インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
頭の中で、もしも登場させるならば…的な感じで考えていたのですが、要望の多さに応えて、予定よりも登場を物凄く早めたいと思います。
具体的には、あと数話ぐらいで。
彼の登場も決まったので、取り敢えずは海兵に関するアンケートは終わりにして、次のアンケートに移行しようと思います。
どんなアンケートなのかは実際にご覧ください。
それとは別に、番外編的な感じで、様々なガンダムキャラ(おっさん)をTS転生させた話を現在構想中です。
具体的には、まずはノリス、それから黒い三連星や、おっさんじゃないけどガトーとか。
特に、ノリスに関しては、もう既にプロットもある程度完成していたりします。
話の区切りがいいタイミングで投稿しようと考えています。
どうか、過度な期待なんかせずにお待ちください。
「なんかワリィなぁ。こんなに貰っちまって」
道場での一幕が終了し、やっと本来の目的である束のお部屋訪問に。
一夏と箒のチビっ子コンビは興味がないのか、未だに道場で遊んでいた。
現在、篠ノ之宅の廊下を一緒に歩いているのは、束とデュバルと千冬、それから千冬に抱えられているソンネンの四人だ。
ソンネンの車椅子は移動させて玄関に折りたたんだ状態で置いていて、帰る時に乗っていけるようにしてある。
「気にしないでいいよ。どうせ、あのまま置いてたって無駄になるだけだったし。そんな事になるぐらいなら、二人にあげた方がずっといいよ」
「こちらとしては感謝しかないのだが、本当によかったのか? 私の知識が正しければ、このような場合はよく姉の御下がりなどを妹が貰うものなのでは?」
「う~ん…それが一番理想的ではあるんだろうけどね~。ほら、箒ちゃんも御下がりばかりじゃ嫌がるっていうか……」
「難しい年頃なのだな」
「いや…お前達が言うのか?」
自分の弟と同い年の少女が同年代の子供に対して『難しい年頃』なんて言うのは、なんとも変化な感じがした千冬。
だが、前に束が言っていたように、彼女たちが
「はい。ここが私の部屋だよ~」
束に連れてこられた場所にあるのは、他の部屋と全く変わらない木製の扉だけがある廊下の一角。
見た限りでは何の変哲もない場所だが、ソンネンとデュバルだけは彼らだけが分る『匂い』を感じていた。
(この嗅ぎ慣れた匂いは……)
(もしや、機械の匂いか?)
前世でずっと鉄と油の匂いに囲まれて生きてきた二人には、とても懐かしい匂いだった。
普通ならば不快感を覚えるであろう匂いも、二人にはまるで故郷に帰って来たかのような安心感を齎す。
「どうぞどうぞ~。束さんのお部屋にいらっしゃ~い♡」
束が扉を開けると、中は非常に暗くて殆ど何も見えない。
辛うじて、廊下からの明かりで照らされた入り口付近に多種多様なコードが床一杯に敷き詰められ、文字通り足場のない状態になっているのが確認できた。
「あ。コケないように気を付けてね。私も割と頻繁に躓きそうになるからさ」
「少しは片付けようという発想には至らないのか……?」
「いや~…たはは……」
こいつは片付ける気ゼロだな。
ソンネンとデュバルは一瞬でそう悟った。
「………………」
「なんで千冬さんは気まずそうに眼を背ける?」
「いや…なんでもない」
「ちーちゃんも、私と同じで『片付けられない女』だもんね~。この状況は他人事じゃないか~」
「マジかよ……」
意外な人物の意外な欠点。
だが、よくよく考えれば、優れた人間ほど何かが致命的にダメだったりするものだ。
そう思うと、これもまた彼女たちの個性だと思えるように……なれたらいいな。
足元に気を付けつつ奥へと進んでいくと、途中で近未来的な端末があった。
純和風なこの家には明らかに不釣り合いで、何ともいえない違和感を発している。
