インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
マイナーだけど有名で、実は地味に人気もあるキャラ。
そして、今回の『彼』は綺麗なバージョンの方です。
TSした場合のイメージは、テイルズ・オブ・エクシリアの女主人公である『ミラ・マクスウェル』です。
蒼い装甲を纏う少女が地面に倒れ伏す。
僅かな土煙が昇り、彼女の美しい顔が土で汚れるが、それを拭う事もしないで立ち上がり、自分を上空から見下ろしている人物を睨み付ける。
「それで終わりか! セシリア・オルコット!!」
「まだ…まだですわ! まだ私は戦えます!!」
視線の先にいたのは、セシリアと同じ金色の美しく長い髪を靡かせた少女で、彼女もまたセシリアと同じように青い装甲を身に纏っていた。
しかし、色は同じでも、その形状が余りにも違い過ぎた。
「まだやる気なんだ……懲りないねぇ~」
「私なら、あれだけの実力差をまざまざと見せつけられたら、すぐに降参しちゃうのに」
「あの子って、変な所でお嬢様っぽくないよね」
ここはイギリスにあるIS操縦者専門の訓練所。
そして、彼女達はイギリスに所属しているIS操縦者たちで、いずれは国を代表する選手を目指して、日々訓練に明け暮れている。
「確かに、オルコットさんは私達よりも実力はあるし、専用機を貰って代表候補生になったのも凄いって思うけど……」
「やっぱ、上には上がいるものかしら」
「私達から見ても、実力差が違い過ぎるって分かるわよ」
他の訓練生たちが端の方で話している間に、上空にいた少女が静かに降り立ち、セシリアの方を睨み付ける。
「私は…オルコット家の人間…! こんな事で倒れる訳には……!」
「口ではどれだけ強がっていても、脚が震えているぞ」
「こんなもの! すぐに治りますわ!」
対抗するようにセシリアも睨み付けるが、その圧倒的なプレッシャーに押し潰されそうになる。
「ほんと…容赦ないよね~…あの……」
「現イギリス国家代表の『ニムバス・シュターゼン』さんは」
「国家代表と代表候補生。近いようで遠い存在だよね」
「極めつけは、その専用機!」
少女達がニムバスの機体を観察するように視線を巡らせる。
「日本製の第二世代型量産型IS『打鉄』をベースにし、それを更に近接寄りにカスタマイズした少数生産のエース機『イフリート』」
「あの人は、それを見事に『
「重装甲で重武装なのに、驚く程に軽快な動きをするんだよね。なんでだろ」
「単純に、操縦者の技量なんじゃないの?」
本来ならばシールドとして機能している筈の肩部にある
更に、脚部には増加装甲が施され、そこには追加装備としてミサイルランチャーが装着され、両腕部にも二連装のグレネードランチャーがあり、近距離戦特化型の割には、かなり遠距離戦向けの武装が多い。
頭部にあるヘッドギアには立派な一本角があり、その目には専用のバイザーが装着してある。
「しかも、元は一振りだったヒートソードが二振りになって、接近戦じゃ本気で敵無しなのよね」
「そういえば、第二形態移行したって事は、同時に『
「そりゃ…ね」
「どんな能力なんだろ? まだ公式戦じゃ一度も出したことないよね」
「正真正銘の切り札なんだから、そうホイホイと出したくないだけなんじゃないの? よく知らないけど」
「ふ~ん……」
そうこうしている内に、セシリアが再び浮かび上がり、距離を取ってからの狙撃を試みるが、どれだけ狙っても全く命中する気配が無い。
「狙いが甘い!」
「なんで……どうしてっ!?」
地面をスライドするように高速移動し、易々と躱していく。
そして、脚を使ってブレーキを掛けながらのミサイル発射。
「しまっ……!」
急いで体勢を整えてから回避行動へと移るが、時すでに遅し。
ミサイルは彼女の目の前まで迫ってきていて、必死に避けようとするが、その奮闘も虚しくミサイルが全弾命中してしまう。
「あぁぁああぁああぁぁぁぁぁっ!?」
全身の装甲から火花を散らしながら地面に落下。
生身ならば大怪我必至だが、ISを纏っているお蔭で助かった。
「どうして、私がこんな事をしているのか分かるか?」
「そんなの…私に分かるわけ……」
「君の中にある『愚かな考え』を治す為だ」
「なんですって……?」
腰にマウントしているヒートソードを抜刀し、それをセシリアの眼前に突き付ける。
まだ、刀身は黒いままで赤熱はしていない。
「ハッキリと断言しよう。今のままでIS学園に行けば、君は間違いなく破滅する」
「破滅する…ですって……?」
「馬鹿げた選民思想を持つ人間が、遠い異国にて大成すると、まさか本気で思っているのか?」
「そ…それは……」
図星を付かれたかのように、セシリアは苦虫を噛んだような顔で俯く。
「君の境遇については色々と聞かされている。随分と苦労をしたようだな」
「そうですわ……私は…お母様が遺してくださったオルコット家を守る為に……」
「それは違う。オルコット家を残してくれたのは、君の御両親だろう」
「そんなこと! あの人はいつもお母様に頭が上がらなくて……情けなくて……」
