インフィニット・ストラトス IS IGLOO   作:とんこつラーメン

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今回、ようやくお披露目です。

え? 何をですって?
 
そりゃ勿論、皆大好きな技術屋さんです。

もう完全に彼が『彼女』になった姿は私の中で固まりました。

後は突き進むのみです。






入学おめでとう

 IS学園の生徒会室。

 そこで、一人の金髪美幼女が窓の外の景色を眺めながら、静かに呟いた。

 

「長かった……本当に長かったな……」

 

 テーブルの上にある書類を手に取り、それをじっと見ていく。

 もう何度となく同じような事を繰り返してはいるが、それでもまだ興奮が冷めやらないのか、ニコニコ笑顔で椅子に飛び乗る。

 彼女の背的に、そうでもしないと椅子に座れないから。

 

「また言ってるのね。これで何回目かしら?」

「いいじゃねぇか。待ちに待った時なんだ。そりゃ、興奮もするさ」

 

 水色の髪の少女と、その隣に座っている眼帯を付けた黒髪の少女が微笑ましいものを見るような目で金髪美幼女を見つめる。

 それでハッとなった彼女は、咄嗟に書類を戻してから恥ずかしさを誤魔化すようにワザとらしい咳払いをした。

 

「べ…別に私は興奮なんてしていない。軍人たる者、いついかなる時も冷静にだな……」

「はいはい。分かってるわよ。でも、今の貴女は軍人じゃなくて『女子高生』でしょ?」

「それは…そうだが……」

「今年で『三年生』なんだ。最後の年ぐらいは高校生らしくしてもいいんじゃないか? なぁ?」

「そうですね。偶には女の子らしく過ごしてもバチは当たらないと思いますよ。『会長』」

 

 彼女を『会長』と呼ぶ、黒髪で眼鏡な少女も同意する。

 だが、美幼女はそれを真っ向から拒絶した。

 

「いや。残念だがそれは不可能だろうな」

「なんでだ?」

「それはお前が一番よく分かっているんじゃないか?」

「…………」

「今年、遂に『彼女達』がやってくる。残念ながら、私の『相棒』は少し遅れるようだが、それは些細な問題だ。重要なのは、ようやく我々が『集う』という事。この一点だ」

 

 眼鏡の少女が淹れてくれた紅茶をそっと一口。

 まだ少しだけ熱かったようで、口に入れた途端に小さな声で『あひゃ』と言ってしまったが、我慢をして何も無かったことにしようとする…が、他の少女達にはちゃんと聞こえていた。

 

(『あひゃ』って言った)

(今日も会長…可愛過ぎじゃない?)

(本気で一生、付いていきます…♡)

 

 約二名が変な事を考えているが、ここはスルーしよう。

 

「長かった……本当に本当に長かった。『彼女達』と再会し、『亡霊共』が本格的に動き出し始めてから三年の月日が経過した。あれから、私はこの『IS学園』に入学し、奴等との『決戦』に備えて着々と準備を進めてきた」

「まずは、入学して早々に当時の生徒会長を多方面から圧倒し、あっという間に生徒会長の座に上り詰めた。そうして最初に行った事がIS学園内の『掃除』から…でしたね。密かに潜り込んでいた『女尊男非』思考の生徒や教師を見つけ出してからの徹底排除」

「上層部にも真っ向から意見を言って、今後は入試の面接の段階で女尊男非思考の受験生は即座に不合格にするようにした」

「それ以降も、これまででは決して考えられないような改革を行い、今では完全に『生徒会長』の地位を不動の物とした。本当は私がなりたかったんだけど、まさか手も足も出ないとは思わなかったわ。同じ『国家代表』なのに、この天と地ほどの実力差は何なのかしら」

「経験の差だ。それ以外にない」

「それを言われると、何にも言えないじゃない。だって、何をどうしても埋めようがないんですもの」

 

 流石に、どれだけ才能が有っても、実際の戦場で培った経験には敵わない。

 その経験者が超一流の軍人で戦士ならば尚更だ。

 

「そう言えば、今年はお前達の妹も入学するのだったな」

「そうよ。私の可愛い自慢の妹なんだから」

「あの子は……他の子達に迷惑を掛けないか心配です……」

 

 同じ姉なのに、この反応の違い。

 

「ふん。可愛さならば私の『相棒』も負けてはいない」

「いやいやいや。ここで自慢大会しあってどうすんだよ」

「「う……」」

 

