ハイスクール・フリート ルパン三世暗殺指令   作:サイレント・レイ

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第11話 ましろがアンハッピー

――― 教育艦『晴風』 ―――

 

 

「…じゃあ、次に狙うのは『武蔵』なのですか!?

それも、ショットシェルを誘き出す為だけに!?」

 

「まぁそう言うこった」

 

 ルパンがましろに満面の笑みで返し、『晴風』乗員の全員が一斉にギョッとした後に各々に騒ぎだした。

 

「いいかい、元々世界最強にして最大の戦艦だった大和級は練習艦化…」

 

「ルパン、ブルーマーメイドでは練習艦化とは言わずに、教導艦化って言うのよ」

 

「あ、あ~…そうだった。

まぁ兎に角だ、一線を引いたが大和級の価値は決して下がっちゃいない。

あの船を盗んで売り出したら、奴等は必ず“売って下さぁ~い”と言う筈だ」

 

「……確かに、大和級の教導艦化は、海軍を巻き込んだ騒動が起きていた…」

 

 ルパンの大和級の価値の高さの指摘に、ましろは『大和』艦長だった真雪を通して大和級の教導艦化の騒動を思い出して、目線を逸らしながら納得していた。

 実際、大和級4隻は予備艦としての教導艦化は“早すぎる”との指摘でブルーマーメイドの大半だけでなく、海軍までが猛反対(一部は「教導艦化するなら海軍に返せ」と主張)する事態が起きてきて、現に大和級と同世代の戦艦群で、アメリカのアイオワ級『ニュージャージー』&『ウィスコンシン』(当初『ミズーリ』だったが、10年前に行方不明になった為に代艦として復帰)とモンタナ級『モンタナ』&『ルイジアナ』の4隻(残りの『アイオワ』『イリノイ』『ケンタッキー』、『オハイオ』『メイン』『ニューハンプシャー』の6隻は予備艦(モスボール状態)だが早期に復帰可能)、イギリスのライオン級『ライオン』『テレメーア』『サンダラー』『コンカラー』は、予備艦化と復帰を繰り返しながらも各々の海軍で未だに現役の主力であった。

 尤も、アイオワ級、モンタナ級、ライオン級の3種の戦艦(他にも列強の戦艦で現役のもいるが省略)が現役の理由はある戦略の為であり、大和級もその戦略に組み込まれる計画があったので教導艦化したとの噂があったが、ましろ(達)はその事を知らず、ルパン達も敢えてその事を言わなかった。

 

「しかもだ、ショットシェルが興味津々(シンシン)の筈のRATtウィルスが『武蔵』に罹患してるんだから、無関心とはいかない」

 

「現に奴等に気付く様に派手な騒ぎを起こした上、奴等の工作員が来てたんだから尚更だ」

 

「あの人達が、そうなんですか!!?」

 

 ルパンに乗っかっての次元の指摘に、ましろ達はオーシャンモール・四国沖店でのルパン達の不可解な行為に納得するも工作員のは理解出来なかったが、明乃は工作員と思われる男性(ブラッド)達を思い出して叫んで指摘し、美甘と媛萌はお互いの目線を合わせていた。

 

「ですが、『武蔵』の強奪は理解出来ましたが、それに『晴風』が必要になってくるんですか!?」

 

「いや、『晴風』自体は兎も角、君達『晴風』の乗員が必要なんだよ」

 

「『武蔵』を盗んだとしても、『武蔵』の乗員どもが協力してくれるかどうか以前に全員がRATtウィルスに感染して駄目になってるだろうし、俺達は『武蔵』の操艦は一切出来ない。

だから盗んだ後、せめて『武蔵』の操艦方法を俺達に教えて欲しいんだ」

 

 説明するルパンが『武蔵』乗員が全滅していると思っていた為、明乃が確証の無いままにもえかの無事を信じていた事からルパンを睨んだ。

 

