インフィニット・ストラトス IS IGLOO 作:とんこつラーメン
ついでに、同じように探していたHGUCジェガン(エコーズ使用)も。
やっぱヅダはカッコいいですね。
本気で痺れました。
予定通り、デュバル達を筆頭とした新入生達は放課後に生徒会室へと向かっていた。
「生徒会室か。職員室とはまだ別の意味で緊張するな」
「生徒会に入ってないと、行く機会なんて滅多に無いからな」
「それはいいけど……」
ソンネンはジト目で前方を悠々と歩く本音を見た。
実は、さっきからずっと彼女が集団を先導していたのだ。
「どうしてオレ達と同じ新入生である筈の本音が、生徒会室の場所を知ってるんだ?」
「あれ~? 言ってなかった?」
「何をだよ」
「私~…生徒会役員なんだよ~」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
いきなりの衝撃発言に、思わず全員が無表情になる。
「因みに役職は?」
「書記ぃ~」
(((絶対に無理だろ……)))
どんなに頑張っても、本音が会議などでホワイトボードの前で字を書いている姿が想像出来ない。
歴戦の三人娘でも、流石に不可能な芸当だった。
「本音ちゃんが生徒会ね~…いいんじゃないか?」
「でしょでしょ~? ワッシーはわかってますな~」
「「はっはっはっ!」」
もう一生、二人でコントしてればいいと思う。
美少女漫才師として意外といい線までいけるかもしれない。
「……大佐も大変だな」
「全くだ……」
これから会いに行くカスペンの気苦労を考え、静かに天井を見つめるデュバルとソンネンであった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ついたよ~」
「ここがそうなんだね」
到着した生徒会室の扉は、機能性重視の機械的なデザインである他の部屋とは違い、趣を重視したかのような西洋風の扉になっていた。勿論、手動。
「コンコ~ン。皆を連れてきたよ~」
軽くノックをしてから、本音が重々しい扉を開ける。
片手で開けていた事から、見た目に反して実は軽いのかもしれない。
「かいちょ~。おね~ちゃ~ん。来たよ~」
「よく来たな本音。そして……」
生徒会室の中には、大きな楕円形の円卓が中央にドンッと置いてあり、その周りに椅子が並べられ、壁に沿って棚や観葉植物などが置いてあった。
その円卓の中央にて腕を組んで堂々と座っているのが、我等が美幼女生徒会長であるヘルベルト・フォン・カスペンである。
「待っていたぞ、諸君」
全員の顔、特に自分の同志である603技術試験隊のメンバーを見た途端、すぐに少女らしい笑顔を浮かべた。
普段は規律正しくしている彼女が素を見せれる、数少ない者達だから当然かもしれない。
「おぉ…入学式において壇上に登っている姿を見た時も相当だったが……」
「こうして近くで見ると、破壊力が桁違いですわね……」
「うん……凄く可愛い……」
剣道少女である箒も、英国貴族であるセシリアも、物静かな簪も、元を辿れば普通の女の子なのだ。
遺伝子に刻まれた本能として、可愛いものには目が無かった。
「へぇ~。こいつらがお前が話してた新入生か? 楯無」
「そうよ、ヘンメちゃん」
「ヘンメ? まさか……」
少し離れた場所に楯無と一緒に座っていた、スタイル抜群の眼帯の美女。
ドイツから来たメンバーはともかく、ずっと日本にいた者達にはすぐには分からなかった。
「お久し振りですね。ヘンメ大尉」
「おう。お前達も元気そうだな」
「やっぱり、彼女がそうなのか?」
大人びた笑みを浮かべながら立ち上がり、皆の元まで歩いていく。
「お前達とは『初めまして』だよな。オレが『ヨルムンガンド』の運用を任されているヨーツンヘイムの砲術長『アレクサンドロ・ヘンメ』だ。一応、元の階級は大尉だった。よろしく頼むぜ、お三方」
そっと差し出された手を握りしめ、しっかりと握手をしていく三人。
自分達よりも先に隊に配属され、仲間達を守ってくれた彼女には感謝の念しかない彼女達は、この出会いをずっと待ち焦がれていた。
「こちらこそよろしくお願いします。ジャン・リュック・デュバル少佐です」
「なんだか、アンタとは気が合いそうだな。デメジエール・ソンネン少佐だ」
「ヴェルナー・ホルバイン少尉だ。あんた、本当に高校生かよ? パッと見、OLとかにしか見えないんだけど」
「はっきりと言うじゃねぇか。そう言う奴は嫌いじゃないぜ。それと、オレの場合は人よりも発育がいいだけだ。気にすんな」
「「「発育がいい……」」」
そう言われて、思わず三人は箒の方を見る。
彼女達の身近にも『発育がいい』少女が存在したのをすっかり忘れていた。