 眼帯の少女の一言で『自慢大会』はすぐに収束した。

 もしも放置しておけば、一日中でも語り合っていたに違いない。

 

「と…ともかく、これでようやく、全ての準備が報われる時が来たという事だ」

「会長の自慢の『仲間』の子達…ですものね。自然と期待しちゃうわ」

「フッ……彼女達ならば、必ずやお前の期待に応えてくれるだろうさ。『副会長』」

 

 この発言で、徐々にではあるが、この場における力関係が明らかになってきた。

 『会長』が美幼女で、『副会長』が水色の髪の少女。

 恐らく、他の二人もなんらかの役職についているのだろう。

 

「そう言えば、今年は『例の男子』も入学するのだったな」

「あぁ……現在進行形で大騒ぎしている『ISを動かした男子』ね」

「確か、織斑先生の弟さんなんですよね?」

「あの人、その関係で大忙しみたいだな。この前なんて目の下に隈を作って抱き枕にしてたぞ……会長を」

「「え?」」

「まぁ…あの人とは色々と長い付き合いだしな……生徒会長として少しは労ってやらなくてはと思って、大人しく成すがままになっていたよ……」

「「羨ましい……」」

「「え?」」

 

 明らかに聞き捨てならない言葉が聞こえた気がした。

 その手の事だけは絶対に聞き逃さない彼女達なので、間違いないだろう。

 

「……ともかく、色々な意味で大変なのはこれからだ、ということだ。これまで以上に気を引き締めていかなくてはな」

 

 なんか収集がつかなくなりそうなので、無理矢理にここで締めにすることに。

 

「そうね。これから頑張っていきましょ。ヘルベルト・フォン・カスペン生徒会長」

「そちらも頼むぞ。『更識楯無』副会長」

 

 ここでようやくの名前公開。

 そう、あれからIS学園に入学をしたカスペンは、本当の意味で生徒達の頂点に君臨していた。

 しかも、『歴代最強の生徒会長』として。

 

「そこの二人も頼むぞ。虚、アレク」

「あいよ。雑用は任せときな」

「なんなりとお申し付けください。会長」

 

 片方はもう分かりきっているとは思うが、あの『砲術長』こと『アレクサンドロ・ヘンメ』である。

 彼女もまた予定通り、カスペンの後を追うようにしてIS学園へと入学していた。

 因みに、楯無とはクラスメイトの間柄である。

 

 そして、もう一人が本音の姉である『布仏虚』で、彼女はカスペンと同じ三年生でありクラスメイトでもある。

 一年の頃からの付き合いなので、二人はかなり仲がいい。

 実際、カスペンの専用機の整備を専属で担当しているのが彼女だったりする。

 

「もうすぐ入学式…か。ここから始まるのだな……」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「早くしろ! 遅れてしまうじゃないか!」

「ちょ…待ってくれって! もうちょっとだから!」

 

 所変わって、場所は毎度御馴染みの孤児院。

 そのロビーにて、一夏が着慣れていないIS学園の男子制服に悪戦苦闘しているのを、イライラしながら待っているデュバルと、それを端から眺めているヴェルナー&ソンネンと孤児院の子供達。

 

「確かに、この制服はかなり特殊だけどよ……」

「制服の改造が普通に認められてるって凄いよな。何気にソンネンは着物風に改造してるし」

「私服が和服だらけだったからな。こっちの方が着心地がいいんだよ。そういうヴェルナーだって、セーラー服みたいに改造してるじゃねぇか」

「これでも一応『元海兵』だからな。こっちの方がしっくりくる気がして」

「けど、ジャン姉さんは全く改造をしてないのよね。勿体無い……」

 

 この説明通り、三人の着ている制服は三者三様に変わっていた。

 しかも、それがまた似合っているのだから凄い。

 

「全く…ジッとしていろ。私がしてやるから」

「わ…悪い……」

「そう思うのなら、今度からは一人で着られるようになるんだな」

「努力します……」

「お前の『努力します』はイマイチ信頼性に欠けるからな。前に参考書を電話帳と間違えて捨てようとしたのがいい証拠だ」

「うぐ……!」

「あの時、ソンネンが気が付かなければ、今頃は大変なことになっていたんだぞ? 自覚しているのか?」

「あぁ……あの後、三人から散々、叱られたからな…千冬姉からも」

 

