自給自足で実力主義の学校生活   作:たーなひ

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誰だよ仁王なんか買ったヤツ……むずすぎて息出来ねえよ。
誰だよ海賊無双買うとか言ったヤツ……仁王もクリア出来る気しねえのに…


二十二話

いくつかの授業をこなして過ごしていた3日目の夜、大浴場の脱衣所で服を脱いでいると、何やら言い争いが聞こえてきた。

やれ葛城さんがうんたら〜だの、アルベルトがどうだの…と言った内容だ。

 

…これはアレか?あの風呂イベントか?

嫌やぞ?あんなクソカオス空間で自分のオテンテン晒すのは。…自分、ちょっと収束するまで待ってよろしいか?

 

 

 

「お、来たかTレックス」

 

英雄の凱旋である。

 

「…その呼び方はやめてくれ」

 

「中々盛り上がってたみたいやな」

 

「剛ってさっき風呂場に居たか?」

 

「いや?外から観戦させてもらったわ。巻き込まれたく無かったしな」

 

「見てたなら助けてくれても良かっただろ」

 

「バカめ。俺が入った所で焼け石に水だということが分からんか?」

 

「……とにかく、その呼び方はやめてくれ。流石に嫌だ」

 

「うーん……いいキャラ付けになると思ったんやけどなぁ……」

 

「どんなキャラだソレ…」

 

「え、えーと……きょ、"巨根キャラ"とかどう?…痛い!ちょっ!痛い!無言で叩くな!素肌やから痛いねんって!ちょ、まじごめんって!なあ!ごめんって!いたっ!…」

 

 

脱衣所で行われる叩き合い(一方的)に、さすがの葛城も言葉を失った。

 

 

 

 

 

さて。この合宿もそろそろ終盤に差し掛かろうと言う所だが、特にめぼしいイベントは無かった。

変わったのは授業内容ぐらいで、ちょっと座禅の時間が伸びたりした程度だ。

いや、無い方がええに決まってるんやけどさ。ちょっと…つまらんやん?

 

 

そして試験5日目。午前中の授業が全て運動に割り当てられ、試験本番で走る18キロの道のりを実際に走らされる。

ただの18キロなら、まあ何とかならんことも無い。だがここは山。普通にキツい。

 

後ろを見ると、余裕そうな龍園君がグループの最後尾について来ていた。

この試験中、事務的な会話以外で一度も会話をした所を見た事が無かったが、意を決して話しかけてみることにした。

 

「余裕そうやな」

 

ペースを落として龍園君の横に並んで話しかけた。

 

「まあな」

 

………………え、終わり?なんか会話繋げてくれへんの?

えぇ……いや…なんか……いや、そりゃそうなんやろうけどさ……流石にちょっと気まずいわ。

なんか会話の種ないか…?

あ。

 

「料理出来るんやな。意外やったわ」

 

そう。この男、料理も出来るのだ。まあコイツのスペック考えたら当然な気もするけど、きよぽん出来へんしな。良かったな!きよぽんに勝てる所あったぞ!

 

「まあな」

 

っ!こいつっ!手強いっ!

なんやこいつコミュ障かよ。「まあな」しか言えへんって何やねん。

「勉強してる?」って聞かれて「まあまあ」とか、「ぼちぼち」としか答えへんヤツみたいやな。俺の事やねんけどさ。

 

「そう言えば無人島でも一人でサバイバルしてたんやっけか?あの時って何食ってたん?」

 

これは「まあな」じゃ返せへんやろ!

 

「…そこら辺のヘビとか昆虫だ」

 

…勝った!!

…………これ何の勝負やねん。

 

「はえー。でも最終日の前日雨やったやろ?大丈夫やったん?」

 

「てめぇらと一緒にすんな。あの程度じゃ体調崩さねぇよ」

 

あ、そーすか…。

さっすが龍園君!龍の名を冠する者は体が丈夫になるんですね!厨二病かな?

 

 

「……………桔梗と付き合ってるらしいな」

 

お?向こうから会話振ってくるとはどうゆうことや?

