インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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案の定、コアガンダムⅡの新しいアーマーは土星でしたね。

なんか、見た目はガンダムってよりは近年のスーパーロボットみたいですけど。







将来へのフラグ

 またまた束の移動式ラボ。

 彼女はヨルムンガンドの初起動をモニターで観察しつつ、大満足した顔でお茶を啜っていた。

 

「さっすがは私が見込んだだけはあるね! こうでなくっちゃ!」

「た…束さま…」

「ん~? どうしたのかな?」

 

 まるで、眼の前の光景が信じられないといった感じの表情をするクロエの震えた声で、何事かと首を傾げる。

 

「なんなのですか、あのバカげた威力はっ!? あんなの、そこらのISに直撃でもしようものなら、SEとか絶対防御とか関係無しに木端微塵ですよっ!?」

「そうだろうね~。なんせ、あのヨルムンガンドは最初から大質量の相手…戦艦を一撃で轟沈させることが大前提となってる超兵器なんだから」

「せ…戦艦を一撃って……」

「実際、オリジナルのヨルムンガンドはそれぐらいの威力はあったみたいだよ? 私の設計で、ダウンサイジングしても威力は殆ど変化しないようにしてあるけど」

「もう、どこからツッコんでいいのやら……」

 

 本気で頭が痛くなってきたクロエ。

 もうそろそろ胃薬の出番か?

 

「ヨルムンガンドの威力もそうですが、それを簡単に操ってみせるアレクサンドロさんの腕前も凄まじいですね」

「操る…ねぇ」

「どうしたんですか? 何やら意味深な声を出して」

「クーちゃん。ちょっとこれを見てくれる?」

 

 束がコンソールを操作し、数多くあるモニターの一つに先程の試射の光景を3Dモデルにした映像を表示した。

 

「これは、さっきの光景を簡単に3Dにしたもの。で、ここに注目」

 

 映像の角度を変えてから、目標である戦車を真正面から見れる位置にする。

 

「ここに、ヨルムンガンドの砲身の斜角や、発射速度なんかを計算して……と。はいここ。これを見て」

「これは……」

 

 画面自体に大きく十字の線が引かれ、その中央がヨルムンガンドのプラズマビームが命中する場所だと分かる。

 

「まず、これは一回目の射撃。見事にど真ん中に当たってるのが分るよね?」

「はい。本当に見事なものです」

「で、これが二回目の射撃」

「………え?」

 

 二回目もまた、一回目と同様に寸分違わず中央に命中していた。

 それを見て、クロエは段々と冷や汗を流し始めた。

 

「そして、これが三回目」

 

 もう言わずもがな。

 三度目の射撃も1、2回目と同じようにど真ん中にヒット。

 

「分かる? アーちゃんは単純にビームを当てたわけじゃない。砲身の冷却をしつつ、地球の磁場を計算し、角度の調整と場の観測をしながらも、三回とも全く同じ場所(・・・・・・・・・・)にビームを命中させてる(・・・・・・・・・・・)

「そ…それは即ち……砲撃に関する全ての仕事を同時に行いながらも、0コンマ数ミリのズレの狂いも無くビームを当てている…と……」

「大正解~! いや~! まさか、私以外にも超絶的なまでの並列思考が出来る人間が存在していたなんてね~!」

 

 映像では、アレクはごく普通に撃っているようにしか見えなかった。

 だがそれは、あくまで客観的なものであって、実際には彼女の頭中では常人では決して追いつけない程の高速計算をしていた。

 それで尚且つ、彼女は超人的な命中精度を披露してみせた。

 

「た…束さま…では、この方は……」

「間違いないね。アーちゃんも、他の子達と同様に『天才』の領域に足を踏み込んでる」

「やっぱり……」

 

 束と同レベルの人間が、こんな場所にも存在していた。

 世界とは広いようで狭いという事を実感させられる。

 

