インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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前に私は言いましたよね?

『技術屋に関するアンケートの締め切りは原作開始まで』だと。

つまりは、そーゆーことです。






登場するとは言ってない

「お? 来たか」

 

 日曜日になり、カスペンは駅前にてアレクと待ち合わせをしていた。

 休日ということもあってから、前回と同様に駅前はかなりの人で賑わっている。

 そこに、一際目立つ少女が歩いてきた。

 

 モデル顔負けのスタイルをし、白いYシャツに黒いレディースパンツを履いていて、その綺麗な足には真っ白なブランド物のサンダル。

 普通に見て大学生。下手をすればキャリアウーマンのようにも見えてしまう。

 だが、13歳だ。立派な未成年、まだ中学一年生ぐらいの少女だ。

 

「待たせたな」

「…………」

「どうした? オレの事をジロジロと見て。なんか変か?」

「……お前は本当に13歳か?」

「それはどーゆー意味だゴラ」

「もう普通に成人女性にしか見えない」

「それ、出かける前に親父にも同じことを言われたわ」

「だろうな」

 

 カスペンとアレクが並んで歩けば、姉妹か、もしくは親子に見られるかもしれない。

 それ程までに、二人の背丈は凸凹していた。

 でも、実際にはカスペンが14歳で、アレクが13歳だ。

 カスペンの方が年上なのだ。

 

「で、今からどこに行くんだ?」

「そこまで遠い場所じゃないさ。すぐ近くにある喫茶店だよ」

「喫茶店だぁ?」

「その通り。そこで待ち合わせをしている」

「あいつ等と…か」

 

 アレクと『あの三人』が最後に顔を合わせたのは、彼女がヨルムンガンドに乗り込んだ時。

 会話に至っては、発射寸前に通信で話したっきり。

 余りにも久し振りな再会に、なんて顔をすればいいのか分からなくなる。

 

「大丈夫だ」

「あ?」

「きっと、向こうもお前と同じ気持ちだよ」

「そうだといいがな」

「では、行こうか。あんまり待たせると、特務大尉が怒ってしまいそうだ」

「それ、普通に有り得るわ」

「だろ?」

 

 変な所で共感をした凸凹コンビであった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 喫茶店『シュバルツ』。

 店長が変なマスクをつけているという妙な噂のある店だが、評判自体は決して悪くは無い。

 時折、無駄に熱血な青年が臨時のバイトをしている事で一気に有名になった。

 

「こんな店があったんだな」

「いい店だろう? 私のお気に入りの店の一つさ」

「根っからの軍人のお前さんが、そんな事をしてるなんてな」

「私だって人間だ。新しい店の開拓ぐらいはするさ」

「そうかよ」

 

 本人は全く自覚していないが、やっている事は完全に少女のそれである。

 だが、カスペン自身が満足しているようなので、無粋なツッコミは無粋というものだ。

 

「大佐~! こっちッスよ~!」

「「ん?」」

 

 いきなりの自分を呼ぶ大声に反応し、咄嗟にテラス席の方を振り向くと、そこには二人の少女が仲良く座っていた。

 片方は黒く長い髪をストレートに流している少女で、もう一人は情熱的な赤い長髪を同じように流している。

 表情、髪の色、性格。

 何もかもが正反対の少女達だったが、なんでか揃って飲食を楽しんでいる。

 

「あそこか」

「あれが……」

 

 これ以上、叫ばれないように急いで二人の元まで行く。

 そうすると、流石に近距離での大声は止めて、ニコニコ笑顔で迎えてくれた。

 

「待たせて済まない」

「別に気にしてないっスよ。ね? 特務大尉?」

「中尉の言う通りです」

 

 待たせたと言っても、実際には遅刻なんてしてはいないのだが。

 それでも一応の謝罪をするのが、なんともカスペンらしい。

 

「ところで……」

「どうした?」

「その、隣にいる眼帯の女性は誰なんですか?」

「あぁ、彼女か。彼女は……」

「ちょっと待て」

 

 今度はアレクが待ったをかける。

 事情が事情な為に仕方がないのだが。

 

「この二人が…そうなのか?」

「そうだが?」

「いや…片方は分かるんだよ? もう『まんま』だしな。でも、もう片方は……」

 

 黒髪の少女の方を見ると、視線に反応してニッコリと笑う。

 

「……冗談だろ?」

「その台詞は、私たち全員に共通しているぞ」

「そうだった……」

 

 自分も彼女達の事を偉そうには言えない立場だったのをすっかり忘れていた。

 それだけ、今の肉体に馴染んでしまっている証拠だ。

 