「幸か不幸か、『晴風』は他の陽炎級と違って、大和級と同じ機関と航行の補助システムと同じ物を使用しているから、まぁそれが『晴風』の異常な不調の原因との予想があるけど、取り敢えずは大和級での操艦は必要最小限は出来るわよ」

 

 続けての次元と不二子の各々の説明で、明乃達は自分達が『武蔵』強奪後に必要な理由を理解し、一部は最優秀組の『武蔵』(大和級の搭乗生徒はブルーマーメイドの幹部入りが内定される)に乗り込める事に歓声を上げていた。

 

「ですけど警部、それは私達にルパンの犯罪に手を貸す事になりませんか?

しかもまともな戦闘訓練を受けてない入学したての身でショットシェルと戦えと?」

 

 だがましろが指摘して鈴を始めとした一部が同感と示した通り、此れまでの『晴風』の戦闘行為は、反乱が濡れ衣だと確定したのを前提として、その全てが正当防衛の許容範囲で収まるが、『武蔵』強奪だと完全に言い逃れが出来る筈がなかった。

 しかも『武蔵』強奪後に敵対するのは世界屈指の犯罪組織なのだから、危惧するのは当たり前であった。

 

「当然、君達の技量やルパンに協力する事の影響は知っている。

だから、ICPO本部長や警察庁長官からの配慮は受け取っている」

 

 銭形はましろに返しながら、懐から書類を取り出し、証明書であったそれを明乃達に見せた。

 

「『武蔵』強奪前後の行為はルパンに脅迫された事として、状況終了後に『晴風』乗員は我々警察が弁護し、全力で保護するつもりだ。

また緊急時には君達をアメリカ等への亡命させる手筈もある。

少なくとも『武蔵』強奪には全力を尽くしてもらいたい」

 

 ルパンが自分(達)に罪を擦り付けられる事に嫌そうにしていたが、実は銭形は追加の極秘指令で『晴風』が本当に反乱行為をしていたら、速やかに『晴風』を制圧する様に通達されていたが、明乃達の人となりや聞き取りでそれは無いと判断していた。

 

「それにさぁ、ショットシェルぶっ潰した功績は、どうせとっつぁんのモノになるんだから、“ショットシェルを壊滅出来たのは『晴風』の協力が有っての事”にして功績をちょこ~…っと分けて貰えば、汚名返上出来んかもしれないぞ」

 

「浪花節だねぇ~…」

 

「ハードボイルドってのは高級の浪花節よ、次元ちゃ~ん」

 

 次元にからかわれてのルパンの言葉は、確かに一理あっての魅力的なモノであった。

 

「だが、ショットシェルを相手にするのは、例えどんな身の上でも危険なのは承知している。

故に『武蔵』強奪後に逃す用意をしているから、それまでに各自で決断しておくように。

後、儂等に同行するとしても、甘い推測を捨てて覚悟を決めろ!」

 

 銭形の言葉に、多くは迷いから周囲の者達と目線を合わせていたが、明乃や芽依に麻侖みたいに同行を即決する者達が少数いた。

 更にルパン(達)と行動出来る事に加えて、先述の違法だが『武蔵』の乗員になれる事から、まだ内心で参加を思う者達が徐々に増えていた。

 

「……レニーヌ公爵に助けられたオルタンス嬢になるのを受け入れるしかないか…」

 

 意外な事に最後まで抵抗すると思われたましろまでが、溜め息を吐きながら同行を即決して『晴風』乗員達を驚かせた。

 だがましろの言った意味が理解出来なかったが、ルパンのみは反応した。

 

「ましろぉ~…もしかして君ぃ、俺のじっちゃまのファンだったりする?」

 

 ルパンの質問に対して、ましろは頬を膨らませながら椅子ごと体を回してルパンに背を向けた。

 