「本当にそれが真実だと思っているのか?」
「え……?」
ニムバスの視線が鋭くなる。
だが、それは怒りによる感情ではない。
心から呆れているのだ。
「今の世で、男性が不遇な立場に追いやられているのは君も知っているだろう」
「えぇ……」
「一体どこに女尊男非の連中が潜んでいるか分らない。もしかしたら、君の母君の会社にもいたかもしれない。そんな輩がいる前で夫婦円満な姿を見せつけたらどうなるか、分からない君じゃない筈だ」
「あ………」
今や、女性の社会的な力は非常に強くなっている。
だが、それは全ての女性が該当しているわけではない。
男性を下に見ず、これまで通りに仲良くしている人々だって多く存在しているのだ。
しかし、そんな女性たちは女尊男非思想の女性たちに追いやられ、最終的には破滅の道を辿っていた。
「ま…まさか……お父様は……お母様を守る為に…わざと……」
「それだけじゃない。娘である君を守る為でもあるだろう。全て、私の憶測にすぎんがな」
「わ…私は……なんてことを……」
終わった。
そう感じたニムバスは、剣を納めてその場から立ち去ろうとした。
だがしかし、妙な物音を聞いて、その足を止めた。
「まだ…ですわ……!」
「なに?」
ふと後ろを向くと、そこには先程までの迷っていた少女はおらず、一人の戦士が立っていた。
ライフルを杖代わりにして、体が疲労やダメージで痙攣しているが、その目は決して死んではいなかった。
「何が真実なのか…私には分かりません。けど……自分の目で見てきたものだけが全てだと思うのは、これで止めにします……!」
「ほぅ……?」
「それに、まだ試合は終わっていません! ブルー・ティアーズのSEは僅かではありますけど、残っていますわ!!」
「ほんの少しの間に、随分と見違えるようになったな。それでこそ、代表候補生だ」
ブルー・ティアーズにはビットと呼ばれる無線誘導兵器が搭載されている。
と言っても、これまでの攻防でその殆どが破壊され、残っているのは二基だけとなっているが。
その残された二期がセシリアの傍で浮遊し、その銃口をニムバスへと向けている。
そんなセシリアの顔を見て、ニムバスは嘗ての宿敵と、自分が前世にて出逢った一人の少女の事を思い出していた。
(嘗て、私は愚かな妄執に憑りつかれ道を誤り、その結果として君を救うことが出来なかった……。祖国を、仲間を、君と私を裏切ったクルストがどうしても許せなかった! しかし、それは間違いだった。憎しみの感情では誰も救えない。誰も守れない。そんな簡単で当たり前の事を、君と『アイツ』に教えられた……)
両腰のマウントラックから二振りのヒートソードを外して両手に装備した。
その刀身は真紅に燃え上がり、まるでニムバスの心を表しているようだった。
(だが! もう二度と道を違えたりはしない! あの時、君の事を真の意味で救ったアイツのように、私も彼女の事を救ってみせる! だから……)
腰を低くし、いつでも突撃出来る体勢を取る。
この場にいる誰もが分かった。
この一撃で戦いが終わると。
「もう一度だけでいい……私に力を貸してくれ! マリオン!!」
(大丈夫。貴女の気高さと優しさが、きっと彼女の心を解き放つ……)
声が聞こえた。
とても懐かしく、とても暖かな声が。
「イフリートよ! 今一度……その『力』の全てを解き放て!!!」
その時、イフリート改のバイザーが真っ赤に染まり、機体から無機質な音声が聞こえてきた。
【EXAM SYSTEM STANDBY】
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
機体全体が赤いオーラに包まれ、一気にニムバスの纏う雰囲気が変わる。
これがニムバス・シュターゼンの本気。
イフリート改が凄まじい速度で迫るが、セシリアは全く怯むことなく、そのままビットに攻撃命令を出す。
「目標はあそこですわ! お行きなさい! ティアーズ!!」
たった二基だけとなったビットではあるが、その動きはこれまでとは比べ物にならない程に機敏で正確。
本当にセシリアの意志が宿っているかのような動きでニムバスへと攻撃を仕掛けるが、今の彼女の前では無意味に等しかった。
「そこだ!!」
脚部にあるミサイルを全弾発射。
その圧倒的な弾幕の前にビットは敢え無く破壊。
残ったミサイルもセシリアに向かって飛んでくるが、彼女は緊急浮上して、それをなんとか回避する。
しかし、流石に全ては避けきれず、何発かは命中してしまう。
それにより周囲に煙が発生して視界が一気に悪くなるが、それもほんの一瞬の事。
セシリアの目の前で赤く鈍い光が灯ったから。
「そうはさせませんわ!!」
「その程度で私の剣を止められると思うな!!」
咄嗟にライフルでガードするも、最大出力のヒートソードによって呆気なく切断される。
けれど、これで最大の攻撃は防いだ……と思われたが、ニムバスはそう甘くは無かった。
「まだだ!!」
(か…体を大きく回転させて……そのまま二撃目を放ってきたっ!?)
