はい。では、着替えてきます……」

 

 足取り重く近くにある自分の部屋に戻るラウラ。

 実は、幼い頃から軍で生きてきたラウラは、私服の類を全く所持していなかった。

 本人は微塵も気にしてない様子だったが、流石に不憫だと感じたカスペンが、実家から自分の着古した私服をもって来て、更には部下達にも自分達の御下がりを渡すように命じた。

 元から部隊のマスコット的な存在だったラウラに渡すとあって、誰も拒否などはしなかった。

 今ではかなりの衣装持ちとなっているのだが、余り外に出ることの無いラウラには完全に宝の持ち腐れとなっていた。

 それを知り、いい機会と判断し、ラウラに少しでも私服に慣れて貰うついでに、隊長らしく部下とのコミュニケーションを図ろうと思い至ったのだ。

 

「た…隊長……」

「来たか」

 

 恐る恐る戻ってきたラウラは、真っ黒なワンピースに真っ黒な靴に真っ黒なバックと、まぁ見事に上から下まで黒尽くしだった。

 恐らく、普段から来ている黒い軍服を意識したのだろう。

 

「ど…どうでしょうか…?」

「うん。いいんじゃないか? よく似合っていると思うぞ」

「うぅぅ……」

 

 恥ずかしそうに俯いてスカートの裾を握るラウラ。

 眼帯をしている事を除けば、もう完全にどこにでもいる普通の少女だった。

 

(こいつもかなり可愛いな……。と言うか……)

 

 千冬の目の前で私服のカスペンとラウラが話している。

 この場にクラリッサがいなくて本当に良かった。

 

(これ…私だけが完全に浮いてないか? 格好も背丈も……)

 

 今更気が付いても、もう遅い。

 恨むのなら、これまで服に頓着しなかった自分を恨んでほしい。

 

「それでは、改めて参りましょうか。まずは駅に向かいます」

 

 こうして、カスペンと千冬とラウラの休日が始まった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 バスで移動をしてから到着したのは、ベルリン中央駅。

 構内を歩きながら、千冬は物珍しげに視線だけを色んな場所に向けて、ラウラは思い切ってカスペンに質問してみた。

 

「あ…あの…大佐」

「なんだ?」

「これからどこに向かうのですか?」

「まだ言ってなかったか?」

「は…はい」

「今から行くのは『ルール工業地帯』にある『エッセン』だ」

「エッセン…ですか?」

「あぁ。そこに私の大切な友人の一人が働いていてな。前々からよく会いに行くようにしているんだ。いつもは一人で行っているのだが、偶には誰かと一緒に行くのもいいかと思ってな」

「そう言えば、よく大佐が休日に外出することが多かったが、ご友人に会いに行っていたのか……」

「そういう事だ。隊員の中でこれを話したのは少尉だけだぞ?」

「わ…私だけ……」

 

 他の皆が知らないカスペンの秘密を自分だけが知っている。

 それを自覚した時、ラウラの心の中に不思議な感情が湧きあがった。

 

(私だけが大佐の事を皆よりも多く知っている…か。なんか…嬉しいな……)

 

 そうして話している間に、切符売り場に到着し、切符を購入することに。

 

「切符代は私が出しましょう。無理を言って付き合って貰った礼変わりです」

「い…いや、それぐらいは自分で出す。これでもそれなりに金は持っているぞ?」

「そうです! 何も大佐がお支払する必要は……」

「いいんだよ。これは私なりのけじめだ。それに、国家代表はかなりの高給取りでな、こうでもしないと使い切れないんだ」

「それは…そうだが……」

 

 千冬も嘗ては国家代表だったから、代表がどれだけの給料を貰っているかは理解出来る。

 そのお蔭で、自分達は生きていけたのだから。

 

「ベルリンからエッセンまでは、昔は鉄道でも四時間も掛かっていましたが、今は技術も発達して、約一時間で到着するようになりました」

「四時間を一時間に短縮か……普通に凄いな……」

「ドイツの鉄道技術は世界一ですから」

 

 ある意味でお約束のセリフである。

 

「まだ時間があるな……。列車の中で何か食べられるものを買いましょうか。朝食代わりに」

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 列車の中で売店で買ったサンドイッチを食べながら、千冬にこれから向かうエッセンについての説明をしていると、あっという間に目的地に到着してしまった。

 

「工業地帯と聞いていたから、もっと機械的な場所を想像していたが……」

「エッセンはルール工業地帯の中央都市ではありますが、同時にドイツが世界に誇る観光地でもあります。特に『ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群』は世界遺産にもなっている程です。近年では工業以外にも『芸術と文化の都市』にもなっていて、美術館もあるんです」