「けど、どうして束さんも周りにはこうも天才な美少女達が沢山いるのかね~?」

「デュバルさんにソンネンさん、ヴェルナーさんにカスペンさん…ですか?」

「皆が皆、一つの分野においてだけは私よりも確実に上の領域にいる子達ばかり。このまま成長していけば、本当に世界を変えるほどの力を手にするかもしれない……」

「束さま……」

 

 嬉しいような。でも、同時に悲しいような。

 そんな複雑な表情をする束。

 

「んじゃ、お勉強タイムはこれで終わり。来たるべき時に備えて、私達も頑張らないと!」

「そうですね。カスペンさんが仰っていた『亡霊』との全面戦争……これをどうにかしなければ、宇宙進出なんて夢のまた夢ですから」

「そーゆーこと。その為にも……」

 

 クロエを伴って研究所の奥まで歩いていく。

 そこには、明らかに桁が違う、非常に巨大な深紅のISが鎮座していた。

 

「少しでも早く、この『ビグ・ラング』を完成させないとね」

「この機体の操縦者は誰になるのでしょうか?」

「さぁね。でも、私には不思議な確信があるんだ」

「それは?」

 

 装甲にそっと触れながら、束は自分に言い聞かせるように呟いた。

 

「この機体には、私と同じような子が乗るんじゃないかって」

「束さまと同じ……?」

 

 その言葉が意味することを、この時のクロエは正しく理解出来なかった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ヨルムンガンドと、その操縦者であるアレクのお披露目から数日後。

 今日も今日とて、彼女はハーゼ隊の基地に通いながらヨルムンガンドのデータ収集に努めていた。

 珍しく代表としての仕事が休みであるカスペンも一緒に作業に参加していて、ちゃんと手を動かしながらも話に華を咲かせていた。

 

「にしても、まさかウチのオヤジとこの基地の司令が知り合いだたっとはな」

「私も驚いたよ。彼が基地にいたのも驚いたが、あっさりとアレクがISのパイロットになる事を許可するとは」

「意外か?」

「昔ながらの職人気質の彼の事だから、怒鳴り声を上げながらお前と喧嘩でもするかと思っていた」

「なんじゃそりゃ」

 

 あの父親と本気で喧嘩をする。

 想像自体は安易に出来るが、実際にしたいとは流石に思わない。

 

「前にも言ったろ? ああ見えて、あのオヤジは軽く受け流すってな」

「あの時は本当にそうだったとは思わなかったんだ」

 

 ほっぺたを膨らませてから誤魔化すカスペン。

 それもまた尊い。

 

「そういや、お前は他の連中と同じように教官殿の訓練には参加しねぇのか?」

「する時はするさ。ただ、今はこっちの方が優先順位は上かな」

「ふ~ん」

「なんなら、お前も少し参加していくか?」

「勘弁! 軍人でもねぇのに軍の訓練に参加なんて出来るかよ! それに……」

「それに?」

「あの工場で働いてれば、嫌でも体力と筋肉は身に付くよ」

「それもそうか」

 

 小さな町工場と侮るなかれ。

 単純な仕事量は、大手企業のお抱え工場とは比較にすらならない。

 

「少し休憩でもするか」

「おう」

 

 作業している手を止めてから、二人は壁の方にあるベンチに並んで座った。

 よく見ると、訓練の方も小休止に入ったようで、カスペンはそれに合わせて休憩をすることを提案したのだろう。

 

「「ふぅ~…」」

 

 予め持って来ていた水筒に入っているスポーツドリンクで水分補給をしてからホッと一息。

 一緒に座っていると、まるで仲がいい姉妹のようでもある。

 勿論、姉はアレクで妹がカスペンだ。

 実際にはカスペンの方が年上なのだが。

 

「そうだ。この前の時にお前に渡し忘れてた物があるんだった」

「渡し忘れてた物?」

「これだ」

 

 既にここに持って来ていたようで、カスペンは一冊の小雑誌をアレクに手渡した。

 白を基調としたシンプルな雑誌で、日本語とドイツ語と英語が入り混じって書かれている。

 