「お前さん達もよろしくな。こいつらと仲良くしてくれると嬉しい」
「は…はい! こちらこそよろしくお願いします! 篠ノ之箒です!」
「セシリア・オルコットですわ。よろしくお願いいたします」
「更識簪です。こちらこそ、お姉ちゃんをよろしくお願いします」
「簪ちゃんっ!?」
明らかに雰囲気の違う二年生に緊張する箒と、優雅に挨拶をするセシリア。
こればかりは経験の差なので仕方がない。
しれっと姉の事を引き合いに出す簪は流石のやり手である。
「立ち話は其処までにして、そろそろ座るといい。虚」
「はい、会長」
「彼女達に紅茶を淹れてやってくれ」
「畏まりました」
丁寧にお辞儀をして、虚が静かに奥の部屋へと去っていく。
「あの人は?」
「彼女は三年生の『布仏虚』。そこにいる本音の二つ上の姉だ」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
ここでまたもや黙る面々。
数秒後、モニクが代表して本音の肩にそっと手を沿える。
「大丈夫。いつの日かきっといい事があるわよ」
「???」
謎の励ましに疑問符しか浮かばない本音だった。
「で、其処の男子はどうしてずっと黙っている?」
「な…なんで小学生がここにいるんだ……?」
「あ?」
前にも言ったが、一夏は入学式の時、ガチガチに緊張していて碌に話を聞いていないばかりか、檀上に登っていたカスペンの事も全く見ていない。
つまり、これが彼が初めてカスペンを見た瞬間だったのだ。
何も知らない彼が、見た目完全美幼女な現役高校生であるカスペンを見て、このような反応をするのは当然の事だった。
「あ~あ。オレ知~らね」
「え? え?」
「織斑君…この人こそが、IS学園の生徒会長で三年生のカスペン先輩よ」
「せ…生徒会長で三年生っ!? マジでッ!?」
「マジだ。確かに、自分の容姿が幼いのは自覚があるが、別に飛び級をしたわけでもなく、特別な事情があるわけでもない。私は正真正銘、立派な18歳の現役高校生だ」
ダメ押しで自分の生徒手帳を見せつける。
それを見て、一気に一夏の顔が青く染まった。
「す…すんませんでした! 人の見た目に何か言うなんて最低な事なのに…俺……」
「なに、ちゃんと謝ってくれれば、私としては何も文句は無いよ。ただし……」
「た…ただし?」
カスペンの目元に謎の影が出てきて、何故か『ゴゴゴ……』という効果音まで出てきた。
「君にはドイツにいた頃に私達が散々した『織斑教官直伝トレーニング』を叩き込んでやろう♡」
「めっちゃ根に持ってたよ、この人っ! つか、今なんて言いましたッ!? 千冬姉直伝っ!?」
「君も、織斑先生が少し前にドイツに渡って軍の教官をしたのは知っているだろう?」
「それはまぁ……」
「その時、彼女が来たのが、私が隊長を務めている部隊なのだよ」
「二重の意味でうそ~んっ!? 会長って軍人なんですかッ!?」
「その通り。私はドイツにおいて特殊部隊の隊長を務め、同時にドイツの国家代表でもあるのだよ」
「しかも国家代表ッ!?」
「因みに、そこで鼻血を出して恍惚の笑みで気絶している楯無は、自由国籍にてロシアの代表となった猛者だ」
「それもそれで凄いけど……会長と違って全く威厳を感じない……」
さっきのカスペンの笑顔が楯無の心にクリーンヒットし、彼女はだらしない笑顔のまま気を失っていた。
当然、その光景を一部始終見ていた簪は、絶対零度の瞳で姉の事を軽蔑していた。
「もう…どこからツッコんだらいいのやら……千冬姉……回り回ってとんでもない事をしやがって……」
「大丈夫よ。五ヶ月もすれば体も慣れるわ」
「ま、確実に強くはなれるな。先に体が潰れなきゃ…だけど」
「頑張れ」
「全く感情が籠ってない激励を受けても全くやる気が出ないんですけどッ!? つーか、アンタ等もやった事あるのかッ!?」
「「「うん」」」
チフユ・ザ・ブートキャンプ改め、カスペン・ザ・ブートキャンプ。
現在も参加者絶賛募集中。
詳しい事はIS学園生徒会まで。
「なに、私は三年生だから卒業までの一年間しか時間は無いが、終わった頃には口癖が『ジークジオン!』になるレベルには鍛え上げて、何処に出しても恥ずかしくない立派なジオン軍人にしてやる」
「別に俺は軍人になる気は全く無いんですけどッ!? っていうかジオンって何ッ!?」
全員集合したことで柄にもなくはしゃいでいるのか、カスペンの怒涛のボケの連続に一夏がツッコむという形が完全に生まれていた。
意外と気が合う二人なのかもしれない。
「あら。なんだか賑やかですね。どうしたんですか?」
「ウチの会長が後輩で遊んでるだけだよ」
「まぁ……ふふふ……」