「凄い部屋だな……。これだけの物をよくも揃えたものだ……」
「ん~…揃えたってよりは、自作なんだけどね~」
「「なにぃっ!?」」
ジオン軍の軍事基地などに普通に有りそうな機器を個人で所有しているだけでも十分に凄いのに、それを自作したと聞かされれば、流石の二人も驚かずにはいられない。
「そ…そんなにも驚くような事なのか? 私にはよく分らないが……」
「当然だ! これだけの物があれば、大抵の事は出来る筈だ!」
「アンタ…本気で何モンだよ……」
「君達と同じ『天才』だよ」
今までの作り笑いとは違う、心からの笑みを浮かべる。
真の意味での自分の『同類』を見つけた感動は、本人の想像以上に強いのだろう。
「これだけの機器があれば、私の持つ『コレ』の中身も見るのも容易に違いないな……」
「コレ?」
「……ソンネンと同じように、私にもいつの間にか手元にあった物があったという事さ。それがコレだ」
「そいつは……」
デュバルがポケットから出したのは、何処にでもあるごく普通のUSBメモリ。
見た目は何の変哲もないUSBに見えるが、これがソンネンの持つノートと同類の代物ならば話は一気に変わってくる。
「本当は、これを手に入れた直後にでも中身を確認したかったのだが、生憎と私の周りにはパソコンの類は一切無かった」
「あの孤児院にもそれっぽいのはねぇしな……」
孤児院にあるのは、精々がテレビやブルーレイレコーダーなどぐらいだ。
故に、あの場所で最も機械に詳しいのは間違いなく、この二人になる。
中身がどうであれ、五歳児が最も機械が得意なのは何とも言えない皮肉である。
「じゃあ、後で見てみる?」
「いいのか?」
「もっちろん! 私もその中身に興味があるし!」
「よかったじゃねぇか」
「あぁ」
「で・も。まずはコッチを見て欲しいな」
束が壁にあるスイッチを押すと、部屋の一角がスポットライトのような明かりに照らされる。
そこには、大きな布に覆われたナニカが鎮座していた。
「これは……」
「なんだぁ?」
「おい束……」
「ふっふっふっ~。そう焦らなくても見せてあげるよ。これこそが! この篠ノ之束の最高傑作! その名も……」
束が勢いよく布を取ると、その下から出てきたのは……。
「『
純白の装甲に包まれた一体の機械の鎧だった。
「な…なんだこれはっ!?」
まず最初に驚いたのは千冬。
今いるメンバーの中では最も機械とは縁遠い人間なだけに、その驚きも人一倍だった。
だが、そんな彼女の驚きを一発でかき消す光景が目の前に広がっていた。
「これはもしや、パワードスーツかっ!?」
「でもよ、その割には装甲が少なすぎやしねぇか?」
「大丈夫。装甲が少ない分は特殊なエネルギーシールドで補ってるから」
「Iフィールドみたいなものか……」
「ってことはよ、こいつは基本的に機動性重視ってことか?」
「まぁね。インフィニット・ストラトス、略してISって私は呼んでるけど、此れの本来の活動の場は宇宙空間だから」
「空間活動用のパワードスーツということか……」
二人の幼女の興味を一発で引いたようで、さっきまでの大人しさは完全に消え去り、まるで何かに取り憑かれたかのようにISをマジマジと見つめている。
さっきまで千冬の腕の中にいた筈のソンネンも、いつの間にか束の腕の中に移動していて、彼女に抱えられる形で上の方を凝視していた。
「とてもよく出来ている……。簡単に見ただけでも、まだまだ改善するべき場所が幾つか見受けられるが、それでも個人でこれだけの代物を作れるのは大したものだ」
「全くだぜ。動きやすさと操縦者の安全を両立させるなんてこと、そう簡単には出来ねぇぞ」
「うぅ……二人なら、きっとそう言ってくれるって信じてたよ……」
束が泣きながら二人を抱きしめる。
前回のように反射的なものではなく、感謝の意を込めての抱擁だった。
「でもね、さっきデューちゃんが言ったように、これには致命的な改善点が存在するんだよ」