しかも割とホットな話題。

 

「おん。それがどしたん?」

 

「どうゆうつもりだ?」

 

「……と、言いますと?」

 

「お前は桔梗の本性を知ってる。その上で距離を縮めるって事は何か裏があるはずだ」

 

あー…………ちょっと申し訳ないんですけど、そんな罠張ってるみたいなんじゃないんですよねー。

 

「いや、そんなに嵌めるみたいな意図がある訳じゃなくて、ただ防衛策の一つとしてそうゆう選択肢を取っただけやで」

 

「防衛策?」

 

「そ。と言っても大層なもんじゃなくて、ある程度目の届きやすい所の方が動きが掴み易いかなって」

 

断じて櫛田ちゃんが可愛いから「役得やん!」ってなったわけではないぞ!違うからな!

 

「なんだ、ちゃんと考えてやがったのか」

 

……?

 

「どゆこと?」

 

「いや、あの顔を見たら完全に惚れてるようにしか見えなくてな」

 

………………え、なに?

…え?………もしかして………

 

「………もしかして俺らのデート見てたん?」

 

「ああ」

 

なん……だと……?

はっず!はっず!はっずぅぅ!!

なんかはずい!龍園君に見られてたってのが何でかわからんけど恥ずかしい!!

……………あれ?

 

「…………………え?何?もしかして俺の事心配してくれてたん?」

 

だってそうじゃない?わざわざこうやって確認する必要なんかなかったやんな?

 

「クク…バカ言ってんじゃねえよ。ただ、あんなヤツにやられたらつまらねぇと思っただけだ」

 

……なんか俺妙に龍園君に買われてない?

最初の質問も俺に意図がある事を確信してる風やったし、なんならあのデート中のあのデレデレ顔を演技やと思ってくれてる可能性まである。

 

 

「つまらんって…俺龍園君を楽しめれるようなヤツやったか?」

 

だって俺ちょっとイキって金せびってボコボコにされただけじゃない?

 

「………綾小路のような怖さはねぇ。坂柳のような風格もねぇ。だが、お前はどこか得体が知れねぇ。胆力一つ取っても俺相手に啖呵を切れる程だ。それに確実に保険をかけて大胆で豪胆な一手を打って確実に利益を捥ぎ取れる強かさもある」

 

………え、何何何?褒めてんの?なんで俺褒められてんの?

 

「え、えー…っと……?」

 

「…要は、お前も俺の獲物って事だ」

 

そう言って正面に目を向けて黙って走り出した。

 

 

………え、何それ……告白かな?

「お前は俺の獲物だ…」って告白やんけ!ごめんな。俺はノンケやねん。伊吹ちゃん送り込んで来て、どうぞ。

 

 

……まあ、龍園君なりに認めてくれてるって事を伝えてくれたって事やろ。

………龍園君に敵として認めてくれてるってのは嬉しいもんやな。

だって一之瀬さんとか堀北ちゃんとか葛城君は敵として見られてないやん?いや、堀北ちゃんは今どんな印象なんか知らんけどさ。

そう考えたらなんか自信持てるな。

有り体に言えばライバルとして見てくれてるって事やろ?そりゃ嬉しいなぁ……。うん。普通に嬉しい。どうせ眼中に無いんやろうなと思ってたし。

まあ、今は特に何かする気は無いんやろうけどな。

 

あれ?敵として認識されたって事は学校生活危ないってことじゃね?って気付いたのは走り切って休憩している時の事だった。

 

 

 

 

その日の夕食は、久々に綾小路グループ全員で集まっていた。

 

 

「それより、みやっちとくさもんは大丈夫なわけ?龍園と一緒なんでしょ?」

 

「ま、何とかな。俺も警戒はしてるが特に変わった様子は無い。授業だって至って真面目に参加してる」

 

龍園君の話題は俺にとってかなりタイムリーな話で、ちょっと変な気分だ。

 

「座禅とか駅伝とかも?」

 

「ああ。怖いくらいに普通だ。むしろ下手なヤツよりよっぽどしっかりしてる。ただ、何度か話しかけたりしてみたが、誰かとつるむつもりは全くない様子だ。……そういえば剛は今日結構話してなかったか?」

 

「え、大丈夫だった?何かされてない?」

 

ただ話しただけやのにエラい言いようやな。まあ龍園君の所業を考えたらそりゃそうなるか。

 

「別に何もされてないで」

 

「な、何の話してたの?」

 

佐倉さんが聞いてきた。やっぱり龍園君の話は皆気になるらしい。

 

「いや、別に大したことじゃないで。試験中の事とか、ちょっとした雑談とか」

 

「りゅ、龍園君と雑談……」

 

佐倉さんが恐々としている。因みに龍園君と世間話が出来るのが俺だけってのは俺の数少ないマウント取れることの一つになった。

 

一応俺の工作で龍園君が失脚したってことになってるんやけどそこんところ思う事無いんかな?