「まずは座って注文を取ろう。それぞれの紹介はそれからでもいいさ」

「大佐がそう仰られるのなら……」

 

 因みに、カスペンは椅子に座っても普通に足が浮くため、座るだけでも一苦労していた。

 そして、その光景を生暖かい眼で見守っている三人と周囲の人々だった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」

「声がでけぇよ」

 

 店員がやって来てから、カスペンはアイスコーヒーを、アレクはミルクココアを頼んで、店員が店の中に戻っていってから、改めてカスペンは二人にアレクの事を教えた。

 そうしたら案の定、この反応である。

 

「こ…この眼帯美人が、あの砲術長なんスかっ!?」

「どこがどう変われば、こうなるのよ……」

「んなの知るか。大げさ過ぎんだよ。カスペンの方がもっと凄いだろうが」

「いや、大佐の方はとっくの昔に全く同じリアクションをしたって言うか……」

「だろうな」

 

 これもまた人の事は言えない。

 アレクもまた、最初にカスペンと出逢った時に似たような反応をしたから。

 

「んで、こいつらがそうなのかよ?」

「そうだ。この黒い髪の少女が……」

「お久し振りっす。この姿では初めましてですけど。ヒデト・ワシヤ元中尉です」

 

 この深窓の令嬢と言った感じの少女が、あの無駄に騒がしい男の生まれ変わった姿とは。

 世の中とは本当に分からないものだ。

 

「彼女は…流石に分かるか」

「あの特務大尉の嬢ちゃんだろ?」

「はい。モニク・キャデラック元特務大尉です。お久し振りです、大尉」

「元大尉…な。オレも今は軍人じゃねぇよ。ついこの間、近い立場にはなったけどな」

 

 モニクの方は、嘗ての姿から、そのまま若返った感じになっている。

 それ故に、彼女の方は一発で分かった。

 

「そう言えば、技術中尉はどうしたんだ?」

「あいつなら、今日は家の用事で急に来られなくなったそうです。メールを送る暇のなかったとか言ってました」

「そうか…それは残念だな」

 

 少しだけ落ち込むカスペン。

 出来る事なら、三人揃った状態で生まれ変わったアレクの事を紹介したかった。

 

「にしても、まさか大佐の方から呼び出すとは思いませんでした」

「何かあったんですか?」

「うむ。もう既にアレク…砲術長にも教えているのだが、お前達にも教えないといけないと思ってな」

 

 本題に入ろうとした時に、注文の品がやって来て、軽く礼を言ってからアイスコーヒーを飲んで喉を潤す。

 

「私達以外の『技術隊の転生者』を発見した」

「「!!!」」

 

 今度は声を出さずに驚いた。

 正確には、驚きすぎて声も出なかったのだが。

 

「だ…誰なんですか、それはっ!?」

「デメジエール・ソンネン少佐と、ジャン・リュック・デュバル少佐。それから、ヴェルナー・ホルバイン少尉の三人だ」

「しょ…少佐達と…あの海兵が……」

「そっか……あの人達が……」

 

 モニクもワシヤも、三人とはかなり深い関わりがあった。

 それぞれの最後もその目で見届けている為、彼女達が自分達と同じように生まれ変わっているという事実は、言葉に出来ない嬉しさがあった。

 

「三人は今、日本に住んでいるらしい」

「日本に? なんでまた……」

「詳しく話せば長くなる。それは本人達に直接会った時にでも聞いてくれ」

 

 実際には、話すのが純粋に面倒くさかっただけだ。

 

「因みに、これが今の三人の姿だ」

 

 自分のスマホをテーブルの上に置き、その画面に映っている写真を見せた。

 そこには、ソンネンを中心にして、カスペンとデュバルとヴェルナーが笑って並んでいた。

 

「あの三人も女になってたのか……」

「この日焼けしているのがホルバイン少尉で、金髪の少女がデュバル少佐、そして……」

「この車椅子に乗っているのが…ソンネン少佐…なんですね……」

「あぁ。どうして車椅子に乗っているかは……私からは言えない。これは完全に彼女のプライベートに関わることだからな」

「分かっています。もしも会った時に、自分の意志で問い質します」

「それがいいだろう」

 

 ソンネンとモニクの関係はカスペンもそれなりに知っていた。

 一言では言い尽くせない程に複雑な間柄である二人だからこそ、下手に自分が間に入るべきではないと判断した。

 

「これがねぇ……」

「そういえば、アレクにも見せるのは初めてだったな」

「まぁな。見た目だけなら完全に普通の少女って感じだな」

「今の彼女達は本当に普通の学生をしているからな」

「そっか…こいつらは本当の『日常』に戻れてるんだな……」

(そうとは言い難いがな……)