「これって…学園案内のパンフレットか? って…こりゃぁ……」

 

 表紙を見た途端、アレクの表情が一瞬で固まった。

 このパンフレットを発行している学園の事をよく知っていたから。

 

「……IS学園か」

「あぁ。実は来年度から、私は上の命令でIS学園に入学することになっている」

「国家代表として、ドイツ軍の威光を示す為…か?」

「それは上層部の理由だ」

「お前個人としては違うと?」

「……IS学園は一般的な学校とは違い、様々な特殊な施設などが存在している。まるで、有事の際を想定しているかように(・・・・・・・・・・・・・・・・)

「そーゆーことかよ……」

 

 大きな溜息を吐きつつ、何かを悟ったかのように頭を掻いた。

 

「お前…IS学園で『全部の決着(・・・・・)』をつける気だな?」

「あそこには各国から私のような若い国家代表や代表候補生などが入学する場合もある。その者達と知り合い、他の国に渡りをつけられれば……」

「間違いなく、例の『亡霊』との戦いに備えられるな。でもよ、そう簡単に事が運ぶか?」

「運ばせる。そうしなくては、我々は…世界は……」

「分かってる。多少の無理は承知の上でやらねぇと…な」

 

 完全なる未知の敵。

 全く何も思ってないと言えば嘘になる。

 だが、それでも……。

 

「アレク」

「なんだ?」

「……私が入学した次の年、お前も同じようにIS学園に入学してくれないか?」

「お前の後を追えってか」

「無理強いはしない。一応、同じことを『彼女達』にも言っているからな」

「少佐たちか……」

 

 水筒の中身を一口飲んでから、アレクはカスペンに向かって軽くデコピンをした。

 

「はにゃっ」

「バカ野郎。今更何を言ってんだ。ヨルムンガンドを受け取った以上、オレとお前は一蓮托生なんだよ。お前が日本に行くっていうんなら、オレも一緒に行ってやるよ」

「IS学園は全寮制と聞いている。入学したら最後、そう簡単にはドイツには帰れないぞ?」

「覚悟の上さ。同じことを言えば、オヤジもきっと『行ってこい』って言うに決まってる」

「日本語は大丈夫か?」

「町工場舐めんな。うちの常連には日本人の客も結構いるんだよ」

「知らなかった……」

 

 叩かれたおでこを擦りながら、カスペンは念の為に幾つもの質問をしていくが、アレクの決意は全く揺らぐことはなかった。

 

「それに、オレも生まれ変わってるっていうお三方に会いたいしな」

「お前は前世でも彼女達とは知り合ってなかったんだったな」

「開戦時にくたばっちまったからな」

 

 軽く言ってはいるが、その中には少なからず無念も含まれている。

 勝つにしろ負けるにしろ、自分の所属した軍の行く末を見ることが出来なかった無念が。

 

「それで思い出した。アレク、今度の休みの日、お前は何か用事があるか?」

「別に何も。工場の方もこれといった急ぎの仕事は入ってねぇし、こっちの方で何か無い限りは、今のオレに用事らしい用事はねぇよ」

「だったら話が早い。次の休みの日、ちょっと付き合ってくれないか?」

「どこに行くんだよ?」

「別に遠くじゃないさ。すぐ近くだ。知人と会う約束をしていてね」

「知人だぁ?」

「そう…知人だ。お前もよく知っている…な」

「オレも知ってる知人って……まさか、同じ『転生者』か?」

「御名答。より正確に言えば、私とお前の共通の知人であり、嘗て『ヨーツンヘイム』に一緒に乗艦していた人物達でもある」

「人物達? 複数なのかよ?」

「そう。私が会いに行くのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オリヴァー・マイ技術中尉達だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  




名前が出たからと言って、本当に登場するとは限らない。

そのかわり、他の誰かが登場する可能性はありますけど。
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