 どうやら、悪い意味で一夏は順調に進んでいるようだ。

 それも未然に防がれているが。

 

「これでよし…っと。よし、とっとと行くぞ。早くしないと、本当にモノレールの時間に遅れてしまう」

「わ…分かった!」

「そこの二人も行くぞ」

「「はーい」」

 

 ようやく出発する四人。

 壁に掛けられている時計を見ると、割とギリギリだった。

 

「にしても、さっきのお前ら、まるで朝出かける前にイチャイチャしてる新婚夫婦みたいだったな」

「「なっ…!」」

 

 ヴェルナーの不意の一言で顔を真っ赤にするお二人さん。

 特に一夏の方は、無自覚の内に三人娘の事を異性として意識し始めているので、その動揺っぷりは凄かった。

 

「な…何を言っているんだお前は! からかってないで早く行くぞ!」

「へいへい」

 

 照れ隠しで怒ってはいるが、その顔は真っ赤のまま。

 結局、モノレールに乗ってIS学園に到着するまで、ずっと顔が真っ赤だったデュバルと一夏なのであった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 IS学園 講堂内。

 ここは基本的に、全校集会や様々な式が執り行われる時に使用される場所で、当然のように入学式もここで行われていた。

 

「次は、生徒会長から新入生の皆さんに向けての祝辞です。では、どうぞ」

 

 進行役の虚により、檀上に背の低い金髪美幼女…カスペンがゆっくりと上がっていった。

 それを見たデュバル達以外の新入生達は困惑し、僅かではあるがざわめき始める。

 逆に、彼女の事を知っている面々は、その光景を当たり前のように見ていた。

 

(やっぱりとは思ってはいたが……)

(案の定、生徒会長になってやがったか)

(ま、あの人の下なら喜んで付いていくけどな)

 

 元々からカスペンに対する信頼度も信用度もカンストしている三人娘からしたら、今の状況は当たり前のように感じていた。

 

「ようこそ諸君。まずは入学おめでとうと言わせて貰おう。そして、自己紹介をしておかねばな。私はIS学園生徒会長の『ヘルベルト・フォン・カスペン』。会長職をするのは今年で三年目になる」

 

 それを聞いて会場は騒然となった。

 今の言葉が本当ならば、カスペンは一年の頃から生徒会長をしていた事になるから。

 

「このIS学園は良くも悪くも実力主義社会だ。強い者、優秀な者ほど上に行き、努力を怠った者は例外なく落ち零れていく。それは何も成績だけに限った話じゃない。役職などもそうだ。実際、私は前生徒会長を一年の頃に実力で排し、今の地位に立っている」

 

 なんつーことをしてんだ。あの美幼女さまは。

 三人娘は全く同じことを心の中でツッコんだ。

 

 因みに、一夏は緊張の余り、全くカスペンの話が耳に入ってきてないようで、さっきからずっと視線が泳ぎまくっている。

 

(ん? お…おい。あれは……)

(あの見覚えのある髪型は…まさか…)

(箒の奴…なのか?)

 

 一夏の事を気に掛けて様子を見ている時、ふと目に入った見た事のある後姿を見つけたソンネンは、他の二人にそっと伝える。

 すると、二人もまたすぐに気が付いたようで、少しだけ驚きを隠せないでいた。

 

(げ……)

(どうした?)

(いや…なんでもない)

 

 視線を元に戻そうとした時、これまた見覚えのある顔を見つけてしまったソンネン。

 だがすぐに見なかったことにして前を向いた。

 

(そういや、あいつらもここに入学するって大佐が言ってやがったな……。にしても、全く変わってねぇじゃねぇかよ…モニク…)

 

 その後、ソンネンも一夏と同様にカスペンの祝辞が上手く耳に入らないようになってしまった。

 

 結局、そのままの流れで入学式は進み、終了していった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 入学式が終わると、新入生達は講堂を出て、それぞれに割り当てられた教室へと向かう。 

 新入生達の群れに混じってデュバル達も自分達の教室へと向かおうとしていた。

 

「あれ? 一夏はどうした?」

「さっき、女子達の集団に流されて行ってしまった」

「大丈夫なのか…?」

 

 試験会場の悪夢を思い出した三人ではあったが、流石にあれから一夏も学習していると思い、ここは敢えて信じてみる事に。

 