人数分の紅茶とお茶請けを持ってきた虚が騒ぎに気が付くが、傍までやって来たアレクから事情を聴き、二人揃って子供を見守る母親の様な慈しみの視線で皆を眺めていた。
・・・・・
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・・・
・・
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「「「「「「「「「美味しい!!」」」」」」」」」
場が何とか収束し、虚の淹れた紅茶を皆で飲むと、全員がその味に思わず声を上げてしまう程に感動した。
「これが紅茶なのか……。これまでに余り飲んだ経験はないが、ここまで美味な飲み物なのか……」
「いえ。これは単純に布仏先輩の腕が非常に優れているからですわ。これ程の味を出せる紅茶…イギリスでもどれだけあるか……」
「本場の方に褒めて頂いて光栄です」
普段から緑茶などしか飲まない箒にとって、虚の紅茶は余りにも衝撃的で、今まで数多くの紅茶を嗜んできたセシリアですら驚きを隠せないレベルに美味だった虚の紅茶。
気が付けば、あっという間にカップが空になる。
「本音ちゃんのお姉さんはスゲェな……」
「えへへ~…自慢のお姉ちゃんなんだ~」
「そっかそっか」
まだ出会って二日しか経過してないのに、もう長年連れ添った親友同士のように仲がいい本音とワシヤ。
それを見て、姉である虚も嬉しくなった。
「貴女が本音と一緒に住んでいるヒデト・ワシヤさんですね。初めまして。本音の姉の布仏虚です」
「ヒデト・ワシヤです。まさか、本音ちゃんにお姉さんがいて、しかも三年生だったとは思わなかったッス」
「私もISには興味がありますから。貴女のような子が本音と友達になってくれて嬉しいです。これからも、仲良くしてあげてくださいね」
「いやいや。こっちこそ本音ちゃんと一緒の部屋になれて嬉しいですよ。同郷の仲間はいるけど、それとは別にこっちで友達は作りたいって思ってたから。その第一号が本音ちゃんみたいに明るい子だなんて、オレにとってはマジで良かったって思ってますよ」
「ワッシー…♡」
同居人をべた褒めするワシヤに、本音が潤んだ目で彼女を見つめる。
本音のワシヤに対する感情が友情から変化するのも時間の問題かもしれない。
「で、さっきはなんだか流れてしまったが、君が織斑千冬先生の弟である織斑一夏君だな?」
「は…はい!」
「そこまでまだぶっ倒れている楯無から聞いているとは思うが、これから生徒会が君の護衛につくことになる」
「らしいですね。まぁ…デュバル達から俺の貴重性については散々と聞かされてきたんで、俺に護衛が付くのは納得してます」
「そうか。ならば話は早いな」
虚の淹れてくれた紅茶を一口飲んでから、脚と腕を組んで背凭れに体を預ける…が、どう見ても背伸びした子供にしか見えないので、却って微笑ましい姿になってしまう。
「護衛と言っても、そう堅苦しい事じゃない。精々、何かあれば私達の誰かに連絡をしてくれればいい。その程度さ」
「え? そんなんでいいんですか?」
「当然だ。君のプライベートを邪魔する気は無いし、ちゃんとそこら辺は尊重するつもりだ。要は『護衛をしている風』をお偉方に見せていればいいのさ」
「おぉ~…」
この幼女、めちゃくちゃ凄い。
人は見た目ではない事を再認識した一夏であった。
「だが、流石に学園の外に外出する際は私達に誰かと一緒に行動して貰うがな。理由は…分かるな?」
「はい。一度でも学園の外に出てしまえば、そこではもう学園のルールが通用しないから…ですよね?」
「正解だ。どうやら、彼女達に相当に扱かれたと見える」
「ははは……」
冷や汗を垂らしながら苦笑いを浮かべる一夏。
本当に、三人には感謝の念しかない。
「私達と連絡交換をして、外出する時に一報をしてくれればいい。そうすれば、こちらから君の元まで行こう」
「それって……」
生徒会メンバーと一緒に外に出ると言う事は、下手をすればデートのようになるということだ。
これまでにもソンネン達と似たような事はしたことはあるが、見知らぬ女子となると流石に気恥ずかしい。
弾に知られれば、間違いなく血の涙を流す事だろう。
「どうかしたか?」
「いえ…なんでもないです」
目の前の美幼女な先輩と二人きりで出かける事もあるのだろうか。
誰かに見られたら、絶対にデートじゃなくて兄妹のお出かけに見られるだろう。
それはそれで、嬉しいような悲しいような。
久し振りということで話は盛り上がり、まだまだ終わりそうにない。
生徒会室は、今までで一番の賑わいを見せていた。
キャラが勝手に動く現象のせいで次回に続くのじゃ。