 

 あの三人は、友人の命を救う為に自らの意志で戦場に戻ってきた。

 殺す為ではなく、守る為に。

 

「そういや、日本に住んでいる少佐達と、どうやって大佐は会ったんスか?」

「………………」

 

 そこで急にカスペンが黙ってしまう。

 何事かと思って怪訝に感じるが、彼女の真剣な顔を見てただ事ではないと察する。

 

「彼等…いや、彼女達は…ある目的の為に日本からドイツまでやって来ていた。とある人物の手引きによってな」

「「とある人物?」」

「…篠ノ之束博士だ」

「「はぁっ!?」」

 

 今日だけで一体何回、二人は驚いているのだろうか。

 帰る頃には驚きすぎて顎が外れていない事を願う。

 

「どうやら、幼少期の頃から博士とは知り合っていたらしくてな、少佐二人に至っては……」

 

 ここで手招きをしてから全員の顔を近づけさせ、周囲に聞こえたい程度の声でそっと呟いた。

 

「…白騎士事件に関わっていたらしい」

「「「ブッ!?」」」

 

 今度はアレクも同じように噴き出した。

 

「それを聞かされて、オレはどう反応すればいいんだよ……」

「知らんよ。私も普通に混乱した」

「その博士の手引きでドイツまで来た…その『目的』は聞かせてくれるんでしょうね?」

「勿論だ。寧ろ、それこそが今回の一番の本題だからな」

 

 ここで、カスペンは第二回モンドグロッソで起きた事件の事を話した。

 本来ならば軍事機密にて他言無用なのだが、ここにいる者達は元軍人。

 それらの事はこっちから何かを言わなくても大丈夫だと判断した。

 

「……という訳だ」

「まさか、あの会場でそんな事が……」

「このご時世で、マジもんのテロリストがいるなんて……」

「オレも触りだけは聞かされたけど、なんとも言えねぇな……」

 

 テロリスト。

 軍人としては最も放置出来ない、天敵とも言うべき存在。

 生まれ変わって軍を離れた今でも、彼女達に根付いた『軍人としての矜持』だけは失われてはいなかった。

 

「織斑千冬の弟…少佐達の友人を守る為だけに、日本からドイツまで来るなんて……」

「しかも、あの『天災』から専用機まで受け取って。その専用機って、少佐達が乗ってたMSを再現してるヤツなんでしょ?」

「そうだ。見事にMSをISサイズで再現していたよ。そして、それを操る少佐達の実力も……全く衰えてはいなかった。いや、それどころか……」

「前世よりも向上していた…ですか?」

「間違いなく、専用機受領の際に体を鍛えたり、なんらかのシュミレーターで訓練をしていたのだろう」

「あの人達らしいや」

 

 性別が変わっても、世界が変わっても、その本質は変わらない。

 それを知って、なんだか不思議と安心した二人だった。

 

「因みに、オレも少し前に専用機を受領したぜ」

「大尉の専用機…パターン的にそれって……」

「ヨルムンガンド? でも、あれはMSですらないんじゃ……」

「だから、ISにヨルムンガンドを武器の一部として組み込んだ」

「「幾らなんでも発想がぶっ飛び過ぎてるっ!?」」

「そうか?」

 

 ヨルムンガンドの全容を知っているからこそ出来るツッコミ。

 普通じゃ絶対に思いつかない発想を素で実行するのがカスペンという人間だ。

 

「と…ともかく、着実に戦力は揃いつつある」

「戦力って……」

「まさか、大佐はその『亡霊』って連中と戦う気ですか?」

「戦う気ではない。もう戦っている。特に、少佐達は幹部連中と思わしき者達と交戦している」

「幹部と……!」

 

 自分達が知らなかっただけで、もう既に戦いは始まっていた。

 それに己が参加していないだけで。

 

「デュバル少佐とホルバイン少尉は見事に幹部の撃退に成功している。特にホルバイン少尉なんかは凄かったぞ? 部下の奴等も同時に撃破しているからな」

「そりゃそうっすよ! あいつの凄さは、一緒にゼーゴックに乗ったオレっちが一番よく知ってますからね!」

「そう言えば、そんな事もあったわね」

「あの時は本当に凄かったんですよ? アラームが鳴る前からミサイルの存在に気が付いていて、全弾回避してみせてるんですから!」

「並の腕じゃ絶対に出来ない芸当だな」

「でしょ? やっぱし、あいつはニュータイプだったに違いないですよ!」

 

 まるで自分の事のように興奮するワシヤ。

 一度だけとはいえ、共に戦場に出たことで一方的な友情を感じていたようだ。

 