「……私、怪盗ルパンは全巻読破しています。

三世と違って、ずっと、ずっとぉ、ずうぅぅーっと格好良くて紳士な一世が、私の足長オジさんになって欲しいなあぁ、と思ってました!!!」

 

 ましろが言っていたのはルパン一世の物語の1つ“時計の8時の鐘(Les Huit Coups de L'Horloge)”(当然、レニーヌ公爵の正体はルパン一世)のであり、ルパンに背を向けながら彼女なりに嫌みを言ったが、実はショットシェル壊滅の功績で、劣等感を抱く程に偉大すぎる母と姉2人を見返そうとする目論みがあって、それを隠す為のでもあった。

 だがましろの狙いに反して、当のルパンは右手で両目を押さえながら笑い出した。

 

「シロちゃ~ん、人のじっちゃまに理想を描くのは君の勝手だけどさぁ~…孫の身としては、アレ等の本を元にすんのはどうかと思うよ。

なにせルブラン(モーリス・ルブラン、怪盗ルパンの原作者)の奴、じっちゃまを無駄に格好よく書きすぎて、じっちゃま本人に怒られたんだぜ。

オ~レ()は、こんなに格好よくない”ってね!!」

 

 ましろは爆笑するルパンに返り討ちにされてムッとした為に周囲の者達に苦笑されていた。

 此の間に銭形が全員から目線を逸らしたが、どうやら子孫として先祖・銭形平次に同じような思い当たる事がある様だった。(後日判明したが、此の場にいない五ェ門もそうだった)

 

「だがな、どんな手で『武蔵』を強奪するにしても『晴風』に戦闘させる事に代わり無いんじゃろ?

此の船、魚雷や弾薬は殆ど残ってないぞ」

 

「更に言いますと、トイレットペーパーは解決しましたが、水や食料等の物質が色々と不足しています」

 

 まぁ参加の是非以前の問題が、ヴィルヘルミーナや『晴風』主計長兼会計の等松美海(通称:ミミちゃん)によって伝えられた。

、因みに、美海(と『晴風』乗員各々)は明乃達4人にオーシャンモール・四国沖店で食料等の調達を要請していたのだが、倫子達ブルーマーメイドの追撃等が有ったと言え、見事に全てを忘れていたので、ほんの少し前に明乃達3人はましろと不二子も揃って美海に怒られていて、美海はまだ根に持っていたので明乃達3人を順に睨み、当人達は彼女と目線が合うと直ぐに目線を逸らしていた。

 

「その点は、儂が連絡して警察から“水”“食料”そして“幾つかの補修部品”が近日中に届く筈だ」

 

 明乃達は銭形が根回しに素直に喜んでいたが、当の銭形は少し表情を曇らせた。

 

「…だが、届く予定の補修部品は船体の修理部品や機関のだけ、武装や弾薬は用意出来んそうだ」

 

「機銃のも駄目なのですか?」

 

「警察の警備艇が使ってるのは40mm、陽炎級のは25mmですからね」

 

 銭形の報告に明乃が抵抗らしきモノをしたが、此れは幸子によって否定された。

 元々『晴風』以下の横須賀海洋女子学校所属の学生艦群(『武蔵』のみは補給関係で例外)は、近海での初級の訓練航海を行う為に全武装各々の弾薬が必要最小限しか搭載(中には爆雷の様に非搭載のも)されておらず、此の為に『伊201』の夜襲時にヴィルヘルミーナが『晴風』の現状に怒り狂った事があった。

 そして『さるしま』と『アドミラル・グラーフ・シュペー』との戦いで主砲弾の大半を消費して魚雷は欠乏、更に第三主砲が大破したのだから、戦闘艦としての機能をほぼ失っていた。

 此の為に銭形も弾薬補給の事を気に病んでいたが、意外な事にルパンが助け船を出した。

 

「だったら、身近な所で買うしかないよ。

とっつぁ~ん、補給が終わったら、ちょっと寄り道すっから目を瞑ってくんない?」

 