「観光地であり、同時に芸術の都市でもある…か。道理で多くの人々で賑わっている筈だ」

 

 駅から出た三人は、人で溢れかえっている中を歩いている。

 今日が休日という事もあり、いつも以上に街は賑わっていた。

 

「少尉。逸れないように手を繋いでおこう」

「た…大佐っ!?」

 

 ラウラの了解を得る間もなく、カスペンは彼女の手を握った。

 それにより、ラウラの心拍数が一気に上がったのは言うまでもない。

 

(た…たたたたた大佐と手を繋いで歩いて……スベスベで柔らかくて…綺麗で…)

 

 これまでにない経験のオンパレードで、ラウラの頭の中は混乱しまくって目がグルグルしていた。

 

「織斑教官も手、よろしいですか?」

「わ…私もか? そ…そうだな。こんなに人がいる以上、念には念を入れて然るべきだな……」

 

 なんて自分に言い訳をしつつも、実はかなり嬉しかったりする。

 

(な…なんて小さい手なんだ……。だが、この感じ……昔を思い出すな。あいつらが小さい頃はよく、こうして手を繋いで歩いていたものだ…)

 

 勿論、千冬の言う『あいつ等』とは、あの三人娘の事である。

 

「ここから更にバスに乗って移動するのですが、今度はそこまで時間は掛かりません。すぐに着きますよ」

「大佐のご友人はどこにいらっしゃるのですか?」

 

 ラウラの純粋な疑問。

 ここからバスに乗って移動となると、確実に街の端の方に行くこととなる。

 

「友人は私よりも一歳年下でな、とある小さな工場で働いていてるんだ。小さいと言っても技術力は折り紙付きだし、私達もよく世話になっている。様々な機器の部品を発注したりしてな」

「発注……? まさか、今から行く場所とは……」

 

 カスペンの言葉でラウラは今から行く場所に検討がついたようで、しきりに頷いていた。

 

 その後、バス停に到着した直後にナイスタイミングで目的地行きのバスがやって来て、迷わずそれに乗った。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ここだ」

 

 列車にバスと乗り継いでようやく到着した場所は、少しだけ古臭い町工場。

 ここの他にも数多くの中・小の町工場がここには存在し、主に大きな工場や店舗などの下請けをしていたりする。

 

「ここに大佐のご友人が……」

「なんとなく、日本にある町工場なんかを彷彿とさせるな……」

 

 雰囲気自体は似たり寄ったりで、かなりのガテン系の匂いがする。

 実際、窓から除く中の光景は、つなぎを着たガタイのいい男性たちが汗を流して働いている。

 

「なんだよ。また来やがったのか?」

「私が友人に会いに来てはいけないのかな?」

「誰もそうは言ってねぇだろうが…ったくよ……」

 

 仕事場の外にここには似つかわしくない人間達がいるのが気になったのか、中から一人の人物が出てきた。

 

 黒いショートヘアの少女で、薄汚れた白いタンクトップと緑色のツナギの上部分を撒くって腰の部分で結んでいる。

 カスペンよりも一歳年下……十三歳とは思えない程のスタイルで、歩くたびに少しだけ胸が揺れ、ちゃんと谷間まで出来ていた。

 その頬には煤汚れがついていて、先程まで何かの作業をしていたと思われる。

 だが、それ以上に特徴的なのは、彼女が左目に着けている眼帯だった。

 

(あの眼帯は……私を初めとするハーゼ隊の皆が着けている物と同じ……?)

 

 全く見知らぬ物が自分と同じ眼帯を付けている。

 なんとも奇妙な光景を前に、ラウラは完全に固まっていた。

 

「しかも、今日は他にも連れがいやがるのかよ。ここは遊び場じゃねぇんだぞ」

「偶にはいいと思ってな」

「お前な……」

 

 呆れながら頭を掻き、大きな溜息を吐く。

 どうやら、このような事は今日に始まった事ではないようだ。

 

「取り敢えず、まずは君のお父上に挨拶をさせてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレクサンドロ・ヘンメ大尉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




砲術長……登場です!!

ここまで本気で長かった……。

TSした砲術長の容姿は、艦これで大人気の艦娘である『天龍』です。

勿論、TSしたイグルーメンバーの中ではスタイルの良さはぶっちぎりです。

この段階ではまだ中学生ぐらいの筈なのに、めっちゃ揺れます。

バインバインのボインボインです。

原作ヒロインで比肩するのは箒ぐらいだと思います。
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