「それは?」
「このISにはコアになる物体が存在するんだけど、そのコアが何でか女にしか反応しないんだよ」
「「はぁ?」」
女にしか反応しない。
それは即ち、女だけがこのISを動かせるということだ。
「別に私が意図してやったわけじゃないんだよね。最初はちゃんと男女両方でも起動できるようにしてたんだけど……」
「いざ完成したら、女にしか反応を示さなくなった…と」
「そうなんだ。一応の完成はしたんだけど、まだまだ沢山の改良と研究をしなくちゃ」
「ま、最初から完璧なものが造れれば誰も苦労なんてしないわな」
「ソンネンの言う通りだ。何事も、失敗と改良を繰り返していくものなのだ。研究の道に終わりなど無いのだから」
「さっすがはデューちゃん。深い事を言うねぇ~」
完全に置いてきぼりになっている千冬。
彼女には、三人が何を話しているのかさっぱり理解できない。
「これだけの機体を創り上げたのだから、学会などに発表はしたのか?」
「うん……したんだけど……」
急に束の表情が暗くなる。
「どれだけ必死に説明しても、データを見せても…机上の空論、子供の戯言だって言われたよ……」
「「ふざけるな!!」」
今度は二人が急に怒り出す。
「子供だろうが大人だろうが、科学の発展にそんな事は些細な問題だろうが!」
「世の中には大人でも考え付かないような偉業を成すガキ共が山ほどいるっつーことを知らねぇのかっ!?」
「私達もまだこれが実際に動く場面を見たわけではないから偉そうなことは言えんが、それでも! 何も見もせずに、確かめもせずに切り捨てるなど愚の骨頂だ!」
「クソッタレが…! いつの世も、生まれたばかりの異端の技術は蔑まれる運命なのかよ……!」
まるで自分の事のように怒ってくれている。
だたそれだけの事が凄く嬉しかった。
「二人とも……ありがとう……」
「お…おう……」
「どういたしまして……?」
泣きながら感謝の意を言われて、流石の二人も困惑する。
だが、千冬だけは分っていた。
(どんな経緯があったかは知らないが、私では出来なかったことをこの二人が成したことだけは分かるな……)
昔馴染みの親友の見せる少女の顔。
千冬はこの時、初めて束の素の部分を見た気がした。
「これ、武装とかってあるのか?」
「一応はね。ほら、スペースデブリとかを排除する為には必要不可欠だし」
「そうだな。回避運動だけではどうしても限界が来てしまう。そんな時の為にも最低限の装備は必須とも言えるだろう」
なんだか和やかな空気になった時、ふとデュバルとソンネンが揃って、ある言葉を呟いた。
「「真に価値ある技術は、正しく評価されるべきもの……」」
「なんだそれは?」
「私達二人の共通の『友人』がよく言っていた口癖みたいなものだ」
「……いい言葉だね、それ」
「私もそう思うよ」
「良くも悪くも技術バカだったけどな」
「いいじゃない、技術バカ。私も会ってみたいよ」
「へっ……。もしも、お前さんとアイツが会ったら、一日中でも話し込んでそうだな」
「違いない」
「いやいや。流石の私でも、それぐらいの分別は……」
しんみりとした空気はどこかに消え、ほんわかとした雰囲気に包まれる…が、それをブチ壊す事が突然に発生した。
部屋にある端末が何かを感知したようで、いきなり部屋中に警報のような音が鳴り響いた。
「えっ? えぇっ!? 一体全体何っ!?」
「束っ! この音は何だっ!?」
「私にも全く分らない……えぇっ!?」
「「どうしたっ!?」」
困惑しながら端末のディスプレイを確認した束の顔が急に凍りつき、冷や汗を流しながらゆっくりと彼女たちの方に振り向いた。
「こ…高熱源反応を多数確認って出てるんだけど……」
「「……っ!!」」
瞬間、デュバルとソンネンが全身のバネを使って飛び上がり、端末の近くにあった椅子に飛び乗った。
次回、歴史が動く。