「ニュータイプっていやぁ……」

「かのジオン・ズム・ダイクンが提唱していたという、宇宙進出に伴って出現するという『新人類』のことか?」

「そう! それに間違いないですって!」

「確かに、少尉は独特の雰囲気を持ってはいたが……」

 

 それを目の前で見たわけではないから、諸手で賛同する訳はいかなかった。

 

「少尉がニュータイプかどうかは一先ず置いといて」

「え~?」

「私から君達二人に渡したい物がある」

 

 鞄の中から、以前にアレクにも手渡したのと同じパンフレットを二冊出してテーブルに置いた。

 

「なんです? これ……」

「学園案内のパンフレットみたいだけど……って、まさか……」

 

 何かに気が付いたのか、モニクがパンフレットを手に取ってマジマジと見て、中身も軽く読んだ。

 

「そう。それはIS学園のパンフレットだ」

「なんでまたそんな物を私達に?」

「来年度、私がIS学園に行くから。そして、その後に諸君らにもIS学園に来てほしいからだ」

「「…………」」

 

 いきなりの提案。いや、これは『命令』だった。

 『来てほしい』と柔らかい表現をしてはいるが、カスペンの目はこう語っている。

 『IS学園に来い』と。

 

「勿論、無理強いをするつもりはない。私と君達は以前のように上官と部下の立場じゃないからな。だが、来てくれると非常に助かるのは事実だ」

「私とワシヤ中尉はまだ12歳なんですけど……」

「それを言ったら、オレだってまだ13歳だッつーの」

「「その体で十三歳ぃっ!?」」

「なんだ。文句あんのか」

「普通に大学生だと思ってた……」

「私も……」

「お前らもか」

 

 カスペンとは別の意味で歳相応に見られない苦労。

 喜んでいいのか、悲しんでいいのか。

 

「でも、その言い草だと、大尉もパンフレットを受け取って?」

「おう。オレの方はもう行くことを決めたけどな」

「そうなんですね……」

 

 いきなり高校受験の事を言われても、そう簡単に決心は出来ない。

 今すぐここで返答するのは非常に躊躇われた。

 

「まだ時間はある。そのパンフレットは持ち帰っても構わないから、ゆっくりと考えてくれ」

「そうします」

「それと、これは技術中尉の分だ。渡しておいてくれると助かる」

「了解です」

 

 もう一冊のパンフレットを受け取って鞄に入れる。

 そこでようやくシリアスな空気が霧散して、肩の力が抜けた。

 

「あ。今思い出したけど、大佐って少し前に国家代表になってましたよね」

「知っていたか」

「そりゃ、あれだけ大々的にニュースで報道してりゃあね」

「言わないでくれ……」

「オレ、大佐の写真集も買ってますよ」

「嘘だろっ!?」

「その…実は私も……」

「君もなのか……」

 

 自分の黒歴史が知人に見られる。

 最早、羞恥を通り越してストレスで胃が痛くなる勢いだ。

 

「ウチの従業員も何人か買ってたな」

「……帰りに薬局にでも寄ろう」

 

 カスペンにも胃薬の追加が入った。

 いずれ、ルームメイトに格上げされるに違いない。

 

「なんか、長々と話してたら腹が空いたッスよ。なんか食べません?」

「いいわね。何を注文しようかしら?」

「この『シュツルム・ウント・ドランク』なんてどうです?」

「それはなんなんだ?」

「「「ただのカルボナーラ」」」

「なら、そう書けよ!」

 

 御尤も。

 

「ならば、私はこの『爆熱ゴッドフィンガー』にしよう」

「名前だけじゃなんなのかマジで分からねぇな…」

「普通のハンバーグだぞ?」

「……このメニューを考えた奴はバカじゃないのか?」

「それじゃあ、オレはこの『ローゼスハリケーン(グラタン)』にしようっと」

「私はこれにするわ。『ガイアクラッシャー(シュニッツェル)』」

「疲れる喫茶店だな……」

 

 その後、アレクも『銀色の脚スペシャル(オムレツ)』を注文して食べた。

 味の方は普通に美味しかったとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずは三人中二人が登場。

ワシヤ中尉の方は、よく同人誌界隈に登場している『女体化したルルーシュ』をイメージしてます。
理由? 中の人に決まってるでしょうが!

モニクの方は普通に幼くした感じです。
そこまで変化はしてないですね。

余談ですが、料理名と中身の違いは適当です。
店長は当然、影から常に弟の事も暖かく見守りつつも、時には厳しく導くゲルマン流忍術の使い手な仮面のお兄さんです。
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