次の一撃は遠心力も加算され、一撃目の時以上の攻撃力となった。
まさか、こんな方法での連続攻撃が来るとは予想できず、そのまま胴体部に直撃して地面に叩きつけられる。
「これで最後だ!!」
トドメと言わんばかりに、最後は両腕のグレネードランチャーを撃ち込む。
完全に行動不能となっているセシリアに避ける術がある筈も無く、その一撃にて決着となった。
「完敗…ですわ……。流石は国家代表……」
「伊達に国の旗は背負っていないと言う事だ。だが、最後辺りの君の動きも悪くなかった」
「貴女ほどの人物にそう言われると……必死になった甲斐がありますわ……」
ティアーズのSEが完全に無くなり、待機形態へと戻る。
それに合わせて、イフリート改もまた待機形態へと戻った。
因みに、イフリート改の待機形態は青い色の剣を模したイヤリングだ。
「どれ。私がピットまで連れて行ってやろう」
「だ…大丈夫ですわ!」
「余り強がるな。疲労でもう碌に体を動かせないんだろう? そんな風にしてしまったのは私だ。責任を持ってピットまで送り届けよう」
「あ…ありがとうございますわ……」
なんと、ニムバスはいきなりセシリアをお姫様抱っこして、そのままの状態で歩き出した。
最初は抵抗していたセシリアだったが、すぐに無駄だと悟り、顔を真っ赤にしながら静かに運ばれることにした。
「今の君ならば、日本に行っても大丈夫だろう」
「ニムバスさん……」
「家に戻ったら、試しにご両親の遺品でも調べてみるといい。もしかしたら、何かが出てくるかもしれないぞ」
「そう…ですわね。はい、そうしますわ」
この後、ニムバスに言われた通りにセシリアは両親の遺品を整理してみると、その中に自分宛ての手紙を発見した。
そこには、当時の両親の心境や、自分達がどう思われているのかなどといったことが事細かに書かれていた。
それで知った。父の態度は全て、家族を守る為の演技だったのだと。
本当は誰よりも家族を愛している立派な父だったのだと。
手紙を読みながら、セシリアは涙を流して父への謝罪の言葉を繰り返し、自分も同じように愛している事を呟いていた。
その日以降、セシリアは生まれ変わったかのように心を入れ替えて、微塵も男を見下すような事はしなくなった。
それにより、彼女の国でも評価も一気に上がり、ファンも沢山出来たとか。
因みに、自分が生まれ変わる切っ掛けをくれたニムバスの事を意識しない訳も無く、完全無自覚の淡い片想いを抱いている。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
それから時は経ち、IS学園の第1アリーナ。
そのステージ内で、二人の少女がISを纏って対峙していた。
「まさか、こんな形でまたお前と再会するとは思わなかった」
「それはこちらのセリフだ。しかも、そんなISまで装備して」
「それこそお互い様だろう」
目の前には、全身を青く染めている改造されたと思われるラファールが。
他の人間ならばいざ知らず、ニムバスには分かっていた。
アレが『あの機体』を模したものだと。
「今のお前の目からは、あの時感じた憎しみが見えない。お前も変われたんだな……」
「お前とマリオンのお蔭だ。感謝するぞ……ユウ・カジマ」
敵や味方を超越した場所にいる、文字通りの宿命のライバル。
凛々しく力強い、黒い髪の少女。
何から何まで、ニムバスとは対照的だった。
「では……始めるか」
「そうだな。この新しい体と機体で今一度、剣を交えようではないか」
「ジオンの騎士としてか?」
「いいや違う。一人の戦士としてだ!」
「いいだろう……それならば、今この時だけは、余計な事は考えずに戦おう」
観客席にて多くの生徒達が見守る中、試合開始のブザーが鳴る。
その瞬間、二人の機体が真っ赤に燃え上がった。
「「EXAM…起動!!!」」
そんな訳で、番外編5人目の主人公は、Gジェネなどで一躍有名になったジオンの騎士こと『ニムバス・シュターゼン』でした。
個人的にもかなり好きなので、ずっと前から出そうとは思ってました。
ここでのイフリート改は、打鉄ベースの改造機が更に進化した感じになってます。
EXAMシステムもあるので、普通に超チート仕様。
最後の方にはゲストとしてユウも出しました。
ユウのTSイメージは『メモリーズオフセカンド』のヒロインの一人である『寿々奈鷹乃』です。
勿論、乗っているのはラファールを改造した『ブルーディスティニー』の一号機仕様です。
こっちもめっちゃ強いです。当然のようにEXAMもありますし。
次回からようやく原作突入。
私…マジで頑張れるのかしら?