「買うって、こんな海のど真ん中で弾薬を買える所があるの………かっ!!?」

 

「……次元、確か此の近くに有ったよな?」

 

「ああ、もう少し走る必要があるがな」

 

「ルパン、お前、まさか!?」

 

 銭形は当初は明乃達共々ルパンの狙いが分からなかったが、少し間を措いてから察してギョッとした。

 当のルパンは銭形の推測を笑って肯定しながら、次元に場所の確認を取っていた。

 

「あのぉ~…海賊行為をして、弾薬を得るつもりなのですか?」

 

 『晴風』乗員を代表して、明乃が銭形に質問し、一部の乗員達がルパン(達)の盗みに協力できるかもと思って喜んでいたのをましろが怒鳴っているのは取り敢えず無視して、当の銭形は何も答えずに溜め息を吐いた。

 

「…ある意味、それの方が良かったのかもしれんぞ」

 

 此の時の明乃達は銭形が言いたかった事を理解出来ないでいたが、直ぐにルパンと手を組んだ事の洗礼を受ける事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― オマケ ―――

 

 

「不公平だ!!!

やってらんねえぇぇー!!!」

 

 会議後、ルパンが次元に抑えられながら叫んでいた理由は、ルパン達への『晴風』の部屋割りの事であった。

 

「ルパン、そう言う規則なの」

 

「不公平だ!!!

やってらんねえぇぇー!!!」

 

「諦めろ!

不二子は一様ブルーマーメイドの士官なんだ!」

 

 ルパンに嫌み全開で笑っている不二子は、ブルーマーメイドの規定に基づいて明乃の部屋(つまり艦長室)を使う事になったのだが、ルパン達3人(加えて監視役も兼ねて銭形も)は『晴風』の艦尾のフィアットか寝袋で寝泊まりする事になったからだ。

 

「ルパン、そもそもの原因はお前の女癖の悪さなんだぞ」

 

「不公平だ!!!

やってらんねえぇぇー!!!」

 

 こうなったのは、『晴風』の空き部屋が無い事なのだったが、なにより銭形が呆れながら言った通りに好色家のルパンが夜這いをしかねない事からの警戒であった。

 まぁ『晴風』の現状だとルパンは夜這いしそうなのは不二子だけだと思う(と言うかそう思いたい)が、『晴風』乗員の大半はルパンの夜這いを歓迎していた。

 

「不公平だ!!!

やってらんねえぇぇー!!!」

 

「……不幸だ…」

 

 大の大人らしからぬ駄々を捏ねているルパンが次元と銭形の2人係りで引き摺られていっているのを見つめながら、ましろが溜め息を吐いて肩を落としていた。

 何故なら、不二子に自室(艦長室)を明け渡した明乃は、ましろの部屋(副長室)に移る事になったのだ。

 一応副長室はこう言う事に備えて2段ベットが置かれて同居は可能なのだが、その副長室には既にヴィルヘルミーナが居て、想定外の3人同居で手狭になってしまったからだ。

 そして明乃は役職で、ヴィルヘルミーナは年齢で、2人各々がましろの上の立場なので、ましろは結果的に自室で寝袋で寝る羽目になったのだった。

 

「……くっ!!!」

 

「どうどう」

 

 更に言うと、明乃がましろとの同居の事で、洋美が明乃を睨んだ為に麻侖に抑えられたのを書いておこう…




 感想または御意見、或いは両方でもいいので、宜しくお願いします。

 本編で上がった『ミズーリ』が行方不明になった事に関連しますが、どうやら本作の『ミズーリ』には元SEALsの料理人がいなかった事が原因かもねぇ~…

貴方にとってのルパン三世は?

  • 1世たる“山田康雄”
  • 2世たる“古川登志夫”
  • 3世たる“栗田貫一”
  • 実写版1世たる“目黒裕樹”
  • 実写版2世たる“小栗旬”
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