「箒の奴も…行っちまってるみたいだな」

「少なくとも、周りにはいないな」

「なに。同じ学園にいる以上は、必ず会えるさ」

 

 ヴェルナーの言う事も尤もなので、箒を探す事は止めて先に進むことに。

 その時だった。

 

「ちょ…ちょっと待ってください!」

「「「ん?」」」

 

 物凄く聞き覚えのある声で呼び止められた三人。

 何事かと思って振り向くと、そこには赤毛の髪を纏めた一人の少女がいた。

 

「その顔……大佐が見せてくれた写真と同じ……ってことは……」

「君は……」

「モニクか……」

「あぁ…あの特務大尉さんか」

 

 モニク・キャデラック。

 三人共通の友人にして、共に死線を潜り抜けてきた戦友。

 

「貴女がデュバル少佐…なんですね」

「そうだ。久し振りだな、大尉」

「えぇ…本当にお久し振りです」

「君達の事はカスペン大佐から聞かされているよ。私達と同様に生まれ変わり、こっちに来て、更にはIS学園に来ることになっていると」

「私達もです。最初に聞かされた時は驚きました。で、そこのセーラー服っぽい改造制服を着ているのが、ホルバイン少尉ね」

「おう。まさか、オレの事を覚えていてくれて光栄だ」

「貴女みたいな濃いキャラ、そう簡単に忘れられないわよ。そして……」

 

 一瞬だけ表情が沈んでから、モニクはソンネンの方を見た。

 

「足が不自由になって車椅子生活をしているというのは本当だったんですね……ソンネン少佐」

「まぁ…な。元気そうじゃねぇか」

「そちらこそ。………知ってたんなら、ちょっとは連絡よこす努力とかしなさいよね……バカ」

 

 僅かに涙が滲んだが、すぐに袖で拭ってなかったことにした。

 そこに、後ろから二人の少女達が慌ててやって来た。

 

「大尉~! なんでそう急ぐンスか~…って、デュバル少佐っ!?」

「そのリアクション……それが今の君の姿か。ワシヤ中尉」

「うす! お久し振り…っていいのかどうか分からないッスけど」

 

 性別が変わっても、中身は全く変わってないワシヤを見て、ある意味で安心した。

 変化するのも大事だが、そればかりがいいとは限らない。

 

「で、そこの褐色美少女がホルバイン少尉だろ? うわ~…なにこの健康美。普通にめっちゃ可愛くなってるし」

「そっちも、なんかお嬢様って感じになってるぜ。中尉さんよ」

「そっか? いや~…なんか照れるな~!」

 

 見た目は本当に『お嬢様』なのに、中身のテンションが高すぎる。

 ここまで容姿と性格のギャップが強い人間のまた珍しい。

 

「ってことは、そこにいる金髪のお嬢ちゃんが……」

「はい。ボクには分かります。どれだけ姿形が変わっても、貴女達自身は何も変わっていない……。本当に…本当に会いたかった……。会って、お礼を言いたかった……」

 

 金色の美しく長い髪を揺らし、青く綺麗な瞳と白い肌が眩しい清楚な美少女。

 容姿も性格も純真無垢を体現したかのような存在だった。

 

「この姿では初めまして。そして、お久し振りです」

 

 感動の余り、涙腺が緩くなって一筋の涙が頬を伝い、可愛らしい笑顔を浮かべて挨拶をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オリヴァー・マイ技術中尉…IS学園に入学致しました。これから改めて、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと出せたぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!

実は、私の中でオリヴァーのTSした姿は二転三転していまして、最初はFGOのデオンくんちゃんにしようと思っていたのですが、色々と調べていく内に彼(彼女?)の声優が楯無と同じ『斉藤千和』さんだと分かって、すぐに却下しました。
ウチのカルデアにはデオンくんちゃんがいないのが災いしました。

すぐに次の候補を探している時に、私の目の前に一つの作品が舞い降りました。
清楚で可憐で、可愛くて金髪美少女。
出番は多いけど、そこまで強い印象は無い。
けれど、皆に愛されている存在……これだ!!

そんなわけで、TSしたオリヴァーの容姿のモデルは『ゴブリンスレイヤー』に登場するメインヒロインである『女神官』ちゃんになりました!

次回辺り、改めて転生した第603技術試験隊のメンバーのイメージCVを記載しようと思います。
どうか、脳内再生に活用してください。



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