…………あ、流石にこの場では話せへんか。どこに目があるかわからんしな。一応他クラスには秘密ってことになってるし。

 

それぞれのグループの話題の後は、他愛無い雑談に花を咲かしながら食事を楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

さあ、この混合合宿も最終日。めんどくさい試験の日となりました。因みに昨夜龍園君橋本君と会長達が会談するイベントがあったけど、流石に行く気にはなれんかったわ。そもそも眠いし、そんなカオスな場所おったら絶対チビるわ。

 

 

試験の内容は『禅』『筆記試験』『駅伝』『スピーチ』の4つで、この順で行われる。

 

って言っても、適当にこなせば終わる試験で難易度自体は普通の期末試験とかの方が高い気がする。

強いて言えば駅伝がしんどいのと、スピーチで緊張するぐらいか。

 

思っていた通りの割とヌルゲーの試験だったので卒なくこなすことができた。グループ自体の成績も、そんなに悪くないはず。てか龍園君がめちゃめちゃ優秀やった。スペック高すぎるんよなぁ…。

 

 

 

 

 

初日のように体育館に集められ、結果発表が始まった。

俺らのグループの結果は3位。まあまあボチボチって感じやな。

 

 

この試験の裏では南雲会長が堀北元会長の相棒的ポジションである堀茜を退学させる動きがあったがどちらのグループも全く関わりが無かったし、そもそも大して興味も無かった。

 

 

 

 

 

 

そんな訳で3学期最初の試験は終了。

 

お次は一之瀬さんの禊イベント。

って言っても今回も何かする必要は無い。勝手にきよぽんが何とかしてくれるし、なんなら一之瀬さんはどうでも良いみたいな所はある。

まあ、もし何かきよぽんから依頼でも来たら動くんやけどね。

 

____________________________________

 

 

私、櫛田桔梗にとって、過去を知る人間は確実に排除すべき者だ。

中学の頃のあの失敗はこのクラスから退学者を出そうとも、龍園君のような信頼ならない悪魔の手を借りようとも秘匿せねばならなかった。

 

そして、その過去を知る人間は堀北と綾小路君の二人だけだった。"だった"と言うのも、新たな警戒対象が増えていたのだ。

 

それは二学期の終わり、12月の事。

協力関係にあった龍園君が、草元君という男子とも協力関係を結んでいたという事が分かってしまった。

 

草元剛という男子は、はっきり言って大した事の無い男だった。大して勉強が出来るほどでも無いし、大して運動神経が良くも無い。ただ堀北だったり綾小路君とかとのパイプがあるぐらいで、ちょっと近づけば私の胸に下卑た視線を向けてくる。どっからどう見ても健全な男子高校生、良くも悪くも普通。それが草元剛という男子の評価だった。

 

しかし、それが一気にひっくり返ったのだ。

龍園君との協力関係にあるとは言え、何度聞いても龍園君が私に草元君の情報を渡してくれることは無かった。

 

そしてそのまま龍園君が失脚。

 

さらに草元君が二重スパイであった事が明かされた。

事の真偽を龍園君に問おうとメールを送るも返信は無い。

 

龍園君は過去を知らない。だが本性を知っている。本性も私にとっては絶対に隠さなければならないものだから、本性が知られている可能性を警戒せざるを得なかった。

 

だから、私の容姿を利用して接近する方法を使って探ることにした。

成果は上々。まんまと私の告白を受けて付き合う事となった。肝心の過去や本性を知っているかどうかについては、まだなんとも確信を得られていない。

 

だが、何一つ警戒すべき点は認められなかった。

数度デートをする内に無駄骨だと悟ってしまった。

どこからどう見ても私にメロメロだ(多少は気分が良い)。どこにも手強いと思える要素が無いのだ。

 

 

早々に別れる事を決めたがまだ付き合って一月もたってない。

こちらから告白しておいてこの短い期間で振るというのは軽い女だと思われる可能性があるため、少しでも心象を良くする、下げないためにもう少し我慢する事に決めた。




はい。
思ってたより短くなったので櫛田ちゃんの独白を足しました。

というか3学期って綾小路君がなんとかするヤツばっかりやから動かしにくいんよなぁ。

タイトルどうする?

  • 変えた方が良い
  • 変える必要無い
  • 花山inよう実書いてみてくれ
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